ヤバイものを処理します?!
ロウジが穴、アントの巣の中で見付けたヤバイもの。
それをどうやって処理しようか、どこで処理しようか話し合います。
そして処理する事になるのですが。
さてさて、何が出ますやら。
「・・・うん。石の塊で。」
食事をしてしばらく雑談しながら待っているとヤバイモノを見付けた、と風の精霊達が伝えてくれたから土の精霊に指示を出す。
とりあえずの処理として精霊が入ったゴーレムが直接持たず周りから石で包むようにして岩塊状にした上で運んで来てもらう。
・・・・ゴーレムの視点で見てみたけど・・・ヤバイモノ、と言った理由がよく分かった。
あれは・・・多分色々な意味でヤバイ。
色々なフラグが、冒険フラグとか世界滅亡フラグとか大戦フラグ的な何かが立ちそうな感じもする。
「?ロウジ?顔色悪いよぉ?」
周りを警戒してくれているリンがまず言ってきた。
「ロウジ、どうしたの〜?顔色悪いの〜」
「・・・やっぱりマズイモノ、みたいですねぇ〜?」
「ロウジ?そんなにマズイモノですかぁ?」
・・・リンとフェアは俺の心配をしてくれてるみたいだけど、アリーとエリーは物の危険性を心配してるみたいだ。
そんなに顔に出てたって事だよなぁ。
「・・・俺ってそんなに分かりやすいかな?」
「ん?・・・ん〜?どうかにゃぁ?」
「う〜ん?私たちはあんまり人族と一緒に冒険したことないから分からないの〜?」
「どうなんでしょうねぇ?」
「どうなんでしょうかね〜?」
「・・・・うわ、そこまで誤魔化されるほど皆に丸わかりなんだっ」
ちょっとショック。
・・・まぁ、でも少しは気が紛れたかな?
「妖精族の3人は多分近寄らなくて正解。と、言うか。今も岩に包んで、って言うか岩の中に入れるようにして持って来るけど。近寄らない方が良いかもしれない。」
多分こう言えば俺の顔色が変わったのもなったしてくれるかと思って言ってみる。
「・・・え?それって・・・」「「え?」」
「え?ほんと、なの?」
ありゃ?・・・・脅かしすぎた?
「あ、あぁ、うん。見た目がね、もうなんと言うか・・・ソレっぽくてヤな魔力を出してるからさ。」
・・・魔力、だと思うんだけど自信はないんだよね。
『目』はずっと開けっ放しだから色々見えてるんだけど・・・魔力とか空気は鑑定出来ないっぽい。
精霊は鑑定出来るんだから魔力と魔力みたいに漂ってる正体不明の力くらいはがんばって欲しいと思うんだけど。
「あ。じゃあ、ちょっとフェア達は後ろに下がってて?ゴーレム帰って来たから。」
「わっかりました〜」「・・・う、んなの」
「はい、わかりました〜」
「・・・そんにゃに危険そう?・・・あぁ〜。でもまた忘れてるにゃ?、これは。・・・にゃにか考えある?」
少し離れるフェア達と逆に俺の隣に来てそう聞いてくるリン。
少し緊張してる?、と言うか怖がってる?
でもなんか呆れてる部分もあり?
ふん?
「うん。なんとか出来ると思うんだけど。まぁ、今の状態でピアリス様の所に戻っても良いとは思うけどね。目的は達成してるわけだし。ゴーレムに今みたいに持たせておけば多分大丈夫だから。」
(つたえる〜?)(つたえよ〜?)(つたわる〜?)(つたえるよ〜?)(つたわるよ〜?)
「ん?」
「にゃ?」
「あぁ、違う違う。風の精霊が・・・・?」
(わすれてる?)(わすれてるわすれてる〜?)(めっせーじめっせーじ)(めっせんじゃーめっせんじゃー)(つたえるよ〜?)(つたわるよ〜?)
