猫人のリンとネコマタのリン?!そして大精霊と契約です?!
さて、なにやらロウジを待っていた風なピアリス様とリンと名乗る猫人種の少女。
何故ロウジを待っていたのでしょうか?
「あ、あははは。す、すみません!」
とりあえずその人?に頭を下げる。
「にゃぁ。」
困ったような声を上げる。
「あらあら。・・・ふふ。ロウジ?出会ってすぐのナンパならナンパらしくちゃんとしなさいな?もし、そうでないのならその軽い口はわたしがなんとかした方が良いかしらねぇ?」
ピアリス様もからかい口調ではあるけど、なんとなく困ってるようだ。
「え。あ、いえ!もちろんナンパじゃありません、し。ピアリス様になんとかされたら俺はどうにかなってしまいます!」
と、本当にされかねないという恐怖が先に立ってあまり意味があるようなないような事を口走ってしまう、俺。
「あら、ふふふ。そ・ん・な・に、怯えなくても良いのに、ロウジったらぁ〜」
クラッ
「はう」
ピアリス様のそれは破壊力がありすぎです。
色々な意味で。
主に破壊的な意味で。
「・・・お二人は何か。・・・同類?」
「なんで、やねん」「あら、分かるかしら?ふふふふ。」
せめて、仲が良いのか?とか。仲良し?とかにして欲し・・・・いや、それもあまり、か。
そしてピアリス様は何かあるような反応を返さないで下さい。
「何か似たような感じがする。・・・でも?ピアリス様は精霊。それも大精霊の中でも特別な大精霊様だしぃ?似た気がするのはおかしい、ニャ?」
こくんっ、と可愛く首を傾げる猫娘さん。
・・・・あれ?
「あ。ええっと?それはともかく。ピアリス様?こっち、こちらの女の人は?」
うん。
見た感じだけど俺とそんな歳は変わらないんじゃないだろうか?
なんか最初に怒られたけど未だ名前も聞いてないよ?
「ふふ。そうねぇ。ロウジ。こちらの猫人族のコはリンよ。昨年に成人して冒険者登録したのだけど、家の手伝い半分みたいだから実際にはロウジの少し先輩といったところかしらねぇ。そして、リン。こっちが話した前途有望な精霊使いで魔法使いで調合士のロウジよ。昨日冒険者登録したばかりだけど年齢は貴女と同じ16よ。仲良くしてくれると嬉しいわぁ?」
「え?」「にゃ?」
思わず2人して顔を見合わせてしまう。
「家の手伝い半分?」「精霊使い、魔法使い、調合士?それに昨日冒険者登録って。いくらなんでも無茶苦茶だニャ!」
猫娘・・・リンさんはなんか怒っているようだけど?
「あぁ、ロウジィ?貴方は陽気な猫亭には行ったかしらね?リンはそこの長女なのよ。だから食材や薪を集める為に森などに入っているのよ。確か冒険者になった理由も親の負担を少しでも無くしたい、というものだったわね」
「あ。そうなんですね。陽気な猫亭には入ってませんが場所だけは。・・・でも、それは。凄いな。・・・家の為に冒険者になったりするのは結構あるんでしょうか?」
「え?そうねぇ・・・結構あるわよぉ?料理人で自分で色々素材を探し集めて料理を開発したり極めたい、とか。親が集めるのが大変になったから自分が、とか。もちろん自分の冒険心や功名心からなる場合の方が多いとは思うけれど、決して少なくはないわね」
「へぇぇ。そうなんですね。・・・立派だなぁ。」
俺はそんな、危険がある場所に自分から行ってまで、とか考えちゃうよ。
「それでぇ、リン?今言ったようにこのロウジは昨日から冒険者になったばかりのドの付く新人君なのだけど。貴女の盾としてはこれ以上ない存在だし、貴女が今必要としている条件に合った・・・1人で条件を満たす前途有望な新人君よ?・・・そう、ね。いずれはロウジから話す事もあるかもしれないけど・・・貴女が受けた感覚はあながち間違いではないわよ、とだけ言っておくわ。とにかく今この村にいる冒険者ではイチオシ、と言うかロウジしか居ないと思うわよ?ぉ」
・・・うん。ど新人ですが。
確かにそうですが。
・・・まぁ口ごたえみたいなことは・・・うん、出来ませんな。
「そう、なんにゃ」
・・・あの。なにやら落ち込んでるみたいなのですが。
話が見えないから俺からは何も言えないよ?
