水晶玉の謎とシーフードパスタ?!
神殿まで無事に帰ってきたロウジ達。
出迎えたのはピアリスの本体。
さすがにそんなにヤバイものか、と緊張感が増します。
そして、ピアリスが水晶玉について分かった事を語ります。
さてさて。
あの後、少しピアリス様とリンに弄られた俺は風呂に入った事も重なり疲れ切って食堂のテーブルに突っ伏していた。
・・・ちなみにやっぱり俺だけ男性用浴場だったのは言うまでもない。
フェア達は意外にも「気にしな〜い」と言っていたが、リンとピアリス様2人の意見で・・・男女一緒で構わない、という意見が出るとちゃんと慎みを持ちなさい、とかダメですなどと言ってしっかり男女別に分けるのだから、完全に人をからかっていただけなのがバレバレなんだよね。
まぁ、ちゃんと良識はあるという事で一応根っこの方では安心できるのかもしれないけど・・・大精霊という相手に良識どうのこうの心配する時点で何か違ってるような気もする。
「ふふ。まぁ、後はゆっくり、と言いたい所だけど。本題に入りましょうか。この可愛らしいゴーレムが持っている岩は簡単な封印術が掛けられているけれど。これ、なのよねぇ?」
フェア達を模して作ったゴーレムをずっと抱えたままでいたピアリス様が聞いてくる。
・・・誰も突っ込まなかったけど俺達の前に現れてからピアリス様はゴーレムを見付けた途端にゴーレムを抱き締めてそれからずっとぬいぐるみのように抱え込んでいた。
「・・・あ〜。はい、そ〜ですぅ。簡単な封印術、のつもりはなかったんですが、ささっとその場で封印して持って来ました。」
「あらぁ?あらあらぁ?やぁねぇ〜、簡単なと言うのは貴方が今言ったようにいつでもどこでも簡単に使う事が出来る、という意味よぉ?簡単に解けたり気軽に出来るような簡単なものではないわぁ?・・・ふふふ。男の子。意地かしら、ねぇ?」
言ってウィンク一つ。
う。
・・・恥ずかしいなぁ。
「くぅっ。まさかピアリス様のウィンクで恥ずかしくなるとはっ!」
などと言ってみる。
「ふふふふ」「ぷっ」
「あ、あははは」「はははは」「あははっへんなの〜」
「うぅ」
まぁ、成功には成功なんだけど。
「やっぱり笑われたか」
それはそれで女の子ばかりなのだし恥ずかしい事だと今更ながらに気が付いた。
「はいはい。あまりロウジをいじめては可哀想よぉ?ロウジもあまりいじめられないように、ねぇ?」
く。
「くぅ。何も言い返せない」
今のはそもそも自分からいじめられ・・・じゃない、いじられに行ったわけだしな。
今のピアリス様の発言でリンとエリーは絶賛爆笑中だよ。
「さて。真面目な話。一応わたしも他の精霊を通して封印するところは見ていたのだけれど。フェア達に聞くわ。ここ最近で魔族や人族があそこの周辺に立ち入った形跡はあるかしら?」
「え?・・・・うぅ〜ん。うぅ〜ん?・・・私たちは森のあっち側はあまり行かないの〜。でも、木とか草とか。変になってはいかなかったの。だから・・・うん。だから、多分、だけど3年や4年は動物達しか居なかったと思うの。」
「そうですね。そう、思います。」
「はいぃ。私もそう思います〜」
フェアがエリーとアリーに確認するように2人の顔を見ると2人はそんな風に返事をしていた。
「そう、ねぇ。わたしもそう思うわぁ。ありがとう。ちょっと違う視点からも確認したかっただけなのよ。木や土の精霊達は少なくとも10年単位でこういったものを持ち込めるような存在は森自体に入り込んでないと言っていたわ。・・・・でも、それだと魔物がスライムしか発生していないのがおかしいのよねぇ。あれだけの瘴気にあてられていればアントはもちろん、クマだろうが魔獣と化すわ。・・・そう言えばクマの姿は見なかったのよねぇ?」
「え?あ、はい。・・・そうです、ね。スライムは結構強かったとは思いますが。」
「はい〜。巣穴にアントの抜け殻と抜け殻か死骸の欠片か分からないモノは少しありましたけど〜。生き物が居なかったのはスライムが大量発生したせいだと思いました〜」
「はい、なの。・・・アントなら10匹以上いてもわたしとアリーの2人でどうとでもなるからロウジ達が来る前に探検とネコノコシカケ集めをしようと思ったの。・・・でも、うん。スネークとかリザードとか確かに生き物が居なかったの。でも、スライムの他に魔物も魔獣も居なかったの?・・・うん。居なかったの。」
「わたしもリンも辺りを探ってましたけどぉ。おかしなものは何も、でしたねぇ。」
そう言ってエリーがリンの方を見るとリンも頷いていた。
うん。確かに2人は結構辺りの警戒をしてくれていた。
「ロウジは・・・えぇ、そうね。分かったわ。ロウジは聞くまでもないから良いわ」
うあ。
「ぐはっ」
確かに。確かに気配の察し方とか分からないから耳と目が頼りだよ?
