第28話:『着せ替えタイム』じゃけん!
翌日。 スライム騒動も落ち着き、俺たちは村娘たちから改めて感謝の言葉を受けていた。 集まってくれたのは、昨日も大活躍(?)してくれた牛人族の美女トリオだ。
まずは、悠乃より少しぽっちゃりとした体型で、包容力の塊のようなナナちゃん。彼女のオーバーオールは常にパツパツで、そこには夢と希望とミルクが詰まっている。 次に、ショートヘアで快活な印象のモモちゃん。短いホットパンツに、前で結んだだけのチェック柄シャツ。その隙間から覗く健康的な谷間は、見る者に活力を与えるエナジードリンクだ。 そして極めつけは、おっとり系お姉さんのムーちゃん。例の『牛柄マイクロビキニ』を着こなす物理演算の破壊者。彼女が動くたびに、周囲の空気が震えるほどの質量が揺れる。
「カイ様、フェンちゃん、ルナちゃん。本当にありがとうございました~」
ムーちゃんが深々と頭を下げる。それに合わせて、たゆん、と二つの果実が重力に従って垂れ下がる。 俺は管理者権限(物理)で動体視力を最大化し、その奇跡の揺らぎを目に焼き付けた。
「みんなのおっぱいも元通りだし、これもうちらの気持ちじゃ。……なにか、お礼をさせてほしいんじゃけど」
悠乃が代表して言った。 ナナちゃんとモモちゃんも、期待に満ちた目で俺を見つめてくる。
「なんでも言ってください! 肩たたきでも、お料理でも!」 「なんなら、もっと『すごいこと』でも……えへへ♡」
なんでも。 ああ、なんと甘美で危険な響きだろうか。 『なんでも』と言われたら、逆に悩んでしまうのが贅沢な悩みというものだ。 金? いらない。地位? 興味ない。 俺が欲しいのは、この世界でしか見られない「未知のデータ」だ。
俺は三人の牛娘と、フェン、ルナ、悠乃を見比べた。 異なる種族。異なる体型。そして異なるファッション。 ……閃いた。
「なら、頼みがある」
俺は真剣な眼差しで告げた。
「みんなの服を……『シャッフル』してみてくれないか?」
◇
――数分後。 村の集会所は、俺のためのプライベート・ファッションショー会場と化していた。
「えぇ~……。これ、ちょっと布面積が多すぎませんか……?」
最初にカーテンを開けて出てきたのは、フェンだ。 彼女が身につけているのは、モモちゃんの『ホットパンツ&チェック柄シャツ』だ。 普段は露出度の高い黒ビキニのフェンだが、こういう「カジュアルな服」を着ると、そのモデル体型がより際立つ。
スラリと伸びた長い脚が、短いホットパンツから大胆に露出している。 そして何より、ボタンを留めずに前で結んだだけのシャツだ。 彼女の豊かな胸が、シャツの隙間から「こんにちは」しそうになっている。 動くたびにシャツが捲れ上がり、引き締まった腹筋と、胸の下のライン(アンダーバスト)がチラチラと見える。
「い、いやらしい……! 逆に隠している方が、想像力を掻き立てられるとは……!」
俺は鼻血を抑えた。 フェンの「服を着たほうが逆にセクシー」という新属性が開花した瞬間だった。
「次は私……? もう、なんで私がこれなのよ!」
文句を言いながら出てきたのは、ルナだ。 彼女が着ているのは、ムーちゃんの『牛柄マイクロビキニ』だ。 もちろん、ムーちゃんのサイズそのままではブカブカなので、俺が「サイズ調整」の魔法をかけてある。
褐色の肌に、白と黒の牛柄。 そのコントラストが凶悪すぎる。 布面積は極小。ルナの小ぶりながらも形の良い膨らみを、ギリギリ隠している紐。 恥ずかしさで顔を真っ赤にし、腕で体を隠そうとするポーズが、その可憐さを倍増させている。
さらにおれは天才的な閃きが脳を貫く。ルナに回れ右を指示する。「えー…後ろ向くの…?恥ずかしいんだけど…」
俺は知ってるんだ…ルナは恥ずかしい目にあいたくない、でも辱めを受けたいっていう、矛盾した癖を持っていることに…彼女はお尻を必死に自分のしっぽで隠そうとしたが、俺がその尻尾の動きを止めて、小ぶりなお尻が完全に見えるようにした。
「やめてよぉ…お兄ちゃん…」
最高か?