「そう、ね。それでロウジ?昨日出した宿題なのだけど。リンに分かりやすいようにもう一度説明するわねぇ?」
「え?あ、はい。」
はてな?なんだろうな?
「リン。ロウジに出した宿題はね?大精霊であるわたしが力を貸すに値する精霊使いかどうかを確かめる為の試練として時々出している問題なのよぉ。内容は意思を持つ精霊になって崇められたいと考えた人間が魔法薬である調合薬を一度に大量に飲んだ後にどうなったか?、よ」
「調合薬?」
ニャ?と小さく声を出すリンさん。
「えぇ、そうよぉ?普通は事故や自分の意思で飲んだとしても身体を壊すからそんなに一度には大量摂取出来ないのだけれど。それでも精霊になりたい、という強い意思を持って行った人間が居たのよぉ。その人間がどうなったか?という問題。調合薬の過剰摂取による変異については知っているかしらぁ?」
「ニャ?いぇ。知りません」
小さくまたニャァと声を出すリンさん。
「ふふ。そうよね?これは錬金術士と精霊使いの分野の話だものねぇ。調合薬というのは錬金術に使われる薬品で身体に取り入れてしまうと身体がその物になっていってしまうの。例えば土の調合薬なら土に。風の調合薬なら風に、という風に、ね。だから普通の例としてはね?身体を失ったゴースト状態になるか身体が泥や風になったままマッドマンやレイスなんかになって活動するかのどちらかなのよ。ところが、ね。この問題の人間は違ったの。この答えは何か?と言うのが問題。・・・貴女には想像つくかしらね?」
「・・・今の例が答えじゃないのにゃら。大量に摂取しても変わらなかったのか、精霊になったのかどちらかだとは思うけど。」
「ふふふ。そうね。どちらだと思う?」
興味深そうに笑顔でリンさんに質問しまくるピアリス様。
「精霊ににゃった?」
「正解、よ。さて。では精霊になった後どうしたでしょう?」
・・・やっぱりか。
「?希望通り力と意思を持った精霊ににゃ、なって崇められたんじゃ?」
うん。精霊になった、と結論出すとそうなるよね。
「ふふふ。違うわぁ。・・・そう。やっぱりロウジは違う答えに辿り着いたようねぇ?貴方が出した答えを聞こうかしら?」
「あ、はい。・・・と、言っても答えはほとんど同じ、なんですけど。俺の出した答えは精霊になって終わった、です。」
「?」
「あら。ふふふ。じゃ〜ぁ。同じ質問よ?精霊になって。その後はどうしたのかしら?」
「はい。今言った通り、ですね。精霊になった事でその個人としての生、と言うか個としての存在は終わってしまった。のではないでしょうか。・・・いえ、終わってしまった、のだと思います。」
「あら、まあ。」
「んん?」
「ふふふ。ロウジ?もう少し詳しく聞いて良いかしらねぇ?精霊になって個人が終わるというのはどういう意味かしらぁ?」
そう言ったピアリス様の顔は笑っているけど目は真剣だった。
なんだろう。リンさんが分かりづらそうな顔をしているから説明を、という事なんだろうけど・・・それだけじゃない気がする。
「は、はい。普通の精霊は・・大精霊でもない限り大勢居たとしても個というわけじゃなくて。こちらが精霊と1対1で話をしていても精霊は個であると同時に全でもあるので他の皆とも話してる事になります。なので、その。精霊になって、しばらくは個人の意思とか意識が残っていたとしても。段々と全に溶け込んでいってしまい、最終的には他の精霊と同化することで個別の生としては終わってしまうのではないか、と思ったわけです。」
