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第7話

「忠告はした。動かなければこの国は負ける」

ボクとエリスはその場から立ち去った。


「どうしたら親子でそんなに仲悪くなるのかね」

右に立つ人物が首を傾げながらそう言った。

「どうされますか」

「準備を整える。急げ」

「かしこまりました」

「信じてはいるみたいだね」

「良かったのこれで」

エリスの声には焦りがあった。

「目的は果たした。あれ以上あの場にいる必要はなかった」

「もし動かなかった、私たちだけでウーティスCo.を相手にするのよ。それは駄々の無駄死になるだけ」

「動いたとしてもクロノスが守るのは自分の会社だけだ。どの道ボク達だけでウーティスCo.を相手にしなくてはならない」

「ハ!意味わからない!じゃあなんでわざわざ教えてあげたの!」

「地方に散らばった戦力を一か所に集めるためだよ。国戦なら一か所に戦力を集めるのはリスクが高いとされ、戦力はあえて散らしておくリスク分散がセオリー。でも戦争となると散らばっていた戦力を集めざるを得ない。こっちにとっては好都合。あとはどこまでウーティス側がそれを削れるかだ」

「あなたの目的は今はどうでもいい!被害を最小限に抑える事が大事でしょ!」

「一点突破それが最も被害を抑えられる。相手の本陣に向けて最短ルートで攻めに行く」

「うまく行くの、それ」

「ボクとエリスだけでは無理だね。仲間が必要だ」

「作戦があるみたいね。聞かせて」

「それはこれから行く場所についてから」


とあるビルの一室

「アンナ!なぜ作戦通りにいつも動かなかった!」

「イーズの作戦はややこしいの!このタイミングで攻めろとか、そこまで行ったら一度引けとか、そこは後回しでいいとか、そこは無理しなくてよかったとか。

先陣をきって戦っているは私!そこの状況をよく知ってるもの私!会社にずっといる人にはわからないのよ!」

「僕はアンナが戦い易い様にいつも作戦を立ててる!危なげなく戦える様にタイミングを見計らって、これ以上はアンナの負担が大きくなると思って引かせたり、先に倒しておくと後で楽になる相手とか、無理させない様にいつも作戦を立ててるつもりだよ!」

「伝わらなーい!そんなのやりにくい、アンナの事はアンナが考える!余計なお世話だよ!」

「アンナのためにやったのにそれは無いだろ!もう作戦は立てない!」

「立てなくても勝てるもんね!」

「可愛げのないやつ!」

「ムカつくやつ!」

2人が言い争いをしてる中、アイナとスベルクもまた衝突していた。

「スベルクこうだよ」

『プウ・ウー、プウ・ウー』

「…」

「だからこう」

『プウ・ウー、プウ・ウー』

「…」

「だから開戦したらこの音を鳴らすの。それをあなたの能力の風を使って知らせて欲しいの」

「…」

「いらないけど、いつも気づくと戦いが終わってるの。開戦したとわかれば緊張感を持てるでしょ」

「…」

「なにかするわけではないけど、やってよ」

「…」

「もー」

トリスタンは頭を抱えた

「このチーム我が強すぎるーーーーー!まとまらなーーーーーーい!」

「トリスタン大丈夫か」

トリスタンはボクの顔見ると涙目になり抱きついてきた。

「ルイス!やっと戻ってきたのか!」

「ルイス聞いてくれよ、アンナがゆうこと聞かないんだよ!」

「違う!コイツが自分勝手すぎるの!」

「ルイス、スベルクが指示に従わないのよ」

「…」

「皆んなの話は後でゆっくり聞くよ。今はボクの話を聞いてくれ」

5人は話をやめボクに目を向けて、隣の女性にも目を向けた。

「彼女は新しい仲間、エリスだ」

「違う!仲間にはならない!」

「エリス、良い名前だ!よろしく」

トリスタンは手を出した。

「馴れ合わないわよ!」

そう言ってトリスタンの握手を拒否した。

「…」

トリスタンはすごく落ち込んでいた。

「計画が変わる」

「そうなの、もう少しで国戦に参加できるとこまで来たのに」

トリスタンがさらに落ち込んだ。

「ごめんな、トリスタン。でも無駄ではない。みんなもどうして良いかわからない、不安のなか行動してくれありがとう」

「うまく行かなかってこと」

イーズが質問してきた。

「状況が大きく変わった。戦争が起きる」

その言葉を聞いた瞬間、みんなの顔が引き締まり、笑顔は消えた。

「時間はもう無いみたいね」

アイナが言った。

ボクは壁に地図を投影させた。

「これから一人一人各街に行きそこで会社をまとめて一つの軍を作ってもらう。だか敵に攻める事はしなくていい。守りを優先してくて。そこの街をそこの会社を束ねて守る、それを最前線で行ってもらいたい」

「1番戦いが激化する、クロノス側とウーティス側が面している街に行きそこを趣旨するのが役目ね。うまく行けば得られる信頼は大きい。それにウーティス側はクロノスの準備が整う前に決着をつけたいから、戦力を一箇所に集めて突破を図る。そうしたら道を作り上げてクロノスまで誘導していく。それが大きな計画の枠組みって感じかな」

