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第十一話 新知識

夕暮れ時。

夕方の時刻を知らせる鐘が鳴る前に俺たちはすでに、噴水のある広場に集合していた。

この世界にも時間という概念はあるし、時計もあるのだが、時計は結構高価なものなので、持っているのは貴族くらいらしい。

うちには古めかしい振り子時計があるのだが、前の持ち主は相当お金持ちだったのだろう。


「なるほど、ナオの奴隷仲間だったのか!」

ツバサと武器屋を見に行っていたランガスさんが言った。

「よろしくな。」

ラミアさんが四人とそれぞれ握手を交わした。

「それで、なんで4人は路地裏なんかで何をしていたんだ?」

ライトが言った。

猿耳族の2人はスキル魔法持ちの冒険者に酷く痛ぶられていたようで、ボロボロな見た目になっていた。

「俺たちは主人の旦那様から休暇をもらったんで、忙しくてゆっくり観光できなかったこの町を見て回ることにしたんだ。」

タイチが答える。

「僕たちはこの町のことをよく知らないし、休暇は一日だけだから、ギルドに行って何かいい場所はないか情報を集めに行ったんだ。そこでちょうど居合わせたあの男たちに絡まれたんだよ。ホビットだー、兎耳族だーって言って。」

コウセイが言った。

「それであの路地に連れて行かれてフルボッコさ。あいつらこの2人を執拗に攻撃してきたんだ。」

ユウトがスグハに治してもらった右腕をさすりながら言った。

「多分、さっきの彼らは人種分断主義者ね。」

スグハが顎に手を当てながら言った。

「人種分断主義?」

ライトが頭を傾げた。

「猿耳族を人間とし、それ以外の人類を亜人とする。ずっと前にできた思想よ。そしてそこではどんな種族よりも人間が一番優れている種族である、とされているわ。」

「なんて思想だ。」

コウセイが言った。

「宿で働いているときにそういう客はいなかったのか?」

ラミアさんが尋ねる。

「僕とタイチは接客はしませんでしたから。」

ユウトが言うと、誰かがこちらに近づいてきた。

「おおい。」

ガタイのいい男がこちらに向かって呼びかけた。

「あ、旦那様だ。俺たちはそろそろ戻らないとだ。」

「またどこか時間があるときに会おう。」

そう言って、4人は馬宿の主人のところへ行ってしまった。

主人は4人に何かを言って優しく微笑みながら、4人と一緒に、きた道を戻って行った。


俺たちがベルナの町から村へ戻ろうと、門へ行くとテリーが馬を2頭連れて立っていた。

「テリー!どうしたの?」

ミレイさんが言った。

「ああ、ナオヤに馬の乗り方を教えるためにな。」

「ああ、決闘の!」

俺は馬のことをすっかり忘れていた。

「開けた場所で練習するぞ。」

俺とスグハはテリーと一緒に乗馬の練習に行くことになった。

他のみんなは奴隷狩りの連中の報酬を長老たちに確認してもらうために、先に村へ戻った。


「それじゃあ、今から俺が手本を見せるから、よく見てろ。」

「はい。」

テリーはテリーの馬につけていた馬具を全て取り外して俺の前に浮かせた。

馬具が汚れないように浮遊魔法レビテーションを使っているらしい。

テリーの馬は黒茶色の物静かな馬だ。

テリーが頭を撫でると気持ちよさそうにいなないた。

まず轡をかませ、頭と顎に長い紐のようなものを巻いた。

おもがいと言うらしい。

次に馬の背中に厚手の布を敷いて、鞍を乗せる。

お腹にまたもや紐を巻いて、馬の前で締め具合を調節する。

「これで終わりだ。」

テリーはまじまじと観察する俺とスグハを振り向いて言った。

「早速やってみろ。こっちの馬はナオヤの馬だ。」