まぁ、ファンタジー小説やラノベなんかとアンジェリカさんの話で確信を持てたからなぁ。
「はにゃあぁ。」
「ふふふ。」
「え、ええっと?」
ピアリス様は笑っているだけで正解ともなんとも言わないんだけど。
・・・うぅぅ。今更緊張してきた。
「ふふふ。正解、で良いでしょう。そうよ?ヒトから精霊になれたとしてもいきなり大精霊並みの存在になれる事はまずないわぁ。個として精霊化して気の遠くなるような歳月を経て土地や世界からマナを吸い上げればどうか、という所ね。それも元々肉体に納まる事で個を保っていたモノが肉体を失くした後もそれを続けるのは容易なことではないわ。だから、精霊に揉まれている内に自分というモノが失われて行き全体に吸収、全と個の区別が無くなるのが常だわねぇ。おめでとう、ロウジ。貴方はわたしが認める一流の精霊使いよ。」
え?
そんな事を言うピアリス様にビックリするしかない。
「あらぁ?どうかしたのかしらぁ?」
「え?・・・あ、いや、はい。いきなりそう言われても、というか」
戸惑うよね。
「ふふ。確かに姉弟とも母子とも言っても差し支えない貴方が相手だからヒントを多く出したわぁ?だけど貴方はちゃんと考えて答えに行き着いた。それが全て、よ。さぁ?貴方の魔力を寄越しなさいな。」
そう言って右手を、手のひらを下にして差し出して来るピアリス様。
だけど。
「はい?えっと?」
なんでしょう?
なんだろう?
「あら?・・・これはわたしが力を貸すに相応しい相手かどうかを見定める為の試練だ、ってさっき言わなかったかしらね?」
「はい?・・・あぁ、確かにさっきはそんな事を聞いた気がしますけど。」
でも、昨日はなんかついでの思い付きで宿題にしたような感じじゃなかった?
「ふふふ。それを貴方は立派に成し遂げてみせた。それが全て、よ。誇りなさい?ロウジ。」
柔らかい笑顔で言ってくれるピアリス様。
だけど、なぁ。
「えぇと。」
プレッシャーの中で一生懸命頭を働かせる。
魔力を寄越しなさい、とピアリス様は言ったよね。
そのフレーズは・・・なんだったか?
「あ!精霊、契約、ですか?ひょっとして?」
まさか、とは思うけど聞いてみる。
「あら?・・・えぇ、そうよぉ?・・・まさか気が付いてなかったのぉ?わたしたちみたいな存在が試練だ、と言えばそれしかないでしょうに。・・・ふぅ。ロウジ?今も言ったけれど。貴方とわたしは実質歳の離れた姉弟、あるいは母子と言っても良い間柄よ。ふふ。まぁ母子と言ったら森で生まれ育った生命は全てそうなのだけど。だから、まぁ。そうね、いずれは契約するつもりではいたのだけどそれが少し早まっただけよぉ?さ、理解したのなら貴方の魔力を寄越しなさい。」
そう言って再び手を出してくる。
ふぅむ。
ま、良いか。
「はい。分かりました。」
俺は左手を出して魔力を・・・
「「あ」」
「え?」「あ、あら」
見事に被ったしハモった。
「あ、あの。魔力を渡すのは良いんですが。大精霊様に渡す魔力の量ってどのくらいなんでしょう?」
魔力を手に集めるのはすぐに出来るんだけど、どのくらい渡せば良いのかな?