あ。
「あぁ!もう忘れてたよ!・・・そうか、ありがとう。じゃあ、・・・?どうしようかな?ねぇ?ピアリス様の方にも、って違うか。冒険者ギルドのピアリス様の方にも連絡しておいた方が良いかな?」
リンに聞いてみる。
神殿の方に教えれば向こうにも伝えてくれそうだけど。
「あ〜。・・・確かピアリス様は大精霊様だから分体は分体で1人、の存在とか聞いた事あるよ。だから伝えられるにゃら伝えた方が良いと思うんだけど。」
考えながらきちっと答えてくれる。
「あ、やっぱりそうなんだ。なんか意思の疎通は出来てるっぽいし、同じ人のような別人のような変な感覚もあったんだよね。一応は別人、ということになるのか。」
他の精霊みたいに全部を共有にはしてないのか、出来ないのか。
実は全員集まって会議、なんてのも必要になるのかもしれないな。
・・・大精霊様の力も便利なようでいて案外不便な所もあるのかもしれないな。
「うん。でも・・・そこはピアリス様だから他、それこそ風にょ精霊とかを使って通信網みたいな、ものは作ってそうだけど。」
「あ、あぁ、うん、確かに。そうか。・・・・じゃあお願い。2人のピアリス様に穴の中にあった物を伝えて?それで・・・多分封印か浄化かどちらでも試せるけどどうしたら良いかを聞いてみて?」
木とか大地のネットワークとか・・・考えたらありそうだしそれはすごく便利そうだけど。
とりあえず風の精霊達に頼む。
「あ。ロウジ、来たよ。・・・なんか丸い岩を持ってるけど」
穴からゴーレムがのっそりっと出て来る。
前に出した両手に岩塊を差し出すように持ったまま歩いてくる。
「・・・岩・・・あれが?」
なんか困ったような感じでリンが聞いてくる。
・・・危機感を感じてがっちり固めたからなぁ。そのおかげで漏れ出してるモノもないみたいだから良いんだけど逆に怪しくもなんともない岩の塊を運んでるように見える。
「うん。・・・あぁ〜。でもどうしようかな?ピアリス様から返事があるまではこのまま待機、だな。・・・フェア達は大丈夫?何か変な感じとかない?」
とりあえずは待機するのが正解だと思うしあれだけがっちり固めたから何の心配も要らないと思うんだけど念の為に聞いてみる。
「うん!大丈夫、なの〜。特にへんな感じ?もしないの〜」
「そう、ですねぇ〜?特には何もないですよ〜?」
「今のところは大丈夫です〜」
「そっか。それならこのまま運んじゃっても良いのかもね?」
「確かにそうかもですが〜?」
「確かにそうかもしれませんけど〜?」
「ん?ロウジ、魔力大丈夫なの〜?」
「ロウジ?神殿まで魔力もつにょ?」
「ん?うん。精霊がある程度やってくれるし、負担がかなり少ないから全然イケるよ?」
うん。問題ない。
「それで、ロウジ?一体にゃん・・・なんなの?なんて言うモノがあったにょ?確認はしたよにぇ?」
リンが真剣な顔で聞いてくる。
けど・・・?
「ん?なんて言うモノ?そんなの・・・あ。・・・」
と、そこでリンが呆れた目で見ていた理由が分かった。分かりましたよ。
「・・・そうだよ、ね。鑑定すればアイテム名出るからそれだけでも判断材料になるんだよね・・・ぇ?」
リンの顔を見たら、コッ・・クリ、と強く頷かれてしまった。
失敗した。また失敗したよ。
「でも、封印とか浄化とか言ったよねぇ?ロウジって神官でもあるにゃ?・・・しかも高位神官様?」
え?
「あ。・・・あぁ、いや、確かに神官でもあるからそっちの魔法使えるんだけどそんなに高いレベルじゃぁ、ない、はず。」
・・・そうか、高位神官となればその辺の魔法使えるのかな?
