第17話:悠乃「ミルクが出んのんじゃけど!?」
翌朝。 目覚めた俺は、文字通り「骨抜き」にされていた。 両腕には、スヤスヤと眠る銀狼姉妹。 右にはダイナマイトボディのフェン。左にはスレンダーながらも吸い付くような肌を持つルナ。
昨晩の風呂場での乱入劇の後、どうなったかは詳しく語るまい。 ただ、フェンの情熱的なリードと、ルナの初々しくも大胆なご奉仕によって、俺は管理者権限(スタミナ無限)をフル活用する羽目になった。 おかげで、姉妹の仲は深まり、俺たちのパーティ結束力(と俺の賢者タイム)はかつてないほど高まっていた。
「……んぅ、主様……おはようございますぅ」 「……ん……朝……?」
二人が同時に目を覚まし、左右から俺に抱きついてくる。 この幸福な重み。これがあるから、異世界生活はやめられない。
◇
身支度を整え(ルナが俺の顔を見るたびに赤くなってモジモジするのが可愛い)、俺たちは再びホルスタインの村へと向かった。 道をしばらく歩いていると――。
「あ、あれは……!」
フェンが声を上げた。 道端の木陰に、ピンク色の髪をした女性が力なく座り込んでいる。 俺たちは慌てて駆け寄った。
「おい、大丈夫か!?」
声をかけた俺は、彼女の姿を見て息を呑んだ。 デカイ。 座っていても分かる、フェンと同じ170センチ級の長身。 だが、何より目が釘付けになったのは、そのファッションだ。
農作業用のデニム生地の「オーバーオール」。 だが、その下にはシャツもブラジャーも着ていない。 素肌に直でオーバーオールなのだ。
横から見れば、脇腹から豊かな胸の膨らみが無防備に覗いている。 動くたびに、硬いデニム生地と柔らかい肌が擦れ、隙間からピンク色の乳輪がチラリと見え隠れする――そんな、男の想像力を極限まで掻き立てる、防御力ゼロの服装だった。
「うぅ……もう、歩けへん……」
彼女はぐったりと顔を上げた。 ピンクのショートボブに、頭には白黒の牛耳。 顔立ちは整っているが、今は顔色が悪い。
「悠乃ちゃん!? 悠乃ちゃんじゃない!」 「……あら、フェンちゃん? それにルナちゃんも……?」
どうやら顔見知りらしい。 悠乃と呼ばれた牛娘は、安堵したように息を吐いた。
「よかったぁ……。村へ助けを呼びに行こう思うてたんじゃけど、途中で倒れてしもうて……」
彼女はコテコテの田舎の方言で話した。そのギャップがまたいい。
「一体どうしたの? 村からの連絡も途絶えてたし……」 「それがのぉ……村のみんな、『謎の病』にかかってしもうて……」
悠乃は涙目で、自身の豊かな胸元を両手で押さえた。
「ミルクが……出んのよ」
「は?」
「うちら牛人族にとって、ミルクは生命力の源じゃ。それが出んようになったら、体力も魔力もガタ落ちじゃけぇ……。うちも、もうカラカラなんよ……」
ミルクが出ない。 それはつまり、このオーバーオールの隙間にある国宝級の資産が、機能不全に陥っているということか。 事態の深刻さに、フェンとルナが真剣な顔になった。
「それは大変……! 本当に一滴も出ないの?」 「うん……詰まっとるような感じで、苦しくて……」
「ちょっと見せて。私が確かめるね」
フェンが悠乃の背後に回り、ルナが前に立った。 え、ここで? 俺の前で?
「失礼するわね、悠乃ちゃん」
フェンが後ろから、オーバーオールの隙間に手を滑り込ませた。 ルナも前から、デニム生地を少しめくって手を伸ばす。
「あ、あんっ……! そこ、張ってて痛いんよ……!」 「うわ、すごい張り……。固いけど柔らかいわね」
ムギュッ。むにゅぅぅぅ。
二人がかりで、悠乃の巨大な双丘をマッサージし始めた。 オーバーオールの前当てが波打ち、横の隙間からは白く柔らかな肉がこぼれ落ちそうになっている。 フェンの白い獣の手と、ルナの小さな手が、健康的な白い肌色の果実に沈み込む。
「んくっ……! ふあぁ……ッ! だ、ダメぇ……!」 「うーん、本当に柔らかいんだけど。全く出る気配がないね」 「これじゃ出ないわね……。可哀想に」
「ちょっと吸ってみるね…」「フェンちゃん…♡今は気持ちいだけじゃけぇ…♡」「私も…ごめんね悠乃」「んん…ルナちゃんくすぐったい…♡」
眼福。 まさに眼福である。 俺は神に感謝しつつ、その物理演算の奇跡を網膜に焼き付けていた。
こんなことがあっていいのだろうが?目の前の美人な牛娘の大きいお乳を、二人の獣娘が取り合っているように見えるこの絵。
もしかしたら、前世でいい行いをした者だけが来れる世界に、俺は来てしまったのかもしれない。
涙が…止まらねぇ…
なんで俺はこれを見ていることしかできないんだ?己の無力さを感じるとともに、永遠にこの光景を見ていたいとも思った。
だが、同時に俺の中で「ある感情」がマグマのように沸き上がってきた。
ミルクが出ない、だと? こんなに素晴らしい生産プラントがありながら、稼働停止中だと? 俺の楽しみにしていた濃厚ミルクも、チーズも、バターも食えないだと?
――ふざけるな。 それは世界のバグだ。修正されるべきエラーだ。
「ふざけんなぁぁぁあぁぁぁぁぁあ!」
俺は怒りの咆哮を出し、地面をドンッ!と踏みつけた。
「え? 主様?」
俺の突然の怒気に、フェンたちが手と口を止める。 俺は悠乃の前に歩み寄り、芝居がかった動作で、恭しく片膝をついた。 まるで、姫に仕える執事のように。
「お嬢様……。その苦しみ、このカイ・ウォーカーにお任せください」
俺は悠乃の手を取り、真剣な眼差しで見つめた。
「貴女のミルクが出ないなど、この世界の損失です。私が必ずや原因を究明し、その豊かな泉を復活させてみせましょう。……さあ、私に全てを委ねて」
キリッとした顔で、俺は彼女のオーバーオールの肩紐に手をかけた。 まずは直接、触診(データ解析)をする必要があるからな。
しかし。
バチィィィィィンッ!!!
乾いた音が森に響いた。 俺の頬に、真っ赤な手形が浮かび上がる。
「な、なにしとんじゃワレェェェェ!!」
悠乃が激昂し、俺の手を振り払った。 さっきまでの弱々しさはどこへやら、方言のドスの効いた声で怒鳴りつける。
「初対面の男が、気安う触るんじゃねぇわ! うちはこう見えても身持ちは固いんじゃ! 変態かオドレは!」
「えっ、いや、治療を……」 「治療じゃったら、触らんでもできるじゃろがい! このスケベ!」
悠乃はオーバーオールの胸元を両腕でガードし、軽蔑の眼差しで俺を睨みつけた。 フェンとルナも、「あーあ……」という顔で遠巻きに見ている。
「ぬ、主様……。いきなり脱がそうとするのは、さすがに……」 「カイ、あんたやっぱり最低ね」
どうやら俺の管理者としての使命感(と性欲)は、牛娘には伝わらなかったらしい。 頬の痛みをさすりながら、俺は前途多難なクエストの始まりを予感していた。
(続く)
おまけ
なんとなく悠乃が一番人気っぽそう