その目と耳はリンには敵いっこないし、普通に飛んでるエリーにも索敵範囲で勝てるわけないよ?
あぅ。
「そうねぇ?それに。何かを見ても何かが聞こえても貴方にはその正体が何か分からないし、恐らく知らないわよねぇ?」
あ。・・・・がくっ。
「あ。ロウジがにゃんか更に落ち込んだ」
「ロウジィ?だいじょぶなの〜?」
「「あははは」」
・・・リンとフェアは心配してくれたけどエリーとアリーは笑っている。
どうやら俺とピアリス様のやり取りがツボにハマるようだ。
「と、まぁ、さっきも言ったばかりだけどロウジはからかわれ癖をなんとかしないといけないわ、ねぇ?・・・ロウジ?この封印術を一旦解いて貰えないかしらぁ?あ。もちろん、ピクシーの3人には少し・・・そうねぇ、ロウジの後ろに隠れられるようにそっちに行っていて貰うわね?」
俺をからかいつつも言うべき事は言ってくるピアリス様。
「ここで?今?解いちゃって大丈夫ですか?」
なんか心配になるんだけど。
「えぇ。大丈夫よ?実際に自分で見てみない事には何とも言えない部分はあるけれど。この程度の瘴気にあてられたくらいで魔物になるようなものは・・・居ないし、ねぇ。」
ふぅん?
少し考えた間が気になるけどなら別に・・・って、あぁ、そうか、そういうことか。
スネークとかリザードとかって言ってたけど小動物とか虫にまではどのくらい影響があるか分からないか。
アントの魔物化?魔獣化?した奴とか居なかったみたいだからあまり心配は要らないとは思うのだけど・・・あぁ、それも逆に小動物とかがまるっきり居なかったというのが不安要素なのか。
「どうせ封印したならもう少し周囲を調べてみるべきでしたかね?」
まさかとは思うけど魔獣と化した動物達が何処かへ集団移動、なんて事態になっていたりして。
「う〜ん。さっきも少し言ったけどあたしとエリーで調べた感じじゃ大丈夫そうにゃんだけど・・・」
「はいぃ〜。」
俺の言葉にリンが少し困ったように答えてエリーが頷いた。
「あ、そうか。2人は周りの警戒だけじゃなくてそういったのも調べてくれてたのか」
そうか、そうだよな。
エリーもフェア達が森の管理の一部をとか言ってたけどアリーが草花、エリーが動物達、みたいな感じだったしな。
「そう。精霊達には動物達の事は聞いてないけどリンのスキルで何も分からないのなら不穏な空気を感じ取って近付かなかったのかもしれないわねぇ。」
納得いくわ、などと言っている。
けど。
「リンのスキル?なんか便利なスキル持ってるの?」
探索、と言うか捜査型のスキルって事かな?
「あ、うん。・・・獣や冒険者達が争った時にゃんかには役立つけど普段はあんまり意味がにゃいスキル・・・」
「ふうん?探索型ってわけじゃないんだ。なんてスキル?」
教えてくれるかなぁ?
