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34 ギルドカードをつくろう

いつもお読みいただきありがとうございます!


 そのまましばらく女子三人でワイワイした。

 オシャレの話、スイーツの話、おすすめの本、カフェ、スポット。

 女子の話は尽きない。ああ、楽しいなとミラは思った。

 まるで前田と話してるみたいだと懐かしく思った。


 ギャル時代のいつめんたちの話とは全然違って、どれもこれも楽しくて面白くて。


 そこにのんびりとしたフィルさんの声がかかった。


「お~い、ウチの隊の構成を教えるぞ~」


 それぞれの異なる色の瞳がフィルさんに集まる。


「自己紹介は終わったし……、えーっと、隊の構成としては、前衛がナオとライラと俺。後衛がジゼルとノル。司令とかがジャスパーだ。ちなみに俺の武器はこれな」


 フィルさんが机の上にドンと何かを置いた。

 大鉈だ。あいかわらずの薄紅色の造花がミスマッチのかわいさである。

 背中にしょった鞘から取り出したところを見るに、普段から持ち歩いているのだろう。

 結構な重量がありそうだが、本人はまったく意に介さずに相変わらずどうにも迫力のない声で説明を続ける。


「俺らが普段何してるかってーと……、お嬢、魔物とモンスターってわかるか?」


 ミラはこくりと頷いた。魔物の記述は魔法書にあった。

 魔法書によれば、モンスターとは(わざわい)から生まれる存在で、情緒をもたない。

 人を食らって生き、無作為に街を襲う。

 

 魔物はそれとは違いもとからこの世界に生きる生き物で、魔力を持つ者のことを言う。

 魔獣・神獣と呼ばれるものもいる。


 人に害をなす魔物、モンスターの討伐を生業とするのが冒険者だ。

 冒険者になること自体は簡単で、冒険者ギルドに登録すればいい。

 討伐する対象に応じて報酬が出るのだが、これがかなりの高額なので、一獲千金を狙って冒険者を職業に選ぶ若者も多い。


「俺たちの隊は他のとことはちょいと違っていてな、特殊なんだ。全員冒険者登録をしていて、平時は主にギルドに提示されている魔物討伐に出向く。登録してないと討伐しても換金できなくてなぁ……。ふぅ……超不便。一応隊員だから、王や有力貴族から依頼を受けることもある。ノルも、ウチの正式な隊員じゃあないけど、登録してるぜ。討伐を手伝ってくれることがあるからな」


 なるほど。隊であると同時に冒険者パーティーでもある、というわけだ。


「で、だ。討伐を兼ねて旅に出るから、お嬢にも冒険者登録をお願いしたいわけだ。登録証明書……俗にいうギルドカードだな。あれは身分証明書にもなって、なにかと便利だから。

今日これが終わったらギルドに行くぞ」

「わかりました」

「それから、旅にはドレスじゃあ動きにくいからな、明日服を作りに行ってこい。今作れば出発にはちょうど間に合うだろ。一応、隊に関わる者の証としてどこかに魔法を編み込んだ金糸を組み込むことになってる。お嬢もどこに入れるか決めとけ」


 よく見ると、フィルさんは(ボタン)、ジャスパーさんは袖口、ナオさんは襟元、ライラは髪を括る紐、ジゼルはマントの裏、ノルはネクタイの刺繍、といった具合にみんなそれぞれ金糸が入っている。なんかいいね、そういうの。


「お嬢に討伐期間中にやってもらいたいことは、ざっくりいうとみんなの世話係ってやつかな。掃除、洗濯、食事の管理を担ってもらいたい。お嬢はそういうことが好きで得意だと聞いたからな。といっても、そういう仕事は今まで隊のみんなで当番制でやってたから、まあ、お嬢をフィリップ小隊に関わらせるための名目みたいなものと思っていい」

「は、はい!!」

「まあ、こんな感じだ。なにか質問はあるか~? ないな~。何か聞きたいことあったらいつでも聞けよ~」


 片手で書類を持ち、無気力そうに頭の後ろをかくフィルさん。この人が感情的になることなんてあるのだろうか。いまいち想像できない。

 ミラはそんなことを考えながら、あくびをかみ殺しているフィルを見ていた。






「ご登録ありがとうございます~! こちら登録証明書です! こちら、身分を保証するものにもなりますので、大切にお持ちください! 紛失した際はお近くのギルドへお知らせください。紛失したカードの利用を取りやめて新しいカードを作成いたします。カードの持つ情報は引き継がれますのでご安心くださいませ!」


 午後、ミラはフィリップ小隊の面々とともに冒険者ギルドを訪れていた。

 何もわからずおろおろするミラを尻目に、フィルさんが慣れたように職員さんと話している。

 気づいたら登録証明書(ギルドカード)が目の前に置かれ、職員のお姉さんが明るく説明してくれる。


「それでは認証のためにほんのすこしでよろしいですので、ココに手をかざして魔力を注いでください。どうぞ」


 魔力は誰もが持っていて、人によって微妙に異なるため、この世界では本人確認に使われる。

 指紋認証ならぬ、魔力認証というわけだ。

 魔力は放出するだけなら詠唱はいらない。ミラはカードに手をかざして魔力を注ぐ。


「はい、もういいですよ~! それではこちら、お持ちください。」

「ありがとう、ございます!」


 手渡されたカードは持っていた鞄のポケットに大事にしまう。

 初めての登録に思わずにこにこしてしまった。

 それをお姉さんが気づいたらしく、笑顔で「がんばってね」と言ってくれた。

 優しかった。


フィリップ小隊はギルドの人たちと顔見知りです。

職員のお姉さんは丸眼鏡に茶髪をお団子にした可愛らしい人です。

王都でも評判の有能職員で、ライラやジゼルとも仲良し。

何を聞いても完璧な答えが返ってきて、ほんわかした雰囲気が人気。

彼氏持ち。相手は同じギルドの職員さん。

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