魔法講習〜手加減を覚えます?!
あまりに高い威力を発揮した最下位の魔法。
休憩がてら反省し色々と話をします。
そして、本題は手加減で落ち着くのですが・・・・
「そういえばロウジ様。伺いたい事があるのですが」
「ん?何?今のはほんと、ごめん。」
「あ、いえ。その事ではなく。今朝の事なのですが」
「今朝の事?・・・あ、ごめん、なんか寝惚けてたけど何かやらかした?」
「まぁあ!ロウジ、アンに何かしたのですか?」
「えっ?あ、いや、ええっと?特には何もしてないと・・・思うんだけど?」
してない、よな。
「あ、はい。別に何かをしたとかされた、とかではありませんのでご安心ください、お2人共」
「あ、そうだよねぇ?良かった。」
「あら?そうなのね?」
「そっ、そう、なのです、ね」
・・・ポリーちゃんは何故そこで残念そうなのかな?
「はい。そうではなく先に言ったようにロウジ様に伺いたい事があるだけなのです。よろしいでしょうか?」
「うん?まぁもちろん答えられる事なら」
アンさんがこっちを向いて聞いてきたからそうとだけ、答える。
なんだろな?
「アンがそんなに気になるなんて何かしらね?」
「はい。ロウジ様、今朝の事なのですが。私が起こそうとした際に「アサ、もう少し」、と仰ってましたが。アサ、とはどなたの事なのでしょうか?」
ん?
「まぁ!」「えっ、ええっ?」
いや、2人ともそんなに驚かないで。
「あ、あぁ。俺、そんな事言ったんだ。さすがに毎日じゃないけど時々早起きの妹に起こされてたからさ、俺。いや、別に朝弱いとか寝坊してたわけじゃないんだけど、少しでも遅くなると起こしに来るんだよ。妹の阿沙が」
うん。真相は妹が弁当を作る為に早く起きるというのと1人で掃除をしたくないというのが理由だ。
「まぁっ!妹ですか?」「ロウジ、妹が居るのね」「い、妹さん、ですか?」
「うん。3年、かな。3年下の。だからポリーちゃんより1つ下になるのかな、一応。性格は・・・うーん、少し似てるところもあるかもしれない」
仕草で仔犬を連想させるところとか。
予想外の事が起きると軽くパニックになるのはウチの家系の特徴だ。
「そっ、そう、なのですか?」
「まぁっ」「ええっ?」
「うん。まぁ、そのくらいの年齢の女の子の特徴なのかもしれないけどね。仔犬っぽいところとか、さ」
笑いながら言う。
「あぁ、そういう部分なのね」「こ、仔犬、ですか?」「・・・仔犬。確かにポリーにはそういう部分がありますね」
うん。3人共何となく納得してくれたみたいだ。
俺は氷水、いや、ライチ水を飲んで喉を潤した。
【ライチウォーター】アイテムレベル1
水にライチの汁を絞って入れた物。爽やかな酸味が特長。
( 材料 : 水 . ライチの絞り汁 )
「昼間はそんなに暑くもなく涼しくもなく過ごしやすいんだけど湿気が多い感じだからこういう飲み物は嬉しいね。」
説明の通り柑橘類の爽やかな酸味が美味しい。
「そうね。ジャムンの甘味がある物も好きだけれどライチのこのさっぱりする感じが好きですわね」
「そうですね。もう少し暑くなって来ると特にこういった酸味がある飲み物を重宝しますね」
「はいっ。ですね。私はあまり酸味が強くない方が好きですけど」
ポリーちゃんのその言葉に3人して少し笑う。
「ジャムンっていうのも果物?」
「そうですわ。色は余り良くないのですけれど意外と甘味があってブドウのように食べられますわね」
「使い道が多いですから村や街によっては道の脇に植えていたりもしますね。」
「あの、赤黒い色はどうかと思うのですがお薬にも使われてますねっ。それなら私はアムラの方が。」
「へぇぇ。アムラ?・・・それはなんか聞いた事あるような気もするけど知らない果物も多いなぁ。やっぱり季節によって食べられない物も多いよね?」
「そうですね。この国、この地域はあまり気温差はないのですが、基本的には青から朱の月に実る物が多いでしょうか。中には一年に2回も実る物があったりもしますけど。」
「そうねぇ。作物に関してはパールバティ様やシヴァ様の加護によって季節を選ばない植物も意外と多いものね。この大陸、と言うよりこの国だけでしかその効果が発揮されない物もあるとも聞きますわ」
「そうなの?・・・・そういうのって果物の旬とかはどうなってるの?」
なんかビックリな情報だよね。
「あ、それはですね。やはり他の国や大陸での旬がこちらでも旬になりますね。物によってはその時期が一番美味しかったりするのは変わりませんから」
「あ、そうなんだ?そこは変わってないんだ。」
アンさんの説明でなんとなく分かったけど要は実る時期だけを増やした感じなのかな?
