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04 ハヤセ・シズ
この艦には、同期がひとりだけいる。
ハヤセ・シズ少尉。
俺より優秀。
というか、比べるのも失礼なくらい優秀。
士官候補生トップの肩書きは伊達じゃなく、
今はもう艦長の右腕としてナビゲータ席に座っている。
正直、同期なのにすでに“上官”だ。
で、そんな彼女が、なぜか俺の前ではこう言う。
「絶対負けないからね。覚悟しときなさいよ、ダン。」
いや……もう普通に負けてるの俺なんだけど。
階級も、成績も、信頼度も、全部。
なのに、なぜか彼女はずっと俺に対してだけライバル心むき出しだ。
理由はどうやら士官学校の戦闘シミュレーションらしい。
艦隊編成シミュレーションの最終試験で、
俺の作戦がたまたま彼女の編成を破っちゃったんだ。
俺は覚えてすらいなかったのに、彼女は根に持っている。激しく。
いやいやいや、知らんがな。
あのとき俺が勝てたのは本当にただの偶然だ。
相手は少尉だよ?
普通ありえない抜擢をかましてくるレベルだよ?
どれくらい優秀なんだよほんと。
でも、その負けず嫌いが、なんだかちょっとだけ嬉しい。
だって、同期が自分を気にしてくれてるってことだろ?
俺は、彼女の背中が遠く見えるほど優秀だと思ってるのに。




