地下遺跡二階の造りは?!
地下遺跡の一階層と何か違う二階層。
ロウジ達はまず腹ごしらえをしてから、と腰を落ち着けますが・・・。
さてさて、ロウジは何を見聞きし何をおもうのでしょうか?
「考えてみれば一階から階段を下りて真っ直ぐ進んだら二階へ下りる階段もあるんだよね。どうする?距離的には神殿に戻っても大した事ない気がするけど。」
二階と三階は階段が繋がってるけど探索するんじゃなければ一階から二階へも真っ直ぐ進むだけだったんだ、と今更ながらに気が付いて皆に聞いてみる。
「あぁ〜。ココ、安全かもしれにゃいけど確かにあまり雰囲気は良くにゃいかも?」
「でもでも〜?またあの階段を行ったり来たり、なの〜?」
「あ〜。私たちは階段の上り下りは別に苦になりませんがぁリンやロウジにはあの階段はちょっとキツくないですかぁ?」
あ。
「そうですねぇ〜。私もあまり上り下りはしたくないかもしれないですねぇ。」
「そういやぁ、神殿までの階段を忘れてたよ。そうだね、ここで食事休憩にしよう。」
うん。
俺の体力的には大丈夫だけど気分として嫌だね、あの階段をわざわざ行き来するのは。
・・・なるべくなら早めに確種薬を作ってリンに飲ませてあげたいんだけどな。
そういうわけでその辺に・・・なんか皆も階段に座る気にはなれないから離れた場所、自然と部屋の真ん中近くに集まってしまった。
そこで携帯食を、と思ったんだけど。
「あ。私たちがシチュー作りますねぇ〜?」
「私がシチュー作るの〜!」
「あ。シチュー作りますよぉ〜?」
「へ?」「にゃ?シチュー?」
アリーとフェアがやる気だ。
どうやらピクシーの3人がシチューを作ってくれるらしく調理の支度をし始めていた。
「やけに色々出すなぁ、と思ったら。材料は?何か出すものある?」
大したものは無いけどなぁ、と思いつつも一応聞いてみる。
「あ、大丈夫ですよぉ〜?ピアリスちゃんから結構貰ってきたので〜」
「あ、そうなんだ?いつの間に。」
エリーの言葉に驚きつつも納得する。
けど。
「朝、ピアリスちゃんを探してる最中に色々見つけたから持って来たの〜!」
「「あ!」」
「え?」「にゃっ?」
「・・・あぁ〜。・・・うん。何も聞いてないから。何も聞いてないから気にしないで続けて?」
「あ、あははは。」
全てをぶち壊しにするフェアの言葉は聞かなかった事にしよう。
リンは乾いた笑をしてるけど、目配せして頷いておく。
それに確かにこういった妖精達を野放しにして厨房とか散策させたらどうなるかはピアリスちゃん、ピアリス様もよくわかってるだろうし。
うん。問題なし。
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【シチュー肉】 アイテムレベル2
少し煮込みが足りないが適度な味付けがなされた美味しい鳥肉。大陸中どこでも食べられる食材。
「これ、肉。何の肉だろ?鳥肉みたいだけど。」
鑑定しても鳥肉としか分からなかったから聞いてみる。
柔らかくて美味しい。
「なんだろ?多分ドードーかエミューかにゃ?」
「多分ドードーかと思いますぅ〜」
「なんか書いてなかったから分からないの〜」
「これは多分ドードーじゃないですかねぇ〜?」
少し煮込みが足りなかったですねぇ〜、とアリーが続ける。
「ブフォ!ブフ、ゴフッフグォ、あぁ、変なとこ入った。ん。バ。・・・ド、ドードー?ドードーって、あの歩け、じゃない、飛べない鳥の?あのドードーかな?」
あ〜、苦しい。
びっくりしすぎて皿も少し傾けてしまった。
「もう〜、ロウジィ?どうしたにょ〜?気を付けて?」
「んんん〜?」
「あ、いや、ありがとう。もう大丈夫。それよりも「んん〜?あのドードー?というのはわかりませんがぁ。高く長く飛べない丸っこい鳥ですねぇ。」ドードーなんだけど」
「あ、はいぃ。飛べない鳥、ですねぇ。それがなにかぁ〜?」
「・・・あ。やっぱり多分俺の知ってるドードーだ。エミューとか言ってたし。・・・ドードー、ってたくさん居るの?ここ?」
バートさんの館に居る時に時々声は聞こえてきてるからニワトリかチャボは居るみたいだけど・・・まさかドードーやエミューが居るとは。。。
「ドードーはこの森の外れにも住んでますし、ある程度広い場所が必要ですが、そちらの村でも飼われてるはずですよぉ?」
アリーがそんな風に説明してくれる。
「そ、そうなの?飼われてる?」
「うん?うん。農場、の奥とかペットにしてるウチもあったはず。大きなタマゴも取れるしニワトリよりも食いでがあるしこの大陸じゃ野生にょドードーは食用に狩ったりもするけど、捕まえて繁殖用に売った方が良いんだよ?」
リンに顔を向けて聞いたらそんな答えが返ってきた。
「まぁ、彼らは愛嬌があるので必要がなければ狩られはしませんがぁ」
エリーがそんな風に補足をしてくれる。
「そ、そうなんだ。・・・この大陸にはそんなにたくさん野生でも居るんだね。」
・・・こういうのもカルチャーショックと言うのだろうか?
