地下遺跡二階での出会い?!
地下遺跡の二階層、公園のような部屋の中を探索していくロウジ達。
そこへお客様がやって来ます。
さて、この出会いは何をもたらすのか?!
「い、意外に広い?」
まずはとにかく岩、イビルロックという魔物が飛んで来た場所を探る、という方針でとにかく奥へ奥へと歩いていく。
・・・行く、のだけど。
「これは雑草、これは毒草、こっちも雑草・・・あれは?」
森の部屋と同じように、いや、下手するとあそこよりも緑が濃くて辺り一面雑多な植物が生えていた。
バットやらイビルロックやらに襲われていたフェア達は先に奥から探索して戻って来るついでに採取をするつもりでいたということで警戒がてら皆で適当に採取をしながら進む事にしたわけだ。
だから時間をかけてる分更に体感としても距離を感じてるんだろうね。
とはいえ。
「な〜んか、一階と生えるのが少し違う気がするの〜」
「植生が少し違うような気がしますねぇ〜」
「これはぁ?雑草には違いないみたいですけどあまり見た事ないですねぇ〜」
「・・・・種類は多いけど雑草ばかりじゃにゃい?」
そう。
かなり色々な草が生えているんだけどほとんどが雑草だった。
「うん。たまに癒せ草があるけどほとんど雑草だね、この辺は。キノコも種類は多いけどほとんど食材だし。・・・あ、いや。それはそれで別に構わないんだけど、さ。」
シイタケやシメジ、エノキタケにナラタケ等と食用キノコを始めとしてツキヨダケやテングダケなんかの毒キノコも豊富で・・・季節が変わればドングリやクリなんかも期待できる食材の宝庫であった。
ただ、本当に食材で。
普通に調合で必要とするような物はあまり見当たらないようだ。
「なんか。良くも悪くも普通、って感じ?地下という感じがしないのは凄いんだろうけど、ねぇ。」
別にここじゃなくても地上のどこかを歩けば見つけられるじゃん?みたいな複雑な心境に陥っていた。
「う、ん。あ、でもあたしにしたらこれだけ食材を一つ所で集められるにょは嬉しいよ。キノコなら肉とか魚とも合うし。」
1番採取しているリンが、やはり手を動かしながら言う。
(セイレイソウハモウスコシオクニアルネ〜。テキニナリソウナノハモウイナイミタ〜イ。)
「あ、そう?イビルロックとか、あんな奴でも居るか居ないかすぐに分かる?」
見た感じただの岩だったからシルフでもそんな的確に判断する事って出来るんだろうか?疑問に感じたから聞いてみる。
(ワカルヨ〜?ト、イウカミテクルワケダケド〜?タダ、ロウジノシンパイノトオリ〜・・・ギタイガウマイヤツダトミツケソコナウコトモアルケドネ〜)
あ、やっぱり?
「精霊は相手の魔力反応を見たりしてるんじゃなくて外見的に判断してる面が強いってことだよね?」
魔力で見ていれば魔物は見つけられるんじゃないかな?
(ン〜?ワタシタチジシン、マリョクノカタマリミタイナモノダヨネ〜?マリョクノカゼガミテサワッテハンダンスルンダヨ〜?)
普通なら見落とさないよ〜、と。
イビルロックなんかは所謂擬態が巧い部類・・・いや、まぁ、魔石の周りに石や土が集まって岩になったり元々ただの岩だったのが変化した、と考えるなら生き物というわけじゃないから確かに見つけ難いのかも。
「う?ひょっとしてマジシャンズアイも全開で警戒するべき、なのか?」
「ん〜?私たちが気を付けてるけど〜?ロウジも、なの〜?」
ん?
「えぇ〜?ロウジは魔力感知してないんですかぁ〜?」
え?
「あれぇ?ひょっとして精霊は気にしてるけどぉ魔力については注意してない、んですかぁ〜?」
あれぇ?
