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林田さんの暗躍と僕のふたつ名

いやー忘れてました、こっちの方。なのでお終いまで連載続けます。

 これは、ちょっと前の話。

 僕たちが、シンガポールへ出かける前だね。


 その頃、僕は里依の代わりに、明日香を生活の中心としていた時だった。

 なので、昼間しか会社にいなかったので、珍しく林田さんからアポが入り、彼が会社やってきた。

 

 林田さんは、僕の部屋に入るなり、コーヒー入れ、ソファーに腰掛け、こちらを向く。

「あの記者会見の記者、やっぱりおまえさんの同級生と繋がりがあった。なので、始末したから」


「始末って? まさか」

 驚いて顔を向けると、

「ああ? 何言っている、今時そんな面倒な事するわけないじゃろう。それに死んだ方がましな事は、生きてると沢山あるからのう。お前さんのその山田という同級生とかは、一生地方の税務署を巡って、最後には、所長になれるかもしれが分からん。まあ嬢ちゃんもうざいとか言っていたからなあ。で、あの記者は、もう自分の不始末を潰してくれる『お友達』も居なくなってしまったから、大変だなあ。この間も、あのババアの会見を見ていた別被害者が、訴状を検察に上げたと聞いた。まだ他にも同じ事をやっているからのう、累犯になるかどうかは分からんが、これからが楽しみだなあ。まあ、殆どは民事となるだろうけど、世間はそんな事、分からんからな」

 また、薄く口を左右に引き伸ばし嗤う。


「そうですか、それで其奴らの繋がりって、何があったんですか?」

「ああ、単なる繋がりじゃなあ。保守派の集まりで知り合い、そこで、山田は、お前さんを、あの記者はババアを貶め、お前さんを叩きかったらしく、そんな事で意気投合したらしい。だからなあ、この間の質問もちょっと執拗で酷かった。ソースあるとかいっていたが、『ソース、オレ』の山田の話に其奴は乗っていただけってのう。その山田も自分の頭の中の妄想をソースとしただけじゃった。それ聞いたワシは頭が痛かった、ああ」

 と聞いた僕も頭が痛くなる。

「なんで、そんな妄想紛いの山田の話に大の大人が乗せられるんですか?」

「バカな話だからっていうのが真相しゃ。そのバカ話しを持ってきた奴に、全ての責任を取らせばいいからの。で其奴に今回は全て被せられたって訳だ。それに財界からしたら、目障りなボン、お前さんまで一緒にできるからとなあ、そんな感じじゃ」

「僕?」

「ああ、この所、動きが派手じゃったからのう。新規事業の支援はいい、本来の仕事じゃから。問題はあのガラス工場の件だな。ガラス工場一帯を非課税の経済特区。この話聞いて、普通は財務省が顔を縦に動かすことはないじゃろう? 新参の山師風情が、何を偉そうにということだ。財界はそんな感じに皆考えていたのに、それを『是』と言わした。まあワシが動いたのだから当然といえば当然。だか、世間はそうは見ない。それが財界では寝耳に水の事。まあこれで、ボンは鷹司とも懇意な仲というか、鷹司を動かせる者と知れてしまった。コレは仕方ない事だ。ワシが裏で動いたからのう。これからはこの件はもう大丈夫。まあ、あの時は、財界にもそんな事知らない者も多かった。だから、あのバカの話にマネロンだと、乗っかった奴らがいたという事だ。其奴らは纏めて始末できたしなあ。まあ、良かった。アレの事はもう済んだ事じゃ」

 と、よくわからない物騒なの事を言い出した。つまり、マネロン疑惑に乗っかった佐々木家の政敵もまとめてということだよね。いや多分、そんな事なくても、丁度良いとやったんだよね。やっぱり、林田さんは怖い。

 今更だけど、あのガラス工場の件は林田さんに任せて本当によかった。と心から思った。まあ、こんな物騒な話を僕は聞きたくなかったけどね。

「なら、もう文句だけ言う奴は少なくなるということですよね」

 と溢したら、

「そんな事ある訳なかろう」

 と林田さんが言う。不思議な顔して、林田さんを見ると、またあの薄く口を左右に引っ張り、嗤いながら、

「ボンは全方位、敵ばかりじゃなあ。今回の事で鷹司の配下だと思っていた須藤旬は、鷹司を動かせる者となったんじゃからな。あちらこちらから烏合の衆がわんさかやってくるなあ。あはは」

 なんて物騒な事言う。僕は、椅子の背もたれに寄りかかり、ため息をつき、反論する。

「僕はミッドシズンを鷹司配下にしたつもりはありませんし、鷹司を動かした事もありませんよ」

「だがなあ、世間ではそう見ないんじゃのう。知らんじゃったか、財界では、お前さんの事『坊や』って呼ばれてるのを? ウチの鷹司の坊や、後継候補らしいぞう。あはは」

 肩をバンバンとしこたま叩かれて、笑われたが、林田さんが、何を言われてるか分からず、訝していたら、

「ああ、財界の事なら、あのババアの所の馬場に聞けばわかるのう。そうかそれなら、嬢ちゃんでもいいのか? 友達じゃからのう」

 えっ! 里依も知ってるって何、それ。

「まあ、心が決まったら、ワシか庄田に言え、悪い様にしないからのう。そうだ、うっかり忘れる所だ、あの記者の被害者が訴訟費用をクラファンで募っておる。少しミッドシズンから出したらと思ってのう、きたんじゃ」

 手を自分のもう一つの平で叩き、こちらに指を上下に振り刺しながら言う。そんな大事な事を忘れないでで欲しい。里依が僕の秘書から外れて、もう、余り、いろんな情報が上がってこないんだから。

「わかりました、そちらは、会社からより、僕個人と、キョウコさん個人名義で寄付しておきます。情報ありがとうございます」

「うん、頼んだ」


 そんな事を言い、林田さんは部屋を出ていった。


須藤クンが鷹司の後継にリクルートされました。

まあそうなると思うよね。

ということで、まだまだ続きます。

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