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エピローグ12 side 須藤旬

須藤クンと林田さんの絡み。

親子みたいで楽しい。

 そう言えば、キョウコさんと仕事したいと言っていたウチの顧問は、毎日愉しそうに僕に報告にくる。


「ボン! お前の彼女、本当に専業主婦だったのか? ワシに向かって引退した方がいいとか、引き際は、年取ると難しいですよね。なんて言うんだぞ。ワシを誰だって思っているんだ」 


「何度も言いますが、専業主婦だったから林田さんの事を知らないんじゃないんですか? それとも引退したくなったんですか? それなら林田さんの投資会社、僕に譲ってください」


「いや、そんな気はねーよ。時代を見れないなら引退した方がいいとか抜かさすから、バシッて色んな事押し付けたらさ、やはり年のせいで判断が鈍ってませんか?なんて言われて、戻ってきた物を精査したらさあ、ワシは日本しか見てない気がしてきたんだ。だからな、世界を見るまで絶対に引退なんかしないぞ、老害といわれてものさばってやる」


 と喚いて僕の部屋から出ていた。

 ある日は


「なあ旬、金持ちになりたい、有名になりたいって普通に思うよな?」


「僕は別に金持ちになりたくって金持ちになったわけではありませんし、有名になって不自由の方が多いんです。まあ、お金は色んな意味であった方がいいですけど」


「けっ!二人でおんなじ事言いやがって、金持ちになりたくないなんて、信じられない。地位と名声を持ってなんぼのものだろう。お前ら何かが足りたない、そうだアグレッシブさだ! もっと貪欲になれ! 若いのに弛んでる」


 とひとり興奮して帰っていった。またある日は、


「なあ旬、物を作るなら芸術品の方がいいはずだよなぁ? その方が高く売れるしなぁ真似もできねよなぁ」


「それキョウコさんの話なら、キョウコさんは生活に根付いた物をこよなく愛してますね。ちょっとした物なのだけど、でも他に無いもの。その上ちょっと無理しないと買えない位の価格帯。そうしないと大切にしないからとか言ってましたね。そうして丁寧に作った物は愛され慈しみされ長生きすると。そう言えば、『わたしの作った作品がいつかはつくも神になると嬉しい』とか言ってましたね。後、『コピーはあれだけど、人の作品を真似しているとふとある日、何か分かった事があるの。そうして自分の中で昇華された物はその人の作品となるのよ。まあ中にはコピーだけで終わる人もいるけど』とかも言っていました」


「なんだ、それ。つくも神? 海外向けにどうやって展開するんだ、あぁ? それにコピー品容認? 全く。そんな甘いこと言えば直ぐにその手に餌食になる。何でそこまで甘いのか、分からん」


 そして、今日は、急遽、キョウコさんと里依がシンガポールへと会社登記のために出掛けている。一緒に明日香まで連れて行くと。全く、遊びじゃないんたよと、思ったしその事を告げたが、行ってしまった。

色々なことが重なって、すべてが前倒しになっている。そう、あの時はなぜか、すごいスピードでもの事が進んでいた。そして、いつもの台詞


「キョウコさんだから」

 

で皆が納得していた。


 で、目の前のこの人は、本当は自分がキョウコさんと、一緒にシンガポールへ行きたかったのに、行けなかったからね。だって、この僕がマネロンしていると、特捜が動きそうとかだったんだ。だから顧問の林田さんに動いてもらった。


 それなのに、暇な時間ないはずなのに、嫌がらせか、僕にちょっかいを出しにここにきている。


「ボン、お前は何しているんだ」


「あぁ、これですか? この間のガラス工場の支援のプロットです。林田さんはお忙しそうなので、僕がメインでやってます。もう最終段階になってます。ガラスのアートタウンにして、作家と地域を支援していこうと思っています。キョウコさんが言っていたみたいに後5年経つと面白い感じになりますね」


「ちょっと見せてみろ」


「嫌です。僕もキョウコさんと仕事したいんですから」


「おまっ!」


 と叫ぶと林田さんは僕の資料を取り上げ、読んでる。


「お前、言っていることとやってること矛盾しているぞ、俺がガラス工場をやらせろと言ったら嫌って言ってたくせに自分は、手出しているじやないか? なぁ」


資料を奪うと、目の前のソファーにばっさりと座り、顎を手で摘まむように何度も繰り返している。


「この仕事の僕は投資会社の社長としてやってます。キョウコさんの会社のCOO. では、ありませんからなんの矛盾もありません」


「はぁ? 物はいいようだな」 


 こちらを資料越しに見ながら、今度は資料の束をトントンと指で弾いてる。もっと資料をとのことだろう。プリントする。うぃーんとプリンターがうなり印刷していく。


「そんな事ありませんよ、金は会社から出すんで、より良いメリットを取る事は当たり前です。あの場所をガラスの聖地にします。自治体の方は話がいってます、観光地開発もちょうど、各都市から国内LCCが飛ぶとかなので、ホテル誘致を絡めました。あそこ川があるから、そこを川沿いに遊歩道にして、ガラス灯なんかつけてロマンチックな運河ぽくするといいかな?なんて思ってます。やはり資金力があるとできることが違うってキョウコさんが言ってくれたしね」