「あ〜。うん。シルフに頼るようにしてからは・・・ほとんど精霊の動きしか注意してない、かな?怪しい場所とかは魔力も見るようにしてるけど。」
うん。
魔力を帯びているモノを採取する為にも時々はちゃんと魔力も見てる。
・・・シルフに頼らない限りは、だけど。
シルフに頼るようになってからどうもその辺も楽をしようと怠けていた。
「ロウジィ〜。なまけ癖つけちゃうとマズイと思うよぉ〜?ちゃんとしにゃいと足元すくわれるよぉ〜?」
「う、うん、そうだね。・・・そうだよね。地下遺跡なんかでこんなシルフを頼れたりなんか普通は無いだろうし、外でもちゃんと目と耳も働かせてないとね。」
リンのなかなか厳しい言葉に反省する。
(ン〜、ソダネ〜。チカドウノハトモカクトシテ〜、アクマデモチヒョウノケイカイシカデキナイシネ〜。チチュウカラ、トカ、スイチュウカラ、トカオソッテクルモノモイルカラネ〜?ソレニワタシタチノチュウイヨリモアイテノホウガハヤイコトダッテアルカモヨ〜?)
う。
「う、うん。確かにそうだ。注意されてから警戒したって遅い場合だってあるよね。・・・うん、ごめん、気を付ける。」
魔力を見る見ない以前にリンの目と耳にも頼ってた気がするしなぁ。
ピクシーの3人は普通に魔力が見えてるからそっちも任せっきりになっていたし。
・・・うん。
実際に気が付くのが一番遅かったとしても警戒する習慣はつけておかないと確かにヤバイ事は確かだよね。
特に今は魔物が居た事が分かっていてそこへ向かってるわけだし。
なんか一階の途中から気が抜けていた。
「うん。オッケー。ごめん、皆。少しピクニックのような遊び気分になってたよ。気を付ける。」
リンはもちろん皆に謝る。
「ふふ。ロウジは素直ですねぇ〜。そういうところは確かに素敵かもしれませんねぇ〜」
「へ?アリー?」
アリーの意外な言葉に少し戸惑ってしまう。
「はい〜?あぁ〜、勘違いしないでくださいよぉ〜?私たち妖精は素直な心根の存在を好むというだけですからねぇ〜?」
「あ、あぁ。・・・うん。確かに妖精ってそういう感じだったか。なるほど。」
ちょっとビックリしたけど種族的に当たり前の評価を貰った、という事らしい。
「うん!確かにロウジは素直〜なの〜!」
「あはは!確かにロウジは素直、ですねぇ〜」
「あはは。そこもロウジの凄いところかにゃぁ。んにゃ?」
う〜ん。
「なんか褒められてる気がしないけど、まぁ、仕方ないか。・・・ん?向こうに何か居る?ある?」
まぁ、何言われても仕方ないな、と思いながらエレメンタルサイトに少し魔力を注ぐ形で魔力も見えるようにする。
した途端に正面の少し離れた上の方に魔力の点が見えた。
(ウン。アルネ〜。アレハテンネンノマセキ、ダネ〜。マモノニモナッテナイ、マモノヲウミダシテモ・・・サッキノバットタチハケモノトマモノガマジッテタカラ、ヒョットシタラエイキョウハアタエテタカモシレナイケド、キチョウナテンネンノマセキダヨ〜。ソレヨリモロウジ〜)
ん?