「現場検証。何かが起こった場所で、何かを探し当てるスキルにゃにょ。レベルが上がれば精度とかなりの時間を遡れるみたいだけど、あたしはまだそんにゃ昔の事は見られにゃい」
「ん?ごめん、もう一度スキルの名前だけ教えて貰って良い?」
なんだろ、なんか違和感が。
「ん?現場検証?」
「あ、あぁ。なるほど。ありがとう。・・・便利なような使う時と場所を選ぶ微妙なスキルのような・・・」
現場検証、ね。
リンの口は明らかに違う動きをしてたから多分実際には俺には聞き取れない言葉で自動翻訳された結果なんだろうと思うけど。
それに・・・時間を遡ってそこの出来事を見る、のか感じ取るスキルみたいだから実際にはサイコメトリー?だっけ?何かを見付ける、というよりもああいう過去視の能力に近いのかもしれない。
「う、ん。昔は獲物を探すにょに便利だったんだけど。気配を読んだり足跡とか追跡する事が出来るように、なってからはすごく場面を選ぶスキルだにゃって。それでも重宝してるけどにゃ。」
頬を掻きながらリンが言う。
「ん?あ、あぁ、ごめん。言い方が悪かったか。すごいスキルだと思うんだよ?俺なんかには勿体無い、というか俺が持っていたら多分使いまくると思うし」
うん。別に悪く言ったわけじゃないんだけどそういう風に受け取られてしまったようだ。
「あ、うん。ロウジは優しいにゃ。」
「え?あ、いや。」
う〜ん。
(新しい称号、天然ジゴロ、を手に入れたワン)
「はぁああ?」
「にゃっ?」「わっ!ろ、ロウジィ?なの〜?」
「ぅわぁっ!ビックリしたぁ〜」
「わぁっ!ビックリしましたよぉ〜」
「ふふふふ。あらあら。災難ねぇ」
「皆ごめん、驚かして。・・・・ピアリス様のそれは・・・あ、いえ、なんでもないです。」
これは、うん、あれだね。
近くに居るからか天狐も精霊のような存在だからかピアリス様は天狐の声を聞く事が出来るのかもしれない。
「ふふふ。まぁ、称号が増えるのは悪い事ではないと思うわぁ。あまり自慢出来る称号ばかりではないのも確かだけれど、ねぇ?」
言って俺に向かってウィンク一つ。
うん。確実に分かってるよね、これは。
「んにゃ?・・・あぁ!称号が増えた?」
「あ、そうなの〜?ロウジ?おめでとう〜なの〜!」
「あ、いや、その。あ、ありがとう。」
エリーとアリーは「あまり名誉な称号じゃないんだろうねぇ」なんて話してるし。
うん。察してくれると嬉しい。
賢い女の子は好きだしね。
・・・・あ、あぁ。こんな事を考えるからこんな称号が付くわけか。
いや、でもなぁ。
「ふふ。深く考えてはダメよぉ?さ、ロウジ?早いところこの封印術をパッパッと解いちゃって貰えるかしらぁ?」
あ。
「は、はい。そうでしたね。・・・ってかソレ、置いて貰って良いですか?フェア達は一応念の為こっちに。」
「にゃ。あたしはここで良い?」「うん。分かったの〜」
「わっかりましたぁ〜」「はい、わかりましたぁ〜」
「ええぇぇ?このままじゃ、ダメェ?」
・・・はい。約1名物分りが悪い方がいらっしゃいました。
「・・・まぁ別にそのままで影響がない、安全だって言うなら良いですけど。良いですか?」
「あらぁ。さすがに優しいのねぇ?このままで大丈夫よぉ?だから、お・ね・が・い」
「・・・はいはい。分かりました。じゃぁ。開封!」
右手を前に。封印に向けて伸ばしてそれを開けるイメージで魔力を飛ばす。」
「あら。・・・・これは・・・思ったより?
・・・あらぁ?」
「あ。そうだった。パージ。」
「あぁ、えぇ。ありがとう、ロウジ。・・・これは・・・どうなのかしら、ねぇ?何なのかしらぁ?んんん?」
包んでた岩も分解されて(忘れてた)露わになったソレを手の中で回しながらピアリス様は考え込んでいる。
かなり集中しているようだ。
とてもじゃないが声を掛けたり邪魔を出来るような雰囲気じゃぁない。
「ん〜」
フェア達と顔を見合わせてしまう。
「あら?・・・そう、なのね?・・・この正体が分かったわぁ。危険には危険だけれどとりあえずは安心して良いわよぉ?」
ピアリス様が未だ瘴気を出している水晶玉をテーブルの上に置いて皆を見回しついってくる。
「えぇっと。安心、なんですか?」
危険なのに?
俺達も顔を見合わせて、俺がピアリス様に質問する。
「あ、えぇ。安心して?誰かが何かを意図してあそこに隠したり置いた物ではないことが分かったから。」
「へ?」「そう、なの?」
「そう、なんですかぁ?」「ええ?そうなんですかぁ〜?」
そうなの?
