辞世の句
※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。
時は戦国。桶狭間の地で、今まさに今川義元の命運は尽きようとしていた。
「今川義元殿、御覚悟ぉ!!」
「くっ、最早これまでかっ」
「殿ぉっっっっ!!」
『ちょっと待ったあ!!!!』
「「「「!!!」」」」
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「どうも。わたくしたち、辞世の句保存会の者です」
「はあ…辞世の句保存会…?」
「今川さん、貴方、辞世の句きちんと用意してますか?」
「イエ、、、マダデスケド」汗
「はぁっ!?まだ詠んでないんですか!?もう死ぬのに?」
「いやまあ、ここで負けるとは、思ってなかった、ですし…」モゴモゴ
「その慢心が、今のこの状況を、招いたんじゃ、な、い、で、す、かっ!?」
「まあそうですけど……」イラッ
「とにかく!なら今すぐここて詠んでください辞世の句!」
「えっ!?今ここでですか?」
「今詠まないでいつ詠むんですか!?あと死ぬだけなんですよ!自覚ありますか?」
「まあそうですけど…」ショボン
「はい、わかったらさっさと詠む。
待っていただいてる織田さんにも迷惑です!」
「あっはい。」
-------------半刻後
「口惜しや ああ口惜しや 口惜しや」
「……舐めてんですか?
貴方、戦国きっての文化人気取ってましたよね?」
「いやね、そう簡単には出てこなくてね」
「前々から用意してないからこうなるんです、自業自得です。はいやり直し」
「えぇ〜…」
「わたしは良いんですよ、ええ。
でもそれ、未来永劫残りますからね?
良いんですか?『自称文化人(笑)今川義元の辞世の句が酷い件』とか後世の人に馬鹿にされても」
「それは嫌だなぁ…」
「じゃあさっさと詠んでください。海道一の文化人に相応しい句を」
「…」イラッ
-------------さらに半刻後
「夏山の 茂みふきわけ もる月は 風のひまこそ 曇りなりけれ」
「…驚きました。この短時間でここまで仕上げてくるとは。
流石です」
「ありがとうございます」
「それではわたしたちはこれで失礼します。
みなさーん、おまたせしましたー、死合再開して結構でーす。
ああ、それと、そこの茂みにいる信長さーん。貴方です貴方。
貴方も早めに辞世の句用意して下さいねー。貴方みたいな人、身内に裏切られていつ逝ってもおかしくないですからねー。」
「あ、はい」
こうして、今川義元は無事辞世の句を残し、彼岸へ旅立ったのであった。
「言いましたよね!?私言いましたよね!?さっさと用意しなさいって!
なんで詠んでないんですか!!熱いんですけどっ!(怒髪天)」本能寺ボゥボゥ
「いやどうもホントにすみません」アツモリ−
おしまい




