エピローグ11 side 須藤旬
えっ!金持ちってそんなことできるんだ~と、須藤クンが速攻深センへ
だからさ、我慢していたのに。それなのにキョウコさんは狡いんだよ。頼まれたからって、老舗チームと深センへ行っちゃたんだよ。僕はまだ行ってないのに。
なので、僕、お仕事をずる休みして深センへ行っちゃた。たった1日だったし、できる事は少なかったけど充実した1日だった。うん。
キョウコさんと一緒に地下鉄に乗って、ちゃんとスマホでピッとやるやつ、やってみたし、スマホ買って中国のSIMも契約してと、後スマホ決済もやってみたよ。DiDi 呼んでもらってキョウコさんとドライブしたし、楽しかった。
まあその時、キョウコさんが、お掃除ロボットを買うときに、ちょっと言ったことが今も心の中に深く澱のように沈んで、淀んでいるようなんだよね。
それは、
「ウチにはちゃんと200vのコンセントあるからね」
と、そんな一言なんだけど、そうその『おウチ』はキョウコさんの自宅で、今住んでるマンションでないんだよね。そうそれがね。こんな時にすらっと言われると、キョウコさんが大好きな『おウチ』を出なくてはならなくなった事実、僕との関係を考えてしまい、僕の心に、トゲが深く突き刺さってしまう。
キョウコさんにとってのおウチは、未だにあの夫と住んでいた『おウチ』なのかなと。
まあ、あの『おウチ』はキョウコさんの実家で、そこにあの夫が建てたものらしいから、流れる歴史が違うんだろね。わかるけどさあ。
その後、ばつが悪そうな顔したキョウコさんが僕の中に残像のように残り、たまに浮き上がる。ちゃんと否定してくれたけど。独り暮らし始めて多分2年くらいだし、深センへ行ったのは、家を出てから初めてだと思うから、次来たらコレ買おうとか思っていたんだと思うよ。だけど…。
まあその前に僕は、キョウコさんと一緒の仕事を思い付いたんだ、だからそれに全力投球させてもらう。それで憂いを払うと。それがいい。一緒にたくさんの仕事をして、色んな想いを積み重ね、そうすれば『そんなこと』になると思うから。
そういえば、キョウコさんに感化された地方の老舗後継者である若旦那達が、そうあの深セン出会った人の一人だ。作業ロボット作ったとか、
「日本に持って来たいけど、どうしたらいいですか」
なんて老舗チームから相談された。僕が知るはずないだろ。と言ったけどさあ。でキョウコさんが友人関係でどうにかしたと後から聞いた。本当に本当に、あの会社、なんだ。まあ、キョウコさんに聞いたら、
「中国って電気製品を輸入するのは大変だけど輸出は楽なのよ」
とか言ってだけど、僕は「はぁ?」と言うだけだった。
そんな感じで、キョウコさんの会社も老舗チームも順調に延びてる。
まあ、作ったのは僕だけどさあ。その上、誰でも社長になれるうに、他業種とネットワークが作れるようにしたのも僕だけどさあ。
そして、今は自分達で同業支援とか、自分達に必要なお菓子の形を作っている会社のテコ入れとか、原材料を作ってもらうとか、もう僕が分からない事まで始めている。あそこは手芸のハンドメイドの会社じゃなかった?
そう、あの老舗のチームにキョウコさんの会社を見させたのが間違いだったと、今、思っている。
深センネタって色々あるけど、うまくからめられない。




