初魔法です?!・・・大迷惑?!
と、言うことで志も新たにまた夜が明けます。
昨夜魔力については学んだので次はさぁ実践!
となるのですが。
どうなることやら。
「ロウジ様、おはようございます。起きて下さいませ、ロウジ様。おはようございます」
「うぅ〜ん」
「ロウジ様、おはようございます」
「うぅ、阿沙、まだもう少し。もう少し寝かせてぇ〜。掃除はするから飯要らない・・・て親父達に言って、おい、て・・・」
「ロウジ様ぁ。朝食のお時間まで1時間を切りました。掃除は私共の仕事ですのでロウジ様は早く起きて下さい」
うん?なんか妹とはまた違う優しい声がする。
「うぅ〜。ん?」
「あ、お目覚めですか?ロウジ様?」
「うん〜ん?・・・・だれ?」
寝惚けた頭でも可愛らしい女の子が顔を上から覗き込んでいる、のは分かった。
「えっ・・・・?」
なんかその子がショックで固まるのが見えた。
「うぅ〜うん?」
あ。
ああ。
「んんん。アンさんか。おはよ」
まだ寝ぼけ眼で挨拶する。
「あ、良かったです。おはようございます、ロウジ様」
・・・?
うーん?なんか涙ぐんでるような気もするけど気のせいかな?
「お食事の時間が近づいていますのでお早目に身支度の方、よろしくお願い致しますね?今朝は何かお手伝いする事はございますでしょうか?」
「うん?・・・・あぁ。もうそんな時間なのか。・・・うん。もう少し一緒に寝て?とか」
ぁぁだめだ、まだ頭がぼぅっとしてる。
「・・・・えっ?は、はい?ろ、ロウジ様?な、なにを?」
「うん?・・・えっ?なにを言ったかな?俺?」
ダメだ眠い。
多分あれだ。
アレで気力を持って行かれたのが原因だ。
「・・・ロ、ウ、ジ、様?」
「んぁ?・・・・あ、うん。おはようアン」
なんか目が覚めた。
「昨夜は遅くまで起きていたのですか?」
「ん?あ、いや、そんなことはないんだけど。なんか疲れてたみたいだね。」
「そうですか。お疲れ様です。お手伝いは必要ですか?」
「あ、いや。大丈夫!目も覚めた!自分で服も着られるから!とりあえず部屋出てもらって良いかな?」
やっばいっ!
思いっきり寝惚けてたよ。
「あ、はい。では一旦下がらせていただきますね。・・・あの。ロウジ様?」
「んぁ?何?」
とりあえず顔洗って歯磨いて・・・・木製だけど歯ブラシがあるのにはビックリだったよ。少し木自体も柔らかいからほぼ使い捨てになりそうな感じだけど。
「あ、いえ。失礼いたします」
「うん。また後で」
【歯磨きブラシ】 アイテムレベル2
ニームの木に馬の毛を埋め込んで作った歯を磨く為の道具。木だけで磨いても用は為すが噛むとすごく苦いので馬の毛を埋め込んで使用している。
( 材料 : ニームの木の枝 . 馬の毛 )
うーん。これは噛まないように気をつけた方が良いのかな?
【歯磨き剤】 アイテムレベル1
歯を磨く際に使う粉。塩を主成分として地域により特色がある。必ず吐き出す事が必要。
( 材料 : 岩塩 . ミントの葉 )
・・・・?