これだけの衝撃は初の体験、かもしれない。
1時間が80分というのも衝撃的だったけど、どうも針で時刻を報せる時計、というのは今の所見掛けないから実はそれ程困ってはいないしなぁ。
忘れるくらいだし。
しかし
「ドードー、ドードーにエミューか。あ。ひょっとして時々食卓に並んだデカイ目玉焼き(スクランブルエッグ)はどっちかの卵だったのか?」
卵料理も味が違うのは調味料のせいかと思っていたけどそもそもがニワトリの卵じゃなかったのか?
結構な衝撃だよ。
「元々創造神様が他の世界で滅ぼされかかっていたのを哀れんで連れて来たらしいですよぉ?」
「あ、あぁ、そうなんだ。・・・そう言えばそういう話は聞いたなぁ。やるな創造神も」
他所から創造神達が連れて来たり持ち込んだりする事があるって話は聞いたけど、こういった事なら素晴らしいな、と本気で感心した。シヴァ神、見直した!
「ですねぇ〜。さすがは慈愛の女神パールバティ様ですぅ〜」
ん?
「創造の女神様、素晴らしいなの〜」
んん?
「パールバティ様は素晴らしい方ですよねぇ〜」
あれれ?
「あれ?パールバティ様?創造神ってシヴァ神の事じゃなくて?」
おやおや?
エリー、フェア、アリーの言葉になんとなくがっかりしながら、なんとなく納得しながら聞く。
「あぁ〜。ええと、ですねぇ〜」「あぁ〜んと〜、なの〜」
「えぇ。確かにシヴァ様とパールバティ様なのですがぁ〜・・・しかも積極的にお連れになったのはシヴァ様だと伝わっていますがぁ。やはり、なんというか慈愛の神様、と言うと、ですねぇ〜・・・」
「あ。あぁ〜・・・・あ〜。うん。なんとなくわかった。・・・しかしシヴァ神、哀れ。」
最後の呟きはあまり聞こえず皆は少し首を傾げただけだった。
・・・でも、この世界でのシヴァ神のスタンスがなんとなく理解出来る会話だったかもしれない。
哀れだ。
(ア。ロウジ〜ゴメ〜ン。アンゼンデモナカッタカモ〜。)
「ん?どした?」
(ジャイアントバットガァ〜キタ〜)
「ん?ジャイアントバットガァ?」
「んにゃっ!ロウジッ!階段から!魔物!3、4匹!」
「あっ!」「バット!なの!ウインドカッター!なの!」
「ウインドカッター!」
「ん?」
俺は階段に背を向けて座っていて。
シルフが俺の前に来て話し掛けてきたものだから気付くのが遅れた。
「ストーンバレットぉ!」「にゃ!てゃ!」
・・・・いや、それ以前にシチューに意識が行っていて、行き過ぎていて完全に対応に遅れた。
リンだけは直接切り掛かっていたが、相手は階段から来たので普通に跳び上がって斬れたようだ。
後ろを向きながら立ち上がり魔法を撃つか剣を抜くか迷った間に4匹飛んで来ていたデカイ蝙蝠はボロボロになって床に転がっていた。
「あれ?消える?あれは魔力、か?」
転がっている蝙蝠の内の2匹が身体から湯気のように魔力を放出するとその身体が消えていった。
残り2匹も同じように魔力を放出し始める。
「あ、れ?今見えてるのは魔力、だよな?あれ?」
エレメンタルサイトでも魔力は普通に見えるんだっけ?
かなり集中しないと見えないはず?