「そうですわね。元々は収穫数を増やして捧げる側の負担を無くして供物として捧げる為に神々が自ら改良したもの、と伝わっておりますわよ」
「はっ、はいっ。私も何かでそう読んだと思いますっ」
「・・・へぇ。神々、がね。本とかにも書かれて伝わってる事なんだね」
要は自分達が欲しい食べ物を確実に供えて欲しかった、というわけだよね。うん。分かります。
「そういうことね。さ、休憩はもう良いでしょう?他の魔法の練習に移るわよ、ロウジ?」
「あ、う、うん。了解だよ。・・・・なんかまったりしちゃってた。」
「ふふ」「はい。」「はいっ私もです」
言うと3人共笑う。
ま、そうだよね。
のんびり話をしてそもそも何をしてたかも忘れかけてたよ。
「ロウジ。今度はさっきとは逆に最初に普通に発動するだけ、次に威力を弱める事を意識して魔法を使ってみてちょうだい?」
ん?
「弱く?・・・強くするんじゃなくて加減をするっていう事?だよね?」
「えぇ、そうよ。ロウジの場合は普段は加減して魔法を使う事にした方が良い気がするもの。特に火の威力には注意しないと周りへの被害が大変な事になってしまうわよ?と、言うわけでまた火の魔法からお願いね?」
「あ、あう。うん、そうだね。分かった。」
確かに。
燃えるものがある場所であれじゃヤバすぎるよなぁ。
それに最下位の魔法のはずがあれじゃ仲間を作って冒険者パーティ作ったり、なんて危なすぎて出来ないよね。
「じゃ、行くわよ?ゴーレム!」
「・・・・え?え?」
「まぁっ」
「アンジェリカ様もすごいですっ!」
ゴーレムが横に4体。
最初に作った大きさの物だけど一度に4体が並んで作られるのを見てビックリすると同時にやっぱり凄いな、と感心する。
「さ、普通に発動、弱くして発動。そして他の属性でまた普通に発動、弱くして発動、という感じでよろしく、ね?」
おおっ
アンジェリカさんが可愛らしく小首を傾げて言ってくるから少し見惚れてしまう。
「まぁっ!ロウジ様がアンジュに、見惚れているわ!」
「えぇっ?」「わぁっ」
「えぇぇっ?あ、いや、あの。その。それはえっと。」
どうしてこういう時人間はありきたりの言葉しか発せなくなるのだろう?
「本当、ですの?ロウジ?」
「ですですっ!」
「あ、いや。うん。なんか可愛らしい仕草につい。」
ポリーちゃんの断言が無くても答えたとは思うけど素直に答える。
・・・・だって、アンジェリカさんとアンさんの目が何か怖いんだもん。
「えっ?そ、そう。可愛らしかった、かしら?仕草、が?・・・どんな、かしらね?・・・どんな感じだったかしら・・・」
「・・・・アンジュ、アンジュが乙女してますわ」
ブツブツと何やらやり始めたアンジェリカさんを見てアンさんが言う。
・・・・アンさんも言葉遣いがアンジェリカさん風になってますがな。
アンジェリカさんと話してると時々言葉遣いが変わってる気がするね。
「えぇっと?威力を弱めるのは理解したけど。どのくらい弱めれば良いの、かな?」
土人形を壊さない程度、かなぁ?