俺はテリーに渡された馬具を『スキル・人化』で俺と同じくらいのサイズになってもらい、馬具をつける間、持ってもらった。

俺の馬は毛並みの整った美しい白銀の立髪にやや黒の強いグレーの胴体をしていた。

まんまるなつぶらな瞳が俺を静かに見据えていた。

俺は「よろしくな。」と呟いてゆっくりとした動作で轡を噛ませた。

次におもがいを馬の表情を伺いながら装着した。

次に背中に厚手の布を敷いて、鞍を乗せた。

馬の背中は俺の俺の首よりも少し高い位置にあるため、少々鞍を乗せるのに手間取ってしまった。

最後にお腹に紐を巻いて、馬の胸あたりで締め具を締めた。

俺が全ての馬具をつけ終わったのを見計らって、テリーが言った。

「よし、上出来だ。だが鞍の締め具はもっときつめでいいからな。」

テリーはそう言って鞍の締め具をギュッと締めた。

「ありがとう。」

テリーは少し寂しそうに笑った後、自分の馬に跨って言った。

「よし、一度乗ってみろ。」

「はい。」

俺は早速鞍に手をかけて馬に飛び乗った。

俺の体はすとんと鞍に収まり、馬は落ち着いて俺を振り返った。

「上出来だ。初めは馬が嫌がって振り落とされることも多いんだが。よし、次は手綱を握って、馬を走らせてみろ。」

スグハが人化を解いて俺の肩に乗った。

俺は手綱を握った。

「馬の腹を軽く蹴るんだ。」

俺はそっと馬の腹を蹴った。

しかし弱すぎたらしく、馬は一歩も動かない。

俺は先よりも少し強く蹴った。

馬はゆっくりと歩き出した。

「いいぞ。そしたら、このまま村まで戻るぞ。」

「ええ?」

「大丈夫だ。道案内は俺がやる。」

テリーが俺たちの前に出てきて前を歩き出した。

道は馬が歩けるくらいには舗装されているらしく、馬はスムーズに歩いていた。

「そうだ、馬の名前は何にするんだ?」

テリーが振り返って言った。

「名前か…。」

いくつか候補は思い浮かんだが、俺は重要なことに気がついた。

「そういえば、この馬は雄雌どっちなんだ?」

「そいつは…雌だな。」

スグハは馬の顔の周りを飛んでいた。

馬は歩きにくくて迷惑なんじゃないかと思ったが、馬も嬉しそうにスグハの姿を目で追いかけていた。

すると、もうすっかり暗くなった木々の間から、冷たい鋭い風が吹いた。

「レイ…。レイなんてどうだ?」

俺が言うと、馬はやや不機嫌そうに頭を振った。

どうやら気に入らなかったようだ。

「じゃあ、ハルヒ、とかどうだ?」

春の日。

俺たちがこの世界に転移する前、元の世界では少しずつ暖かくなってきた3月下旬だった。

まだ春というには寒かったが、ふと思いついたのだ。

馬ーハルヒは今度は嬉しそうにいなないた。

気に入ったらしい。

「ハルヒか。良い名前じゃないか。」

「そういや、テリーのその馬はなんていうんだ?」

俺が聞くと、テリーはよくぞ聞いてくれました、というように振り向いて言った。

「こいつはスグリ。スグハと似たような名前にしたくて三日間考えに考えを重ねて名付けたんだ。」

テリーの馬ースグリはうんざりしたように鼻を鳴らした。

お前も大変そうだな。


馬に乗って揺られるというのは思いのほか悪くなかった。

少しうとうとしてしまうほど気持ちが良かった。

「着いたぞ、2人とも。」

テリーが言うのにハッとして重たくなってきた瞼を無理やりこじ開けると、村の門の前に到着していた。

「村の中では馬は降りた方がいいぞ。下手してその辺にいるやつを蹴飛ばしたりしたら大変だ。」

俺は言われた通り、ハルヒから降りてハルヒの隣を歩き出した。

「馬の繋ぎ方を教えるから、うちの馬小屋に行くぞ。」

「はい。」

俺たちはテリーの後ろをのそのそ歩き出した。