「はい、ロウジ。これ、魔石。2つは砕けちゃってるから放置で良いよにぇ?」
リンが茶色っぽい小さな石・・・壁に嵌っているものよりも小さな石を差し出してくる。
「ん?あ、あぁ、良いよ?それにこれは倒した人が持っていて?今回俺は何もしてないから。それよりも。湯気みたいに見えたのって魔力、だよね?見えた?魔力、見えるの?」
何も出来なかったショックと少し考え事しながらだったから矢継ぎ早になってしまう。
「ん?あ、そう?じゃぁ、魔石は貰っとくよ?魔物は魔力を集めて固めて身体を形成してるから消える時にそれが見えるにょよ。・・・まぁ、見え方にはやっぱり個人差があるみたいだけど。」
「あ。そうか。そうなんだ。そういう事か。ありがとう。分かりやすい。」
なるほど。魔石が身体を形成する元になる、んだったか?魔力が身体を形成して凝縮された魔力が魔石になるんだったかな?
(ソレハドッチモアル〜。ドチラニシテモマセキガジャクテン〜。マリョクガギョウシュクサレレバカラダガツクラレルシマセキモツクラレル、カラネ〜)
「あ、うん。そうだったね。魔石が弱点でとりあえず魔石を壊せば身体を形成出来なくなるんだったかな?」
「ん?シルフと話をしてるんですかぁ〜?そうですよぉ?今のジャイアントバットは魔石も小さいので全身を攻撃してしまった方が早いですけどねぇ〜」
「あ。なるほどね。」
エリーの説明に納得する。
だから魔石が綺麗に残ったり砕けてたりするわけだ。
「食事も食後の運動も終わりましたからぁ、出発しましょうかぁ〜」
「しゅっぱ〜つ!なの〜!」
「あ!こら、フェア!そっちじゃないですよぉ〜!」
「あ。そうだったの〜」
「あ、あはは。」「ははは。」
さっそく階段を下りていこうとしたフェアをエリーが捕まえていた。
後片付けをしシャッターを作動させる。
シャッターは上がっていく時もやっぱりズリッズリッ、となかなかに気を揉む速度であった。
・・・・ちなみに階段側まで歩いて行ってスイッチの操作をしたのもやっぱり俺だった。
しかももう場所は良いだろうとシルフもついて来てくれなかったので一人寂しく踊り場・・・階段部屋?の中を往復した。
(ア、ロウジィ〜?ソコミテミテ〜?)
「ん?こっち?・・・これ、ひょっとして。こっち側からも操作出来る?」
上りかけのシャッターの下を通り、部屋から出るとシルフが振り返って手前右側の壁を差してきたから見たんだけど。
そこには同じように茶色い魔石が嵌っていた。
ただし、少し赤味がかかっている。
(ソーダヨー。タダシ、アッチデソウサシタラコッチジャソウサデキナクナルヨー。イマ、コッチアカクナッテルデショー?)
む。
「シルフ?なんでそんなに気のない話し方をしてるのかな?・・・・最初に部屋を出てこれで操作すれば俺はあんな歩き回らずに済んだんじゃないの?」
確信犯だな、こいつ、とシルフに言う。
(キャハハハハ!)
「・・・はぁ。まぁ、良いけどね。安全な場所だって分かったし。もしこの音で何か変なのが集まったり寄って来たとしてもあっち側ならある程度は安全だったわけだし。」
うん。
もしもこっちで操作してシャッターを下ろしててこちら側から魔獣が来ていたら、と思うと・・・さすがに怒れないな。
階段から襲われる事を失念していたわけだけど。
こっちで操作したら中のスイッチじゃ操作出来ないと言うし。
こっちで操作した後に部屋の中に入ってしまったら多分シャッターを壊すしか操作する方法はないんじゃないか、とも思うし。
(ン〜、ソダネ〜。ソトカラノキョウイニソナエルカ、ナカカラノキョウイニソナエルカ、ダケダカラネ〜。マホウガトドカナイカラマホウデアケルッテコトモデキナイシ、ネ〜。カルクフリョウヒン〜?)
「え?・・・あ?いや、どうなのかな?それは。」
な、なかなかキツイ指摘を。
「あ、それってあっちのと同じスウィッチ、なの〜?」
「ん?あ、うん。こっちで操作するかあっちで操作するか、どちらか一方でだけ、なんだって。」
「んん〜?一方、なの〜?」
「へぇ〜。下手するとこちら側にも誰か残らないといけないという事、ですよねぇ〜?」
「へぇ〜?あっち側で閉めてこっち側で開けるって出来ないんですかぁ〜?」
「ん?どちらかでしか操作出来にゃくしてあるにょ?」
「あぁ〜!そういうこと、なの〜!」
「うん。なんだろうね?命令が重なると誤作動起こしたり壊れたりするから、かな?あっち側で開けたら閉めるのもあっち側でしか出来ないらしい。」
一番考えられるのはそれだと思うけど。
ん?でも待てよ?