そう思ってもその程度が分からないから聞いてみる。
アンジェリカさんを正気に戻さないとなんか墓穴掘りそうな気もするし。
「で、す、か、ら。最初に普通に発動してみてロウジの魔法発動にどのくらいの魔力が必要かを大体の感覚で良いからまず掴むのよ。それから、そうね。分かりやすく半分の魔力で、と意識して発動してみなさいな。」
「あ。そうか、そういう事か。うん。分かったよ、ありがとう」
「魔法に発動な魔力には個人差もあるから数字でいくつ、と言う事は出来ないですしね」
「え?そうなの?土魔法レベル1に必要な魔力5とか火の魔法に10とか、決まってないの?」
ビックリだ。
「はい。ロウジ様が仰ったように3〜10など、大体の数値はあるのですが、これもやっぱり想像力と創造力が人による為に固定ではないと言われています。同じ人でもその時々でバラツキも出るようですし」
「ほう〜」
「特に新しい魔法を使えるレベルに達した時が一番顕著ね。その魔法がどういう物かのイメージが浮かんでもそれを形にする時に個人差が出るのよ。・・・それにそういえば今のロウジのファイアの魔法だけれど。あれはもうファイアではなくロウジの固有魔法ね。青い炎の魔法なんて聞いた事ないわよ?名前を付けてしまって良いのじゃないかしらね?」
「あ、はい。そう言われてみればそうですね。オリジナルマジックとして名前を付けて良いレベルだと思います」
「ですですっ!威力も第一位階でなく第三位階くらいはあったのではないでしょうかっ?」
「はぁっ。第一位階の魔法の初練習でオリジナルマジックとか。やっぱり貴方は規格外ね、ロウジ。」
「え?えっ?オリジナルマジック?・・・新しい魔法って事?」
「はい、そうです。少なくともこの大陸ではあんな青い炎などイメージ出来る人間は居ません。もちろん、私もです。しかもあれ程長く伸び長時間同じ状態で燃え続けるという2つの要素を持つ魔法も私は聞いた事がありません。ロウジ様オリジナルという事で名前をお付けになってよろしいかと」
「そ、そうなんだ。・・・・名前かぁ・・・・じゃぁ、イメージした物から『バーナー』と名付けちゃおうか」
「・・・バーナー・・・さしずめ燃え盛る炎、という所かしら?」
「荒々しい炎のイメージ、でしょうか?」
「なんでも、燃やす感じがしますっ」
「うん。そんな感じのイメージで。高熱でなんでも燃やすようなイメージ。」
うん、そんな感じで。
「ファイアの魔法でオリジナルマジックは結構多い気がするのだけれどそれでも青い炎はすごいわね。」
「ん?そなの?オリジナルマジックって結構あるんだ?」
なかなかビックリだよ?
「はい。レベルが上がった際に新しい魔法を使えるようになるとは言っても、レベルが上がるまでの期間が長いのでやはり一つ一つの魔法を創意工夫して使うようになりますので・・・似たような魔法も多いですが、結構各個人でオリジナルマジックを持っている事は多いです」
「あぁ!そうか。そういう理由があるのか、そう言えば。」
レベル10まで基本1種だけしか使えない、なんてのは無理がありすぎるもんなぁ。
そこから皆で派生させていくわけだね。
「ええ。それに新しい魔法の覚え方も基本的にはレベル8や10毎なのだけれど。実はその人がいくつの属性を扱えてどれだけ熟達しているかによってレベル3や5で違う魔法を覚えたりする事もあるのよ。その覚える魔法も複合属性であったりオリジナルマジックに近い魔法だったりする、というのが分かっているわ。魔法レベルだけでは魔法の種類や強さは分からないから注意が必要になるわ」
「な、なるほど。魔法使いと敵対する場合は気を付けよう。」
「さ、それじゃぁロウジ?今度こそまずは基本魔法の発動からよ。それぞれの魔法の発動に必要な魔力を感じ取りなさい?」
「う、うん。やるよ。」
別に話を反らしたくて違う話をしてるわけじゃないからね。
「さて・・・・ファイアをイメージ」
魔力を感じ取る。
「ファイア!」
ゴォォッ
・・・
ドゴォンッ
「・・・やっぱり発動だけでこうなるのよね」