てっきりヤバイ物が持ち込まれたと思ってたのに。
「どういう事か教えて貰っても良いですか?」
「えぇ、もちろんよぉ。・・・これはね?今も・・・あ。そうだわぁ。その前にロウジ?岩は要らないからさっきの封印術をかけて貰えるかしらぁ?」
「あ。あぁ、はい。分かりました」
すっかり話を聞くモードになってたから少し力が抜ける感じで返事をする。
・・・・うん?
「ピアリス様も封印術くらいなら使えそうですけど?」
「あらぁ?ふふ。そうねぇ?使えるわよぉ?ただ、わたしの使う封印術は精霊の力の方が強いのよぉ。あまり物を封印するのには向かないのよねぇ。だ・か・ら」
「あ、はい。・・・まぁ、そういう事なら。」
それに岩が要らないならすぐに終わるし。
水晶玉に封印術を施す。
「ふふふ。はい、ありがとう。それで、この水晶玉についてなのだけど。これはどうも魔族と人族とのハーフに生まれついたコが自分の魔族としての力を取り除く為に試行錯誤した結果に出来た物みたいなのよ。魔法で強化して作り上げたみたいだけれど、それでも1つじゃ収まりきらずに3つくらいになってしまったようだけれど、魔族と言ってもハーフの、それも1人の瘴気だけを中に込めたものだから本来ならそう危険なものでは無いようなの。ただ、これはどういうわけかヒビが入ってしまったのね。森に入ってアントの巣穴に入った経緯はよくわからないわ。恐らく光り物が好きな動物でも持ち込んだのかしら、ね。作られたのは40年以上前みたいだわぁ。そういうわけだから安心して良いと思うわよぉ?」
「あ、そうなんですね?・・・そういう事ですか。」
「そうにゃんにゃ」
「ん〜?そう、なの〜?」「そうなんですねぇ?だったら安心しましたぁ」
「あ、そうなんですかぁ。安心ですね〜?」
ん〜。
40年以上前に作られたのが今頃になって不気味な動きをみせるとは!
なんて、陰謀論はないわけか。
まぁ、よかった、かな?
「ピアリス様もリンのみたいになんかそういった分析系?のスキルを持ってるんですか?」
数分にらめっこしていただけで良くそこまで分かったなぁ、と思って聞いてみる。
「あら?・・・あぁ、そうねぇ?ロウジには悪い事をしたかしらねぇ?少し焦らせてしまったかしら?ねぇ、ロウジ?今、わたしの左肩には何が乗っているかしらぁ?」
「ほぇ?左肩に?」
ほぇ?
言われて見ると黒い塊。
あ、いや?闇の塊、か?・・・・あぁ、闇の精霊だ。
「闇の精霊、ですね。シェイド、ですか。」
「ふふ。やっぱり目は閉じていないわよねぇ?見る気にならないと、それは意識しないと気が付かないだけね。・・・そうよ?その水晶玉に一緒に入っていたの。こう言えば後は分かるわねぇ?」
ふふふ、と笑って言う。
「え?あ?・・・その中に?瘴気と一緒に?」
大丈夫なの?
「えっと。瘴気におかされたりは?」
考えていたらリンが聞いてくれた。
「そう、ねぇ。それがねぇ?居心地自体は良かったみたいなのよぉ。それが光の下に急に出されたから暴れようとしたみたいだけれど、ロウジに更に光の封印術を掛けられて。」
「あぁ〜」
なんか途中で勢いよく瘴気が出てきたような気がしたけどシェイドも混ざってたのかな?
これはマズイと思って封印しちゃったわけだけど。
「それで良い感じに力を削がれて浄化もされたみたいね。さっき岩を取り除いた時に中が居心地が悪くなっていたみたいで飛び出して来たわぁ。だからこのコから色々と聞く事が出来たのよぉ。」
ある意味ロウジのお手柄かしら、ねぇ?と言ってくるが。
「そうなんですね。全然気が付きませんでした。」
まぁ、気が付いていても逆に何をしたら良いか分からなくなっていたかもしれないけどね。
「ふふふ。まぁ、良いわぁ。これは此処で預かるから安心してねぇ?さて、じゃあ、わたしも安心したから向こうへ戻るわねぇ。後は皆してフレンド登録してゆっくりしなさいなぁ。」
そう言って食堂の壁に黒い穴・・・あ、違うか。黒い空間の通路を作るピアリス様。
「あ、はい。分かりました。ありがとうございました。俺達も安心しました。」
「ふふふ。食事も出来てるからゆっくりなさいな。じゃ、ねぇん?」
手を振りながら黒い穴に入って行くピアリス様。
「「「「食事?」」」」「なの〜?」
「も〜。わたしの存在忘れてないかしらぁ?残念だけれどもう少し待っていてねぇ〜?」
そう言って厨房の奥から顔を出したのはピアリス(少女)様。
あ。
「忘れてた。」「すっかり忘れてたにゃ」「忘れてたの。」「忘れてましたぁ」「忘れてましたねぇ。」
「だよねぇ?」
うん。だって顔を見せなかったし、『あの』ピアリス様が色々な意味で大きくてすっかり忘れていたよ。
「くっ。・・・なんなの、この複雑な屈辱感は。良いわ、少し待っていなさいね」
そして文句を言いつつもまた奥へ引っ込む。
確かに屈辱感をもたらしたのも感じてるのも自分だしなぁ。
いや、それよりも。
それよりも?
