第4話
「それってどういう意味」
ボクはその場を去った。
「なにあの人」
信用はできないが、嘘を言っているようには思えなかった。
次の日、私は怪しんでいる会社の見張りを強化しようと思い、上司の人に相談した。
「アノルドさん、お話があります。お時間宜しいでしょうか」
「エリス、ちょうど良かった。私も話をしょうと思っていた」
私達は屋上に上がった。するとアノルドさんは言葉を発した。
「余計なことはするな」
私は察した。この人はあの会社と繋がっていると。
「それは出来ません。私達の役目はこの国のルーキーを守ることですから」
「だから私は、お前が嫌いなんだ。少しは利口に生きろ」
「失礼と承知で申しますが、あなたのやり方が利口とは思いません」
アノルドは私の顔を殴った。左の頬が熱をもち痛みがはしる。
「お前のそうゆう所が気に入らないんだ!」
「そんなに出世が大事ですか、そんなに偉くなりたいですか、そんなに地位ってものが大切ですか。そんなのどうでも良くないですか。私欲のためだけの行動には誰もついてはいかないです!」
「この世界は出世が全てだ!上の地位になればなるほど、皆から慕われる。そこには価値がある!自分の人生を賭けてもいいと思える価値が!お前にはそれがわからないのか」
「わかりません!そのためならなにをしても良いんですか。小さい会社を利用し、ルーキーを襲わせ、それを自らで助け、実績を重ねる。そんなことをしてまで、皆から慕われることになんの価値があるですか」
「そんなことがあることなんて誰も知らない。皆が知るのは成功だけ、そこに至るまでの経緯なんて誰も見ない。それが人間だ!成功者を見て羨み、敗者を見て優越感に浸る。成功者と敗者は紙一重、行動した結果がそうだっただけなのに…。俺は成功者になりたいそれだけ、そこまでの道のりを見ないなら、なにをしても良いだろ。バカが知るのは俺が成功したワンシーン、それだけで十分だ」
「それでは、あなたが救われない。本当にそんな成功を望んでいるですか」
「実績を積み、昇進することそれが俺にとっての救いだ」
「そんな人生、つまらないです」
アノルドは腕時計から刀を転送させ、斬りかかってきた。
「何も知らないお前なんかに、そんなことを言われる筋合いはない!」
私も刀を転送させ攻撃を防ぐ。
「政府の幹部にそのようなやり方をして、なり上がった者がいるのも知っています。私はそれが許せない」
「お前の正義なんてどうでもいい!この人生は俺のためにある、全ては俺の思うがままだ!地位も名誉も俺のものだ」
「気持ち悪い!」
「組織には組織の考えがある、それに従えない奴は辞めればいい」
「やめたら政府を変えられない!」
私はアノルドの刀を弾き飛ばした。
「変える、お前が政府を変える、馬鹿が過ぎるな。政府の歴史は古い、時代と共に闇も深まってきた、綺麗事だけでは世界のバランスは保てない!」
アノルドは両手に刀を持ち、私を睨んだ。
本気の殺意を向けてきた。
両手に持った刀は重く、一振りで私の刀は砕けた。
「これで終わりだ。お前のことは事故として処理しておくよ」
盾を転送させ、アノルドの一太刀は防いだが、盾は砕け、私は屋上から落ちた。
地面に衝突した音が辺りに響き渡る。
遠退く意識の中で誰かの声が聞こえる。
声も出せず、身体も動かせず、そのまま意識を失った。
「エリス!エリス!」
エリスの息がある事がわかったボクは、泊まっていた宿に連れて行った。