「ロウジィ。遠くよりも、魔物探しよりも。近くにょ周囲もちゃんと気を付けてる〜?左側にょ木の枝、気を付けてよ〜?毒持ちだよぉ〜?」
「は?」
左側の木の枝?と見るとそこには細いヤマカガシのようなまだら模様の蛇が居た。
「・・・・・君、毒持ち?うわぁっ!」
バチュンッ、と。
下らない事を言いながらその蛇を見たら目が合った?、と思った瞬間に枝から飛びかかって来たから慌てて左手の手甲、籠手の甲の部分で払い除けた。
なんか払っただけにしては変な音がしたけど。
(ア〜ァ)
「・・・ロウジィ〜、力入れすぎ〜」
「ロウジィ〜、凄すぎ、なの〜」
「・・・え、いや、その。えっと。ただビックリして払い除けただけ、なんだけど。」
逆に咄嗟の事だったから確かに力加減がどうのとかは考えてなかったわけだけど。
「見事に吹っ飛びましたねぇ〜」
「お見事です、ねぇ〜」
「あ、あはは。」
アリーとエリーの言葉にも笑うしか無かった。
・・・・うん。
哀れな蛇は体半分くらいが吹っ飛んでしまっていた。
手甲には蛇の血が、そんなにはついていなかった。
「・・・ロウジの拳を受けるとああなるわけですかぁ・・・怒らせないように気を付けましょうねぇ〜?」
アリーが少し考えた後にそんな風に皆に言う。
「あははは。ロウジはこわい、の〜!」
「あはは。ロウジは怖いですからねぇ〜?」
「う〜ん。これで剣術とか体術をちゃんと習ったら凄い事になりそうにゃ気が。」
(カゲンヲオボエナイト〜タイヘンナコトニナリソウカモ〜?)
「う〜ん。・・・そうだね。むしろ一度ちゃんと習って加減とかを覚えないといけないかも、ね。」
シルフの言葉に賛成するような感じでリンに答える。
ピクシー3人娘に関しては明らかにからかいに来てるから敢えて放置してみる。
・・・いや、分かってはいても適当に傷ついてるし、ね。
しかし。
ゴーレムとの戦闘でも薄々感じてはいたけど今の感じ。
視力や聴力なんかは変わっていないように思ってたんだけど動体視力は上がっているような気がする。
戦闘に関する部分だから、だろうか?
やっぱり一度ちゃんと剣術や体術なんかの直接戦闘術とも言える部分に関しては誰かに・・・腕の良い人に見てもらった方が良いだろうな。
(キャハハハ!ソレダトマルデビョウニンミタ〜イ〜!)
う。確かに。
あ、いや、それよりも。
「ねぇ?天然の魔石って掘ったりできるのかな?取った後そのまま使えるのかな?」
確か魔石についての説明を聞いた時に天然の魔石についても少しだけ聞いた覚えはあるけど利用出来るかどうか、どうやって利用するかについては聞いてなかった、と思う。
「ん〜?天然の魔石、なの〜?」
「あぁ〜。あっちに見えてるのって魔石なんですかぁ。」
「天然の魔石は掘れますよぉ?あれが魔石なら多分掘らなくても取れると思いますけどぉ〜。」
どうやらやっぱりピクシー3人は魔力の点については気が付いていたみたいだ。
魔石か何かについては分かってなかったみたいだけど。
「天然、の魔石がある?普通なら浄化しにゃいで、そのまま使えるから大きさ次第で結構高く売れると思うけどぉ。ロウジにゃら調合にも使える?」
「あ、やっぱりか。魔物とか魔獣から取り出す物と違ってそのまま使えるんだね。」
魔石の粉なんかも買わなくちゃいけないし天然の魔石を見つけたらこれは採取しておくべき、だろうな。
また歩き出しながら話をしていくけど、どうやら部屋の終わりである壁面ではなく天井部分にあるようだった。
「あの高さなら取ってこれますけど〜?」
エリーが言ってくれる。
「あ」
「ん?フェア、どうかした?エリー、バットとかに注意して、お願い出来るかな?」
フェアが何か声を上げたからフェアに声をかけながらエリーにお願いをする。
「はい!行ってきま〜すぅ〜!」
「あぁぁ〜!私も!なの〜!」
「あ!」
「うん。お願い、行ってらっんんん?」
「あははは」
エリーが元気に、ほんとに元気に勢いよく飛んで行ったんだけど。
その後にフェアも飛び出していった。
「なんだかなぁ。」
「あははは。いつもと逆にゃ」
「あははは。ロウジは好かれてますねぇ〜」
ん?
