魔石の扱いとアングリーマッシュの集落?!
アングリーマッシュというキノコの魔物の集落に行く事になったロウジ達。
マシュと名乗った、恐らくは老体のアングリーマッシュに案内されて歩き始めます。
ところが、ロウジ達にはまず解決しなければいけない問題が発生していて?!
どうなりますか。
「あ〜!ロウジ〜!聞いて、なの〜!」
「あ!そうですよぉ〜!アリーったらひっどいんですよぉ〜!」
「そうなのそうなの〜!」
「ん?」「えぇ〜?」
アングリーマッシュ達の事情はよく分からないけどとりあえず話が終わったと見たのかフェアとエリーが口々にそんな事を言ってくる。
・・・仲良さげに。
そして話し掛けられた俺はその内容に首を傾げたわけだけど、酷いと言われたアリーも驚いた顔をしている。
本人の頭と同じくらいの大きさの魔石を抱えて。
「見てくださいよ〜!アリーが一番大きな魔石を持って行ってしまったんですよぉ〜?」
「アリーが私の魔石を奪っていったの〜!」
「いいえ!あれは私の、ですぅ!」
「私の、なの〜!」
「あ〜。」「あぁ〜!」「・・・なるほど。」
事情は飲み込めた。
2人はもう持てなかっただろうしあのままだと埒があかないと見てアリーが横から取っていったんだろうね。
砕かれてもなんか嫌だし。
見るとアリーはただ呆れかえっているようだ。
「う〜ん。どうしたら良いと思う?」
いつもならこの2人の事ならアリーに聞くべきだろうけど、さすがに今の状況で相談すべきじゃないだろう。
しかも本人達の目の前で。
だからリンに聞いてみる。
・・・俺は2人共ありがとう、凄いよ、くらいしか思い浮かばないんだよなぁ。
「ん〜。・・・う〜〜〜ん。とりあえず2人を褒めてあげたらどうかにゃぁ?ズルいかもしれにゃいけど、2人別の所を褒めてあげて2人共良い、2人同点・同格、という風に話を持っていければ・・・なんとかならにゃいかにゃぁ?」
リンがなんとなく自信なさげに言ってくる。
けど、その内容は無難な・・・だいたい俺の考えていた事と同じだ。
色々な方向に行った話を無難に纏めるのは得意だと言われる日本人。
がんばってやろうじゃないか。
「う〜ん。フェア?エリー?そもそも2人は俺達が届かない所にあった魔石を取りに行ってくれたんだよね?」
「え?・・・うん。なの。・・・なの?」
「え?あ、はいぃ。そう、ですねぇ?」
・・・えっと。
出だしから躓いた?
まぁ、良いや。押し通す!
「もう2人とも持ちきれない程に持って来てくれてるじゃん。本当にありがとう。」
まずは2人にお礼を言う。
「え?あ、う、ん。なの〜。」
「え?えぇ、はいぃ。」
まぁ、お礼を言われて悪い気分になる事はないはず。
次にまずはフェアに顔を向けて話し掛ける。
「フェア?それだけの量、一度にありがとうね、本当に。結構大きなのもあるし。エリーよりも大きさは勝ってそうだよね?」
「なの!」
そのまま今度はエリーに顔を向ける。
「エリーも。両手で抱えきれてないじゃん。それだけの量、ありがとうね。大きさは色々だけど数じゃ見た感じエリーの勝ちかな?」
「は、はいぃ〜」
フェアもエリーも嬉しそうに返事をするけど、お互いに目が合ったら「う〜」「ふ、ふんっ、なのっ!」と言って顔を背けてしまった。
そこで、俺は爆弾を投下する。
「こら、フェアもエリーも。アリー、一番大きな魔石を持って来てくれてありがとう。量とか数じゃなくて2人に喧嘩させない為に、とか、持ちきれない2人に代わって、とか。
普段から気遣ってるアリーが一番かもしれないな。本当にありがとう。」
そう言ってアリーからは魔石を受け取る。
「え?あ、は、はいぃ。はいぃ〜?」
「ええぇぇぇえ〜〜!なの〜!」
「ええぇぇぇ〜!!なんでですかぁぁ〜!」
3人の声が辺りに響き渡る。
「フェアもエリーも。喧嘩をするよりも協力しないとダメ。もし、あの場で何かに襲われてたらどうしたのさ?・・・俺達にすぐ見せるように手で抱えてたのは分かるけど・・・更に欲張って喧嘩とかは、いけないと思うんだ。大きさはフェアの勝ち。数じゃエリーの勝ち。気遣いやサポートではアリーの勝ち。3人共にイイコなんだからさ、もう少し協力してやっていこうよ?」
アリーも含めて3人を見回す。
「う〜、なの〜」
「うぅ。」
「う〜ん。」
あれ?
