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第十七話 オークの巣

「どうしてですか?」

俺が尋ねると、チャドさんは目を伏せて言った。

「…巣にはオークロードがいる可能性が高い。」

「オークロードは強いから危険ってことですか?」

「いや、そうじゃない。」

テリーが説明してくれた。

「オークロードは確かにオーク種の中では最強だが、今回撤退させることが無理だと言うのは、オークは俺たちの使っている言語じゃなく、独自の言語を使ってるから、意思疎通が不可能なんだ。」

「ああ、なるほど。」

ツバサが頷いた。

「でもじゃあ、どうするんですか?」

「牽制して、こちらに来ないようにするか、最悪の場合、力づくで追い返すしかないだろうなあ。」

ランガスさんが難儀そうに腕を組んで言った。

「…そろそろ日も沈んで来るだろう、自警団の拠点で話そう。…実は君たちにも話を聞いておいて欲しいんだ。」


自警団の拠点は訓練場の隣にある、ミレイさんの食堂だった。

ほとんど客も来ないので、自警団の会議室として貸しているらしい。

既にラミアさんとエルサさんも席についていた。

エルサさんはライトの姿を見るや否や、ライトに飛びついて、ライトを自分の隣の席に座らせた。

俺たちもそれぞれ席に座って、話を聞いた。

「それで、オークの群れについてだが…。」

ラミアさんが切り出した。

「まとめると、ここから南西にある森で大規模なオークの集団が北東、つまりこの村の方角に向かって移動しているのが確認された。その数は約100匹。」

「100?」

商人ギルドで聞いた数より少ないぞ?

