46 ジゼル=ウォード2
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「そういえば、禍はどうなったの?」
「ノルの魔法と私達の攻撃で弱毒化。お嬢の魔法で浄化まで済んだ。今回の目的は弱毒化までだったから、十二分の成果ってところかな。結果的に根絶できたからよかったけど、今回ちょっと気になることがあって……」
冷静な情報収集・分析は狙撃手であり後方支援でもあるジゼルの専売特許だ。
「そういえば、お嬢の魔法って、どうなっている……の? あんな魔法は、見たことがない。聖女が使うっていう『聖なる力』とは、別もの、でしょう?」
おっと、慣れない言葉が出てきた。
「『聖なる力』? 『聖女』?」
「お嬢は、まだ、知らないか。ウィステリアから、西にまっすぐ進むと、アザレアって国があるの。その国はシルヴィっていう女神様を祀ってて、聖なる力を持つ女性を、聖女という位置づけで大切にするの。その女性はシルヴィアという名を2つ目の名前として賜って、もともとの名を簡単には明かさない……らしい」
ふむ。
「『聖なる力』っていうのは、なんていうんだろう……女神様のお告げというのがあるらしくて、それを聴ける力のことらしい……。なんでも、大災害を預言して、未然に対策したり、国の繁栄に関わる重要な託宣とか、できるんだって。あ。そういえば、心の声が聞こえる、なんてのもあった気がする……。
まあ、聖なる力に関しては国の最重要機密らしいからそこまで知られてないのも無理ない……」
「ね、ジゼル! 今なんて言った!?」
ミラは思わず身を乗り出してしまった。
その勢いに圧されたように、ジゼルがたじろぐ。
「え、……と、国の最重要機密だから……」
「その前!」
「ええ……? 聖なる力には、心の声が聞こえるってのもある……?」
「それ! って、マジ? ううん、本当?」
「マ……? う、うん、多分」
ミラは自分がじりじりと前のめりになっていることに気づいて、そっと上半身を後ろに引いた。
「ジゼル、詳しいねえ」
「別に、そんなことない……。ウィザードに居たときに集めてた、だけだよ。妹の声が戻るなら、どんなに小さな情報だって、欲しかったから……」
ジゼルの頬にさっと紅がさす。
「……だとしたら、もっとすごいんだよ、ジゼル……」
ウィザードがどうなのか正確に知っているわけでは無いが、組織というものは大抵、末端の人間にあまり多くの情報を持たせない。それは組織の自衛であり、当然の判断だ。
そういう場所にいたときに、タイムリーかつ正しく、その上で、国の最重要機密である情報を受け取る立場だったということは、ものすごいことだ。
しかも、ジゼルがウィザードに入ったのは10歳だったとさっき言っていた。
たった2年かそこらで、そこまで登り詰めたということだ。
そういえば、ジゼルが狙撃の狙いを外すのを、ミラは見たことがない。
ミラの背中を、つーっと冷たい汗が流れる。
「お~い、入るぞ~」
ノックもなく、前触れもなく唐突に部屋の扉が開けられた。入ってきたのはお察しの通り、我らが隊長フィルさんである。
「治ったか?」
そう言ってミラの頭を撫でるフィルさんは、こうしてみると歳の離れた兄のようで、ミラは実兄のレオを思い出した。
「ノックくらいしてくださいよ……」
むくれつつも、ミラは大人しく撫でられる。
大きくて、あたたかい手に、ミラは自然、目を細める。
「お~、忘れてた。次からな?」
次も絶対忘れてるに違いない、と思うが、口には出さない。そこまで気にしてるわけでもない。
「ジゼル、向こうでナオとジャスパーがお嬢にメシ作るっつってんだが、不安だから見てきてやってくれ。そろそろ炭ができる頃だ、ありゃー」
フィルさんがジゼルにそう声を掛けた。
その次の瞬間、下の方から、ぼふん!と爆発音がした。
「う、うん!」
ジゼルがパタパタと足音を立てて、階下に降りていくのを見届けて、ミラは口火を切った。
「フィルさん、ジゼルの本当の生い立ちを、教えてください」
こんにちは。あづまです!
お久しぶりです!死地から無事帰還いたしました!
微分だの積分だの、助動詞だのから解放された作者は今大変ハッピーでございます。
更新が滞り、申し訳ありませんでした。
今日からまた再開いたしますので、引き続きご愛読のほどお願いいたします!
みなさまのアクセスのお陰で、作者は生きながらえました!
みなさまに惜しみない愛と感謝を!
今話も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
それではまた次話でお会いしましょう!
ではでは!
あづま