「トリスタンの言う通りだ」

「他国からの戦力も加わると思うが正面に面しているウーティス側とからその増援がくるとは考えにくい」

「来るなら後方の海からだろうね」

「イーズもそう思うか」

「ウーティスが海を超えてくるとなると相当の時間がかかる。ならウーティス側に協力する国が海から攻め立てて逃げ場を断つ、それが最も勝率が高い戦略になる」

「でももし、そうならずに正面から全戦力がきて徐々にクロノスの領土と戦力を削ってきたらどうするの」

アンナが言った。

「そうさせないために、ボクがウーティス側に攻めに行く。ボクがウーティスCo.を潰すのが先か、クロノスCo.が潰れるのが先か」

「いくらルイスでも勝率は低いでしょ」

アイナが言った。

「だから政府のエリスがいる」

「その子が政府、本当かそれ。若すぎるようだけど」

「本当だよイーズ。1年目にして天才と呼ばれているぐらいだ」

「天才ねー」

「過度な期待はやめて頂きたい。私はやれる事をやるだけ」

「気が強い子は出来る子って決まってるだよ、知らないのイーズ」

「アンナは黙ってろ」

「イーズとは仲良くしなくて良いからねエリスちゃん」

「話を戻す。トリスタン、集めた情報を教えてくれた」

「わかった。まずウーティスCo.の兵力は人造人間約1110万、幹部が8人。これにウーティス側の会社が全て加わるとなると1億5000万もの兵力になる。それに比べクロノスCo.の兵力は人造人間5100万、幹部10人。わたし達がこれから行く街の兵力は全て合わせても2000万。国戦に向けて他社はクロノスに物資などを供給しているから、戦争になり自らの会社を守りながら、人造人間を量産し戦に出るというのは難しい。だから現状クロノス側が準備できる、兵力はこれで背一杯だろね」

「数では圧倒的に不利。さらに他国が加わるとなるとさらに…勝率は0に近い」

エリスがそう言った。

「数だけ見ればそうだね。でもあくまで城攻めをしてくるのは相手側、それぐらいの兵力差があって当然。城攻めで兵力が互角では話にならない。問題は相手側の幹部の振り分けだ」

「そうだね。8人いる幹部の中で7人が知恵の能力、1人は力の能力。要注意なのはこの力の能力者。調べたところ氷の覚醒者だ」

「覚醒者は強力だけど、こっちには私とスベルクそしてルイスがいる。そこまでトリスタンが警戒するのはなぜ」

「それは覚醒者なった時の条件がルイスに似ていること」

「どうゆうこと?」

「アンナとスベルクは自分と相性が良いモノに触れることで、そこに宿るエネルギーが一時的に身体に流れ込んできて能力を扱えるようになる。そうだね」

アンナとスベルクは頷いた。

「でもルイスはそこに何も無くても覚醒の能力が使えるんだ。つまり身体の中にそのエネルギーが存在し溢れ出ている状態。ルイスの身体を動かしているのは心臓から送り出される血液や酸素ではなく、雷そのものの膨大なエネルギーなんだ」

「トリスタンの見解は正しい。覚醒者には二種類ある。身体に宿す者と触れたものを操る者。この2つは、操るエネルギーに大きな差がある。氷の覚醒者が前者なら相手にするのは厄介だ」

「相手もスピード勝負でくるなら、コイツが前線の核になるのは間違いない。それを対応するのは敵線に攻め入るルイスではなく。クロノス側を守る、我々の誰かだ。だからこれから決める配置が重要になる」

「ここからはイーズの出番だ」

「お任せを」

そういうとイーズは壁に映る地図に近づいた。

「俺の考えは集中防衛だ。ルイスが言っていた各々がバラバラの街に行き、そこの会社を束ねて防衛する方法は正直厳しいと思っている。理由は2つ。クロノスCo.のように自国ではなく自社を優先して守る可能性があること。そしてもし一点突破してきたとしたら、戦場になった街は甚大な被害がでる、それにそこを指揮する者も無事では済まない」

「皆んなそれは承知している。戦争は綺麗事だけでは止められない。イーズもそれは分かってるでしょ」

「駄目だ。誰かが犠牲になる作戦なんて立てない。その戦いで誰かが死ねばそれは全て俺のせいだ」

「そんな事ない!みんな自分の命は自分で守ってる。だから誰もイーズを責めたりしたない!」

「アンナは分かってない。自分の命を重さを」

「私のことは私がよく分かってる!自分が死ぬことがどれだけその戦いを左右するのかも!」

「それを踏まえて作戦を立てる者の気持ちはわかるのかよ!」

「…」

その場が静まり返る。

「ごめん暑くなりすぎた…。でも怖くてたまらないだ。戦いが終わって全員がこの場所に戻って来るまで生きた心地がしないんだ。1人でも帰って来ないとそれは僕にとっての敗北になる。全員が無事に戻ってくることそれが勝利。…そのための作戦を立てたい」

『イーズは自身も戦の駒として戦略を立てる。戦場に立つ側も、作戦を立てる側も両方知っているからこそ抱えるものはボク達は非ではないのかもしれない』

「…」

「ここにいる全員が信じてる。だからその背負ってるものを少しでいいから分けてくれないか。ボク達は必ず生きて帰る。自分の命優先で行動する。だからイーズが作れる最高の作戦を立ててくれ」

ボクはそう言い、イーズを両手で包み込んだ。

「ありがとう…」

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