テリーたちの家は俺たちが貰った家と同じくらいの大きさで、デザインも似たような感じだった。

俺たちの家と同じくらい、と言っても、この村は人口があまり多くないため、一軒一軒が大きいのであまり珍しくもない。

家の隣に小じんまりとした小屋が立っていた。

テリーたちの家が大きすぎるため余計に小さく見える。

「見てろよ。」

テリーはそう言ってスグリを馬小屋に促した。

馬小屋はスグリが入ってもそれなりに広く、スグリは窮屈そうではなかった。

「これで終わりだ。脚に枷をかけたりする必要はないからな。」

「なるほど。わかった。」

スグハは俺の頭の中でうとうとしている。

「明日の朝、またうちにきてくれないか?」

テリーがややどもりながら言った。

「いいけど…、どうしてだ?」

「見てもらいたいものがあるんだ。」

家から漏れる薄明かりに照らされたテリーの顔はとても深刻そうで、辛そうだった。

「わかった。明日の朝、またここにくるよ。」

「ありがとな。それじゃ、よい眠りを。」

「ああ。よい眠りを。」

俺たちはテリーたちの家を後にして、俺たちの家へ向かった。


家に着くと、早速俺はハルヒをテリーが作ってくれた小屋に入れた。

小屋には餌置き場や水飲み場も設置してあり、だいぶ作り込まれている。

テリーは建築のスキルでも取ったんだろうか?

「それじゃ、ハルヒ。おやすみ。」

俺がハルヒに声をかけると、ハルヒは頷いた。

スグハはまだ俺の頭の上でうつらうつらしてる。

家に入ると、居間の方から声が聞こえた。

居間へ行くと、ススム、ライト、ツバサ、エルサさんが、エルサさんの持ってきたテーブルに料理を広げていた。

「あ、ナオ、お帰り。」

ツバサが言った。

「ん。ただいま。この料理はどうしたんだ?」

俺が聞くと、エルサさんが言った。

「ライトが作ってくれたんですよ。ライト、料理もできるんですね。素晴らしいわ!ぜひ、私を妾の1人に…。」

そこまで言ったところで、ライトがスキルの粘糸でエルサさんを縛り上げた。

しっかり何も言えないように口まで縛った。

「さて、ナオも来たところで、晩飯にするか。」

ライトが糸を軋ませながら言った。

「ら、ライト、そろそろ勘弁してあげた方が…。」

エルサさんが苦しそうにし始めたので、俺が言うと、ライトはしょうがない、と言う風に糸を解いた。

エルサさんは何事もなかったかのように行儀良く椅子に座り直した。

「それじゃ、改めて、いただきます。」

「「「「いただきます。」」」」

ライトとエルサさんはベルナの町で野菜や肉を少し買ってきたらしく、それで料理をしたらしい。

かなり質素ではあったが、トマトシスープと白いパンが並んでいた。

まず俺はトマトシスープを木のスプーンで掬って飲んでみた。

すでに少し冷めてしまっているが、なかなか美味しかった。

俺とエルサさんとスグハの分にはなかったが、ライトたちのスープにはごろごろとした肉が入っていた。

スグハは早々自分のパンを食べ終わると、俺のパンを一つむしって持っていってしまった。

「おい、俺のだぞ。」

俺が言ってもどこ吹く風だ。

エルサさんは食べる手を止めて、ライトがスープを啜る様子をじいっと眺めていた。

「そういえば、ツバサはどこ行ったんだ?」

ライトがスープを一通り飲み終えた後、言った。

「僕はランガスさんと武器屋を見に行ったんだ。」

「武器屋!いいな。」

ススムが食いついてきた。

「そこで色々武器を見てきたんだ。バスタードソードとかロングソードとかいっぱい並んでたぞ。魔法を使うときに使えそうなロッドとかスタッフもあったし。まあ、大銀貨10枚くらいだったけど。」