「好かれてる?・・・う〜ん、そうなのかなぁ?確かになぁ。」
うん。少しだけ考えたけど妖精を描いた色んな作品を思い出してみると確かに妖精から好かれるとこんな感じなのかもしれないな、と思い至った。
しかも大抵は妖精の大暴走を生み出したりするわけだよね。
(キャハハハ!モテルオトコノハナシ〜!ツライネ〜?)
「う〜ん。確かにそう考えるとフェアなんかは典型的、なのかな?気を付けないと?ん?気を付けてあげないと?か?どっちだ?」
・・・うん?
そういう場合って本人が身の回りを気を付けるべきなのか?
それとも対象となる妖精の言動に気を付けるべきなのか?
はて?
「あははは。フェアは気を付けていないと危なっかしいですからねぇ〜、まぁ普段からですけど」
「う〜ん?ロウジはもう少〜し周りに目を向けても良いんじゃにゃいかにゃぁ〜」
うん?
「あぁ〜それは何回か言ってますよねぇ〜」
あら?
「うん?ええっと?確かにそれは言われてるし俺も意識しないとなぁ、と思ってるんだけど?・・・要は周りの動きの方に意識を向けろ、って事、で良いのかな?」
なんか責められてるような気になってくるんだけど、何故だろう?
「にゃぁ」
「はぁっ。リンも大変ですねぇ〜」
「う〜ん?」
本当、リンの猫化が微妙に進んでいるような気がするんだけど。
(ソレコソアッチヲキニシタホウガイイトオモウケド〜?ロウジ〜?)
ん?
シルフに言われてフェア達の方を見る。
「ん?あれは何をやってるんだ?」
「んにゃ?」
「はいぃ?」
かなり距離が近づいた天井の方を見た俺の目に入ったのは片手にいくつかの魔石を抱えながらも1つの、多分一番大きな魔石に片手を伸ばして・・・持って、ではなく天井にある、くっついている?から片手を伸ばして・・・あの2人が片手で取れるかは分からないんだけど、その状態で睨み合っている2人の姿だった。
天井近くに浮かんで魔石、傍目からは単なる石、を抱えこんで睨み合っているメルヘンな妖精2人。
なかなかにシュールな光景だ。
「あの2人は何をやっているのでしょう、ねぇ〜?」
「いや。それを聞いてるんだけど。」
「あはは。」
確かなのはずっと見ていると首が疲れるのとあまりにもシュール過ぎてこれは夢だ!と現実逃避したくなる事だと思う。
「とりあえず下まで行って話しかけてみるか。」
「そう、ですねぇ」「そうする?」
なんとも困った状況なのは間違いない。
下まで行くと「う〜」とか「む〜」と言い合っている?のが聞こえた。
「フェア〜!エリー!どうしたぁ?何か困った状況?何かあった?」
まぁ、困った状況なのは分かるしそれはこっちにも言える事なんだけど、と思いつつもそんな風に声をかけてみる。
「む〜。これ、私が先に手を付けたのにフェアが離してくれないんですよぉ〜」
エリーがそう答えると
「う〜。これ、私が手を付けてたのに後からエリーが来て取ろうとするの〜」
フェアがそう、言ってきた。
「・・・う〜ん。まぁ、そんな事かな、とは思ったけど。どうしようか?」
リンとアリーに聞く。
「あはは。2人とももう持ちきれないように見えるけど、ね〜」
うん。リンが現実を見て言う。
「私が行きましょうかぁ〜?」
アリーが名案を出してきた。
それに乗る事にする。
「フェア!エリー!もう2人は持てないように見えるよ?アイテムボックスやバッグに入れるかそのまま2人で協力するかしないと・・・いや?2人でも取れないんじゃない?今からその魔石はアリーに頼んで取りに行って貰う事にするけど。良いよね?」
さぁ、2人はどうするかな?