「あ〜、いや。今言ったようにフェアにもエリーにも感謝してるよ?ありがとうね?ただ、こういう場所なんだから仲良く、無理せず周囲にも気を配りながら行こう?」
う〜ん。
なんか反応がいまいちだ?
「うぅ〜。ロウジは〜。」
「ん?何?フェア?」
「う〜ん。ロウジはアリーみたいな女の子が好み、なんですかぁ〜?」
「なの〜?」
「・・・・・・は?」
フェアとエリーの言葉にキョトン、としてしまう俺。
「・・・女の子泣かせにゃ」「ですねぇ〜」
後ろでボソッと呟いた2人の言葉もしっかりと聞こえたけど・・・う〜ん。
ひょっとして爆弾がある意味効きすぎた?
「何故にそんな話に??」
「あははは。ロウジは大変にゃ」
「はぁ〜。仕方ないですねぇ〜。フェア?エリー?2人がロウジの為に張り切ったのは本人も嬉しいみたいだけど、それで喧嘩したり魔物に襲われて怪我をしたり、なんて事は望んでないみたいですよぉ〜?むしろ、そんな事で喧嘩するような人を好まないんじゃないですかねぇ?今のままだと私だけの好感度が上がってしまいますよぉ?良いんですかぁ〜?」
うわぁ〜。
アリーさん、それは大丈夫なのか?
「う。うぅ〜。ううぅ〜。ダメ、なの〜。うぅ〜分かったの〜。ごめんなさい、なの。」
「うう〜ん。分かりましたぁ〜。確かに少し大人気なかったですぅ。ごめんなさいぃ。」
「はっ、良かった。いや。さっきも言ったけど2人ともありがとうね。魔石、思った以上に集めてくれたから嬉しいよ。だから、はい。後で神殿に戻ったらちゃんと分けるけどまずはこれを3人に。」
言って形も大きさもほとんど同じくらいの魔石を、集めてくれた中では大きな物を3個、3人に1つずつ渡す。
「これ、はぁ?」「ロウジィ〜?これ?なの〜?」
「・・・私にも、ですかぁ。」
それぞれがそれぞれの反応を返してくる。
「これは分け前、じゃなくて俺から3人へのお礼。まずはプレゼント、かな。3人で仲良く、ね。」
決まった?!
「う〜ん。ロウジィ〜?ちなみにプレゼントに魔石を贈る意味は分かってるのかにゃぁ?」
「たぶん、分かってないと思いますよぉ〜?」
「ん?」
リンが俺に質問して来てアリーが答えていた。
「えっと?なんか意味があるの?」
魔石は贈り物にするのに適してなかった?
「う〜ん。やっぱり、知らない、なの〜。」
「う〜ん。やっぱり、ロウジですからねぇ〜。」
「ほへ?」
とりあえず戦線布告、とか絶交宣言では無さそうかな、と思いつつ頭にハテナばかりが浮かぶ。
「はぁ。ロウジ?魔石は魔道具に使われたりするけど、天然の魔石はその属性に限らず、属性を宿してる宿してないに拘わらず魔力の予備タンクとして使えるにょ。それは知って・・・無さそうだにゃぁ。だからにぇ?「俺の為に魔力を使ってくれ」というサインで。つまりはパーティメンバー勧誘に使われるにょよ。」
は?
「人によっては相手が回復の魔法や魔道具などの使い手だった場合はプロポーズにも使ったりします、ねぇ〜」
はい?
リンとアリーがいつも通り説明役に回ってくれるけど・・・冷や汗が出てきたよ、俺は。
「まぁ〜。私たちは回復魔法苦手ですしぃ?アリー以外は。」
「なの〜。私は冒険者だけど一応ピクシーの国、ル・パック・シーの王女なの〜」
「私は回復主体じゃないですしぃ〜。相手が人族のロウジでは、ねぇ〜」
・・・・・・・む?