残念だけど俺のはそっちじゃなくて暗黒魔法と神聖魔法の方なんだよね。
だからあんまり大っぴらに言うことは出来ない。
・・・暗黒魔法にも封印魔法があるのが驚きなんだけど現に使えるようになっているのだから仕方ない。
【初級暗黒魔法】
エナジードレイン ドレインタッチ ダークネスホールド ダーククラウド ダークネスシール カース
【初級神聖魔法】
ヒーリング ディトックス ブレッシング ターンアンデッド ピュリファイ ホーリーシール
ちなみにダークネスの魔法は闇魔法にある。
【ダークネスシール】初級暗黒魔法
対象の力を外に出す事により長期の封印を可能とする封印魔法。冷暗所にて保管が好ましい。
熟練度により対象の数や質が変わる。
【ホーリーシール】初級神聖魔法
対象の力を光と聖なる力により力を削ぎながら抑え込む封印魔法。光が当たる場所にて保管が望ましい。
熟練度により対象の数や質が変わる。
・・・神聖魔法の方は生き物はまだ熟練度が低くてダメらしい。
【ピュリファイ】初級神聖魔法
水や空気の汚れ、穢れを浄化して清浄なものにする魔法。邪悪なモノをも浄化する。
熟練度により対象の数や質を上げる。
ピュリファイは・・・汚れや穢れ、邪悪なモノを浄化となってるのだが今回は使ってみないと効果が発揮されるかは正直分からない。
「誰か神官の使える魔法に詳しい?」
ターンアンデッドとかブレッシングとか封印魔法とかは普通に考えると神官さんが使えそうなんだけど。
光魔法の方はレベル1じゃライトの魔法しか使えないから分からない。
ただ、俺の初級神聖魔法が必ずしも神官由来じゃないだろう、というのは分かる。
「ん〜。レベル30以上ににゃるとアンデッドに有効にゃターンアンデッドが使えるくらいかにゃ?」
「初級の神聖魔法ということだけ、ですねぇ」
「ヒーリングなの〜」
「毒消しとか癒しの魔法、ですねぇ」
「あ。ターンアンデッドはレベル30以上なんだ。ヒーリングとか解毒は定番だね〜。・・・あぁ、ディトックスって魔法が解毒魔法なのか。」
解毒と言えばアンチポイズンとかアンチドゥテかと思ってたけど、日本語でのデトックスのようだ。
「んん?ロウジ〜?ディトックス使える、の〜?」
耳ざといな、フェアは。
「あ、うん。ヒーリングとディトックスは使えるよ」
無難な答え方をしておく。
「聞いたわぁ〜。なんだか変な事になってるわねぇ?ロウジにはまだ浄化は無理かもしれないから封印出来るようならしてから神殿まで運んで貰えるかしらねぇ?簡単でも封印さえしておいて貰えればかなり助かるわぁ」
「おん?」「にゃっ?」
「・・・ピアリス、様?なの〜?」「ピアリス様、ですかぁ?かあ
「・・・・びっくりしました」
(つたえたの〜)(つたえたよ)(つたえたよ〜)(ぴありすだよ〜)(つたわったよ〜)(こえきたよ〜)
「俺もびっくりした。ピアリス様は自分で声を飛ばして来たみたいだ。そうか、こういう風になるんだね〜」
いきなり声が聞こえるとびっくりだよ。
しかも、皆に聞こえたみたいだしね。
「浄化は難しい、か。やっぱりそうかな。・・・どちらにしろ初めてだしな。下手に刺激を与えない方にした方が無難だな。」
「封印、ってこにょまま持ってけば良いにょかにゃ?」
「封印、なの〜?ロウジ出来るの〜?」
「封印魔法。使えるのですかぁ?」
「ロウジは封印魔法を使えるのですかぁ〜?」
「ん?・・・あ、うん。封印魔法の方だけど。使った事が無いから試しみたいな感じだけどね。一応」
「にゃあぁ。すごいにょにぇロウジって」
「ロウジって・・・やっぱり神官?なの?」
「高位神官、ですかぁ?」
「ロウジは高位神官、なのですかぁ?」
「ん?あ、いやぁ、神官ではあるけど高位ではないよ?・・・た、たまたまかな?たまたま使えるようになってるだけだよ。使えるようになってるだけで実際には使った事ないしさ。だからピアリス様も勢いよくそれにして、とは言ってきてないんだと思うよ?」
「あ、あぁ、にゃるほど」
「ふぅ〜ん、なの〜」
「そう、なんですかぁ」
「そう、なんですねぇ〜?」
「と、いう事でもう少し離れてくれるかな?岩をバラけさせるから。」
言ってまた近くで話をしていたフェア達を遠ざける。
「・・・・あれ?・・・う〜んと。」
「ロウジ?」「ん?」「「んん?」
「あ、いや、大丈夫。パージ」
俺のイメージと言葉で岩塊が弾けて中身が露わになる。
ゴーレムが持つのが岩のボールから黒い水晶?になる。
「にゃに、あれ?」
「や。なの。」「な、なんですかぁ、アレ?」「な、なんでしょうか、アレは」
やっぱり妖精3人組には異様に映るみたいだね。
俺の目には黒い水晶のようなものから紫のような黒のような魔力が、魔力なのかな?煙のように辺りに立ち昇るモノが見えている。
「・・・ロウジ・・・あれ、あれは魔力じゃない、なの。・・・なの」
ん?