塩が主成分って塩にミントの葉を混ぜただけなんじゃ。。。
でも、結構口の中はスッキリした感じがして好きかもしれない。
さて。じゃあ着替えて食堂に行くとするか。
「あ。ロウジ様、丁度良いお時間ですね。では参りましょう」
「うん。お待たせ。」
「はい。」
「「おはようございます」」
「おはよう」
「おはよう、ロウジ」
「おはようございます」
気持ちの良い朝で和やかに食事は進んで行く。
「ロウジ、今日からアンジュ達が貴方に色々教えて行くのだけれど。聞いても良いかしら?」
「はい。なんでしょう?」
ハイネスタさんがそう切り出してきたから返事をする。
「ロウジは見た所実践と座学だと座学の方が得意そうに見えるのだけれど、実際はどうなのかしら?」
「え?はい?・・・・あぁ、そういう事ですか。そうですねぇ・・・どっちかと言えば座学の方が得意、ですかね。特にこっちだと実践と言うか冒険者としては実際に戦う実戦が入るわけですし。一般人が戦いなんかしないで済む平和な所で生活してたのでスキルとかあっても戦う事なんか全くしたことないので。」
実戦と座学ってなんだろう?と一瞬考えてしまった。
「あ、そうよね。それじゃぁやっぱりまずはある程度の知識をつけてから森に入ったり冒険者として依頼を受けて貰おうかしら、ね。」
「え?あ、はい。」
うーん。俺としては冒険者ギルドで依頼をこなしながら覚えていくのも良いかと思ったんだけどね。
「あら、お母様?冒険者ギルドの依頼での採取や狩りの簡単な物があればそれを受けて現地で覚えていくやり方もあるのではないかしら?」
「えぇ、そうね。特に今なら森での食材集めの依頼があるでしょうからそれも1つの方法なのだけれど。まずは基本的な剣や魔法の使い方くらいは身に付けてからでないと何をするのにも不安だし不便よ?だからロウジにはせめて精霊や魔法については覚えて貰いましょう。」
「あ、はい。えぇ分かりましたわ。ではやはり、昨夜は魔力の基本的な動かし方を覚えて貰ったから今日は魔力を変換して魔法を使うという事を覚えて貰いましょう。良いわね、ロウジ?」
「う、うん?もちろん。とにかくなんでも覚えなきゃいけないんだから教えてくれるというなら教えて?魔法を使うというのも楽しみだし。」
うん、楽しみだ。
「ではこの後中庭に集合よ?ロウジ。良いわね?」
「了解」
こうして1日目が始まった。
中庭に出るとアンさんとポリーちゃんも居た。
「ロウジ様、わたしも手伝わせていただきますのでよろしくお願いしますね」
「よ、よろしくお願いしますっ!昨夜ハイネスタ様とアンジェリカ様の方からロウジ様の事情を聞かせて頂きましたっ!せ、精一杯努めさせていただきますっ!」
「あ、うん。今日からアンもポリーちゃんもアンジュもよろしくね。・・・そっか。そういう事だから知らない事だらけなもんだから改めてよろしくね、ポリーちゃん。」
「はっはいっ!こ、光栄ですっ!」
・・・・なんか昨日よりも畏まった感じに不安になるけど。
「はい。ではまずは魔法についての講義になりますのでそちらへお座り下さい。」
そう言って4つ白い椅子が囲んでいる白い丸テーブルを指差した。
・・・・ふむ・・・確かに緑の草の中で白は映えるんだけど、大抵こういう場所にあるテーブルとイス、チェアーか。こういうのって白いよね。
俺とアンジェリカさんは椅子に座るけどポリーちゃんとアンさんは座らないっぽい。
手を前に真っ直ぐ立っている。
「それでロウジ、能力を全部見せて貰ったけど貴方は自分がどの属性の魔法を使えるかは理解しているわよね?」
「ん、あ、うん。・・・・あ、その前にこの世界には何の属性があるのかな?俺は多分全部の属性の魔法が使えると思うんだけど。」
「そうね。地・水・火・風の四属性が主な属性になるわ。更に光と闇、これは実際には精霊魔法に近いのだけれどその2つ。しかもロウジ。貴方は神族や魔族しか使えないとされる神聖魔法や暗黒魔法というものまで使えるはずよ?でも、さすがにその2つについては教える事は出来ないけれど使い方は違いないはずだから基本的な事だけは身に付けておけば間違いないはず。それに物覚は悪くないみたいだからさっさと魔法を使えるようになって、次に精霊術、剣術に行くわよ?良いわね?」
「うん、了解。よろしく。まずは何をすれば?」
「そうね?まずは昨日話した魔法の事については覚えているかしら?魔力を攻撃に使うよりも魔法を使った方が良いという話をしたけれど。」
え?
