2:学校では辞めてほしい件
「え、選べない...」
選べないよ。当然だろ。僕は本当は断ったのだ。誰か一人選んだとして僕はずば抜けて頭いいわけでもないし、ルックスが良いわけでもないから釣り合わない。OKを出したら出したでみんなに恨みを買われそうだしっていう情けない理由で。
断ったはずなのだ。
だから選べない。
「選べないよ。ってか、『あーん』とか辞めてくれ!僕は幼稚園生じゃないし!」
「違うの!?しずくん幼稚園生じゃないの!?」
「違うよ!?」
秋に幼稚園生だと思われてたなら今までの言動にもなんとなく納得行く...いや、行くのがある意味納得行かないけどな!
「選べないとか遊びだったの!!」
教室に響き渡る。
「ちょっ、馬鹿!冬姫!」
クラスの皆がざわつく。本当に辞めてくれ。僕は完全な嫌われているボッチなんだよ。穏便に済ましたいのに。まあ、むしろ嫌われている僕にかまってくれるこの4人には感謝している。
嫌わてるボッチにとってはとっても支えに......って!嫌われてる理由お前らだろ!!!
危ない危ない。感謝するところだった。ていうか元からボッチだったのに『嫌わてる』って称号が付くとか不遇に不遇を重ね過ぎだろ。いや、でも美少女4人に好かれるのはプラスマイナスプラスだろ!って思うやつも居ると思う。しかし、僕は周りの視線が気になってしまうダメ人間。だから実際のところ今の状況は嬉しくも悲しくも何とも言えない状態なのだ。
「えっ、遊びだったの!?」
寧夏はここで天然働かせなくていいから...。僕の中でストレスが溜まっていくのを感じる。なんで美少女に4人も同時に惚れられるようなことをしたんだ僕は!......違うな、この4人がおかしいんだ!普通に考えてクラスの女子に恋愛対象に見れるか仮に聞いたとしたら「無理無理。寺○心の次に無理!」くらい言われてしまうだろう。まじで。
「しずくん!」
「なんだよ秋」
「お姉さん付けなきゃ駄目でしょ?」
「...オネエサン」
僕の目が死んでる?多分気の所為だと思うぞ。そんなことありえない。ありえるわけがない。
「胸に卵焼き入っちゃった!しずくん取ってー」
「断る」
僕は即答した。でも、喜佐谷秋はこの4人の中で胸が一番大きい。Eはある(多分)。そしていつもシャツの上にセーターを着ているが谷間が見えるほど大きい。更にそれを武器にしてくるところが何とも言えない。僕の理性が試される。何度触ってしまおうと思ったことか。そのたびに僕の理性が邪魔をする.........って邪魔していいんだよ!てか邪魔じゃないし。むしろドンドン正常に理性が作動してほしい。
「はい取ってやったわよ」
冬姫ナイス!最高だ!
「もー、冬姫に頼んでないし」
「別に誰でも良いでしょ」
「もしかして、小さいから嫉妬してるのー」
「してないわよ!汚いのよ。お下品!そんな大きいボールを2個もぶら下げて!無いくらいが......丁度いいのよ!」
「へー。そうなんだ〜」
「そ、そうよ...」
冬姫が露骨に落ち込んだ。ちなみに今の話で分かるとおり胸の大きさはこの中で一番小さい。というか小さいと言って良いのかわからない。無い?のかもしれない。
もうこの際だから大きさの順番を言っておこう。
冬姫<寧夏<春香<秋
の順番に大きい。春香は清楚な割に大きいというポイントがある。って僕はさっきからなんの話をしてるんだ?まあ、春香はさっきの「あーん」のときも具が落ちないように箸の先の下の方を手でガードしていた。やることすべてが清楚だ。清楚なのになんで僕にデレ全開で来るんだよ!!最早ちゃんと一周回って清楚キャラでもなんでも無い清楚ビッチとか言うやつになってんだよ!
『キーンコーンカーンコーン』
やっと終わったか。救いのチャイムだ。
「鳴っちゃった。また来るね!雫!」
「しずくんじゃーね」
「また来るわ」
「じゃあね、勉強頑張って!私は生徒会あるから今日は一緒に帰れない」
「もう来ないでくれ、頼む。あと一緒にいつも帰ってるみたいに言うな!」
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夜。ドラマみたいなとても大きいお屋敷がそこにはあった。
洋風の大きな家で、家と言うよりは城に近かった。
その、とある部屋の窓で...
「冬姫お嬢様。霧原井殿は昔のことを覚えていないのですか?」
「知らないわよそんなの...もういいの。昔のことなんて」
「ただ、なぜ急にアピールしだしたのですか?」
「他のやつらが急にアピールしだしたからよ」
(なんでだろう。見てるだけで良かったのになぁ。見てるだけで......。
そうは行かなくなったの春香のせいで...)