「…あくまで移動している数だ。…巣があるのならもっといるだろう。」

「オークの武装はどうなっていた?」

ラミアさんがランガスさんに聞いた。

「金属でできた鋭い大剣とおそらく長槍、を持っていたぞ。そしてそれぞれ、食料を入れているらしき皮の袋を携えていた。」

「なんだと?オークが武器と皮の袋だと?」

ラミアさんがガタッと椅子から立ち上がって言った。

「ん?なんかおかしいんですか?」

ライトが聞いた。

「オークは手先が不器用だから武器とか防具といったものは作れないのよ。」

スグハが説明した。

「ええ!?つまり…どういうこと?」

ミレイさんが大袈裟に驚いて声を上げた。

「…おそらくだが…、人間種、もしくはホビットが囚われていて、彼らに無理やり作らせているのかも知れないと言うことだ。」

「そんな…!」

テリーが絶句する。

「助け出さないと!」

ミレイさんが言った。

「それは賛成だが、どうやって行く?オークの巣の場所はまだ特定できていない。」

ランガスさんが腕を組んで唸った。

「今日ベルナの町の商人ギルドで聞きました。ベルナ鉱山の麓で発見されたと。」

俺が言うと、ラミアさんが「なら話は早い。」と言って立ち上がった。

「一度、オークたちに向けて魔法弾を放ち、こちらに来ないように牽制する。それでも進行を続ける様であれば、剣と魔法を持って進行を止める。異論はないか?」

力強くラミアさんが言い、それに反対する声はなかった。


ちなみに魔法弾とは魔力を固めて着弾と共に破裂させるというもので、呪文詠唱の必要がない、唯一の魔法だとも言われている。


「では、明日、早速準備を進める。」

「あ、あのぉー…。」

ツバサが手を上げながら言った。

「どうした?ツバサ?」

「僕とススム君は、明日から錬金術屋と鍛冶屋で働かないといけないんですが…。」

ススムがコクコクと頷いた。

「そうか、二人はベルナで働くことにしたんだな。二人はこの作戦から抜けてもらって構わないぞ。他にあるか?」

ツバサとススムはほっとして肩を落とした。

「それでは、今日はこれにて解散する。が…ここで夕食をとってから解散にしよう。」

ラミアさんの提案に俺たちは賛成し、また自警団のみんなと食堂で団欒をとることになった。


家に帰ってから、ツバサとススム以外のオークの牽制に参加できるメンバーでリビングに集まっていた。

「ナオは明日は一回商人ギルドに行かないとだよな?」

ライトが切り出した。

「そうだな。牽制の前には取りに行っておきたいね。」

「牽制って、魔法弾で行うんだよな?」

「ええ、そうよ、ライト。」

エルサさんが頷いた。

「俺とナオは魔法弾のやり方を知らないんだが…。」

「大丈夫よ。今から教えてあげる。」

スグハが俺の耳をぐいぐい引っ張りながら言った。

ちょっと痛い。


庭に出て、俺とライトはスグハとエルサさんに魔法弾を教えてもらうことになった。

「それじゃあ、まずは魔力を固めるところからやっていましょ。」

スグハは人化してお手本、と言って両手を向かい合わせにして構えた。

するとスグハの体内に流れていた水色の魔力が両腕を伝って、向かい合わせになっている手のひらの間に集まって薄い青色の光の粒子となった。

そしておにぎりを握る様にして手を動かしてそれを固めると、握り拳くらいの光の塊となった。

俺たちも早速真似してみる。

俺は両手を向かい合わせにして、体内にある魔力を両腕を通して手のひらに送る。

青い光が俺の粒子が両手に集まってきた。

視界の端の魔力ゲージが少し減った。


そういえば、魔力のゲージの色が紫色からいつの間にか青色に変わっていた。

魔力のゲージはその人の得意属性を表していると言われていて、青系統は水や氷、紫は不明だと言われている。


俺は集まった魔力をまとめる。

そして固めて魔力の塊にしてみた。

「おー!さすがナオ。」

「何回も魔法の練習したから魔力操作に慣れたんだと思うよ。」

一方、ライトの方は魔力を手のひらに送ると言うことがわからず、苦戦していた。

「うーん…、これ、どうやってやるんだ?」

「じゃあ、魔力を血液としてイメージしてみて。」

エルサさんがアドバイスする。

「心臓から血液が腕に流れることをイメージするの。」

「なるほど?」

ライトが言われた通りに実践した。

すると、ライトの体の中心にライトの魔力が紫色の光となって出現したかと思うと、手のひらまに近づくにつれてだんだんと緑色の魔力へと変化した。

「二回目で魔力操作を成功させるとは!」

俺はライトの魔法のセンスに驚いた。

俺はこの前何回も魔導書を読んで魔力操作を成功させたとゆーのに。

「それじゃあ、次はこの魔力の塊を地面にぶつけて炸裂させてみよう。」

スグハが再度魔力の塊を練った。

そして、それを地面に向けて放った。

そして地面に触れた瞬間、爆風を巻き起こし、水色の光を放ちながら炸裂した。

着弾点にはちょっとした凹みができていた。

威力はそこまでではないようだが、牽制には向いているかもしれない。

俺もスグハの真似をして、さっき作った魔力の塊を地面にぶつけてみる。

すると、なんの指示も出していないのに、魔力の塊は青い光を放ちながら破裂した。

地面に凹みはできなかったものの、魔力弾の発動に成功することができた。

ライトも同じように魔力の塊を地面に投げる。

「おらっ!」

勢いよく地面に着弾したかと思うと、どぱっと音がして緑色の魔力が液体のように溢れ出した。

しかしすぐに大気中に離散した。

「あちゃー。魔力を固めすぎたみたいねえ。」

スグハが分析する。

「魔力は柔らかく固めるだけでいいだよ。一回の着弾で魔力を気体にしなくちゃだから。」

エルサさんがライトに丁寧に説明した。

「なるほど?」

もう一度ライトは魔力を固め、地面に投げる。

今度は眩い光を放ちながら、緑色の魔力が炸裂した。

「おお!できたぞっ!」

ライトは初めての魔法の成功に大喜びした。

「このやり方を忘れないようにね。」

スグハは俺たちに寝るように促しながら言った。

「明日の朝にはもう南の森に向けて出発しますので、今日はもう休みましょう。」

エルサさんもそう言って俺たちを部屋へ促した。

「そーいや、ライト。」

俺は今日の朝の会話を思い出した。

「あん?」

「風呂どーする?入る?今度にする?」

「あー…俺朝起きんの遅いし、もう寝るわ。」

「じゃああたしが浄化魔法(サザン)かけてあげる。」

スグハはそう言って、俺たちに向かって呪文を唱え始めた。

浄化魔法(サザン)

すると、魔力の粒子が俺たちの体を覆って服についていた土埃まで綺麗に消えた。

「おお!便利だな!」

異世界ものだとありがちだよね。

魔法を一発唱えるだけで体が綺麗になる魔法。


その後、俺たちは部屋に戻ってベッドに倒れ込むようにして眠りについた。

スグハも俺の隣で寝息を立て始めた。

今日はいろんな人と会話をして、少し疲れたな。

オークの巣に、女神様のこと、ヴァルキリアのこと…。

やりたいことがいっぱいだな…。

そんなことを考えて眠ったからか、俺はまた妙な夢をみた。

今回は少し短かったですね。

次回はもっと頑張ります。

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