「あ、あぁ。魔力をそのまま使うよりも何かの物理的な力である他の属性に変換した方が効率が良いという話だよね?」
「そう。その変換する作業と起こされた現象を魔法と言うのよ。重要なのは想像力と創造力、ですわね。魔法の位階は1から8まで。その上に禁呪と神位と呼ばれるものがありますわ。神聖魔法と暗黒魔法はこの神位に当たる魔法ですわね。基本的には第7位階の魔法までは詠唱というものは必要ありませんわ。ですので、まずは起こしたい現象を頭に浮かべる。次に魔力を変換する。最後に放出する。以上が魔法の手順になりますわね。」
「なるほど。・・・・?・・・ひょっとしてイメージが1番大事ならそれさえしっかりしていればどんな事でも魔法で出来ちゃう?」
なんかそんな感じを受けるんだけど。
すると
「そうですわね。・・・この世界には様々な力が溢れているわ。特に創造神の力が強いのだけれど。補助としてあるいは主として詠唱は必須なのだけれど、その影響でオドだけではなくマナの扱いさえしっかりと出来れば正になんでも出来るのではないかしら、ね?・・・上手く扱えれば、なのだけれど過去に神官が死者の復活をさせた記録も残っているわ。」
「おおぅ!・・・って記録?今は出来る人居ないの?」
良くあるゲームなんかでは死者の復活なんてのは定番だったりするけど。
「そうね。少なくともこの大陸では聞いた事はないわ。・・・ええと、そうね。ロウジ?今私は想像力が必要だと言ったけれど。貴方は人間が生きている、生き返るとはどういう状態なのかを正しく思い浮かべる事が出来るかしらね?」
「へ?」
「生き返らせる、という事は死んでいる状態を見ているのよ?そこから生き返る事を正しく思い浮かべる事が必要になるわ。さて、ここで問題がいくつも発生するのよ。果たしてどうすればその人は生き返ったと言えるのかしら?心臓が動いたら?会話出来るようになったら?身体が動くようになったら、かしらね?死人を見ながら明確な想像力を発揮する、というのは存外難しいものよ」
「あ。・・・ええと・・・あぁ、なるほど。」
心臓が動いたって心臓だけが動いていても意味無いし。
会話出来るようになっても心臓が動いてなかったり身体が腐敗してたり、じゃ仕方ないよね。
身体が動くようになっても身体だけじゃリビングデッドだし。
更に言ってしまえば死んだ後に魂がどのくらいの時間でどういう風になるかは分からないけど、少なくとも復活魔法、蘇生魔法は死んだ状態、遺体を見ながらやらなければいけないわけだ。
「うわぁ、確かにそう考えると最高難易度とされるのも納得だ」
パッと唱えてパッと復活、なんて風にはならないわけだね。
「そうね。さっきも少し言ったように詠唱がその補佐をしてくれるのだけれど、それ自体の意味もある程度理解していなければならないし死後何日も経った後で全く見も知らない人間を生き返らせる、なんてのは正に神の御業としか言いようがないと思うわね。」
アンジェリカさんはそこまで言って少し考えてから
「だから。魔法で確かにある程度は何でもかんでも出来る、とは言えるのだけれど。全く知らない、分からない現象を起こす事は出来ないわ。やっぱりそこはある意味人の限界が魔法の限界かしら、ね。」
「・・・ふむ。なるほど。よく分かったよ。」
「で、ですがっ。そっ、そこの限界を何とかするためにも魔道具が造られて、また発達していくのですね。」
「そうですね。それに学者が冒険者について各地を旅したりするのもそこに理由があるのでしょう。」
「そうね。ポリー、アン。魔法だけでは届かないものや魔法だけでは不便な部分を改良する形で魔道具が発達しているわね。それに多くの物を見聞きして知るということが必要になるから結局は現場に赴くというのが1番になるのよね。」
「ふむ。」
なんか魔法の講義が大きくなったような気がするけど理解は出来た。
「さぁ、ではロウジ?実践に移るわよ」
「ん。よし。」
気合いを入れて立ち上がる。
「さて。じゃぁ・・・・ゴーレムよ、立ちなさい!・・・・えぇ。これで的は良いかしらね」
180センチくらいの身長の土人形を立たせてアンジェリカさんが言う。
「すごいな、あんな簡単にやれちゃうのか」
「はい。そうですね。今のはアンジェリカ様の精霊魔法になります。」
「ほぇ?魔法じゃなくて精霊魔法なの?」
アンさんの説明に思わず、といった形で質問する。
「はい。土属性の魔法にもゴーレム作成がありますが、魔法とは自分や周囲の魔力を変化させて行うものです。しかし今のは土に直接働きかけて土人形を作成した形になります。」
「ん?・・・あぁ、なるほど。あのゴーレムを作ったのはアンジェリカさんじゃなくて土の精霊、というわけか。」
なかなか難しいね。
「はい。一発でご理解なさるとはさすがです、ロウジ様。その通りでございます」
「なるほど、納得。あ。俺はまだ周辺のマナを感じたり見たりがどうも上手く出来ないみたいだからまずは自分のオドを使って魔法を使う事になるわけだよね?」
「はい。そうなります。ですので的もあのくらいで丁度良いのではないでしょうか?」
「ふむ」
精霊とか周辺魔力について話が出たからついでに聞いてみたけど、まぁ自分の魔力だけだと威力も予想つくと言うか、初心者の魔法だから大した事ないという事かな?
