【3】
今回の分は、少し文章量が少ないです;
【3】
雰囲気は、本当に不思議だと思う。
もしも、色がついているというのなら、幸来と優香の色は同じ色になっていそうだと感じて、胸がかすかに苦しくなる。
嫉妬だという自覚はある。
良いことか、悪い事か、それは別として、私にはまったく同じ色に染まる事はできそうにないから、なおさら羨ましくて悔しいのだと思う。
「あれ、どうしたの?」
「女子会の帰り」
自分で感じるぐらいの微妙に冷たい口調で言ってしまった。気づかれたのか不安になって視線を優香に向けると気づかれていないように感じる。いや、気づいていないふりをしてくれている。
「そっか」
「優香は、今、仕事帰り?」
「今日は、少し残業…」
秋も過ぎて、寒さがましきている。早いもので、年末まであと一か月しかない。
大学生の私にとっても、一年のまとめのやるべき締め切りが頭の中をちらつき始める、嫌な季節だ。それが、学業ではなくて、仕事ならば嫌気はもっとましてくるのだろうなと、嫌そうなため息で想像できる。
隣にいる幸来に視線を向けると、そのまま仕事帰りのデートに誘う気配がしない。
たぶん、疲れているのなら、誘わない方がいいと考えるタイプだ。
もちろん、疲れている時は、そう感じる時もあるとは思うけど……。
「ふむ、ちょうどよかった。まだ、食べたりないって思っていたんだ。というわけで、ルカのところまで数分だし、寄るの付き合って、二人とも」
「「え?」」
「…だって、この後予定ないでしょ?はい、連行♪」
明るい口調でそう言うと、そのまま連行されてくれる二人は、いい人達だなと思う。
笑いながら、優香は私に視線を向ける。
「相変わらず、美空らしいね」
「私らしいって?」
「言動が猫っぽくて、自分に素直」
「うん、これでいいって思っているから」
幸来にそう返して、ほんの少しだけ早く歩いて先に行くと、優香は自然な感じで距離をつめてくる。
「…ありがとう」
「どういたしまして」
仕事帰りや塾帰り等の人たちが通り過ぎていく中、小声で言われたお礼は、たぶん、優香でなければ聞き逃してしまっていたと思うのに、はっきりと聞きとれた。
別に、気まぐれな猫のようだと思われていて、かまわない。
実際、自分でも精神年齢は幼いと感じるから、事実だしね。
大体、大切だと感じているこの二人でなければ、こんな勝手なお節介なんてしてない。
たぶん、今の優香は疲れているけど、家で休むより、幸来と過ごしたいと感じているだろうなと思って、一緒に過ごしたいと感じているのは、幸来も同じだと思った。そこで、上手く甘えられていない二人に対して、自分なりに気を使ったのは、私が勝手にした事で、気づかれなくてもかまわないと思った。
大体、二人が本当にそう思っているのかどうか確信がないから、結局、自分のわがままに付き合ってもらっている事にかわりない。
そこで、気づいてしまうところが、優香らしいなと私は思う。
ふと優しい笑みを浮かべた優香は、ぽんぽんと頭を撫でた。
「相変わらず、猫毛だね」
「髪質なんて、簡単に変わらない。むしろ、変えられるなら方法を教えてほしい」
「えぇー、柔らかくて触り心地いいのに」
「……」
心地いいは、優香の撫で方だと思う。
お読みくださり、ありがとうございます。
来月下旬まで、不定期更新続きます。
「live」の登場人物の中で一番書きやすい美空さん。
幼さもあるけど、いろいろ感じとってしまうような不器用可愛い子です。
【8】まで続く予定です。