「なんだ、ワシに隠れて何をしているかと思えば。ふん、コレの方が面白そうだな?」


「コレは、譲れませんから。僕がここまでにするために色々折衝したんですから。林田さんはもっと大きな世界に向けて仕事してくださいよ」


 そんな事を言いながら、できた印刷物を渡す。


「あぁ? なんでボンはそうやって意地悪なんだ?」


「指導者がよかったからですよ?」


 「ふん!」


 林田さんは、不貞腐れて資料をテーブルに放り出し、


 「なんであのババアは、こう、次々と面白いことばかり始めるんだ。全く。そうだな、お前がこっちの仕事さぼって、あの会社に入りびったってた時に嬢ちゃんからあの会社の帳簿を見せられたんだ、その時からずっとだな」


 と、僕が、キョウコさんの会社にいた時の話を突然語り出した。


「嬢ちゃんがひとりで会社切り盛りしていたなあ、あの頃は」


「そんな事ありませんから、ちゃんと仕事は夕方からやってましたから」


林田さんは「ふん」といい、続けた。


「まあ、聞け。ワシは嬢ちゃんに

『色恋にトチ狂ったヤツなんて、捨てておけ。もうアイツはだめだ。投資家として出資者を裏切っている。無責任だ』

と、言ってやったんだ。そしたら嬢ちゃんは

『旬は、ちゃんと指示は出しているし、会社にいないだけで仕事もしているわ。夕方には事務所の方で、全ての仕事をチェックしているわ。ダメだなんて思いたくない』

『あー、お前も旬に惚れてるのか』

あの嬢ちゃんが、素直にこっくんって頷くじやないか、はぁ?ってこっちは思ったんだよ。


『旬はきっとこっちへ戻ってくる。だって親も捨てて、就職もできなくって、生活するためにがむしゃらになって頑張っで作ったのが、この会社よ。あんな、辛い思いしたんだから、絶対に戻ってくる。だから、私は戻って来た時に、失望させない様に、居場所があると分かるように、それに里依がいたからと言われたいから』

『はぁ? そうだとしても、何を引き下げて戻ってくるんだ。自分の仕事を放っぽりだして。あぁ?』

『これが、旬の起こしたあの女の会社の財務貸借対照表と帳簿の写しです』


 ワシはその資料を受け取って見たんだな。なんだコレ? まあ、ボンが上手くやっていて、友達を支援を餌に無給で、巻き込んでやってるとしても、面倒なEC部門を切り離して、給料として払ってるのは、社長だけらしい。それでも何でこんなに利益あるんだ。

 業務計画書も貰う。タイアップとして地方の商工会を巻き込んでとか、そして、その時のタイアップしたその土地の名物は都内でも人気な品となっているし、新しい名物も作っている。

まあ、旬が付いてるんだからと思うにしても、こんなアイディアをヤツは持っていたのか?と疑問はある。   

 それは嬢ちゃんもだろ。すると嬢ちゃんが、

『旬が唯一、この会社作るときに残した老舗チームにフォローを任せてると聞いたんですよね。それも驚きました』


 そんな話をしていた。

 その時だよな。ちょっとマスコミの動きがヤバいな?と思ったら、すぐに、やはりマスコミが感づいたと、ボン、お前からから連絡がきたと。


 まあ、特にその時、数ヵ月いや一年くらいになるか、いくら引きこもり投資家と言われても、殆ど表だって姿を見せてないし、病気かと、疑われるよな。それの裏付けでマスコミも動いた。で、蓋を開ければ、愛人の為に趣味の会社を作った! その上、自分の会社を放りだして、その会社に入り浸ってる。もう格好のスキャンダルだ。大手でも動くだろう。それが事実なんだから。

