表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/32

エピローグ6 side 須藤旬

二人きりの旅行の話

やはりキョウコさんはキョウコさん。

まあこれからの展開に期待してください

 そう、その旅行の話。


 もう本当に嬉しかった。人目を憚らず、キョウコさんと一緒にいられるんだから、僕はどこでもよかった。ほんと、二人でホテルに閉じこもっていても。でも、それはいつでもできるじゃない? うん。だからね。キョウコさんに丸投げしたんだ。そしたらさぁ、はあーっ。


 嬉しかったよホント、一緒にいられたしね。何度も言うけどさあ。

 まあ、それは最初だけだったけどさぁ。キョウコさんとの旅行は色々な意味で大変だった。


 相変わらず、好きな事にぶっちぎりで進むし、あれ食べたいこれしたいと、パワーが凄かった。


 まず、キョウコさんが泊まりたいと言っていた香港のホテルに泊まりに行く。

 昔家族旅行で色々便宜を図ってくれたらしい。

 香港に着いて、空港に迎えの車が来ていた。それを驚くキョウコさんが可愛いかった。ホテルまではその車で向かう。

 予約してあるので、エグゼクティブフロアーでのチェックインだから簡単だろうと思ったら、その昔、キョウコさんが世話になったご本人がいた。そして、久しぶりねと、ちゅちゅ、ちゅとし始める。なんだそれ。日本人でやってるやつ初めて見たよ。

 

 で、ふたりで話していたんだけど、一緒にご飯食べるとかになり、彼の奥さん入れて四人で夕飯を食べることになった。

 その件の彼が、


「旬が羨ましい。キョウコはいい女だから」


 とかウインクしてくるし


「あれから、私は出世街道まっしぐらに進んだ。そのきっかけをくれたのはキョウコの手紙なんだ」


 とか色々言っていた。そして、キョウコさんが、


「これプレゼント、目指す地位に就けた記念にね」


 とか万年筆を贈った。


 僕はちょっと嫉妬したんだよね。昔からのキョウコさんの友人や同世代を見ると、本当に羨ましくって仕方ない。同じ時代を見てきたとかがね。その流れてる時とかね。


 まあその心の中のモヤモヤした気持ちは、その夜、ベットの中で解放させてもらった。


 ベットの中のキョウコさんは毎回驚かされる。そして、キョウコさんは僕で満足しているかとても不安になる。身体を重ねる度に。こんなに感じてくれる。

 うん。僕に、もしかしたら? 


 そしてその嬉しさの反面、その官能の、感じる身体を作ったのはあの夫なんだと思い知るんだ。そんな事ないと言われてもさあ。男の嫉妬かも知れないけどさあ。


 そして不安になる。その不安を打ち消すように激しく求めてしまう。

 この不安はどうすれば打ち消されるんだろ。


 その日、キョウコさんはその件の彼のために着物着ていたからね。僕だって、キョウコさんの着物姿好きなんだよ。と、僕は後ろから抱きしめてあげた。キョウコさんが好きな後ろからの抱擁。

 だから、キョウコさんがきゅんとなったのを見て、僕はとても嬉しかった。知ってるのは僕だけってね。 


 そして、、

 うん、どこでもキョウコさん。弄ぼうとしたのに、逆に弄ばれてしまった。


 翌朝、目が覚めると隣で寝ているキョウコさん。それを見て幸せを感じる。

 微睡の中、キョウコさんを抱きしめる。すると、キョウコさんが目覚める。


「おはよう」


と僕か声を掛ければ


「お、お‥、ごほっ、‥はよう」

と返信が来る


 昨日あまりにも愛し過ぎたせいで、キョウコさんの声が嗄れているのは愛嬌だよね。うん幸せ。


 お詫びに、朝食はルームサービスにした。邪な気持ちがなかった訳ではないよ、本当に。いや少しあった。またこのままベッドにってね。


 しかし、そんな僕の希望は、ご飯で元気になったキョウコさんに却下されてしまった。

 元気になったキョウコさんは


「須藤クン、香港は初めてだったよね?」


 と僕に聞いてきた。僕は頷く。


 僕は大学生の時から色々騒がれて、普通の旅行とか行った事ないと答えた。日本を回ったけど、あの老舗をテコ入れする時。里依と佐々木さんと地方を巡ったくらいだ。

 今も危険性があると、一人で電車に乗ることはしない。どこで恨みを買っているかわからないから。


「分かった、履きやすい靴履いてね。それと動きやすい服装でね」


 昨日のあのメロウな感じなんだったんだと思う感じで、さっさと支度して、船に乗って次はバスにと連れて行かされた先は、山の中に大きな大仏がいた。

 何処ここ?


 さあそこそこと、森に入って行く、突然ひらけた場所に出た。なんか空気まで違う。


 キョウコさんはイキイキしているけど、僕はバテました。昨日頑張ってしまったから。と言い訳したい。


 しかし、キョウコさんはタフだ。あれほど僕を受け入れてくれたのに、朝もルームサービスでご飯にしようと言ったら外に行きたいとか言うし、僕なんてコーヒーを飲むのがやっとだったんだ。

 そして、今、山に登ってる。

 はあ〜。運動不足なのかな?


