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43 【閑話休題】コロッケなう

今回ノルがアレです。ごめんなさい苦手な方は回避をお願いします


「こちら、リオです。買い物行ったときに会った。酷い怪我してたから、休んでもらおうと思って」


 ミラは小隊のみんなにリオを紹介した。

 リオはミラに会ったときとは打って変わって、ミラの隣でにこやかに立っていた。


「リオっていいます。お世話になります」


 慇懃に頭を下げるリオ。さっきとはえらい違いである。


「ほ~ん、お嬢がねえ……。まあ、いいかぁ。フィリップだ。よろしく~」


 フィルさんが会釈を返す。どこか探るような目がリオを見る。


「ライラで~す」

「……ジゼル……」

「ナオです!」

「ジャスパーだ」


 他の面々も次々にリオに挨拶していく。

 一見ほのぼのしているがしかし、名字を明かさないところを見ると、どうやらみんな警戒しているようだ。

 名前を全部明かしたのは早まったかもしれない。


「オリバー。よろしく」


 底から凍えるようなつめたい声がその場に響いた。冬の夜よりもしんとした空気が支配する。


「あ~、若、魔法使うんじゃあねえぞ。……ミラのこれは多分何も考えてねえぞ」

「わかってます。俺もそこまでこどもじゃないけど……」


 なぜそこでミラの名前が出てくるのだろうかとミラは首を傾げた。

 ふてくされたようなノルの顔がこちらを見る。

 正確に言えばミラの隣のリオを、である。


「ミラ、ちょっとこっち来て」

「え? うん」


 不思議に思いつつも、ミラは大人しく従う。

 ノルの目の前に立って、すこし背の高いノルをミラが下から見上げるような格好になる。

 ミラはノルの綺麗な夜色の瞳と髪を眺めていた。


「……っ!?」


 気づくとノルの唇がミラの耳に触れている。

 ビリビリと電流のような感覚がミラの身体を走る。

 ミラの様子に満足げな表情をしたかと思うと、今度は口づけられた。


「ん……」


 自分のものとは思えないような声が出て、それに慄く。

 なのに、ふわふわして、何も考えられなくなる。

 息継ぎが追いつかない。

 ノルのキスはどんどん激しさを増していく。


「んんっ! まっ、待って……!」


 足がガクガクして、うまく立っていられない。

 けど、ノルがガッチリ支えてて、逃げることもできない。


「待ってって!」


 ミラの声で、ノルが弾かれたようにミラから離れる。

 ノルは手の甲のあたりを口もとに当て、ミラを驚いたような目で見たあと、ふっと視線をそらす。


 真っ赤な顔で、ポツリと。


「……ごめん」


 困った。そんな顔をされたら怒れない。胸が締め付けられるような感覚。

 背中には電流のようなびりびりとした感覚がまだ残っている。

 目には涙が溜まり、顔は真っ赤。要はひどい顔をしているのだ。

 それを直に周りのみんなに見られるのだから、マジどうしてくれんだよノル、とミラは思った。


「……ノルのばか」

「……」


「…ごほん!!」


 大きく咳き込む音がして、ミラはびくりと肩を震わせた。

 音の主はリオである。


「ミラは、俺の婚約者だから」


 一瞬にして氷点下まで下がるような声音で、リオを睨みつけながらそう告げるノル。


「ふーん。あっそ」


 それを胡散臭い笑顔でさらりと受け流すリオ。

 両者の間に静かに火花が散る。


「ミラ~、髪が乱れちゃってるよ。直してあげるよ~。おいで」


静かな争いを繰り広げる二人をよそにライラがミラを手招きする。

放心したままミラはライラに駆け寄り、優しい手に目を細めた。






身体に残る熱が落ち着いたころ、宿の鐘が正午を告げた。


「ご飯作ろ」

「手伝うよ~!」

「……私も……」


 女子ーズがわくわくと手伝いに手をあげてくれた。

 今手元にある材料は、ゴロゴロと無造作に保管されていた大量のジャガイモと、放置されて保存期間ぎりぎりで固くなりそうなパン。

 先ほどミラが買ってきた豚ひき肉と卵。


(これは……あれをつくりたいなあ。油、はあるな。火、は出せばいいか)


 まずはジャガイモを水から茹でていく。

 この水はミラが魔法で生成した。甘く澄んだおいしい水だ。

 皮を向いたら、かぶるくらいの水にジャガイモを入れて強火を当ててほくほくさせる。


 火から取り出したら、スプーンでつぶしていく。この時にあまりつぶしすぎずゴロゴロとしたジャガイモの良さを残すのがポイントである。


 次に、じゃがいもを茹でている間にタマネギと炒めておいた豚ひき肉を、先程のじゃがいもに投入。

 さっくり混ぜて馴染ませる。


 それが終わったら、つぶしたじゃがいもを丸める。

 ちょっと大きいくらいでも贅沢でよい。


 全部終わったら、溶いた卵を纏わせて、パンをちぎって作ったパン粉をまぶす。

 最後にたっぷりの油できつね色になるまでカラリと揚げる。


「それは……じゃがいも……? 潰して揚げているのか?」

「肉でもエビでもなく、じゃがいも……。俺も初めて見る」


 いつの間にかケンカが終わったのか、ノルとリオが後ろから仲良く覗き込んできた。

 やっぱり気が合うと思うんだよなあこの二人とミラは思う。


 じゅわぁぁぁぁ


 なんとも食欲をそそる音を立てて、コロッケが揚がる。


「おいしそ~! お嬢お嬢! 私これ2つね!? おかわりある!?」

「うまそうだな!! なんていう料理なんだ?」

「ほら隊長! お皿とか並べてくださいよ! さもなくば隊長の分まで僕が食べます」

「ふむ。私の嫁の料理の次においしそうですね」


 みんなもわらわらと集まってにぎやかになる。頑張ったかいがあった。


「サクサク! アツっ」

「うっま! ふははっ!」


 みんながおいしそうにコロッケをほおばる。ミラも揚げたての衣に歯を立てた。

 サクッと軽い音を立てて中からホクホクのじゃがいもが現れる。おいしい。

 コロッケは前世のユキナの頃からの好物だ。常々食べたいと思っていたのだけど、ことごとくタイミングを逃してきた。これであのソースがあればカンペキなのだが、贅沢は言うまい。


 コロッケ最強。

お久しぶりです。本当にお久しぶりです。

あづまです。

ノロノロ更新本当にごめんなさい!


ノル…ヤキモチばくはつ…。

ミラはガチでわかってない。


作者はずっと、「七歳て…七歳てなに…?」

となっています…アハハ…

小隊のみんなについては、それぞれ触れていくつもりです。

今話も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!


あづまひろ

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