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第三話 エルフの里

俺たち4人はラミアさんに連れられて、エルフの里の入り口に立っていた。

道中、俺たちは自己紹介をし、すっかり警戒心を解いたラミアさんと仲良くなっていた。

入り口には集落の名前らしきものが書かれていた。

なんと俺たちはこの世界の文字が読めるようになっていた。

(すでに現地のエルフと話せたので今更だが。)

集落の名前は、「はじまりの里」。

…。

なんかゲームとかで主人公が最初に立ち寄る村の名前みたいだなと思ったのは、俺だけじゃないはずだ。


ちなみに後から由来を知ったのだが、エルフという種族が始まったのがこの地域なのだそうで、エルフはじまりの地、ということで「はじまりの里」出そうだ。


ラミアさんは入り口の前に立っている門番らしき赤い髪のエルフの男性に向かって、事情を説明してくれているようだった。

少しして、ラミアさんが俺たちに近づいてきて、

「事情を話した。一度里長に挨拶をしにいこう。」

と言った。

「わかりました。」

俺たちはラミアさんについて行き、集落から少し離れた木でできた2階建ての大きな家に着いた。

家の横にはきちんと整列された畑があり、その周りには様々な色の光が飛んでいた。

よくよくみると小さな少女に蝶のような羽が生えた妖精だった。

すると1人の青い羽の妖精がこちらに近づいてきた。

妖精は青い長い髪に、白い布のワンピースを纏っている。

妖精は俺の目の前にきて、くるりと回転して青く光る粉を俺に被せてきた。

「ほう。あのスグハが…。」

ポツリとラミアさんがつぶやた。

「え?」

俺が聞くと、目の前の妖精が俺にニッコリと微笑んだ。

すると俺の頭の中に妖精ースグハの声が響いた。

「待ってたわ、なおほび。」

「なおほびってなんなの?」

俺が聞くと、スグハが答えた。

「んー、世界を救う存在?的な?」

適当だな、おい。

そうこう言っている間に、家の前に着いた。

ラミアさんがドアをノックした。

スグハは俺の右肩にちょこんと座っている。

ライトがスグハに手を伸ばすが、ベシッと痛そうな音と共に、ライトが膝から崩れ落ちた。

「おいおい、大丈夫かよ。」

俺がライトを助け起こすと、ドアが開いた。

そこには、白髪で真っ白な長い髭を蓄えたエルフのおじいさんが立っていた。

「おや。ラミアじゃないか。む、後ろの人間たちは?」

おじいさんは青色の宝石が柄にはまった剣を杖のようにして、立っていた。

「長老、彼らはたった今スグハと契約した同族のナオヤを助けてくださった方々だ。」

ラミアさんは長老に俺が即急に作った設定を話した。

「なるほどのう。まあ、お前さんたち、うちへ上がれ。」

長老が俺たちを家の中へと促した。

俺たちは長老について行った。


家の中は非常に綺麗に片付けられていて、ホコリひとつなかった。

案内されたのは客室のようで、紺色のソファーが向かい合わせに、テーブルを挟んでおいてあった。

「座れ。ラミアはわしの隣に。」

俺たちがソファーに腰掛けると、どこからともなく、真っ白な翼を持った金髪の女性がお盆を持って現れた。

「ありがとう、ハナビ。」

長老がハナビと呼んだ女性は、俺たちの前に紅茶の入ったカップを置いた。

「失礼します。」

ハナビさんはそう言って、また音もなく消えた。

「さて、ナオヤとやら、お主、なおほびの称号持ちであるな?」

急に話題を振られ、俺はしどろもどろになりながらも、答えた。

「は、はい。持っています。」

「そりゃ、あたしと契約したエルフですから!」

俺の右肩に座っているスグハがなぜか自慢げに言った。

「なるほどのう。では、女神様、セントウォム様から話は聞いているかの?」

「?いや、聞いてませんが。」

俺がすかさず言った。

「…ふむ?おかしいのう。なおほびはこの世界でも重要な役割の一つであるというのに。女神様からなんの説明もないとは。」

長老はため息をついて言った。

「おそらくであるが、お主はこの世界の崩壊を防ぐためにこの地に生まれたのじゃよ。」

「世界の崩壊?」

ススムが言った。

「左様。この世界は今、5つの世界石によって均衡が保たれておる。じゃが、その石が突然、姿を消してしまったのじゃ。その石がひとつでも欠けたのなら、新たな石を生成する必要があるのじゃが、5つ揃っているのかいないのか、それすらわかっていない状態なのじゃ。」

長老は重々しく言った。

「俺たちは、その世界石を探して集めればいいんですね。」

「そうじゃ。なおほびの称号を持つお主は言わずとも、なおほびの仲間のお主たちにも同じような使命が課せられているのだろう。」

長老が言ってから、俺はすかさず言った。

「それが俺の称号の使命だというのなら、俺はそれを遂行するだけです。」

「しかし、ナオヤがなぜなおほびの称号を授かったのかわからないのなら、先にそちらをはっきりさせておく必要がありますね。」

ツバサが言った。

「そうだな。何か詳しくわかれば、それに沿ってボクたちは行動するのだが。」

ライトが言った。

「何か、女神様に確認する方法があればいいんですが。」

ススムが頷いて言った。

「そうじゃな、最近この世界の創造神である女神様を邪神とし、真の創造神アザトースを崇拝する者たちによって、女神様の神殿が秘密裏に占拠されているという、カチーナの情報もある。女神様と対話が可能な神殿を探すには時間がかかるであろう。そこでじゃ、しばらくお主らはこの村にいて、もしも強力な邪悪な者と戦うことになっても対処できるよう、訓練を積むのはどうじゃ?」

長老は俺たちの顔を見渡しながら言った。

俺たちは今は異世界に来て、なんの当てもないため、お言葉に甘えることにした。

旅をするにも、拠点は必要だろうしな。

俺たちが長老にそう言ったっことを伝えると、長老は満足そうに頷いて言った。

「では、お主らに家を与えよう。ハナビ。」

長老がそういうと、先ほど紅茶を運んでくれたハナビさんが現れた。

「お呼びでしょうか。」

「ああ、この4人にこの村の近くにあった家を渡したいのだ。儂はそこまで歩くことができないから、案内を頼みたいと思っての。」

「わかりました。」

「そうじゃ、紹介がずいぶん遅れてしまったの。この子は儂と契約している翼のカチーナ、ハナビだ。」

「よろしくお願いします。」

ハナビさんが深々とお辞儀をした。

俺たちも、よろしくお願いします、と言ってお辞儀をした。

「では行きましょう。」

ハナビさんは早速俺たちを玄関へと促した。

俺たちはお辞儀をして部屋を後にした。

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