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黄金色の涙 1945 himawari  作者: 日南田 ウヲ
37/54

後編㉜

 

 ――田川康夫


 権田はその言葉を新聞の紙面で見てから不思議と胸騒ぎを感じないではいられなかった。

 何故ならばそれは自分が土岐護の死を知らされた時に居た人物ではなかったか?という思いが大きく揺らぎ、釣り針の様に心に引っかかったからかもしれない。

 自分は護の死後暫くその人物とやり取りをしていたが、その人物の住所は乾建設がダムを建設する予定の滋賀県の朽木付近のNである。

 しかもだ、

 その人物の名はそのダム建設に反対している。

 自分は洋一郎の乾グループに乾建設があると言うことは知らない。知らないが、だが、それが今、新聞の紙面上で騒ぎはじめている。

 新聞を良く読めばそこに議員である新島幸雄の名もある。つまり議員である新島が強い後押しの元、滋賀県の琵琶湖に注ぐ河川にダムを建設する計画を乾建設と進め、それが故にこの田川を長とする反対団体が、水没する地域を守ると言う抗議活動をしていると言う内容だった。



 ――ダム建設に反対?そして抗議活動…


(それは乾建設に対して…)

 権田は思うと何かが閃くのを感じた。

(これは…)

 権田は上着を切ると財布を内ポケットに仕舞いLEONの扉を勢いよく開けた。

(まさに…いま私達が抱えている問題、綾子さんの誘拐事件と関りがあると考えるべきではないか!!)

 権田は坂を急ぎくだりながら元町駅へと歩みを急がせる。急がせながら権田は、不意に立ちどまった。

 立ち止まり信号を見る。

(あ、だからと言って私は今どこへ向かおうとしたのか)

 今自分が成すべきして起こした行動を、立ち止まり瞬時に冷静に見直す。

(…そうだ、そう)

 権田はややあって顔を上げた。信号が青に変わる。それと同時に交差点を歩き出す。夏を迎えようとする陽が権田とアスファルトを照らす。

(やはり、ここはまずあの人に会わねば)

 権田は髪に手を遣り整えると、足早に駅の切符売り場へと向かい、行き先案内板を見た。

 彼が見た先、それはJR天満橋。

 そこに行き、まず水野と会うと決めた。不思議だが水野に会えば、おのずと近松とも会える気がした。それはまるで永年の刑事の勘のように鋭く、権田の感情を突き動かした。



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