「・・・・えっと。つまり冒険者として。今のパーティで冒険続けて下さい、的な意味でオッケー?」
・・・・
「オッケー!なの〜!」
「まぁ、そもそもお礼、なんですよねぇ〜」
「お礼として、と言われましたしぃ?パーティとして続くのかどうかはともかくとして問題ありませんよぉ?・・・どうかしましたぁ〜?」
「あははははは!ロウジィ?すっごく力、抜けた顔をしてるよぉ?たまには会話で緊張するにょも必要にゃんじゃ?」
アリーとリンはしてやったり、という顔だ。
「くぅぅ。アリーとリンの笑顔がすごく悔しい。」
してやられた、という奴だ。
「「「あははははは」」」
「あははは!ロウジはもう少し女心も勉強すべきじゃぁ〜ないですか、ねぇ〜?」
「うぅ。アリーが鬼に見える」
「「「「あははははは」」」」
・・・・まぁ、とりあえず場は収まったみたいだから良いだろう。
俺自身が笑われて終わるくらいはどうって事ない。
ある意味必要経費的なものとしておこう。
「ふふ。でも、確かにロウジのそういうところは好感持てます、よぉ?」
アリーがふとそんな事を小声で囁いてきたからビックリしてしまう。
本人は何事もなかったかのように飛んでいるが。
・・・・そんな俺がからかわれたり俺がヒヤヒヤしたりという出来事があったものの歩みを止める事は・・・そんなにはなく。
アングリーマッシュのマシュ村長に案内されて今まで正面に向かっていたのを段々右に歩いていく。
「・・・はたから見ると毒キノコの集団に連れて行かれる図なんだけど・・・まぁ、大丈夫、だよね?」
小声で隣を歩くリンに話し掛ける。
「確かに。うん。あたしも正直心配。シルフも、なんか変にゃ反応だったんでしょ?ひょっとしたらピアリス様もこのアングリーマッシュ達の事を知らにゃいのかも?・・・あたしとしてはピアリス様も許容してる友好的、もしくは大人しい魔物だって思いたいけど。」
「だよね?普通に考えればピアリス様が知らないってのは考えられないし。・・・村、集落?まで作って暮らしてるって言うんだから当然シルフやドライアードは知ってると思うし、さ」
「うん。」
でも。
そうなるとシルフの対応が、なぁ。
まるで「お前達は何?何なの?何者か知らないよ?」というような反応のように思えたからねぇ。
しかも、その肝心のいつものシルフはどこかへ行っているようで見当たらないし。
さっきのようなある意味楽しそうな会話には居れば絶対に入って来たと思うんだけど全然姿を見ない。
さっき来た道を戻ってったようにも思う。
・・・・うん。
今更だけどあのシルフは時々フラッとどこかに行ってるのもそうだけど、この遺跡の事はあまり詳し詳しく無いような言動をする時があるような気がするんだよなぁ。
勝手に案内役、と思っていたけど本当にそうなんだろうか?
・・・あぁ、いや案内をお願いしたのは俺の方だし、確かに案内はして貰ってるんだけど。
「な〜んかいまいち気になる言動があるんだよなぁ。」
「んにゃ?シルフ?」
「うん。シルフの個体の区別ってあるような気はするんだけど、実際に精霊に個体差があるのかどうか分からないし自分が出来る、出来てるとも自信を持っては言えないんだよね。でも、あのシルフって外からついて来てたような気がするんだよ。だから、さ。な〜んかおかしいような気が・・・あ、うん。飽くまでも俺が、そんな風な気がする、ってだけの話なんだよ?ただ、ね。どうも、なぁ、って。」
「あ〜、うん。わかるよぉ?そもそもシルフに案内して貰ったらゴーレムと戦う事ににゃったじゃん?・・・なんか、ずっとそれがあたしもひっかかってて。あれはあらかじめピアリス様と打ち合わせてあったようにゃ感じがしたし。でも、ここの管理に関わってるにゃら当たり前、なの、かなぁとか。・・・うん。あたしもモヤモヤしてるにょは確か。」
リンはそう言うとう〜ん、と悩んでしまう。
「うん。それでまず考えられるのが、さ」
「「ピアリス様の使い魔みたいな存在とか」」
まぁ、ここまで会話してある程度はリンも考えてる事は似た様なものかな?とは思ったから顔を見ながら言ったら見事にハモった、と。
「ま、精霊と大精霊、の関係で。しかもピアリス様は世界の一部でもある大精霊にゃんだから使い魔とかっておかしい、のかもしれにゃいけど。ある意味では普通にょ関係かも?」
それでもリンが少し笑いながら言う。
「う、ん。まぁ、そうだよね。そもそもここはピアリス様の管理地で元々精霊達がなんか働いてる?みたいな場所みたいだし。だから監視役というか監督役みたいな感じ、なのかなぁ?って思ったりもするんだけど。正直、ねぇ。」
・・・うん。
それでも精霊使いである俺に精霊をつける意味があるのか?とか自由奔放さがウリである・・・と、言ってしまって良いと思う風の精霊シルフにそんな役が務まるのか、とか任せて良いのだろうか?、とか任せるだろうか?という疑問が尽きないわけで。
「だよ、ねぇ。それこそピアリス様の神殿の外に居たシルフがきまぐれでついて来たってほうがまだ・・・」
う〜ん、と考えて、今、話をしながら思いついた様にリンが言ってくる。
「あ〜。うん。・・・そうだねぇ。何というか。一番しっくり来る、しっくり来ちゃう答えかもね〜。」
う〜ん。
確かにそう考えるとブラッと居なくなるのも面白がって探検しに行ってたり、とか?