 まあ、そこでボンは嬢ちゃんに泣きついてきたんだな」


「それは違いますよ。里依しか対応できないから、連絡取ったまでです」


「ふん、お前さんもできなかったんだろう?同じではないか。

 まあ、それでマスコミ対策として仕方なく、以前のようにお前さんは、昼間も会社に戻り、事務所と行ったり来たりしていた。すると今度は、嬢ちゃんが妊娠したからボンと入籍したと。おいボンお前、大丈夫か? 何を血迷っているんだと、そう思ったさぁ、その時。まあ嬢ちゃんが、お前を強請ったと。まあそれ以前に、ボンと嬢ちゃんの関係は会社の皆は知っているし、対外的に社交には嬢ちゃんが付いて回ってる。なので全くもって不思議でもないが、今ここで結婚しなくてもいいんじゃないか~って、ワシは思ったさぁ。それもデキ婚だぞ。いつの話だ? そして、会社の共同経営者にする? はぁ? 会社を潰す気か? まあ、実際は、株式の分配だけで、会社の実務はボンが握ると、個人事務所は嬢ちゃんのものとなってたけど、こっちもそろそろケツ巻くって逃げる算段しなくてはと思ったくらいだ」


 そう言うと、林田さんは、部屋にあるコーヒーマシンにカートリッジを入れコーヒーを淹れてる。コーヒーの香りが部屋に流れる。


「僕の分もお願いします」


 顔ををすくめ、嫌な顔しながら、次のカートリッジを入れて僕の分のコーヒーを用意してくれた。僕は話が長くなると、ソファーの方へ向かう。

 備え付けの冷蔵庫から牛乳を出し、レンジに入れ温める。


「チン」


 という音がする。それをコーヒーに入れる。

 こちらを見てる林田さんに気がつき、顔をあげると


「お茶位秘書に入れさせれば、と社長の矜持がないと前言ったなぁ」


「ええ、僕がコーヒーマシンを入れたときですよね。そう言えば、林田さんは社長が何でも自分でとかするなーって、怒り出しましたね」


 僕が笑いながらその時の事を思いだし、


「そう、後から林田さんがコーヒーマシンが使えなかったんと知ったんです。で人を使うと。僕は命令して人を使うのがイヤなのと、お茶やコーヒー位で人件費使うのが勿体なかったんですよね。そのコーヒーマシンはタダでしたから、カートリッジを買えば。その上秘書は里依がいればいいし、他の人がここに入るのはあまり好きでないから」


「ホンマ、ボンは人嫌いだよな。昔の話は聞いたが、それでそうなるか? ワシは面倒なことはできるヤツを、誰か使えばと、未だに思っている」


 そう言い、コーヒーをすすっている。


「まあ、こんな話をするときは誰もいない方がいいけどなぁ」


 ポツリと溢した。


 そう会社の社長室は小さめにして、執務机にモニター2枚、プリンター兼コピー機、コーヒーマシンに電子レンジ、冷蔵庫がある。ここに何時間もこもれる。その上、入れるのは里依と林田さん、佐々木さんと会社の秘書、数人だけ。

 打ち合わせ用の部屋は別に用意した。あっちを見ればアレが社長室に見れる。それも大事。

 そう、部屋を見回してると、林田さんが、


「合理的と言えば合理的なんだよなあ、コレ。そんな合理的な塊が、あの時はワシが、嬢ちゃんが、何言っても聞かず、あのババアの会社に入り浸っていたんだからな」


 僕は林田さんを睨み付け、


「キョウコさんです。二度と僕の前でババアとか、言わないでください」


「どっちでもいいよ、ワシにとっては。で、そのババアの為に大金使い、街興しかー。それも自治体も巻き込んでなあ。コレじゃ、嬢ちゃんが、お前を繋ぎとめる為に最終手段を使って強請るのもわかるわ~。この案は、あのバーさんがか?」


「違いますよ、僕のです。まあ、老舗チームのカッチンに素案を任せました。ずる休みしてキョウコさんを追いかけて、深センへ行った時に一緒に見た街がヒントですけど。ほら、僕が1日行方不明になった、林田さん、滅茶苦茶怒ってきたあれですよ」


 そうなんだ、この間キョウコさんが、老舗チームと深センに行ってるって聞いて何も考えず、すぐの飛行機のチケットを押さえ、回りに黙って深センまで行ってしまった。仕事を放り出してね。後で林田さんと里依にめちゃくちゃ怒られたけど。


 その時キョウコさんが、連れてってくれた場所を見て、あーあこうすればこうしたいって思ったの。


 その後、キョウコさんが、あれもこれもとか、言い出して、驚いたけど。


須藤クンって林田さんに頭が上がらないって思っていたけど、言いたい放題なんですね。

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