 そして、出た、須藤クンお腹空かない?


「わたし、海鮮食べたい!」


 そんな感じに騒ぎ出して、今どこに行くか検索している。


 いや元気だね。


 それから、


「ちょっと豆花を食べて心とお腹を落ち着かせ、バスに乗って」


 とか言ってるので、もうタクシーにしてとお願いした。

「仕方ないね」

 と、豆花を食べながら、スマホを取り出し、タクシーを呼ぶ、キョウコさん。


「へえっ? 何してるの」


「タクシーを呼ぼうと思って、タクシー呼ばないとダメよ、今香港は。後、難しい広東語話さなくていいのもメリットよね」


 なんて言って、キョウコさんの奢りでタクシー乗りました。相変わらずです。


 またここどこ?って感じの場所でした。

 直ぐそこに海があるし、おばちゃん達が舟の上で、魚を売ってる。

 海鮮は美味しい。

キョウコさんは


「シャコよ。大きいシャコ!」 


 と、叫んでるし、あーお金あると好きなもの好きなだけ食べれるんだとか、危ない発言をしてます。


 で、僕は食事したのに、さらにぐったりしてしまった。キョウコさんが、泡飲みたいとシャンパーニュを頼んで、僕も飲んだせいだけど、しかし、、


「ごめんなさい。自分のペースで動いちゃった。ダメだったね。須藤クンと一緒なので、少し興奮しちゃった」


 と言ったあと、


「そうよね、旦那以外でついてこれるはずないのよね」

 

 とか呟やいているので、怒ったら、


「聞こえたんだ、うふふ」


 だと。悪辣な笑顔してます。

 まあ、食事したら僕は動けなくなり、そこから、再びタクシーで帰る事になったので、僕も強く言えなかった。


 夕飯は、お疲れなのだから、お部屋で軽くお酒飲むだけでいいよと、言ってくれたので、またルームサービスにしました。


 でキョウコさんは、またシャンパーニュを安い!と言って頼んでるし、流石、高級ホテル。料理が美味しいとか、キャビアもあるって頼んでるし。もう好きにしてと思う。

 ああー、お金あってよかったと思う瞬間。


 でも過去に女の子達に色々やらされた時、奢っても嬉しくなかったんだけど、なんで、キョウコさんとか、里依もそうだけど、あー勝手にしてとなるんだろう。不思議だ。


 まあ、美味しいものの対価を知ってるからかな? これが美味しいのはちゃんと理由があって、それで高いとか。

 そう、過去の女の子達は、コレ有名なのとか、TV で紹介されたとか、なんか情報を食べていた感じだった。そうか。うん。


 美味しい料理とキョウコさん、そしてシャンパーニュで僕は色々舞い上がった。


 部屋の中でふたりということで、キョウコさんに色んな事してしまった。

 自分がオヤジかと思ってしまった瞬間だった。


 そうか、この笑顔や僕しか知らないキョウコさんの顔を見れるならいくらもだす。ということか。


 キョウコさん、新しいステージへ連れて行ってくれてありがとう、だよね。


 翌日、僕は疲れていた。色んな意味で。

 まあそれは、キョウコさんと出会ってからはずーっとそうだったし。


 で、キョウコさんは、


「ねえねえ、マカオ行かない?」


 とかまたハイテンション。

 昨日あれ程飲んでいたのに、マカオでシャンパンフリーしたいとか。

 即刻却下したら、


「仕方ないから飲茶を食べに行こう」


 と言っていたけど、新幹線に乗ってなぜか広州にいた。


 じゃあと、広州では、有名な飲茶屋さんへ。そこは予約できないので順番をそこで待つのだと。2時間待ちらしい。中国はハイテクなのに何故? と思ってしまった、僕は悪くない。