(・・・ロウジ。ゴサンダトオモウケド〜。オキャクサンダヨ〜)
は?オキャクサン、お客さん?
「んにゃ?ロウジ!何か来る!ゆっくりと、だけど。」
「あ。大きな声を出してたから、ですかねぇ〜?」
「あ。」
アリーの言葉にシルフの言った誤算の意味が分かった。
カザカザッ
ガサ
ガサッ
と、確かに結構ゆっくりとした音ではあるけれど確かに足音みたいな感じで草が立てる音が聞こえて来る。
「アリーは良いよ。フェアとエリーの方をお願い。上も安全とは限らないし。」
多分見る限り何かやらないとあの2人は今のままな気がするしね。
「あ、はいぃ。分かりましたぁ〜」
「シルフ。相手は何だろう?」
まだ距離もありそうで音しか聞こえて来ない。
「ん?シルフ?」
実は先に様子を見に行ってくれていたシルフが戻って来ていなかった。
「あ。来た?」
(ン〜。ヨクワカラナ〜イ!)
「はい?」
戻って来たシルフが両手を広げて肩をすくめるという、所謂どうしようもない、というポーズをとりながらそんな事を言った。
「どうしたにょ?」
「あ、うん。シルフが」
(ウ〜ン。キケンハナイヨ〜?ナイトオモウヨ〜?デモ、マモノ、マジュウダヨ〜?)
「う〜んと?」
危険はない?
魔物?魔獣?
「アングリーマッシュみたいですぅ!気を付けて〜!」
上からアリーの声が降ってきた。
アングリーマッシュ、ね。
多分上から見えたんだろう。
・・・植物型の魔物?
大きなキノコ型の魔物、あるいはキノコに魔力が集まって変化した魔獣。
自然を踏み荒らすモノに対して問答無用で攻撃を仕掛けてくる。火が弱点だが燃えるのに時間がかかるので暴れ回る事を念頭に火を使う場合は辺り一面が火の海にならないように注意が必要。
その身体は食用にもなる。
その性質から中には精霊のような個体も存在する。
と、頭の中に情報が浮かぶ。
「普通に攻撃的で危険な魔物なんじゃ?」
「うん。危険だ、ねぇ。森の番人みたいにも言われる事があるけど・・・魔物だから。」
「ふむ。シルフが危険はない、みたいに言ってるんだよ。何か困ったような素振りはしてるけど。珍しく。」
だいたい風を司る精霊が困るっていうのも、正直意味が分からないというか。
(シッカタナイジャ〜ン?トニカクハナシヲシタイミタイダカラソレカラダネ〜)
は?
「んにゃ?ロウジ〜?変にゃ顔ににゃってるよ?どうかしたぁ?」
「ん?んぁ?・・・う、うん。なんか話をしたいみたい。魔物?が。」
・・・リンがそんな風に言うなんて今、俺はどんな顔をしてたんだろう?
などと思いつつもリンに説明する。
「ん〜。アングリーマッシュ、なんだよ、ね?シルフがそう言うなら信じて良いんじゃにゃいか、なぁ?」
「う〜ん。まぁ、シルフ自体話をしたみたいだしね。とりあえずこっちからは動かないで来るのを待とうか。」
「うん。フェア〜、アリー、エリー!こっちは大丈夫だから!心配いらにゃいよ〜!」
手を振りながらリンが上の3人に言う。
「あ。うん!大丈夫だから攻撃しないで!なんか話をしたいみたいだから〜!」
うん。
これだけ騒いでおけば向こうにもこっちが敵対の意思が無いというのが伝わるんじゃないかな?