「なんて名前の店だ?」

「確かー、武器屋ランドラって名前だったかな。猿耳族のランドラさんっていう親父さんが1人で経営してるらしいよ。」

「今度、お金に余裕ができたら行ってみるかな。」

俺が言うと、スグハが言った。

「武器ねえ。ナオはなおほびなんだから一番使いやすいのは刀だと思うけど。」

「刀?」

ツバサがなんで?という顔をしながら言った。

「称号にはそれぞれ得意武器っていうのがあるの。例えば、戦士だったら剣とか槍、斧とかの近接武器全般ね、タンクだったら盾とか鎧かな。」

「そういや、俺たち刀使い(見習い)って称号があるけど、あれは?」

ライトが食いついた。

「刀使いは片刃の剣を得意武器とした称号よ。刀使いはまだ第一段階。スキルは進化するの。」

進化…。

スキルがあるゲームとかだとスキルツリーみたいのがあるけど、それとは違うのか?

「スキルは何度もそのスキルを使用することで熟練度が上がって、進化できるの。刀使いは進化したら、サムライか、剣士になるわ。」

「すごく稀だけどシノビって称号になる人もいるわ。」

エルサさんがスグハの説明を繋いだ。

「なるほどな。」

「称号自体はスキル魔法を持っていない人にも存在するわ。確認する手段としては称号神(しょうごうしん)の神殿で祈ることだけしかないわ。まあ、ナオたちには関係のない話ね。」

この機会にと、みんなそれぞれスキル魔法についての質問をし始めた。

「じゃあ、レベル上げについて質問。」

ツバサが挙手をして言った。

「最初、スキル魔法を持たない人を殺しても経験値は手に入らないって言ってたけど、この前の訓練ではスキル魔法を持ってないラミアさんとナオが訓練した時は経験値は入ってたよね?どういう違いなの?」

「前に筋トレしてもレベルは上がるってハナビさんが言ってただろ。それじゃないか?殺して手に入る経験値は別物、みたいな。最後のパンもらうな。」

ライトが最後のパンに手を伸ばしながら言った。

「ハナビさんは翼カチーナですからねえ。人間に対してあまりいい印象を持っていないんですよ。そのせいで説明がわかりにくくなっているのかもしれません。」

エルサさんが残ったスープを啜りながら言った。

「んー?じゃあ、スキル魔法を持っていない人を殺しても経験値が手に入らないっていうのは?その人と戦った場合の経験値は手に入るの?」

「あー、それ色んな魔法使いとか学者が研究してるんだけどさ。一応手に入るっぽいんだよね。大体スキル魔法持ちと同じくらいの量の経験値が。スキル魔法持ちを殺した場合はその人の経験値が手に入るってことで納得できるんだけど、そうじゃない人を殺した場合はどこから大量の経験値が出てくるのかわからないんだよね。そこで、今ところ有力視されてるのはスキル魔法は自分の強さを数値化して見れるだけであって、その他の人も潜在的にレベルはあるって説だね。」

「ん?でもスキル魔法持ちとそうでない人は力の強さにそもそも差があるって話じゃなかったか?」

ライトが水を飲み干してから言った。

「そうね。そこがこの説の弱いところなのよ。主張としては戦う本人たちの気持ちの問題じゃないかって言われてるわ。スキル魔法を自分が持っているから自分は強い、スキル魔法を持たないから自分は弱いっていう風にね。」

「なんだそりゃ。」

「でも一理あるのよね。例えば、勇者って称号があるんだけど、その称号は自分がどうしようもない怒りに包まれた時、例えば仲間が殺された時とかね、覚醒っていうスキルが発動するの。それも気持ちの問題じゃない?他にも気持ちによって発動するスキルとかはあるのよ。」

「へえ、じゃあそういうこともあり得るのか。」

ライトが関心したように言うと、静かにスープを啜っていたススムが言った。

「ライト、スキル魔法持ってないエルサさんに負けたもんね。」

「う、それは…この前は動揺してたからだし…。」

ライトがエルサさんと反対方向を向きながら言った。

「それじゃあ、明日は村の入り口の警備ですし、そろそろ就寝としましょうか。入り口の警備の仕事内容はマニュアルの3ページ目に書いておきましたので、確認しておいてくださいね。」

