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エピローグ18 side 須藤旬

 そうそう、里依の兄は、純という。僕は純兄と呼んでいる。里依と付き合い始めた時は、海外の大学に通っていると日本にいないかった。その後はアジア諸国で家業を手伝っているとかだった。たまに帰国した時は、アチラコチラに連れていかれた。僕に青春を教えてくれた人だった。


 それに純兄は、事有ることに、僕をからかう。僕がFX で大金を手にしたときも、


「そんな大金を手にしたとしても、額に汗をかき手にした金でなければすぐ消えてしまうよ。だって、簡単に手にいれたんだから、消えるのも簡単さ」


と、言ってたし、僕が起業家として名を上げても


「ふん、若手起業家として名を売っていい気になってるけど、老舗のテコ入れって、老舗あるきだからね」


 なんてこき下ろされた事もある。そう僕の高くなった鼻を折るのが好きな人だった。


 そして、僕が、里依をおざなりにして、キョウコさんの会社に入り浸っていた時、週刊誌に情報をリークしたのも彼だ。僕に揺さぶりをかけていたんだ、妹可愛さなあまりね。


 その上、僕の会社の出資者にそれとなくヤバいぞと不安を叩きつけていた。会社はガタガタになった。林田さんからも里依からも苦情が来ていた。

 それを


「僕はちゃんと夕方には事務所にいますから、きちんと仕事していますから」


 なんて言っていたんだ。知らないって怖いね。

 そうあの時は何も知らなかった。キョウコさんを取り込んで、浮かれていたんだ。だから、僕は脚を掬われていることを気がつけなかった。


 そして、秘密裏に週刊誌の記事を差し止め、代わりに他の情報を提供してとの采配は里依がやってくれた。だから里依の言われた通りに会社に戻り、里依と入籍し、一緒に暮らすことにした。

 それでやっと、純兄の揺さぶりも治まった。

 あの時、里依の言い分を聞いて僕が会社に戻らなかったら、僕が集めた投資のエキスパート達は会社を辞める寸前だったそうだ。

 里依の取り直しで表面上は留意していただけで、林田さんの動向次第では、とんずらするつもりだったみたいで、そうなると何時、会社が潰れてもおかしくなかったと、林田さんに言われたっけ。

 そんな会社の動向が見れない位、あの時の僕は、キョウコさんに浮かれていたんだと、純兄の嫌がらせで気がついた。


 だからこそ、僕は、あの二人には頭が上がらない。そして、今回のキョウコさんに対する出資で、もう僕は純兄に何も言えなくなってしまった。


里依さんのお兄さんのことでした。

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