「うぅ……スースーする……。こんなの着て歩くなんて、牛人族の神経どうなってるのよ……」 「似合ってるぞルナ! その『背伸びしてる感』が最高だ!」 「褒めてないでしょそれ!」
そして。 真打ちの登場だ。
「……あー、これ。あかんわ。フェンちゃん、これしか着てないって頭おかしいわぁ……」
悠乃が現れた。 彼女が身につけているのは、フェンの『漆黒のマイクロビキニ』だ。 これが、物理的に大問題だった。
フェンも巨乳だが、悠乃のそれも同じように大きい。 フェンサイズのカップでも収まり切っていなかったのに、悠乃のボリュームでも勿論全く収容しきれていない。 黒い三角形の布から、白く柔らかな肉が大幅にはみ出している。 まるで、小さな包装紙で巨大なマシュマロを無理やり包もうとしたかのような状態。
さらに、紐だ。 細い黒紐が、悠乃の柔らかい贅肉(という名の至宝)に、深く、深く食い込んでいる。 お腹の肉に食い込む紐。 太ももに食い込む紐。 そのボンレスハム的なラインが、倒錯的なエロスを醸し出している。
「紐が……千切れそうなんじゃけど……」 「それがいいんだ悠乃! その『悲鳴を上げる繊維』こそが芸術なんだ!」
俺はカメラのシャッター(眼球)を連写した。 眼福。 あまりに眼福すぎる。
だが、俺の欲望はここで止まらなかった。 俺は震える声で、最後のオーダーを出した。
「最後だ……。全員で……『オーバーオール』を着てみてくれ。……もちろん、中は『素肌』でな」
◇
――光景。 それは、言葉にするのも野暮なほどの、純粋な暴力だった。
フェン、ルナ、悠乃、そして牛娘三人衆。 計六人の美女たちが、一列に並んでいる。 全員が、素肌にデニムのオーバーオール一枚。
横から見た時の破壊力。 大きく開いた脇の隙間から、六人六様の「胸の横顔」が丸見えなのだ。 フェンの張り詰めた曲線。 ルナの慎ましやかで美しいライン。 悠乃やムーちゃんの、重力に負けてたわむ重量感。
彼女たちが照れながらモジモジと動くたびに、硬いデニム生地と柔らかい肌が擦れる音がする。 隙間が見え隠れする。 見えそうで見えない。いや、見えている。
「ど、どうですか主様……? これ、すごく恥ずかしいんですけど……」 「風が入ってきて……変な感じ……」
六人が一斉に俺を見て、恥じらいながらも微笑む。
「カイ様のために、着ましたよ♡」
ドクン。
俺の心臓が、限界を超えた音を立てた。 脳内の処理落ち。 メモリオーバーフロー。 あまりの尊さに、魂が肉体から乖離していくのを感じる。
「……あり、が……とう……」
俺は満面の笑みを浮かべたまま、ゆっくりと後ろへ倒れた。 視界がホワイトアウトする。 死因:尊死(Over_Cuteness)。 悔いはない。ここでおれたちの冒険は終わりだ。じゃあな。
~Fin~
◇ ◇ ◇
「あ! カイ!? カイが死んだ!」 「主様ーッ! しっかりしてください!」
バタリと倒れたカイを見て、うちらは大慌てで駆け寄った。 でも、カイの顔は幸せそうに緩みきっとる。鼻血まで出して。 どうやら、うちらの姿に興奮しすぎて気絶したみたいじゃね。
「もう……バカな男の子ね」 「本当に……。でも、そんなところも可愛いです」
フェンちゃんが、倒れたカイの頭を膝に乗せて撫でる。 気絶しているカイは、普段の生意気な口調が消えて、ただの可愛らしい少年の寝顔になっとる。 線も細いし、筋肉もそこまでムキムキじゃない。 こうして見ると、うちらが守ってあげんといけんような、儚い美少年にも見えるわ。
「ねえ、フェン姉様、悠乃。……ちょっとイタズラしない?」
ルナちゃんが、ニヤリと笑って提案した。 その手には、さっきまでうちらが着ていた衣装の山が。
「ふふ、いいですね。着せ替え人形の『逆襲』です」 「ええのぉ。カイにも、うちらの恥ずかしさを味わってもらおうか」
うちらは顔を見合わせて笑い、カイの服を剥ぎ取った。 まずは、オーバーオール。
「わぁ……可愛い! 男の子なのに、オーバーオール似合うわね」 「少年って感じでキュンとします!」
カイの細い体に、ダボッとしたデニム生地がよく似合う。 でも、これだけじゃ物足りん。
「次は……これじゃ」
うちが差し出したのは、フェンちゃんの『漆黒のマイクロビキニ』じゃ。 まさか男に着せるなんて思うとらんかったけど。
よいしょ、よいしょ。 意識のないカイの手足を通して、紐を結ぶ。
