14 侯爵令嬢ソフィア=ハミルトン1
ちょっと短いです。
お茶会の招待状が溜まっている。
ここ最近ミラはお茶会に出ていなかった。
というのも前回の初めての茶会で盛大にやらかしているので、別の人生の記憶がよみがえっていていくら肝の太いミラでもどんな顔で茶会に出るべきかわからなかったのだ。
しかしそろそろ真面目に招待に応じるべきだろう。
両親が親バカを発揮して行く先々で娘の魔法の上達自慢をするので、言い訳にしていた魔法の練習もすでに断る大義名分にならないのである。
そういうわけで、ミラはひとまず前回やらかしたハミルトン候爵家のお茶会に出ることにした。
幸いにも向こうの家の方は子供がしたことだからとおおらかに許してくれたらしい。
けれど真摯に謝罪をしておくべきなのは間違いないし、これは貴族間の信用問題にもつながる。
なにより同年代の友達が欲しかった。
ミラは前回が最初のお茶会だったので、それ以降出席していないのだから当然同年代の友人はゼロだ。
両親もそれをわかっているから侯爵家からの二度目の招待をミラに取り次いだのだろう。
その茶会が明日である。
以前のミラに悪気がなかったことはその頃の記憶が戻ってきた今のミラにもわかるのだが、それでも申し訳ない気持ちになるのは仕方のないことだろう。
ミラはそっとため息をついて、万が一でも遅刻などしないように、いつもより早くベッドに入った。
朝
窓から柔らかな日の光がミラの部屋に差し込む。
いつもよりも少し早い時間だが、すっきりとした目覚めに安堵し、伸びをする。
いつもエマが来る時間までもう少しある。
どうしようかと思っていたら、部屋にノックの音が響いた。
「お嬢さま、エマです。おはようございます」
たしかにエマの声である。どうぞ、というと扉が開いてエマが入ってきた。
この侍女はいったい何時に起きているんだろうとミラは思った。
まるでミラがこの時間に起きるのをわかっていたかのような早さだ。
そんな疑問を口にする間もなく、エマがもってきてくれたきりっと冷たい水で顔を洗い、櫛で丁寧に髪を梳いていく。
ミラの髪はやわらかいほうなのか、クセっ毛というわけではないのによく絡まる。
それをエマが引っ張らないように優しくほぐしていく。
以前自分の世話くらい自分でやるよと言ったら、私の仕事がなくなります、と却下された。
エマのお世話は心地よく、今となってはミラは完全にされるがままだ。
食卓について、父と母と一緒に朝ご飯をしっかり食べて、身支度を始める。
着る服はこの前母に贈ってもらった浅葱のカジュアルドレスにした。
鏡の前に座り、いつもよりしっかりめに、けれど華美に感じさせないように化粧を施す。
白粉はごくうすく、控えめにブラウン系のアイシャドウを乗せ、いつも選ぶものよりも少し明るい躑躅色の口紅を引く。
髪は下ろしてあると動作が何かと大変なので、今回は編み込んで後ろで結い上げる。
そこにオリーブの葉をモチーフにした、白い櫛型の髪飾りを差し込む。
これで準備完了だ。
忘れ物がないかミラはもう一度確認して、馬車に乗り込んだ。
いつもお読みいただきありがとうございます!
ちなみにエマはスチュワート家に住み込みです。




