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本日をもって

作者: satomi

よろしくお願いします!

「本日をもって、貴殿との婚約を破棄する!この可愛い…愛くるしいミエを虐めたという話はよく聞いている。

例えば、ミエの机に落書きをする。ミエの体操着を切り裂く。ミエの教科書を破り捨て、池に捨てる。等御し難い!よって、本日をもって貴殿とは婚約を破棄する。そして新たにこの愛くるしいミエとの婚約を宣言する!」

高らかに皇太子殿下は宣言した。

ミエ嬢は勝ち誇ったような笑みを貼り付けて、オーウェン皇太子殿下の腕にくっついている。


当然か?婚約破棄されたネクタス侯爵令嬢は蒼白だ。


「オーウェン皇太子殿下、それでは私がテレーゼ=ネクタス嬢と婚約しても問題はないわけですね?」

「叔父上…」

そうは言っても、私は皇太子殿下よりちょっと年上なだけ。

「婚約破棄されたわけですし、問題はないでしょう?テレーゼ嬢?私と婚約していただけませんか?」

周りがざわめく…。オーウェン皇太子殿下にくっついていたあの女も何か知らないが、悔しそうな顔をしている。


「私は貴女が毎日のように王宮に来て王妃教育を真面目に受けているのを見て、なんて素敵な女性だろうと思っていました。しかし、オーウェンの婚約者でしたから私の想いなど届かないと思っていましたが、オーウェン皇太子殿下が貴女と婚約破棄したことで話は変わります。是非ともわたし、ステファンと婚約をしていただけませんか?」


「ステファン王弟殿下に申し上げます。彼女は私を虐めたという事でこちらの皇太子殿下に婚約破棄された、いわば“キズモノ”令嬢ですよ?」


「あなたを虐めたというのが事実ならばですね。私はそうは思っていないので。王妃教育を学園での授業後に王宮でこなし、即家路につく。そんな生活をしていてはあなたを虐める暇などありません。それに虐めているのが事実ならば、既に陛下がご存じでしょう?このように殿下自ら婚約破棄を言い渡す必要など全くないのです。陛下が事実を把握しているはずですから。本日は陛下が視察で王宮を留守にしていますね?」

さらに、周りがざわつく。

そうなんだよなぁ。事実なら、王家の影が陛下に報告をして既に本人及びネクタス侯爵家に報告済みだろうから。


「私でよろしければ、ステファン様のとの婚約を考えます」

「ありがとうございます」

私は彼女の手を取り指先にキスをした。


正直ミエ嬢が国母をできるとは思っていない。

見た目だけで国母ができるほど甘くない。だからこそ、テレーゼ嬢は王妃教育を頑張っていたというのに…。私の代では…。私は宰相というポストに就く予定だったが、この分だと陛下が戻ってきて事の次第を聞いたら、私が皇太子になって…。ということもあり得るな。

別に狙っていたわけではない。

あの女がオーウェン皇太子殿下を唆したからこうなったわけで、結果論だ。


ミエ嬢は何を考えてたのだろう?自分の知識量などで国母をできると思っていたのだろうか?




Side ミエ


何でなのよ?

あの女はキズモノなのよ?

キズモノの令嬢に求婚するイケメン王弟?

はぁ?ありえないんだけど?

私は、王妃になって贅沢の限りを尽くした生活をするんだから!

そうなった時には、王弟殿下なんかどっかの辺境の土地にぶっ飛ばしてやるんだから!




陛下は戻ってきてビックリした。自分の息子の愚かさに…。

「オーウェン。お前はなんてことをしたんだ!」

「はい、陛下!ミエを虐めるテレーゼ嬢とは婚約破棄しミエと婚約することを宣言しました!」

「お前は…。どうしてくれよう?それで、テレーゼ嬢は?」

「なんだか、叔父上のステファン様と婚約したようです」

「はぁ、そうか。うん、まぁいいか。それより、お前は自分の事をどう思っているんだ?」

「事実を把握し、一番良い選択をしたと自負しております!」

「まず、事実を把握についてだが・・・テレーゼ嬢がミエ嬢を虐めているという証拠はきちんと掴んだのだろうな?」

「はい。ミエやその他の友人の証言です」

「それは、証拠とは言えないんだが…。物的証拠が何一つないではないか?だというのにお前はテレーゼ嬢を責め、婚約破棄をし、ミエ嬢と婚約を宣言したと?」

「はい」

「ではそのミエ嬢はさぞかし優秀なのだろうな?少なくともテレーゼ嬢くらいには」

「いいえ。そのような知識に凝り固まったような人間ではなく、非常に愛らしい人間です」

「愛らしさで国母が出来ると思ってるのか?社交をし、外交をし、と常に人に晒されるような生活が待っているんだ。愛らしさだけではやっていけん」

「…」

「つまり、お前は大事な選択を誤った。皇太子として大失敗だ。それはもう、歴史に残るレベルの大失態。私は恥ずかしい!」

「でも、私は皇太子を続けられますよね?」

「そのミエという女が婚約者ならば無理だ。廃太子だ。決定は覆らない。厳しいがお前はそれほどの事をした。次期皇太子はステファンにやってもらおう。ちょうど、ステファンの婚約者はテレーゼ嬢だから王妃教育も佳境」

「私は…私は何のために?」

「そんなものは自分で考えろ!」



やっぱり私が皇太子となった。

テレーゼ嬢が次期皇太子妃のようだ。今日も王宮で王妃教育を受けている。頑張る姿がいいのだ。

学園を卒業と同時に結婚という事になったが、それはそれで俺達は幸せ。

結婚して5年も経てば、昔が懐かしいと当時の話をしたりする。

キチンと跡継ぎもいます。

阿呆にならないように、変な女に引っかからないように教育しようと強く思います。



余談ですが、廃太子となったオーウェン元皇太子殿下はミエ嬢を伴って北の別荘にこもっているそうです。

一応王家だから、働かなくても最低限食べていけるけど、予算を決めて無駄遣いしないようにしてます。ミエ嬢の目的が王妃になって贅沢の限りを尽くすようだったので…。













読了ありがとうございます‼

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