「あ、あら?魔力を適当に集めてくれさえすれば勝手に貰っていくから良いわよ?手に集めた魔力を全部貰うかと言ったら微妙だしぃ?」
「あ、そうなんですか。わっかりました」
「それとロウジ?貴方は右利き、よね?右手をお出しなさい?その方が受け渡しも円滑に進めることが出来るわ?」
「あ。はい。そうなんですね。」
そうなんだ。
なんかこんなやり取りどっかでやったな。
そんな事を思いながら改めて右手に魔力を集める。
「はい。じゃぁ。」
適当に集めてピアリス様の手の平の下に。
「ん。じゃぁ貰うわね・・・ん。ん、んん。う、ん。・・・・ぅ」
うわぁあ。
なんか色っぽいと言うか艶かしいと言うか。
「・・・ふぅ。これで良いわ。わたし、ことピアリス=ノクカチ=ヴェーダは貴方、ロウジ=タソガワを盟友と認め、力を貸す事をここに誓います。」
ピアリス様が右手をそのまま挙げて宣言するように言った。
「うおおえぇぇ?」「はぁああああ?何が起きた〜?」「誰だっ?あいつ?」「おいっ?今の聞いたか?」「ええぇぇえ?うそぉ?」
「おお?やりがったか」「うおおい?本当かよ?」
なんかすごい、悲鳴みたいなものも聞こえたけど。
「あ、ありがとう、ございます」
めちゃくちゃ目立った気もするけど・・・考えてみれば凄いこと、なんだよね。
これで、というかこれだけで大精霊様の加護も貰えるわけだし呼べば力を貸してもくれるのだろう。
「これで王都でも他の大陸でもロウジが居る場所なら契約精霊の立場でいつでも行く事が出来るわぁ!ロウジ?特に珍しいモノや綺麗なモノを見つけたらすぐに呼んでくれて構わないわよぉ?新しい土地に着いたら、でも良いわねぇ。・・・もし立場立場、と言う相手が居たら逆手にとってあげるわぁ」
・・・えぇと。ええっと?
・・・契約した精霊は契約した相手が呼べばいつでもどこへでも来られるわけで。
それはつまり、契約した相手が呼べばタダで観光地に入れるし観光も出来るわけか?
「・・・えぇと、ピアリス様?ひょっとして、ですが。観光目的で俺と契約したり、とか、してません、よね?」
いや、まさかね。
そもそも大地の精霊でもあるわけだから移動制限とか無いんだろうし。
「あ、あら?あらあら?・・・や、やぁねぇ。ロウジったらぁ、そ、そんなわけないじゃなぁい。可愛い貴方を護る、た、め、よ?」
「・・・はぁっ。なるほど。だいぶ動揺しましたね。」
語るに落ちるとはこの事か。
「なんだよ、そういうことかよ」「あぁ、そういうことなのね」「なんか期待して損した」「さすがピアリス様」「ピアリス様もストレス溜まってるのかな」
本当、ある意味さすがピアリス様、だよね。
それとなく様子を窺っていた野次馬も意識を外したようだ。
「ふふふ。なかなかの策士、と褒めるべきなのかしらぁ?」
ピアリス様が笑いながら言ってくる。
が
「はい?なんのことでしょう?・・・ピアリス様がシヴァ神と同類の方だというのは良く分かりましたけど。」
うん。別にリンさんとの本題を聞いてないから野次馬を退かしたくて、が1番の理由じゃないからね。
「あ、あら。意外に厳しいわね」
「はい。だって、今俺の目の前にいらっしゃるのは大精霊様ですから。」
「あ、あら。あら。そう来るのね。・・・・ふふ。でも嬉しいわぁ?意外に早く慣れてくれそう、かしらぁねぇ?」
「え?・・・・あ、あぁ。確かに。」
・・・うん。ピアリス様から相変わらずのプレッシャーが来てるのを感じては居るんだけど。
そう言われるとなんとなく、だけど慣れてきたのかもしれない。
「分かった。このロウジィ?が信用出来る人で実力もピアリス様が認めるくらいのものがある。と。それは理解したニャ。ピアリス様?それで依頼の話をしてもいいかニャ?」
「ふふ。そうね?わたしの用事も終わったから本題に移りましょうか。・・・そうね。その前にやっぱり確認しておきましょうか。ロウジ?貴方は『確種薬』という薬は知っているかしら?」
「かくしゅやく、ですか?いえ、聞いた事ないですけど。・・・」
浮かんだ文字通りなら種、種族かな?を確定する薬、だろうか?
