名探偵の女の子とねずみさん
すやすやとお昼寝をしていた女の子は、がそごそとした物音で目を覚ましました。
「なーに?」
「さがし物をしてるんだ」
部屋の片隅に一匹のネズミさんがいました。
「何を探しているの?」
「分からなくて」
「なんで?」
「ずっと思い出せなくて」
「私に任せて。私、名探偵の女の子だから」
優しい女の子は困っているねずみさんを助けることにしました。
最初にお母さんからパンを貰い、ねずみさんに上げます。ねずみさんのお腹がグゥーと鳴ったからです。
「美味しいよ。僕、お腹ペコペコだったんだね」
「良かった。これで解決だね」
「ううん、違うかな」
ねずみさんは大きくなったお腹をさすりながら、申し訳なさそうに言いました。
じゃあと女の子は弟に服を借りてねずみさんにあげました。ねずみさんが震えていたからです。
「温かい。僕、体が冷えていたんだ」
「良かった。これで解決だね」
「ううん、違うかな」
ねずみさんはぶかぶかの服を着ながら、済まなさそうに言いました。
そっかと、次に女の子はお父さんに屋根裏を貰いました。そして、ねずみさんの家にしてあげました。ねずみさんには家族がいないと聞いたから。
「嬉しい。僕、皆と一緒の家に住むんだね」
「良かった。これで解決だね」
「うーん、違うかな。嬉しいけど違うかな」
女の子は困りました。女の子が欲しいものは全部あげたのです。だから、お外で2人で考えることにしました。
町の外には花畑が広がっています。
2人はさがし物を忘れて、仲良く花を摘んだり、寝転がったりして遊びました。
「はい。出来た」
女の子は小さな花冠をねずみさんの頭に載せて上げました。
「嬉しい」
「うん、私も嬉しい。解決した?」
「してないかな」
でも、2人は笑い合います。
「れんげのねずみさん、帰りましょうか」
「れんげ?」
「うん。その冠、れんげで作ったの」
女の子はねずみさんの頭に載せた花冠を指差します。
「嬉しい。名前みたい」
「そうだね。ねずみさんはいっぱいいるけど、れんげのねずみさんは一匹だけだね」
「うん。ねずみどもとか、お前達とか、もう呼ばれたくないなぁ」
「そうだね。私はれんげさんって呼ぶよ。あれ? もしかして名前が欲しかったのかな?」
「あっ、そうかも。ありがとう。名探偵だったね」
「でしょ。れんげさん、帰ろっか」
互いに笑い合います。そうして、2人は手を繋ぎながら、仲良く家へ向かうのでした。
おしまい。




