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キョウコさんからのプレゼント


 里依は、あれからも何回か、キョウコさんの所へ行っている。なんか楽しいそうに、アレコレ言ってきた。


 「ねえねえ、これ見て、明日香のベビーハーネス」


 とキョウコさんが作ってくれたハーネスを明日香につけてる。


 「これで明日香が逃げだす事はないわ。ふふふ」


 「パパ、見て、明日香チョウチョ」


 明日香も気に入っているみたいだが、そのハーネスは、蝶々というより、蛾でないか? するとその疑問に気がついた里依が


 「ふふふ、私が蛾の模様好きって言ったら、キョウコさんが、作ってくれたの。可愛いでしょう」


 「蛾っ! しかし、子供に紐付けてって」


 と言えば、里依が、キッと睨み。


 「旬は明日香と一緒に出かけた事ないからそういうのよ」


 「あるだろ。この間もデパートにもディズニーリゾートにも一緒に行ったじゃないか」


 「そうじゃないの。ひとりでというか、明日香とふたりきりでお出かけしてないでしょう。うん、そうだ、なら今度スイミングに連れてって。次回、私、生理が来そうだから、休もうと思ったから。うん、そうすれば分かるわ。キョウコさんの方が、当たり前だけど、子育てよく知っているわ。私が、明日香がすぐ逃げるとか言ったら、これ作ってくれたくらいだもん。好奇心が旺盛だとかもアドバイスもらったし」


 そんな事を里依が言ってきた。

 よく分からないが、キョウコさんと里依は仲良しなんだと、不思議に思った。

 そうだ、スイミングに連れて行った。明日香はじっとしていなかった。それにひとりで無理だろう。僕の着替えなど待たずに、着替えさせたら、ひとりで飛んで行くし、目を離せば溺れるってか、沈んでいって、コーチが慌てて引き上げてくれた。そして


 「子供は溺れる時、バシャバシャなんて音しなく、ただ静かに沈むんですから、気がついた時にはプールの底に沈んでますよ。お父さん気をつけてください。そういえば、明日香ちゃん、腕輪してませんね。忘れないで下さい。危険ですから」


 と叱られてしまい、落ち込んでる。もう少しで、明日香を殺してしまう所だったんだと。

 そうハーネスは便利。ごめん、里依。僕間違っていました。ちゃんと謝ったよ。そして、里依の首には、新しいスカーフがあった。明日香のハーネスに似た模様でもう少し大人ぽい感じ、エスニックでもない、そうだエキゾチックな、そんな感じの。それに目を奪われていると、


 「ふふふ、気がついた? これね、キョウコさんが作ってくれたの。ダブルガーゼのスカーフ。春から秋、そうね、真冬以外は使えるわ。ダブルガーゼだから、子供が寝た時に掛けてあげられるし、汚れたら洗濯も洗濯機で簡単。でもおしゃれ」


 となんだ、そのキョウコさんが言いそうな、キャッチコピーみたいなセリフを言う。そういえば、蛾の模様が好きだからと言っていたなあ。なんでそんなもの。今までは、ブランド品しか身に付けなかったのに、なんで? 


 「気になる? これ新しいアジアのコラボなの。だから私が身につけるの。作っている者が、そのコラボに携わっている者が率先して身につけないとダメってキョウコさんが言ってきたのよ。わたしは自信を持って作っているからってね。だから私も。それに、これキョウコさんが作ったサンプルだから特別なのよ」


 よく分からないが、またキョウコさんが何か始めてるらしい事はわかった。

 そんな感じに僕達の部屋には、里依がキョウコさんの部屋に行くたびに、キョウコさんの作品が増えてくる。最初は、明日香のオモチャだったが、この頃は何故か里依のアクセサリーやスカーフなどの小物が目立つ。そして、キョウコさんがよく羽織っているジャケットも着ている。


「コレね、年配の方用かな? ってキョウコさんが作ってていたんだけど、私くらいの年齢だとどうかって、試しに着てみてと貰ったの」


 そんな事を言っていた。

 そういえば、釈明記者会見の時、似た様な、もう少しドレッシーなブラウスとあのスカーフを身につけた里依がいた。その上、僕の隣にはキョウコさんの着物ジャケットとそっくりな着物地のアンサンブルを着て、羽織紐はキョウコさんからのプレゼントだとか言い、僕を煽る林田さんがいる。


 「狡い、みんなでキョウコさんにプレゼントもらって、僕だけだ、キョウコさんの作品持ってないの」


 と喚いてしまったのは仕方ない。僕も欲しいキョウコさんの作品。


「うーん、須藤クンには贈れないよ。里依さんがいるからね。それにメンズはわたしの仕事ではない」


 だって。なんか腑に落ちない。


「えっ、林田さんのは?」


「アレは着物だからね。日本関連だね」


「あっ! 僕の浴衣があった。あれ欲しい」


 僕は思い出した。あの浴衣。そしたら、


「ごめんなさい。もう着る機会ないと解いて、明日香ちゃんの甚平にしちゃった」


「僕のなのに、なら、僕も何か欲しい」


 そんな事を言ってキョウコさんを困らせたが、キョウコさんはスポンサーに何かお礼をするという形で、アジアンノットの飾り紐をスタッフとスポンサーにと配った。実はコレ、キョウコさんと僕はお揃いというか対になっていた。それにこれだけはキョウコさんの手作り。


 「里依さんに内緒。わたしの一番のスポンサーに」


 と教えてくれた。

 ふふふ、キョウコさんとお揃いだー。やったね。


明日香ちゃんじゃないけど、子供って溺れる時って本当に静かに沈んでいくんですよ。

溺れたら、わかるって思っていたけど違いました。

それからは子供にはライフジャケットか腕輪してましたね。

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