そして、しばらくすると体長が1メートルあるかないかくらいのキノコ達が近くまで4体歩いてきた。
あぁ、身体ほとんどが草で擦れてたからあんな音になってたのか。
しかし、色も形もバラバラだ。
一番前に居るのは・・・タマゴダケ、だったか?傘・・・頭?は平べったく斑点のない赤色で身体は細めだ。
一番後ろに居るのは傘は白いけど全体的に黄色っぽくて不気味だし、向かって右側は明らかに毒キノコだろう?という濃い赤色に白い斑点で傘が大きなキノコ。まるで某ゲームに出て来る食べると大きくなるキノコをリアルにしたような外見だが食べたくはならない。
反対側の左に居るのは・・・マツタケ、なんだろうか?ほのかな香りが漂ってくるんだけど。やめてくれ。
でも、少し草むらが拓けている場所で待っていて良かったと思った。
「あ〜あ、あぁ、あ。えぇ〜、言語はこれで通用しますかな?」
先頭にいる目かな?口かな?鼻は・・・あるのか?と、とりあえず顔のような物があるのが見て取れる1体が話しかけて来た。
この1体と一番後ろに居る奴以外は顔があるかどうか全く分からないから前も後ろも区別が付かない。
「あ。はい。分かります。良かった。シルフが話をしたいと言ってたんですが言葉はどうするのかな、と不思議に思っていたので。」
相手が少し老人風な話し方をしてきたせいで俺の方も丁寧な話し方になってしまう。
「おぉ。ではそちらの風の精霊の主様は貴方様ですか。あぁ、まずは話を聞こうとしてくれる事に感謝を。私は村長のマシュと申します。我々はこの区画に村を作って暮らしているのですが、少々お頼みしたい事があるのです。話を聞いて貰ってよろしいでしょうか?」
ん?
「マシュさん、ですか。この区画、と仰いましたか?ここは1つの大きな部屋ではないのですか?」
思わず質問をしてしまったよ。
部屋と区画じゃ全然広さのイメージが違うからね。
「は?はぁ。ここはこの階層の半分程の広さの区画になりますが。出入り口もありますので部屋とも言えますかな。」
ガーン
「が〜ん。あ。」
無意識的に口に出してしまった。
恥ずかしい。
「そ、そうだったんだにぇ〜」
リンもショックは受けているようだ。
「は、はぁ。それで、ですな。頼みなのですが。」
「あ、はい。とりあえずこの階層で済むことなら一応聞きましょう。」
「おお!」「おぉ?」「さすが人族の冒険者」
後ろの3人、3体がなにやら興奮しているが。
「事は魔力溜まりについてなのですが。まずは我々の集落へお越し願っても良いでしょうかな?」
「え?あ。う〜ん。どうしようか?」
隣のリンに聞く。
「う〜ん?受けてから聞かれてもにゃぁ。でも。魔力溜まりについての問題が起きてるにゃら行くべきじゃ?」
「うん。だよね。大きなのとか変な魔力溜まりは発生しないはずだし。」
「おお!では?」
「はい。ここの管理者でもあるはずのピアリス様からも頼まれてますので。」
こう言っておけば知性ある魔物なら下手な事はしないだろう、と思う。
「おお!やはりピアリス様からの信頼が厚い方々でしたか!そうだと思いました!では御案内させていただきます。」
「んんん〜?どうなってるの〜?」
「ん〜?どうなってるんでしょう〜?」
「ロウジ〜?これはどういう事なんでしょうかぁ〜?」
変な、と言ってはなんだけど上から降りてきた3人にとりあえず簡単に説明をする。
そうして俺達はアングリーマッシュという魔物の・・・・普通は問答無用で襲ってくるらしい魔物の済む集落へ向かう事になった。
と、言うかキノコが集落を?
お読みいただきありがとうございます☆
実は一階層のゴーレムの材料庫である森の部屋よりも広いようなのですが、そこで出会った話の通じる魔物。
普通は問答無用で戦闘になるような相手のようなのですが、頼み事をされた上に集落へ案内される事になりました。
ロウジは別に魔力溜まりの調査に来たわけじゃないんですが・・・(−_−;)
次回はアングリーマッシュ達の集落へ行き、置かれた状況を知ります。
更新予定は27日です。
更新がんばりますヾ(@⌒ー⌒@)ノ