「……あら?」 「……意外と……」
うちらは絶句した。 似合っとるんよ(別の意味で)。 カイの肌は白くて綺麗じゃし、腰も細い。 黒い紐が、その白い肌に妙に映える。 男の娘……とまでは言わんけど、なんかこう、背徳的な美しさがあるというか……。
「……これ、アリかもしれんね」 「ですね。主様、新しい扉を開いちゃうかも」
うちらは完成した「作品」を眺めて、クスクスと笑い合った。 目が覚めたら、どんな顔をするじゃろうか。 きっと顔を真っ赤にして、「脱がせろ!」って喚くんじゃろうな。 その反応を見るのが楽しみじゃわ。
◇ ◇ ◇
「……ん」
意識が浮上する。 なんだか、体がスースーする。 特に下半身が心もとない。
俺はゆっくりと目を開け、身を起こした。 そこは集会所の更衣室だ。 目の前には大きな姿見(鏡)がある。
そして、鏡の中には、信じられない姿の俺がいた。
「……なんなんだ、これは……」
俺が着ていたのは、フェンの『漆黒のマイクロビキニ』だった。 極小の黒い三角形が、俺の股間をギリギリ隠している。 細い紐が、俺の腰骨に引っかかり、白い肌に食い込んでいる。
普通なら、ここで悲鳴を上げるところだろう。 だが。 俺は管理者だ。常に冷静に、データを分析する癖がついている。
俺は鏡に映る自分をまじまじと見つめた。 細身の少年体型。浮き出た肋骨と、薄い腹筋。 そこに絡みつく、淫らな黒い紐。
(……悪くない)
いや、むしろ「完成」されているのではないか? 俺は鏡の前で、腰をひねり、ポーズを取ってみた。 ビキニの紐がピンと張り、そのテンション(張力)が心地よい。
ガチャリ。
ドアが開いた。 フェン、ルナ、悠乃の三人が、ニヤニヤしながら入ってきた。
「あら、主様。お目覚めですか?」 「ふふっ、どう? 自分の姿を見て……」
彼女たちは、俺が恥じらって泣いている姿を期待していたのだろう。 だが、俺は真顔で彼女たちを振り返り、ビシッとポーズを決めたまま言った。
「フェン、ルナ、悠乃。……お前たちのセンスには脱帽だ」
「「「は?」」」
三人の笑顔が凍りついた。 俺は止まらない。 鏡の中の自分を指差し、早口でまくし立てた。
「見てくれ、この機能美を! 本来、女性用であるマイクロビキニをあえて少年体型の男性に装着させることで生まれる、この『ジェンダーレスな背徳感』! 素晴らしい! 筋肉質な戦士が着ればただの変態だが、俺のような発展途上の少年ボディが着ることで、そこに『未成熟なエロス』と『倒錯した聖性』が同居している! 黒い紐が白い肌を分断するこのコントラスト比! 黄金比率だ! さらにシステム的観点から言えば、布面積を極限まで減らすことによる空気抵抗の削減、および放熱効果の最大化! これは戦闘用スーツとしても理にかなっている! 特にこの腰紐の食い込み角度! 骨盤のラインを強調しつつ、局部の防御力は皆無というこのリスキーな仕様が、管理者の『余裕』を演出するのに最適解だとは思わないか!? いや思うはずだ! これはもはや衣装ではない、俺という存在を定義する新たなスキンだ! どうだ、この角度! この紐のテンション! 最高だろう!?」
俺は一息で言い切り、最後にダブルピースでキメ顔を作った。 完璧なプレゼンだ。これで彼女たちも、この深淵なる美学を理解してくれたはず――。
俺は期待に満ちた目で三人を見た。
「…………」 「…………」 「…………」
沈黙。 絶対零度の沈黙が、部屋を支配していた。
フェンは目を逸らし、壁のシミを見つめている。 ルナは口を半開きにしたまま、後ずさりしている。 悠乃に至っては、顔面蒼白で「うわぁ……」と呟いていた。
ドン引き。 完全なるドン引きだった。
「主様……。その、お似合いですけど……ちょっと、引きます」 「カイ……あんた、そこまで行くと、もう尊敬できないわ……」 「ほんまもんの変態じゃ……。うち、ちょっと怖なってきたわ……」
三人は逃げるように部屋を出て行った。 残されたのは、黒いマイクロビキニ一丁でポーズを決めたままの、変態管理者(俺)一人だけ。
「…ふっ…凡人にはまだこの高み…わからぬか…」
俺は鏡の中の自分に向かって呟き、そっとビキニの紐を直した。 この美学が理解されるには、まだ時代が早すぎたのかもしれない。 俺は一人、静かに涙を流しながら、いつもの服に着直すのだった。
おまけ
OL姿のフェン




