表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才マニピュレーターの逆転殺  作者: アトラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/4

幻影会

 「この俺様が死んだと思ったら大間違いだぜぇ」


 聞き覚えある声が響くと同時に、狼の群れはありとあらゆる方向から一斉に襲いかかってくる。


 刹那――俺は即座にメアリアの肩に触れ、彼女を鋭い剣に作り替えた。


 彼女を剣に作り替える瞬間、メアリアの口から「おい、まて」という言葉が微かに聞こえた気がするが、気にせず狼を仕留めていく。


 咄嗟に作り上げた剣なのに、良く手に馴染むのは、俺の想像力が的確に反映されているからだろう。


 やはり、この能力は俺と相性が良いのかもしれない。


 「貴様、中々やるじゃないか。名はなんと言う」


 「……リヴ・シャンデリア」


 「そうか。俺様の名はバルガ――幻影会(レムナント)の第六位だ。よく覚えておけ」


 幻影会(レムナント)……。


 この世界に来てから、初めて耳にする単語だ。


 一応、頭の片隅に入れておくとしよう。


 「リヴ! 私を元の姿に戻せ!」


 全ての狼を排除した瞬間、突如として、剣からメアリアの怒号が響き渡る。


 「あれ、その状態でも喋れたんだ」


 こんな俺でも、人の心は多少持ち合わせている。


 故に、俺は剣を地面に突き刺し、人間の姿に戻してあげた。


 「だまれ、酔っていただけだ。次やったら、絶対に殺すからな」


 「分かったよ。次から宣告するって」


 「誰が宣告したら良いって言った!」


 「せっかくなら色々試したいんだよ。逆転するには、まず自分の武器を理解する事から始めないと」


 「だったら、そこら辺に落ちてる石にしてくれ。私を物として扱うな」


 「お前を守りながら戦うのは、思考する事が増えてめんどくさい。けど、お前を武器にすれば何も考えずとも、戦いながら守れる。そういう事だ」


 「……普通に言い訳にしか聞こえないが?」


 メアリアの厳しい口調からして、意地でも納得はしないという意思がひしひしと伝わってくるが、そんな事はどうでも良い。


 今は、アイツを倒す方法を考えないとな。


 「何をごちゃごちゃと話しているのか知らんが、この俺様に時間を与えると言うことは、相当舐められているようだな……」


 実際、俺はバルガを舐めてはいない。むしろ、舐めてはいけない相手だと思っている。


 メアリアミサイルが直撃した事で、腹部に致命傷を負っていたいたはずだが、傷が綺麗さっぱり消滅しているのを鑑みるに、再生したと考えるべきだろう。


 今のところ、狼を召喚するだけのBOTとはいえ、一瞬の油断が死に直結するのは、あのドッジボールで経験済み。


 故に、慎重に立ち回る必要がある。


 とりあえず、相手の出方を伺いながら探ってみるとするか。


 「メアリア、お前はそこで見てろ」


 俺はそう言って、近くの小石を広いメアリアに投げる。


 すると、メアリアを中心として、透明なドーム型のバリアが展開された。


 これで、目の前の敵に集中出来るはずだ。


 「やれ、影狼達よ!」


 バルガの合図と共に召喚された狼は、飢えた牙を見せつけながら、一斉に襲いかかってくる。


 「まあ、無視で良いか……」


 俺は自身に空中浮遊の想像を吹き込み、当たり前のように宙を舞う。


 最初は、延々と上昇し続ける風船でしか無かったが、いつの間にか自由に移動出来るようになっていた。


 この力は脳内で複数の想像を浮かべれば、一つだけでなく、複数の能力を同時に発動できる。


 宙に浮かぶ想像とそこに移動したいという想像が組み合わさっているからこそ、自由に移動出来るのだろう。


 全ての狼のヘイトは俺に向いている。地上にいるメアリアは眼中に無いようだ。


 「とりあえず、試しまくるか」


 俺の想像が的確に反映され無ければ、この勝負は負ける。


 一度成功した想像は自分の物にできるからこそ、バルガに近接戦闘を挑むのはまだ早い。


 まずは、レパートリーを増やすところからだ。


 「小石電磁砲」


 俺は地上から持ってきた小石を一枚、指の上に置き、バルガに目掛けて弾く。


 すると、電気を纏う小石は、自分でも目に追えないほどの凄まじい速度でバルガの心臓を貫いた。


 しかし……。


 「そう簡単には死なないよな」


 明らかに血は噴きでて出ているが、傷はすぐに修復している。


 心臓を貫いても死なないとは困ったものだ。


 「ふはははははは! 俺様は不死身だ!」


 まだまだ試したい気持ちもあるが、このまま上から攻撃し続けても、埒が明かない。


 不死身を自称しているが、何かしらの弱点は必ず存在するはずだ。


 仕方ない、正々堂々戦って……。


 「ッ……なっ!」


 突如として、俺の全身引っ掻き回されたような痛みが走る。


 俺は下の様子を見て、すぐに理解した。


 地上にいる狼が俺の人影を喰っているのだ。


 「地上からは何も出来ないと思っていたようだが、それは間違いだ。一度敢えて殺られる事で、油断を誘い、二度目で刺す。それが俺様のやり方なんだよ」


 俺はゆらゆらと揺れながら、地上に落ちる。


 全身血まみれだ。


 想像が出来ない。全身から血が抜けているからだろうか。


 「俺の勝ちだな小僧。お前を殺したらあの小娘も殺してやる」


 「ふっ……」


 「あぁん? 何笑ってやがる!」


 「やれ」


 「……な!?」


 刹那――バルガの背後から強い光が包み込む。


 「うぉぁあああああああああああ!」


 光が消えると、バルガは既に血を流して死んでいた。


 「まさか、そういう使い方が出来るとはな」


 メアリアが険しい表情で俺に触れると、傷がみるみると回復していく。


 「お前なら分かってくれると思ってたよ」


 電磁砲でバルガの心臓を撃ち抜く前、俺はメアリアのドーム型バリアに細工をしておいた。


 相手視点ではただのバリアにしか見えないが、メアリア視点では、監視カメラのような映像が見えているというものだ。


 その映像は電磁砲の小石と同期されており、心臓を貫いた直後、バルガの体の構造がメアリアに伝わった。


 バルガの体は、実体と影で出来ている……と。


 要するに、サンドイッチみたいなものだ。


 影と影の間に実体があり、実体に傷が出来れば、影が実体へ肩代わりする。


 すなわち、光で影を消しさればただの人間に変わりはない。


 メアリアは透明化でバルガの背後に近づき、光を放った後、剣で残った実体をズタズタにしたのだろう。


 万が一のために、シールド要因の小石に想像の源をほんの少しだけ流しておいた甲斐があったようだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