鑑定薬?
分からないけど流通してる薬なら図鑑があるから分かると思うけど。
「・・・そう。まぁそれは仕方ないわねぇ。異種間婚が普通にされているこちらでは子供の種族が単なるハーフになるか先祖からの混血になるか、それとも両親のどちらかの種族になるかは成長していかないと分からない部分が大きいのだけれど。時に近親種で、時にかなりかけ離れた種族でその血が喧嘩をしてしまう事があるのよね。それを癒して種族の血をどちらかに偏らせてくれるのが、その薬、確種薬というわけ。ここまでは良いかしらぁ?」
「あ。はい。そんな薬もあるんですねぇ。」
「えぇ。ただ、それ程起こるような事ではないし、この子の産まれた年と数年は子供が凄く多く産まれた年でねぇ。・・・その薬が今この国ではほとんど手に入らなくなってしまってるのよぉ。」
「ありゃ。」
と、いう事は?
リンさんを見る。
「はい。あたしはそれが欲しいの」
ニャ、と頷く猫娘ことリンさん。
「薬がないけど欲しい、という事は作らないといけないというわけですね。」
「そうなのよぉ。生憎と素材も大事な物が2つも、なくてぇ〜。それにこんな状態じゃぁ、怖いからもう1つも余分に欲しいのねぇ?」
上目遣いで見てくるピアリス様。
少し目が潤んでるかもしれない。
・・・・
「すみません。まだ怖いのでそんな仕草をされても引くだけです。じゃあ、頼みたいのはその素材集め、ですか?」
「・・・・うぅ。お姉ちゃん泣いちゃいそう。・・・・まぁ、でも。・・・そう!そうなのよぉ!ただ、ウッドレイクでも全部集まるのだけど。1つ2つはわたしの管理地に入らないといけないのよねぇ。だからぁ、冒険者なら誰でも良いというわけにもいかなくってぇ。貴方を待っていたのよぉ〜」
なのに待たせるんだからぁん、とか言いながら椅子ごと身体を寄せてくるピアリス様。
「いや、あの。ですね。」
・・・うん。まだ、ただただ怖いから俺も椅子ごと逃げる。
「はぁぁ。それで。優秀な精霊使いでもあり、調合士でもあり、魔法使いでもあるというロウジさんを待っていたにょニャ・・・うぅ。」
「あ。ロウジ?リンの喋りはあまり気にしないであげてね?さっき説明した種族の血の競合が原因の部分が大きいから。」
「あ。そうなんですね。分かりました。気にしません」
うん。話し終えた後にニャニャ言ってたり話す時も途中途中で一息入れるようだったから気にはなっていたんだけど。
ん?
でも猫人族、って言ってたよね?
「リンさん、てその。猫人族じゃないんですか?別に喋り方は気にしないでも良いような・・・?」
「あ!あたしにゃ!・・・あたしは。お父さんは猫人だけどお母さんはネコマタにゃにょよ。なにょ、なのよ。」
「そうよぉ?ロウジ?言ったでしょ?ハーフだって。」
「え?」
いや。リンさんがハーフだとは聞いてないと思います。
まぁ、血の競合が原因と言われたのだからそうなんだろうと予想は出来たけど。
「それで。探して来て貰いたい物なんだけど。」
「でも、それならピアリス様が行っても良いような気もするけど、なぁ・・・あ?」
またやってしまったい。
その一言が寿命を縮めます。
・・・うん。今月のスローガンかな?