「あ、うん、そうだね。・・・やっぱり少し強いかな?」
「少し、じゃないわね。正直なところ精霊魔法のゴーレムが火魔法で崩されるのは滅多に無いからショックがあるわ。ただでさえ土は火と相性が良いというのに。」
「あ、あはは、そうなんだ。・・・・土と火の相性か。ひょっとして木火土金水、相生とか相克の考え方があるのかな?」
「あ、あら。分かるのね?一通り魔法を使ってみてから教えようかと考えていたのだけれど。そうよ。地水火風の属性があってそれぞれで相克、つまり地は水を埋め、水は火を消し、火は風を飲み込み、風は地を塵に変えるという関係と。相生、つまりは地はその形で風を生み出し、風は吹く事で火を強め、火は熱さで水を生み出し、水は火から灰を生み出したり地に豊かさをもたらす、という関係とを持っているのだけれど。」
「うん。それは四大属性の相生相克だよね」
「そうね。それに加えて今ロウジが言ったように自然物を表す木火土金水でも相生相克の考え方があるわ。」
「ふぅん。それはやっぱり木は火を生み出し、火は土となる灰を生み、土は金属を生み、金属は水滴、水を生み出し、水は木々を生やす。という相生と逆の相克、で良いのかな?」
「えぇ、間違い無いようね。一応説明するけれど。木は水を吸い取り、火は木々を燃やし、土は火を打ち消し、金属は土を意味無い物にし、水は金属を駄目にする。それが相克の考え方よ」
「なるほど。そうか、五行思想と四大思想が両方あるわけか。・・・じゃぁ今のは俺の火魔法が土魔法、どころか直接の土を凌駕した状態、反克の状態になっちゃってるわけだよね。・・・うん、その思想でいけばやっぱりヤバすぎるね、俺の魔法の威力は。」
うん。改めてそういう考えで行くとどれだけ常識外れなのかを認識出来た。
多分だけど、土魔法のバレットと火魔法のファイアで撃ち合うと打ち消しあうか土魔法の方が勝つくらいなのが常識になるんじゃないのかな?
「うん。じゃぁ、やっぱり土人形を壊さないのが手加減の第一段階かな。半分の魔力を意識して、か。」
「続けていけるかしら?」
「うん。発動の時に魔力を感じ取るのはそんなに難しくないみたいだ。これなら半分の魔力で、と言うなら出来そう。」
アンジェリカさんが復活したゴーレムを見ながら言ってきたから返事をする
「さすがです、ロウジ様」「さ、さすがですっロウジ様っ」
ん?
「本当、流石ね。発動する時は意識しないとある意味勝手に魔力を使われるからそれを意識するのは実はなかなか難しかったりするのよ。」
「あ、あぁ、そうなんだ。・・・うん。確かにそれは分かる気がする。俺も今は最初から意識して魔法を発動しようとしたから感覚が掴めたような気がするだけだから。・・・うん、それでも気がする程度だからね。」
「それでもすごい事なのよ。さ、じゃぁ魔力の加減を見せてちょうだい?」
「了解!・・・・うん?・・・あれ?発動しようとする魔力を逆に体内に戻す、引き戻す感じでいける、のか?・・・ファイア!・・・・あれ?」
何も変化無かったよ?
「発動失敗ね。ロウジ?ひょっとしたら、だけれど、ほとんどの魔力を戻しちゃったんじゃないかしら?」
あ。
「あ。うん。うん。多分そうだ。引き戻し過ぎか。」
半分の魔力量を意識しないでただ引き戻す事に集中してしまった結果として発動自体がしなかったっぽい。
うーむ。
最下位の魔法だからかもしれないけど意外と微調整が必要かもしれない。
「よしっ。原因は分かったからもう一度チャレンジだ!」
「その意気よ、ロウジ」
「がっ、がんばってください、ロウジ様っ」
「がんばってくださいませ、ロウジ様」
「うん。・・・・さっきの半分、半分・・・ファイア!」
ゴオッと火の塊が尾を引いて飛び、
ゴゴンッと土人形に当たる。
「うん?こんなもの、なのかな?」
土人形は胸の辺りにクレーターを作りそこに火を湛えながらも立っていた。
「そうね、良いのではないかしら?さ、それじゃぁ他の属性も今の調子でお願いするわね?」
「あ、うん。分かった。今の感じ、だね。」
じゃぁ次は攻撃としては難しそうなウォーターかな?