 すると、


「須藤クン、お疲れだから、ここで待って」


 とキョウコさんが出かけてしまった。えっ!と思いました。

 そして、殆どタイムリーな時間に、席に案内される寸前に帰ってきた。キョウコさんは両手にいっぱい荷物持ってるし、布もお茶も買ってきたとか。なんか本当に疲れる。


「だって今回は、須藤クンのおかげで、飛行機代もホテル代もタダなんだもん。タクシー使えるし、もう、もう最高!」

 とニコニコしている。


「やっぱり、キョウコさんだね」


 とあのフレーズが蘇る。


 そんなキョウコさんと飲茶を堪能して、さあ香港へ帰ろうとしたら、新幹線の直行便がないって、言い出した。


「待って、大丈夫」


 と、


「乗り継ぎで、行けそう」


 なんて言うから、信じていたら、なんと北深セン駅でめちゃくちゃ走らされた。

そして、ふふふと笑って、


「間に合ってよかった」


 です。詳しく聞いたら、中国って余裕持たないと、実名登録で電車に乗るのですごく時間がかかる。そして、発車の5分前位にしかホームに降りられない。


 はあ、はあ、僕は疲れた。


 このまま無事に日本に帰れる事を望んだのは仕方ないことだよね。


 でもそんな僕の願いは翌日に無惨に打ち砕きかれた。

 やはり問題が起きた。

ちょっと郊外のファクトリーショップで、


「ここの作品好きなのよね」


というのでアーティストがやってるファクトリーショップとかに連れて行かれた。向こうもキョウコさんのこと知ってたみたいで、2人でなんか語り合っていた。


 で、なんと勝手に自分たちの作品を交換というか、コラボする事を決めてしまった。


 待って待って、僕がいるのにライセンス関係無視しないで。僕が里依に怒られるから。

と言うと、


「大丈夫よ。私個人の新しいものというか、彼女とのフュージョンになるから、私のライセンスには抵触するけど侵害はしてない筈」


 だと、だと、抵触した時点で僕、僕、叱られるし、忙しくなるのに。

 うわーと、頭を抱えながら会社に連絡を入れる。やはり、契約書を見たいと言われたので、その後ほとんどホテルのビジネスルームにいることになった。


「で、じゃあ、わたしは、ちょっと、出掛けても良い?」


と言い出すし、堪らなくなった僕はきつめに


「ダメなのは分かっているよね。そして、今、キョウコさんと一緒に旅行に来た僕、何で仕事しているのかな? どうしてかな?」


 聞いて見た。そしたら


「ごめんなさい。前は買うことしか支援できなかったし、香港とかに拠点とか縫製の工場欲しいし、色んな意味でタイムリーだったのよ」


とか言い、確信犯だったと白状した。


 まあ、一度日本に帰ってと言うと、キョウコさんは、まだマカオ行ってないのにと喚いたが、その原因を作ったのは君だろう。もう。


 僕だって、たぶんこれが最初で最後の二人だけの旅行なんだと分かっている。里依の一つの謝罪だった。無理やり結婚を迫った。だから、それに甘えた。それがこんなことになるなんて。ちょっと腹が立ってしまった。


 その上、今回のこの話をどうもっていくかで、思考を持ってかれてるので、ちょっと怒っているように見えたみたいで、大人しく隣で何かしている。まずいと思っても、キョウコさんをフォローできず、すぐ思考の渦に囚われてしまう。


 実は、キョウコさんを叱ったけど、本当のところ今回のこのコラボは、すごく面白い。これからのきっかけとしても。それをどう動かすか、ライセンスの話、販売戦略、その他諸々。うん。個人事務所でやるべきだと思うけど、会社の方で大きくやりたい。動かす金額も大きいし、海外が絡む。でもキョウコさん関係だし。間に里依をい入れればいいか。あと、キャラクター関係の専門を、法律、版権、商標関係は海外に詳しい者をと。海外を絡めることで、キョウコさんの言ってた手芸が女子供の手慰み物という地位から脱却しやすくなる。


 そんな話を里依に連絡して、準備させると、すかさず、里依から


「この案件はわたしがメインで遣りたい」


と、言ってきた。だろうな。里依の好きな仕事だ。海外での仕事だし、それ以前に複数の国のライセンスを纏めるという仕事だからね。


 里依とキョウコさんが一緒に仕事することになるのは、僕としては勘弁して欲しいけど。まあ、里依はこれから子供が産まれれば、産休育休で、事務所の仕事はお休みするとか言ってたけど、ならということか。

 まあ、どっちの会社でやるかは後で決めて、飛行機のチケット変更と羽田への迎えを頼む。


 キョウコさんは隣で大人しいなあと思ったら編物をしていた。見ると小さな靴下を作っていた。


「なにこれ?」


「貴方達の赤ちゃんの靴下」


 驚いた僕は何も声が出なかった。


「暇だったから。産まれたら忙しくなるしね。可愛いでしょう?」


 続けさまに、


「おくるみはもう編み上がってるし、あとはベストとかかな? 里依さんは使ってくれるかな?」


 なんて言っているし。僕は疲れた。今、僕が忙しく動いてるのは、貴女がやらかした事のフォローなんですが、、


 ちょっと腹いせに、その夜はキョウコさんにご奉仕してもらった。僕ら二人きりの最後の夜。その為に、帰国を翌日にした。

 ふん。その後も、美味しい物を食べたいとか言い出すし、ホテルのレストランで良いだろうとか言ったら


「ちょっと違うモン」


 なんて言うからさ、


「僕が忙しいのは誰のせい?」


 と聞いちゃった。そしたら、話しかけてこなくなって…


 で、僕はキョウコさんの新しい事業が面白く興奮気味で、もう堪らなくなって、身体も興奮して、先に寝てしまったキョウコさんを起こしてまでキョウコさんを求めたのに、朝もキョウコさんを堪能してしまった。


「あー、もうせめて今朝は街に出て飲茶したかったのに~」


 と、急いで飛行機をチェックインしないといけなくなった事を責められてしまった。本当に殆どホテルにいたようになってしまった。


深セン北駅で乗り換えの話実話です。

バラバラで買って発券したんですけど、知っている人は分かると思いますけど広くって大変でした。もっと早く買えばよかったんですけど、発券に時間が読めなかったのでね。

もう二度としたくないと思ったら、海外にいけなくなるし。ちょっとした思い出を絡めました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