エルサさんが言った。

「皿洗いは私がして置きます。」

「おお、ありがとう。」

ライトはそう言ってエルサさんの皿に自分の皿を重ねた。

「ありがとうございます。」

ツバサとススムもそう言って皿をまとめた。

「これだけの量があるんですから、俺も手伝いますよ。」

そう言って俺はススムとツバサの皿を自分の皿の上に乗せた。

「そうですか?ありがとうございます。」

俺とエルサさんとスグハは三人におやすみの挨拶をして、キッチンへ向かった。

皿を流しに置いたところでふと思った。

「そういえば、水魔法とか使ったりして皿を洗えたりとかしませんか?」

「ええ、そうですね、皿洗いに必要な水くらいは井戸ではなく、魔法の方がいいですね。ナオさんも使えると思いますよ。見ていてくださいね。」

エルサさんはそう言って呪文を唱え始めた。

この呪文を唱えることが魔法の発動条件なんだろうが、俺にはほとんど理解できなかった。

「我に〜」とか「水」とかほんの少し単語は聞き取れたりはするのだが、全部は聞き取ることはできなかった。

水魔法ピリム

エルサさんが魔法の名前で呪文を締めくくると、エルサさんの流しに差し出した左手にエルサさんの心臓のあたりから紫色の流れのようなものが収束し、周囲の水蒸気が手のひらに集まり、手のひらサイズの水の塊になった。

そしてその水の塊はパシャッと音を立てて流しの中に落ちた。

「どうですか?わかりましたか?」

「いや…すみません、わからなかったです…。」

俺が頭の後ろを掻きながら言うと、エルサさんは柔らかく微笑んで言った。

「大丈夫ですよ。初見でわかる人はいませんから。初級魔法の魔導書を一冊貸しますので、それを読んで練習してみてください。中には日常的に役に立つ魔法なんかもありますから。」

「ありがとうございます。」

「今日のところは、私が水を作りますので、ナオさんとスグハが皿を水で洗うのをお願いしますね。」

「わかりました。そういえば、スグハは水魔法ピリムは覚えてなかったよな?全属性使えるのに。」

「使えるわよ?」

スグハが俺の隣で人化して綺麗な布を持って皿を拭きながら言った。

「でも、ステータスシートには書いてなかったような?」

「ステータスシートに出てくるのは称号なしで使える魔法だけだからよ。あたしの場合、高魔術師の称号がそれを使えるってだけよ。全属性持ちなのはその称号があるおかげ。それがなかったらあたしなんて…。」

「おいおい、どうした?なんだか元気がないようだが…。」

「スグハは夜になると少し気分が落ち込んでしまう体質なんです。」

エルサさんが言った。

「そうなのか。」

「はい、魔法の精度も落ちてしまうので、スグハはできるだけ夜の活動は控えてきたんですが…。」

「俺が起きてるから、スグハも起きてるってことか?」

「おそらく…。」

「スグハ、無理はしなくていいんだぞ?」

俺はスグハの頭を優しく撫でながら言った。

スグハの頭は奴隷狩りを捕まえる時よりも低い位置にあり、人化するのに必要な魔力が足りていないことがわかる。

並んでいると、スグハは俺の首もとくらいまでの背丈しかない。

「ナオ…ありがと…。ごめんね。でも皿洗いはしっかりやるよ。」

「そっか。」

俺は皿をエルサさんの作った水でじゃぶじゃぶ洗いながら言った。


しばらくして、皿洗いが終わり、スグハは元の妖精のサイズになって俺の頭の上でぐったりしていた。

「ナオさん、スグハのためにも、無理はしないでくださいね。これ、魔導書です。」

「ありがとうございます。頑張ります。」

エルサさんはにっこりと笑っておやすみなさい、と言った。

俺もおやすみなさい、と返して、自室へ入った。

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