そんな事を考えていると
「さぁ、ロウジ。準備は良いわ。まずはこの的に向かって魔法を撃ってみなさい?魔力を込めて威力を上げるのは次にやるからまずはただ魔法を発動させる感覚を身に付けるのよ。目視で狙えば的を外すなんて事はまず無い、はずよ。」
的の近くからアンジェリカさんがそう指示を出してきた。
まずは発動、ね。納得だ。
「了解」
とは言え基本魔法しか使えないんだよね。
「ロウジは神聖魔法と暗黒魔法以外はまだ魔法レベルは全て1よね?バレット、ウォーター、ファイア、ウィンド、それが基本魔法になるわ。普通はレベルが10越えるまではこれらの魔法しか使えないわ」
え?
「え?そなの?」
思わず振り向いてアンさんに聞いてしまう。
「はい。とは言っても飽くまでも基本は、ですね。レベルを上げれば自然と使える魔法が増えてその魔法がどんな物かをイメージ出来るようになるのですが、先程から説明しているように想像力と創造力がしっかりしていて魔力が足りていれば魔法を使う事は出来ますので・・・・例えば見た事がある魔法などはレベルが低くても使える場合があります。」
「あ、そういう事か。・・・・って事は本当に必要なのは想像力と魔力、とも言えるわけか。」
「はい、単純に考えるとそう言い換える事も出来ますね」
「うん。ありがとう。なんかやる気出てきた。こちとら日本の現代っ子、想像力は逞しいんじゃないか、という自負がある。がんばるぞ〜」
「あら」「まぁ」「おぉ」
「さ、では私は少し下がるからその気合いで魔法をどうぞ?」
アンジェリカさんがそう言いながら優雅にお辞儀をして的となるゴーレムから館の側に離れる。
「うっし!」
まずはやっぱりファイアでしょ!・・・・って、待てよ?
ゴーレムまで10メートル近くはあるよな?
ファイアって名前からして火炎放射器をイメージしたんだけど・・・・ヤバくないか?
「あ、ごめん。ちょっと質問。」
思わず右手を挙げながらアンジェリカさんに問い掛ける俺。
「・・・あ、あら、あら。何かしら?」
少し足や肩の力が抜けたのがここからでも分かったよ、アンジェリカさん。
「うんと。ファイアなんだけど。火炎の魔法。火を吹く感じで良いんだよね?それともファイアボールみたいに飛ばす方が良いのかな?」
「まぁ」「えぇえっ?」「あら!」
ん?
「ん?どうかした?」
「え、・・・・えぇ。ロウジ。貴方、ファイアボールは見た事があるのかしら?使えそうという事よね?」
ん?
「あ、あぁ、そういう事か。いや、俺の居た世界じゃこういう魔法使える人は居なかったんだけど情報だけは氾濫してたからさ。イメージだけは出来るんだよね。それに火炎放射に関してはそういう武器、道具があるんだよ。実際に」
はて?火炎放射器は武器だったか、それとも木々や雑草なんかを焼き払うための道具だっただろうか?なんて迷ったり。
それに思えば変な現象なんだよな。
誰も見た事ないはずなのに明確なイメージ、ビジョンが存在していたわけだ。
魔法じゃなくて魔術やら呪術みたいな物は存在していて時々話題には上る事があったけど、そういうのは伝聞だけじゃない形で伝わって来ているんだろうし。
考えるとかなり不思議だ。
「あら、そうなのね?・・・それなら・・・でも存在しないはずなのに確固たる情報があるって何かしら?何か、こう歪な感じがするわね。」
「ですね」「んん?」
アンジェリカさんとアンさんはやっぱり俺と同じ感想を持ったみたいだね。
ポリーちゃんはなんとなく不思議そうにしてはいるけどあまりイメージは出来てないみたいだ。
「それなら、そうね。ファイアは放射型とも言えるのだけれど、どちらかと言うと蝋燭の火を飛ばすようなもの、と考えてくれれば良いかしら、ね。火球では無くて飽くまでも伸ばした火そのものを飛ばすような感じよ」
「・・・球じゃなくて火を伸ばす、飛ばすイメージか。・・・うーん。」
良くそういう攻撃を飛ばすゲームがあるからイメージは出来るけどね。
それにさっきから頭に浮かんでいるのは着弾時にも爆発しないでただ広がって燃やすイメージ。
「よしっ!了解。イメージ固まった」
右手を前に出す。
「・・・今更だけれど火属性からなのね」
少し呆れているような気がするけど気にしない!
男の子だもん!