アンジェリカさんは上手いこと瓶に水を入れる為だけに使ってたけど、あれがそうだよな。
「・・・・ファイアと同じように纏めた水を投げつけるような感じ、かな。・・・・よし!ウォーター!」
イメージ的にはちゃぷ、とかちゃぽん、と音がして水が纏まる感じだったんだけど、ひゅっ、とだけ音がして手の先から水が飛んでいく。
バチャガチャンッ
・・・・・うん。ファイアで形が変わっていたんだけど、やっぱり土人形は砕け散りましたねぇ。
水魔法で土人形を壊すと、なんかさすがに威力がおかしいと思い始めたよ。
「・・・ヘコんでは駄目ね。ロウジ?ひょっとして貴方、魔法強化のスキルとか持っていなかったかしら?威力強化の効果があるのではなくて?」
「へ?・・・・・あ。・・・あ、うん。魔法の強化じゃなくて破壊神の加護の効果にダメージ追加、じゃなくて与えるダメージ増加大っていうのがあったね、確か。・・・・それか?」
「与えるダメージの増加、ですか?」
「与えるダメージ増加、しかも大・・・?」
「?」
ポリーちゃんが1人大きく首を傾げているけどアンさんも似たようなもんだな。
「・・・そうね、それは魔法そのものではなくて当たった際の威力強化になるはずよ。・・・それも間違いなく影響しているのでしょうけれど。やっぱり少し見た目にも派手なのはロウジの魔力量のせいなのでしょうね。」
「・・・・うーん。そうなのかな?自分じゃよくわからないね」
何しろ魔法自体使ったのが初めてだからね。
「半分の魔力でも大きな威力を発揮するはずだわ。そこは納得したわよ?さ、ロウジ。続けていっちゃいましょう?」
「あ、うん。・・・うーん・・・今の半分の魔力量ね・・・ファイアよりも少しだけ少ない感じだな・・・ウォーターっ!」
しゅっ・・・・ドンッ!と。
ファイアよりもクレーターは小さい感じで、えぐれた、という表現が出来るくらいの破損度だった。
「うん。今度は1発で上手くいったみたいだ。じゃ、次は土魔法行ってみるか」
土魔法のバレットは小石サイズのつぶてを5〜8個纏めて一度に飛ばす散弾型の魔法みたいだ。
イメージ的にそんな土人形を壊す威力になるとは思えない。
「・・・・良くあるストーンバレットは結構大きな石を飛ばす魔法だったよな。やっぱり少し違うのか。レベル上げれば覚えるんだろうな、きっと。・・・・よし!バレットっ!」
シュッシュッ、と少し音にバラツキのある感じで幾つもの石が飛んでいき。
ゴッゴゴッゴゴッシャン、と。
「あ。正に散弾の威力で壊しちゃうんだ。」
ただ石が埋まるだけで済んだかと思ったらやっぱり土人形の上半身は吹き飛んだ。
「・・・もう驚かないわね。さ、立ちなさいゴーレム!さぁ、ロウジ。また2体作ったから半分の魔力量でバレットと残りの風魔法よ。どうぞ。」
「うん。ありがとう。」
・・・なんかポリーちゃんは固まってる気がするけど。
まぁまだ壊すわけだし気にしたら負けだな。
「うん?・・・・なんか半分の魔力量にするのに慣れてきたかも?・・・バレット!」
シュッヒュン、ドスドスドスッと。
「・・・これは見た目にはあまり変わらないかも?」
「・・・そうでしょうか?」「まぁ、そうかもしれないわね」「・・・・で、しょうか?」
うん。見事に土人形の体に石飛礫埋まってるものだから、ね。
最初からこうだったよ?と、言えば誤魔化せるのではないか、とか考えてみた。
「さて。逃避はこのくらいにして最後。風魔法いくね?」
「「どうぞ」」
「う、うん。・・・・さっきの感覚を試してみるかな・・・・半分・・・ウィンド!」
ヒュルッ
バシンッ
「あら!」「まぁ!」「えっ?」
「お?上手くいった?・・・やった!」
考えてみればどうせ加減するのなら最初から発動する前の状態から半分にすれば良いんじゃないか、と、さっきから半分の魔力量を探る感覚に従って最初から試してみた。
「・・・ロウジ?ひょっとして発動する前から半分の量が分かったのかしら?」
「「すごいです、ロウジ様!」」
「えっ?うん。そうなんだけど。だから、そんなに凄い事じゃないよね?」
一度発動させて消費魔力量を掴むか発動する手間で掴むか、だけだもんね。
「いえ、ロウジ。さっきも説明したけれど魔法の発動に必要な魔力量は毎回少しずつバラツキが出てしまうのよ。だから初めて使う魔法で最初から魔力量を調節する事なんてまず不可能だわ。それが出来るとしたら・・・ロウジ?貴方、スキルが増えていないかしら?」
「ほぇ?スキル?」
ステータスを見てみるか。
ロゥジ=タソガワ
称号: 子爵家の居候
属性 : 無
状態 : なんだろな?
