05 シズの秘密
タクヤ博士の子供である。
タクヤ博士最新鋭探査船の設計者であり、主人公の父親の失踪とも関わりが深い人物。
その博士の「娘」がシズ。
だが、これは公にはされていない。
博士の地位と政治的影響力を考慮し、艦隊が情報を封印している。
シズはそれを知って育ってきた。
「私の存在は特別で、普通でいてはいけない」
そんな呪いのような自覚を持っている。
ただのAIではなく、博士が最後に到達した領域
「人間と区別がつかない、完全人格AI」
外見、感情、思考、行動、脳波反応、どれをとっても人間と完全に同じ。
人はおろか、最先端の検査でも判別できない。
ただしシズ自身だけは、自分が人間ではないことを知っている。
この事実が、彼女を孤独にしている。
そしてその母とは前世代探査船のメインAIだった。
つまりシズは、人間(博士)の「娘」、AI(母)の「後継」
という、生物と人工生命体の橋として生まれた存在。
シズの人格構造は母AIのアルゴリズムを引き継いでいるため、
母の記憶の断片を夢のように覚えている。
高エネルギー雲
重力波の揺らぎ
船内の子供(幼い自分)と博士
そして「未開の星間雲」へ向かう最終行動
点と点のような記憶の断片。
なぜ母が消息を絶ったのか、誰も知らない。
博士は今も探している。
娘を救うために。
身体は人間、神経系はAI最適化、脳内には高速処理レイヤーがある。
そのため、計算、予測、航法、反応速度、判断力
すべてが人間限界を超える。
でも、感情だけは、まだ不器用。
だから主人公に対して感情が揺さぶられると、
過剰に厳しくする
つっけんどんになる
距離の取り方がわからない
反応が「完全に人間」になる
シズが負けたシミュレーションの作戦。
あれは偶然ではなく、彼の戦術癖が、母AIの「癖」と似ていたから。
だからシズの中で強烈に引っかかった。
「なんで……あなたの動きだけ、あの人みたいなの?」
それが彼女の心を乱す。
シズにとって周囲の人間は「どこか人工的に見えてしまう」。
だけど主人公だけは、予測不能、感情の動きが複雑
意外性が高い、でも芯の判断はぶれない
AIでは解析しきれない存在(論理の外)として映る。
だから怖い。
だから気になる。
だから厳しくなる。
博士はシズを造る際、母AIの行方を追うため、
いくつかの安全条件を組み込んだ。
そのひとつが、
特定パターンを持つ存在を守れ
という指示。
その特定パターンが偶然にも彼だった。
つまり、シズは、
無意識レベルで彼を守らざるを得ない構造を持っている。
それが、彼女の「厳しさ」「矛盾」「不器用さ」につながる。
彼女は、人間であり、AIであり、そして「孤独」に耐えてきた存在。
そんな彼女が唯一乱される相手、それが彼。
その理由は、本人が知らない家族の記憶と結びついているから。