神殿の外に居た精霊だからピアリス様とも会話があって。
地下遺跡の下層階の構造にはあまり詳しくなかったり?
あ〜、うん。確かになんかしっくり来ちゃうなぁ。
「見えてきた、なの〜?」
「あれ、ですかねぇ〜?」
「あれ、なんでしょうかぁ?」
「ん?」「んにゃ?」
リンと俺は歩きながらそんな話をしてたわけだけど。
「はい、そうですじゃ。あの辺一帯が我々の集落になります。」
「・・・・あれ、ですか。」
どうやら着いたみたいだ。
・・・・いや、キノコの集落。
しかも1メートル無いくらいの大きさのキノコ達の集落だから聞いた時にあまり期待、と言うかまともそうなイメージ自体が浮かんでなかったわけだけど。
「ちゃんと住居を作ってるんにゃ。」
「「湿度が心配、ですねぇ〜」」
「・・・・土、なの〜?」
点在するそれは・・・土のカマクラ、あるいはトーチカ、と言うんだったか?戦争で使われた土等で作られた防衛施設。
映画や歴史の授業で観たのはあんな感じだったはずだ。
「窓やドアは無いんですね?煙突みたいのはあるようですが。」
「あぁ、はい。何せ我々、湿気にはある程度強いですが同時に空気の流れも欲しい者がほとんどですからなぁ。」
マシュ村長の後ろについていた不気味な黄色いキノコさん・・・いや、名前は聞いてないから分からないけど、キノコさんが答えてくれる。
村長とこの黄色いキノコさん以外は目鼻の作りが分からない。
「あぁ、なるほど。・・・自分達はこの部屋、いえ、この区画で何回か戦闘になったんですけど。この辺にはそんな危険なモノは居ないんでしょうかね?」
言ってから話してる相手が魔物だったと思い出した。
「あぁ、えぇ。まぁ、我々も140年位前に避難をして来た者の子孫なのですが、ここは、この階層自体にそれ程危険な魔物は居ないはずですよ。居なかった、ですよ。・・・詳しい話は申し訳ありませんが、広場で村長からされると思います。」
「あ、そうなんですか。はい。分かりました。」
・・・・ふむ。
魔力溜まりについて、と言うからそんな事じゃないかと思ったけど。
やっぱりどうやらこの集落の近くかアングリーマッシュ達の行動範囲の中に魔力溜まりがあって。あるいは出来て。
何やらやっかいなモノが生まれたのかな?
と、いう感じだ。
何はともあれ広場で話を聞こう。
「広場・・・・集会場?野外ホール、みたいなものですかね?」
「あ、はい、そうですね。皆で座り前のモノの話を聞く為のものです。」
そこには一番奥には1本横向きに。そこからは丸太がいくつも置かれていて(普通の?キノコがちらほら生えている)一見すると野外の教室のような感じであった。
さて、どんな話が飛び出して来るのだろう?
お読みいただきありがとうございます!!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ
そして、遅延申し訳ありませんです( ;´Д`)
休憩時間がロクに取れず帰宅しても疲れて寝てしまい、というちょっと情けない日が続いてしまいました。
アングリーマッシュの集落に着いたロウジ達ですが、次話は時間が無くなると集落には泊まれない為に早めの事態収拾に動きます。
更新予定は連休貰ったのでがんばって書いて、それでも10月の2日にさせて下さい。
もちろん早目に更新出来ればしますm(__)m
活動報告にてご連絡します☆