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新米士官の秘密  作者: HAL
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08 仙人士官

 先任士官:通称「仙人センニン」 マーク・ジョンソン

 粗野で口が悪い

 モサで、髭も伸び放題

 軍規は守るが態度は悪い

 上級試験が苦手で、昇進も止まったまま

 だが戦争経験が深く、宇宙の本当の怖さを知り尽くしている

 若手からは密かに尊敬され、“仙人”と呼ばれている

 (本当はバカにする意味もあったが、今では畏敬の呼び名)


 彼の部屋には、古びたロッカーの上に 10数枚の隊員証(KIA=戦死者タグ) が並んでいる。

 それぞれ、彼が指揮官として死地へ送る命令を出した部下たちのもの。

 毎朝、彼はそのタグに向かい、小声で祈る。

「今日も頼むぞ。

 ……俺が代わりに行く。お前らはゆっくり寝てろ。」

 この行動を知っている者はほとんどいない。

 知っているのは艦長と軍医だけだ。


 実は、彼は本来、失踪したあの船に、仲間と弟と共に乗るはずだった。

 しかし前日に、思わぬ事件が起きる。

 任務前日の夜。

 先任(当時、下士官)と弟、その仲間たちは

「前祝いだ!」

 と、酒場へ行った。


 そこで、酔った一般客が絡んできた。

「よう、お前ら兵隊はいいよなぁ。

 三食昼寝付き、バカでも務まる仕事だろ?

 地図作るだけ? あははっ、笑わせる。

 そんなんで高給取りかよ。」

 弟は真面目で誇り高い青年だった。

 その言葉に、感情を抑えきれなかった。

 弟「……お前にはわからんよ。バカだからな」

 先任「よせ、絡むな」

 客「なんだとガキがぁ!」

 次の瞬間、弟が殴られた。

 酒場は一気に乱闘状態になり、先任は弟を庇い、相手を圧倒した。


 結果、彼は責任を取って拘留(兵舎の豚箱)行きになり、

 翌朝の出航に ただ一人、乗れなかった。

 そして、弟も仲間も乗った船はそのまま 行方不明 となった。

 生死不明。

 記録上は「MIA(消息不明)」。


 先任は、自分が乗れなかった理由が

「弟を庇ったこと」

「喧嘩に巻き込まれたこと」

 である事を一生抱え続ける事になった。


 彼はそれ以来、部下の命に対して極端にセンシティブになった。

 無茶な命令は絶対に出さない

 新人にはやたら厳しい

 だが裏で必ずフォローする

 命を軽く扱う輩には喧嘩腰になる

 そして毎朝、タグに祈り続ける

 周囲はそれを知らないので、ただの怖い先輩だと思っている。


 だが、シンヤはある日、偶然この祈りを目撃する。

 そこで初めて、彼の本当の顔を知ることになる。


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