「え、えぇっと。まさかピアリス様、が作ってる?」
まさかのまさか?
「・・・うん。たぶん。」「なの。」「たぶん、だけどぉ」「たぶん、ですが」
・・・・うん。
色々な意味で不安になる。
まず材料はどうしたのか、とか。
「あ、それよりも、ほら。フレンド登録しちゃうにゃ。」
「あ。そうなの!フレンド!なの!」
「あ、そうですねぇ。」「あ、まぁ、そうですね〜」
言って皆してギルドカードを首から外す。
俺以外。
「んにゃ?ロウジ?」
「あ、あぁ、ごめん。フレンド登録。フレンドオーダー?やり方分からなくて。」
急いで俺も首から外す。
「あ、そうか。じゃぁ、まず見てて?」
そう言ってリンがカードの透明なカバーを外す・・・?カバーじゃない?
紐がついている部分をネジみたいに回すと・・・懐中時計みたいにパカっとカードを覆っている堅い透明なカバーが開いた。
そして少し青く発光して文字盤みたいなのがそこに浮き出てきた。
・・・文字盤みたいなの、というのは数字以外は俺には読めない字列がほとんどだから。
「フレンド登録するにょは簡単よ。こうしたらカードの自分の名前を軽くなぞって」
リンとフェアがカードに書かれた文字をなぞったらその文字列が黄色く発光する。
魔力の光かな?
「それで、この状態のカードを近付けると・・・」
「フレンド登録完了しました」
「おお!」
なんとなく受け付け嬢を思わせるような機械的な音声がカードからした。
「これで?」
「うん!これでリンと私はフレンド、なの〜!」
「そうなんだ。楽だね。」
「さ、皆としましょ?」
「オッケー」「はい」「はい、です〜」
「はい、なの〜!」
いや、フェアはもう後は俺だけとだったからそんなに気合い入れなくても良いんだけどね。
その後フレンドを削除するにはまず自分の名前をなぞってから文字盤で削除入力、フレンドリストが空中に出るから削除したい名前を口に出せば削除される・・・質問したら削除して良いかどうかの確認はないから気を付けるようにとも教えられた。
フレンド登録が終わったのを見計らったかのようにピアリス様が自ら!皿を持って現れた。
配膳までしてくれる。
が、身長の関係で遠くまでは置けないので手伝った。
ピアリス様の作ってくれたのはエビやら貝やら小さい魚?の切り身が入った・・・所謂シーフードパスタだった。
・・・うん。森の奥でシーフードパスタ。
もう、なんだかね。
これもピアリス様流のシャレなのかからかいなのか分からないけど。
「美味しいにゃ」「美味しい!なの!」
「うまい。」
うん。
すごく美味しかった。
おかわりまでしちゃったよ。
「ふふふ。本体が材料をたーんと持って来てくれたから。遠慮せず食べてね?久しぶりだから腕を振るったわぁ」
「美味しいです、ほんとに」
「ふふふ。」
何か悔しい気もするけど美味しかった。
さて、明日は魔力水と精霊草を取りにいかないといけないんだよな。
今回もお読みいただいてありがとうございますヾ(@⌒ー⌒@)ノ
実はそんなに危険と言うほどのものではなかった水晶玉。
保管はしてくれると言うので一安心です。
そして、実は料理が出来たピアリス(少女)様。
次話は神殿の奥に足を踏み入れて採取をするのですが、そこで秘密の一端に触れます。
更新予定は・・・すみません、好きな小説を読む時間も無くなってるので23日にしておきます(−_−;)
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