「はぁっ。ロウジ。わたしが動ければこんな話はしてないわ。ギルドの下の様子を見たかしらぁ?」
「はい?はい。人が居なかったですね」
「そうでしょう?今の時期、蟻や狼やらの野生動物達が大移動しているのよ。だから護衛や討伐依頼が多くて手が回りきらないのよぉ。だ、か、ら、わたしはお留守番。わかるぅ?」
「あ、あぁ、そうなんですか。なるほど。」
「それでぇ。ロウジ達に取ってきて欲しいのはぁ。精霊草と魔力水。それにネコノコシカケよ。分かるかしらねぇ?」
「あ、はい。ちょっと待って下さい。えぇと」
アイテムボックスを開く。
「あった。」
ジャジャーン
「アイテム図鑑〜〜ん」
シヴァ神から貰ったアイテム図鑑だ。
さっそく役立つ時が来た。
「あら?それはどうしたのかしらぁ?」
「ずかん?」
「はい。えぇ。この大陸、この国で流通してるアイテムならほぼ網羅されているという図鑑です。昨夜貰いました」
思わずやっちまったぁと思い顔を赤くしつつページを探りながら答える。
「まっ。そんな良い物を?・・・さすがロウジだわねぇ」
「なるほど。分かりました。ネコノコシカケはきのこなんですね。精霊草はなんか特殊な場所にしか生えないみたいですが、それがピアリス様の管理地、ですか。魔力水は・・・と。あぁ、これを見つけるのにマジシャンズアイが必要なんですねぇ。」
精霊草は水色の草で名前の通り精霊の力が溢れてるような場所にしか生えないらしい。
魔力水は、これも名前の通りマナを含んだ水。作る事も出来るようだが、今回は自然の中でマナを吸収しながら流れてる、あるいはマナが溢れてる地の池や湖の魔力を含んだ水、という事になるだろう。
「そうなのよぉ。精霊草もエレメンタルサイトが役立つわぁ。・・・それは本当に便利で良い物を授かったわねぇ。簡単な絵も載っているようだし、ギルドで書き写すために借りたいくらいだわぁ。」
「貰った?授かった?ニャ?」
1人首を傾げるリンさん。
「それでぇ。ロウジ?この依頼、引き受けてくれるかしらぁ?」
「引き受けてくれる?」
ピアリス様とリンさんが聞いてくる。
「あ、はい。そうですね。・・・2人でこなせますかね?」
ウッドレイクの森に入らなければいけないようだけど。
ピアリス様に聞く。
「そう、ね。わたしの管理地に入ってしまえば危険な生物は居ないわね。だから、そこに行くまで、だけれど。今の森なら2人でも問題ないと思うわよぉ?不安ならわたしからも報酬を出すからもう1人くらい雇っても良いとは思うけどぉ。正直なところ貴方とリン以外には立ち入って欲しくもないわねぇ。」
「あ、そうか。・・・分かりました。がんばってみます。・・・リンさん、よろしくお願いします」
頭を下げる。
「あ。こちらこそ。と、言うか元はあたしが依頼主ニャ。よろしくお願いします」
と、こちらも頭を下げてくる。
「そうね。じゃあ、ロウジには魔力水を入れる瓶でも水筒でも50個くらい購入して貰って。後は明日の朝10時にまたここに集合、で良いかしらぁ?」
「ご、50ですか」
多くない?・・・あ、いや、薬瓶としたらそんなに多くないのか。
そこでゲームで持ち歩く薬の数を思い出す。
「リンもロウジも森での野戦と夜営の準備も一応しっかりとしておきなさい?行き先は明日、地図で教えるけど泊りがけになる可能性があるから。」
「「え」」
マジか。
野営かぁ。・・・テントと寝袋。
テントってこの世界にあるのかな?
寝袋とか毛布みたいので外で寝るのかな?
「さ、それじゃぁ今日は解散ん!」
「あ、はい。」「わ、わかりましたにゃ」
ふうむ。なんか大変な事になった気がして来たぞ?