「ん?何か分かるの?」
「あれは、あれは瘴気ですよぉ」
「ロウジ、あれは瘴気ですぅ〜」
「ロウジ?あれは瘴気にゃ」
ん?
あれ?
「ひょっとしてリンにも見えてる?ってかアレ、あの黒っぽい魔力の煙みたいなのって普通に見えてるもの?」
魔力を見てるものとばかり思ってたけど・・・普通に目に見えるほどのヤバイものだったりするのかな?
「瘴気、なの。あれはまずい、の」
「瘴気?・・・魔物、ってか魔族とか悪魔関係?の?」
瘴気って、アノ瘴気だよな、多分。
「そう。ソレ、魔族が持ってた物だと思う。・・・あれだけ固めてたにょ正解だったにゃ」
「は、はやく封印でも浄化でもお願いします〜」
「封印お願いします〜」
「う、うん。分かった。分かったよ。」
やっぱり精霊達がヤバイと言っていたのが正しかったわけだ。
しかし、それだけヤバイもの・・・・う〜ん。やっぱりヤバイ予感、面倒な予感がするのも間違いじゃないよなぁ。
まぁ、それはともかくゴーレムに水晶を足下に置いてもらう。
・・・外に出しちゃダメだよな。
「邪悪なものを聖なる光の力によりてここに封じる。ホーリーシール!」
詠唱は簡単なもので省略も出来るみたいだけど初めての事だからちゃんと口にして魔法を発動させる。
神の力と世界に溢れる光の力で黒い力を抑え込むイメージ。
外には決して出さない、という強いイメージで魔法を使った。
「封印魔法、なの。・・・なの?」
「すごいにゃ、ロウジ」
「すごい、ですねぇ」「すごい、です〜」
「ふぅ。なんか自分の魔力と周りの魔力と光の精霊の力と。これはなかなか難しい魔法かもしれないなぁ」
見ると黒い水晶の周り、ふた周りくらい大きな感じで光の膜による玉が出来ている。
ゴーレムに命令してそれをまた持ってもらう。
「あ、やば。魔力回復薬飲んでおかないとさすがにマズイや、これは。」
今ので、今のだけで500くらい魔力を使ってしまったみたいで残りのMPが400を切っていた。
正直周りの皆を見るとそれだけMPがあれば十分なんだろう、とは思うけど、どうも燃費が悪いのか効率が悪いのか、単純に初めての魔法だからか俺の魔力消費は思ったより大きい気がする。
「さて、この状態なら問題ないはずだから神殿に戻ろう。分体の方のピアリス様も待っているはずだし。」
妖精3人組に大丈夫だよね?と再確認してから来た道を戻り出す。
さて・・・・こいつをどうするのか。
こいつがどうなるのか。
こいつがどうやってここに来たのか。
とりあえずの解決をした俺。
たまたま来た俺がこんな物を見つけた。
・・・・なーんかフラグが立っちゃった気がしてならない。
ま、ピアリス様の神殿に戻ってからだな。
「帰り道も警戒していこう」
自分の気を引き締めるために口に出す。
「もちろん、なの〜」「もちろんにゃ」
「もちろん、ですよぉ〜」「もちろんですよ〜」
思いの外良い返事がすぐに飛んで来た。
うん。さぁ、戻ろう。
読んでいただいてありがとうございます〜
アリーが逃げてる最中に見付けた、というか感じたヤバイもののお話でしたぁ。
・・・ロウジって人族で駆け出しの新米冒険者のはずなのに、なんなんでしょうかねぇ?フェアと私はだいぶ懐いてるんですが、どうもアリーは一歩引いているみたいですぅ。
い〜え〜。良い人、というのはわかってますしぃ、感じてるとは思いますけど〜。
そんなこんなで次話ではピアリス様がアレについて分析?して何か語ってくれるみたいです。
フェアには一度帰って欲しいのですが、今回は私達も疲れ切ってるのでお泊りしても良いかもしれません〜。
更新予定は18日になっています〜よろしくですね〜
フェアの護衛の1人、土爪拳エリーがお伝えしましたぁ〜