「今は作動中だからこっち側で操作出来ないだけ?それとも開け閉め、もしくは閉め開けのセットをどちらかでしないとダメ?さっき向こう側で操作出来たのは?あれ?」
開け閉め1セットになってるという意味で捉えてたんだけど、それだとおかしな事に気が付いた。
(ン〜?セツメイブソクダッタ〜?マセキニソウサシタトキノ〜、マリョクガノコッテタラノコッテルガワデシカソウサデキナイノ〜。フツウハハンニチクライカナ〜?)
シルフが今度は詳しく説明してくれたよ。
「あぁ。そういう事か。一度操作したら半日くらいだったらそちら側でしか操作出来ない、と。この赤味が増した魔石の色で判別出来るんだね?」
(ソウイウコト〜!サァ〜アンナイスルヨ〜!)
「この魔石の色で魔力がどちら側の石に残っていてどちら側で使えるかが分かるみたい。半日くらいは片側だけでしか使えないみたいね。今、詳しく聞いたよ」
「あぁ、そういう事にゃんだ。了〜解」
・
・
・
一階よりも部屋数、ドアの数が多い。
道も行き止まり・・・もう覗くと向こう側に
壁が見えるような場所が多い事に気が付いた。
(コッチコッチ〜)
シルフについていく。
「う〜ん?・・・なんか細い路地みたいにゃにょもあるよ、この階。」
「あはは!向こう側に抜けられたの〜!」
「もうフェアったらぁ〜!」
「おおぅ?」
フェアとエリーが横合いから飛んで来た。
「結構複雑、なのか単純なのかよく分からない造りみたいですねぇ〜」
フェアとついでにエリーを叱りながらアリーが言う。
「う〜ん。うん。なんか住宅街を歩いてるみたいだ。長屋町とか。」
ドア数の多さと太さが違う道。
歩いていて抱いた感想を言う。
「あ〜。確かに。この細々とした道にょ感じは長屋区とか住宅街に似てるかもぉ?」
「長屋町ぃ〜?」「長屋町、ですかぁ〜?」「長屋町、なの〜?」
「ん?あ。長屋って言っても分からないのかな?・・・なんて言うべきか。アパート?あ、テラスハウスか。集合住宅の事なんだよ。」
テラスハウスって長屋の事だったよな、と気が付いたよ。
「テラスハウス、ですかぁ。」
「あぁ〜!分かりましたぁ!セミデタッチドハウス、とかですねぇ」
「テラスハウス、なの〜?」
・・・・フェアは分かったのか分からなかったのかいまいち分からないけど、まぁ、エリーとアリーが教えてくれるだろう。
「あ。あそこかにゃ?やっぱり公園みたいににゃってるみたい。」
(ア!サキニイワレタ〜!)
「あはは。うん。そうみたい。シルフが先に見つけられて先に言われたって悔しがってるよ」
笑いながらリンに答える。
一階の造りから変わってなんか不気味な階層だと感じたけど全然そんな事はないみたいだ。
「ロウジじゃないけどにゃんかアンデッドが出てきそうな感じで緊張してたけど大丈夫そうで良かったよぉ」
リンも緊張してたみたいでそんな事を言っていた。
さぁ、精霊草の採取だ。
・・・・でも。この階にあとどのくらい採取出来る場所があるかわからないけど、あまり三階には行きたくない気がするんだよなぁ。
さぁ、探すぞ!
うむ。
読んでくれて感謝するぞ?
・・・なにやらここまででロウジの中でこの俺の評価が上がったり下がったり、下がったり下がったりもしているようだが・・・実際大した事をやっていると思うのだがなぁ?
ドードーやエミューもパールバティではなく俺が率先してやった事であるし・・・いや、確かにサーベルタイガーと同じ区画に放して怒られたような気もするが。
・・・うむ。ま、まぁ、このヴェーダという世界はそういった希少種を繁殖させる為に使ったりもしているのだ。すごいであろ?
ん?あ、あぁ、すまん。
天狐の奴に叱られてしまったから俺の話はこのくらいで、な。
次の話はやはり採取が主になるようだが・・・多少魔力が淀んでいる場所があるようでな、また戦闘になるようだな。
ふむ。あそこは俺も詳しくは把握してないからなぁ、楽しみだ。
更新予定は21日のようだ。
では、な。
創造神であるシヴァが解説を送ったぞ。