混乱無効 (指輪)
レベル5
HP 101005/100005 (+1000)
MP 980/485 (+1000)
体力 188/90(+100)
気力 123/78 (+100)
腕力 143 (+100)
耐久力 144 (+100)
知力 203(+100)
精神力 185(+100)
敏捷性 136 (+100)
幸運度 715 (+600)
職業
冒険者RANK.1 精霊使いLV.1 商人LV.2 鑑定士LV.1 調合士LV.1 錬金術士LV.1 武器職人LV.1 防具職人LV.2 建築士LV.1 料理人LV2 家政婦LV2 旅人LV1 戦士LV.1 格闘家LV.1 神官LV.4 魔法使いLV.1 貴族令嬢のヒモLV.1 神の眷属LV.−
装備品
武器: ロングソード (鋼鉄製 ・火の魔剣)
胴: お気に入りのプリントTシャツ . 長袖コットンシャツ
腕: (銅の籠手)
下半身: 柄物トランクス . ジーパン
脚: (銅の脛当て)
足: 皮の靴
《所持スキル 》
鑑定 解析 現地言語理解 古代言語理解 交渉術LV5 能力隠蔽 能力開示
HP自動回復・ 神 MP自動回復・ 小
(物理耐性) (魔法耐性 ) (身体能力上昇・ 大) (精神力上昇・大) (与ダメージ増加・ 大) (状態異常耐性 ・ 小)
即死無効 毒無効 麻痺無効 石化無効 魅了無効 拘束無効
人徳 幸運 神の加護 創造神の加護 破壊神の加護 神との対話 神への祈願 精霊との対話 (アイテム作成時成功率上昇・大)
素材収集LV.MAX 薬調合LV.5 錬金術LV.5 アイテム簡易合成LV.5 釣りLV.5 料理LV.3 家事LV.3
道具作成 武具作成 縫製 装飾品作成 魔法書作成
建築技術LV.5 鍛冶LV.5 罠作成LV.5 隠蔽術LV.2
刀剣術L.V1 格闘術LV.1 槍棒術LV.1 斧術LV1. 棍棒術LV.1
弓術LV.1 短刀術LV.1 手裏剣術LV.1 投げ縄術LV.1
精霊術LV.1 魔法合成 複数魔法同時発動
魔物の知識 魔力消費半減
《所持魔法》
火魔法LV.3 水魔法LV.2 土魔法LV.2 風魔法LV.2 光魔法LV.1 闇魔法LV.1 精霊魔法LV.1 初級神聖魔法 初級暗黒魔法
「あ。スキルだけ見るようにすれば良かったのに。」
思わず普通に全部見てしまった。
「どうかしら?」「どうですか?」「どうでしょうか?」
「うん?うん。魔法のレベルが上がっているのと、魔力消費半減のスキルが新しく増えてるみたいだ。・・・これ?」
普通にゲーム的に考えれば毎回魔法を使う時の魔力消費量が半分になる、ってものだけど。
今は鑑定しないでも教えてくれるだろう。
「あぁ、やっぱり。そうよ。それのおかげ、ね。魔法を使いたい時にいつでも消費魔力を半分にして威力はそのまま、という状態に出来るスキルよ。恐らく、だけれど、ロウジがよっぽど感覚を掴むのに筋が良かったのね。毎回半分にしていたから身に付いたのでしょう。これから魔法を使うのが楽になると思うわ」
「なるほど。便利だね。」
どうやら自動無差別発動型ではないようだ。
でもこうしてまた1つも2つも成長していくのを実感する。
それは楽しい事、かもしれない。
「さ、じゃぁ一通り検証は終わったわね。魔力を回復する為にまた少し休憩してから次の段階に行くわよ」
「「はい」」
「あ、うん。了解。」
そして心地良い疲れを感じながら休憩場所に戻る。
お読みいただきありがとうございます☆
実はロウジがやりたい事をやるだけなら揃いまくっているスキル類ですが、冒険者として1人で生きていくにはそれでもまだ足りない部分があったり。
次話は昼食を挟みながらロウジが魔法の種類を増やそうと色々試します。
更新は7日の予定です☆