南太平洋海戦
長らく投稿しないでいてすいません。色々と忙しかったものでして。
米軍も、反抗作戦の拠点を取られて黙っているわけにもいか無い。
南太平洋での司令長官であるウィリアム・ハルゼー中将は、一一月にガ島奪還の為に新たな作戦を立案した。
この作戦には、先の海戦での傷が漸く癒えた『エンタープライズ』率いるTF16-1及び『ホーネット』率いるTF16-2が参加することと成っていた。
対する帝国海軍もガ島で近々反抗作戦が展開されるであろう事は予感していた。そこで防衛戦力を整え、今度こそは米艦隊を壊滅させようとしていた。
戦艦『金剛』『榛名』を基幹とした近藤信竹中将率いる第二艦隊及び空母機動部隊を中核とした南雲中将率いる第三艦隊、更にはヘンダーソン飛行場には零戦二三機一式陸攻一五機が、進出していた。
敵空母一隻以上を含む有力な艦隊を発見!
索敵の水偵からその報告が届いたのは、一一月五日一三時のことであった。この段階で、米艦隊は、ガ島東四五○浬の位置にいた。索敵機は撃墜されたと見えて、その後連絡が途絶えたが、帝国海軍は第二第三の索敵機を出した。
この時、ガ島には第二第三艦隊がいたが、その動きは対照的なものと成った。第二艦隊は敵は機動部隊である為、一旦西へ退避し、第三艦隊は敵艦隊を迎え撃つ為東方へと舵を取った。この時、第三艦隊は第二次ソロモン海海戦と同様に『翔鶴』『瑞鶴』を基幹とした第一航空戦隊と、『飛龍』『龍驤』を基幹とした第二航空戦隊とに別れていた。
六日三時、日米機動部隊それぞれが索敵機を放った。そして四時二○分、『翔鶴』の索敵機が南方二五○浬にて米空母艦隊を発見した。
第一航空戦隊は即座に第一派攻撃隊を飛ばした。
第二航空戦隊も翔鶴機の電信を受け取り、攻撃機を飛ばそうとしたが、運悪く、そこに敵索敵機が襲来した。
その索敵機は即座に零戦に追い回されて撃墜されたが、一機已であった為に、発見が遅れ、第二航空戦隊の居場所はTF16の知る所となった。
『エンタープライズ』と『ホーネット』は、報告を受け取るや第二航空戦隊へと向けて、攻撃機を飛ばした。
八時、第一航空戦隊から放たれた第一派攻撃隊がTF16-1の上空に到達した。併し、その姿は既に電探によって捉えられていた為、攻撃隊は、『エンタープライズ』のすがたも見えぬ間に、F4Fの歓迎を受けるはめになった。
F4Fは艦爆や艦攻に狙いを絞って攻撃を加えたものの、零戦の迎撃を受け、五機の損害を与えたものの、自身も同数の損害を受ける事となった。
その後、真に猛威を振るったのが対空砲火であった。密集した艦爆、艦攻はTF16-1の護衛艦である軽巡及び駆逐艦の集中砲火に晒され、艦爆に七機、艦攻は八機もの損害を受けた。
併し、『エンタープライズ』に爆弾三発、魚雷一発を命中させた。
又、『エンタープライズ』から逸れた魚雷が、駆逐艦に命中、撃沈した。
『エンタープライズ』はこれで小破相当の損害を受け、離発着不可能となったものの、直に復旧は可能であった。 そこに現れたのが、第二航空戦隊の第一派攻撃隊であった。
TF16-1には、先ほど沈んだ駆逐艦の穴が埋められておらず、攻撃隊はそこを狙い、魚雷三本の命中を数えた。
これらは全て左舷であった為、『エンタープライズ』は急速に傾いていった。
ダメコンの必死の働きによって沈む事は無かったものの、『エンタープライズ』は最早戦える状況に非ず、戦線離脱を余儀なくされた。
一方、第二航空戦隊にも米軍の攻撃隊が迫っていた。
『エンタープライズ』『ホーネット』から飛び立った攻撃隊は、其々二派ずつ、計四派にもわたっての攻撃を仕掛けた。一度の数は少数であったが、四度もの攻撃を食らっては迎撃網に綻びが生じる。そこを突かれた。
『飛龍』は爆弾二発を喰らい小破、『龍驤』は爆弾三発、魚雷二本を喰らい沈没した。
『エンタープライズ』撃破の報告を受けて、帝国海軍第二派攻撃隊は目標を『ホーネット』へと変更した。
第二派攻撃隊が攻撃機を中心として編成されていた為か、『ホーネット』は爆弾一発魚雷二発を喰らった他は、全て回避していた。
その後、第二航空戦隊の攻撃隊も攻撃を仕掛けたが、此方は一発も命中させることが出来なかった。
第一航空戦隊は第二航空戦隊の第一派攻撃隊も収納し、一三時二◯分に第三派攻撃隊を出撃させた。
第三波攻撃隊は『ホーネット』上空に到達後、爆雷同時攻撃を仕掛けた。『ホーネット』は先の攻撃で、機銃を少なからず損傷しており、爆弾二発魚雷三本の命中後沈没した。
『ホーネット』よりの攻撃も第一航空戦隊を襲ったが、これは『翔鶴』に爆弾一発を命中させたに止まった。
こうして後に南太平洋海戦と名付けられる戦いは帝国海軍の勝利で幕を閉じた。
「南東四〇〇海里に戦艦二を含む有力艦隊発見」
この報告が舞い込んできたのは一七時頃であったが、空母からの発艦は帰還が夜間となるので、無理であった。
しかし、帝国海軍側にも戦艦は有る。第二艦隊である。
「針路一五◯度!」
近藤中将の掛け声と共に、第二艦隊は決戦場へと赴くこととなった。