27 王
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早朝。スチュワート伯爵家――
「お嬢さま、いったいいつまで拗ねておられるのです? 朝です。起きてください」
容赦なくふとんをひっぺがしていくエマにミラは必死の抵抗を試みていた。
「別に拗ねてもむくれてもないし!」
この上なく恥ずかしいだけである。
今朝布団で目が覚めて、ノルにもう会えないという事実が急速に現実になってしまった気がして寂しいだけだ。
それを拗ねてるというんですよ、という目がミラを見ている。
布団を引っ張るエマ。
引っ張り返すミラ。
引っ張るエマ。
引っ張り返すミラ。
「お・じょ・う・さ・まーーー!」
「ふんぬーーーー! うおおおおおおお!」
不意にエマが布団をパッと放す。
ミラは勢いづいてベッドから転がり落ちた。
「うおあ!?」
「起きたら私の髪、好きにアレンジしてよろしゅうございますのに」
床に大の字に寝っ転がったミラを覗き込みながらエマが言う。
「ほんと!?」
即座に食いつくミラ。
しかしエマがクスクス笑っているのを見てミラは唇を尖らせていじけた。
「ずるいよ私の好きなことで釣るなんて」
「ちょろいお嬢さまが悪いのです。私は条件を提示しただけですし。本当、いつもは驚くほどの賢さを発揮いたしますのに、どうしてこう……」
「もので動く大人になっちゃったら責任を取ってもらわなきゃ」
「そう言ってる時点でそうはならないと言っているようなものです」
「なったらどうするの」
「ならないでしょう?」
しれっとした顔で笑うエマにミラは胡乱な視線を投げる。
「まったくウチの侍女は……」
ミラのことをよくわかっている。
エマの思惑通りになるのは少し気に食わないが、髪のアレンジは大変魅力的だ。
遠慮なく触らせてもらおうとミラは思う。
「そんなことよりお嬢さま。国王王妃両陛下から直々に、面会の申し入れがございました。
御仕度願います。というかお仕度いたします」
「えっ!? なんで!?」
いくら面識があろうとも陛下から直々に申し入れだなんて普通ありうることではない。
もしや何かやってしまったかと慌てるミラ。
同時にノルに討伐命令を出した張本人に会わねばならないということに気が重くなる。
「それが、私たちにもわからないのでございますよ。そこまでは知らされておりません」
いよいよやらかした説が濃厚になってきて、冷や汗をだらだらかいて俯くミラをエマが心配そうに見る。
ミラは、徹夜してしまった日に新聞が郵便受けに配達された音を聞いた時のような絶望を味わいながら、謁見のためのドレスを選び始めた。
こういった二人のじゃれあいは屋敷の癒しになっています。
そこら辺のあれこれも書いてみたいと思っています。
ラーメン食べたい