腹から手の先、その先に魔力を集めて燃え盛る火をイメージ。イメージするのは蝋燭じゃなくドラム缶で真っ赤に燃え盛る火。
「ファイアっ!」
ゴオオッ
と音を立てて少し尾を引いて火が飛んで行き。
ドガンッ!
着弾。
「・・・あれ?」
「わあっ!すごいですっ!ロウジ様!」
手を叩きながら褒めてくれているのはポリーちゃん。
「え?」「わあっ」
驚いて固まっているのがアンジェリカさんとアンさん、プラス俺。
「燃えるイメージはプラスしたんだけど・・・・」
「すごいわね、ロウジ」「すごいですわ、ロウジ様」
見事に土人形の上半身は吹っ飛んでいた。
更に微かに残った腰の部分だと思うが土なのに燃えていた。
あ、いや違うか。残り火が上で燃えているだけ、のようだ。
「確認するのだけれど、ロウジ?特に魔力を込めて強化したというわけじゃ無いのよね?」
「ん?・・・うん。多分イメージしてそのまま飛ばしただけだから特に強化したとかは無いと思うよ」
「そうですよね、私からも特に魔力を込めているようには見えませんでした。」
「はいっ。わたしもそう思いますっ!」
「そうよね。ロウジ?もう1回良いかしら?今度は威力を上げるイメージでお願い。ゴーレム!」
「おお?う、ん?分かった。了解」
アンジェリカさんが今度は幅も高さも倍はある土人形を作りだした。
「ん。じゃあ強化するイメージで良いんだよね?」
「えぇ、そうね。火を強くする感じで」
「うん。」
強い火か。
イメージするのは更に温度が上がり青くなった火。
鉄をも溶かす火。
「ファイアっ!」
グゴオオォォォ
「あ。」「え?」「きゃっ」「きゃぁっ」
ドッゴオオォォオォン
と
火が当たっただけじゃ鳴ってはいけないような音が鳴って土人形が砕け散った。
それは良い、良いんだけど。
ゴオオオォォッ
未だ俺の手の先からは火の帯が伸びていた。
「・・・・ずっと燃えているガスバーナーをイメージしてしまった。」
火が細くても酸素とガスさえあれば燃えて金属をも溶かす溶接バーナー。
それをイメージしてしまった。
「ろ、ロウジ様?そ、それは?」
「・・・・ロウジ様」
「・・・・ロウジ?止まらないの?」
「あ、い、いや。止まる。止められる、はず。」
焦る。
けどイメージしたのは俺の身体がガスタンク。腕がガス管。魔力がガス、というもの。
だから。
ゴゴオオオォォォ
「ええっと。魔力を止めれば良いんだけど。・・・・止めれば良いんだよな。・・・あ、止まった、か?」
止まった。
「こ、怖かったわよロウジ?そっちに近付けなかったし」
「私達も怖かったです」「・・・です」
「ごめん。申し訳ない。ちょっと間違えた」
頭を深く下げて謝る。
いや、俺も焦ったし怖かったんだけど。
幸いと言えるのは先細りして射程がある程度決まってるガスバーナーをイメージしたこと、だろうか。
「はぁ。少し皆で休憩しましょう。熱気が残っているしなんか疲れたわ。ロウジの魔力も思ったより減ってるみたいだし、ね」
「へ?・・・あ、ほんとだ。」
ロゥジ=タソガワ
称号: 子爵家の居候
属性 : 無
状態 : ・・・程々にがんばろう
混乱無効 (指輪)
レベル5
HP 101005/100005 (+1000)
MP 1190/460 (+1000)
体力 188/90(+100)
気力 149/76(+100)
腕力 143 (+100)
耐久力 144 (+100)
知力 200(+100)
精神力 185(+100)
敏捷性 136 (+100)
幸運度 715 (+600)
職業
冒険者RANK.1 精霊使いLV.1
「え?1位階魔法でどれだけ魔力を使ったのでしょう?」
「まぁあの威力ですもの。1位階とは言え100単位で使ったのでしょう、ね。あ、ポリーありがとう」
「はい。あ、あ、い、いえ。」
アンジェリカさんがイスに座るとポリーちゃんが氷水?を差し出す。
どうやらポリーちゃんは一足先に飲み物を用意してくれたようだ。
うん。
とりあえず俺も座って初魔法の反省をしながら休憩をしよう。
お読みいただきありがとうございます☆
そこでは何よりイメージが重要でそこに魔力が足りてさえいれば魔法は使えるようです。
確固たるイメージが逆に仇になる、というパターンの話でした。
次話は朝起きるときにロウジが呟いた一言に対する追及がやっぱり(笑)入ります。
更新予定は5日となります☆