ロウジ=タソガワ
称号: 子爵家の居候
属性: 無
状態 : うわぁ
混乱無効 (指輪)
レベル5
HP 1550/500 (+1050) (表示のみ変更、元値: 101005/101005) (表示変更説明隠蔽中)
MP 1055/492 (+1130)
体力 201/90(+130)
気力 111/78 (+150)
腕力 153 (+110)
耐久力 174 (+130)
知力 117(+110)
精神力 217(+130)
敏捷性 156(+120)
幸運度 915 (+800)
職業
冒険者RANK.1 精霊使いLV.2 商人LV.2 鑑定士LV.1 調合士LV.1 錬金術士LV.1 武器職人LV.1 防具職人LV.2 建築士LV.1 料理人LV.2 家政婦LV.2 旅人LV.1 戦士LV.1 格闘家LV.1 神官LV.4 魔法使いLV.3 貴族令嬢のヒモLV.1 神の眷属LV.−
装備品
武器: (ロングソード (鋼鉄製 ・火の魔剣))
胴: お気に入りのプリントTシャツ . 長袖コットンシャツ
腕: (銅の籠手)
下半身: 柄物トランクス . ジーパン
脚: (銅の脛当て)
足: 皮の靴
《所持スキル 》
鑑定 解析 現地言語理解 古代言語理解 交渉術LV.5 能力隠蔽 能力開示 能力詐称
HP自動回復・神 MP自動回復・小
(物理耐性) (魔法耐性 ) (身体能力上昇・大) (精神力上昇・大) (与ダメージ増加・大) (状態異常耐性・小)
即死無効 毒無効 麻痺無効 石化無効 魅了無効 拘束無効
人徳 幸運 神の加護 創造神の加護 破壊神の加護 神との対話 神への祈願 精霊との対話 (アイテム作成時成功率上昇・大)
素材収集LV.MAX 薬調合LV.5 錬金術LV.5 アイテム簡易合成LV.5 釣りLV.5 料理LV.3 家事LV.3
道具作成 武具作成 縫製 装飾品作成 魔法書作成
建築技術LV.5 鍛冶LV.5 罠作成LV.5 隠蔽術LV.2
刀剣術LV.1 格闘術LV.1 槍棒術LV.1 斧術LV.1 棍棒術LV.1
弓術LV.1 短刀術LV.1 手裏剣術LV.1 投げ縄術LV.1
精霊術LV.1 魔法合成 複数魔法同時発動
魔物の知識 魔法使いの目 精霊の目 精霊の加護 四大精霊の加護 大森林の加護 大精霊召喚
《所持魔法》
火魔法LV.3 水魔法LV.2 土魔法LV.2 風魔法LV.5 光魔法LV.1 闇魔法LV.1 精霊魔法LV.2 初級神聖魔法 初級暗黒魔法
うん。大精霊の加護。大精霊召喚。
・・・いゃ、正直あまり喚びたくないかな。
さぁ、まずは何が必要で何が足りないだろう?
アンジェリカさんに報告しに一度戻るか?
さて、どうしようかな〜。
お読みいただき誠にありがとうございます。
陽気な猫亭のご主人は本当に大きな猫の方で明るい料理人です。
奥様はネコマタで耳と尻尾、そして少しの長い猫のヒゲ以外はほとんど人族と変わらない、こちらも穏やかで楽しい方ですが。
長女のリンは・・・家の為とは言え成人して真っ先に冒険者になるような明るい、悪く言えば少しお転婆な所がある方です。
さて、ロウジ様はそのリンとまさかの2人きりで冒険をする事になったようですね。・・・羨ましい限りです。
あ。あぁ、こほん。
次話は恐らくその前準備と出発になるでしょうか。
更新予定は21日になります。
どうか皆様、お待ち下さいませ。
お知らせは私、アンがお送り致しました。