初アイテム合成?!でもアイテム調合ではありません。
夕食を終えたロウジ。
やりたい事いくつかあるので部屋に戻って、どうしようか、と考えながら歩いていたらアンジェリカと遭遇。
さてさてどうなりますか。
すいません。余分な描写が増えた分文字数が増えてしまいました。
「「あ。」」
二階に向かっていたロウジとロウジが部屋に居るかどうかを探りに出た2人は階段の上で顔をあわせる事となったのだが。
アンジェリカの目はロウジの手へ。
ロウジの目はアンジェリカの顔に行く。
「あ、ろ、ロウジ?その。」
「大丈夫?なんか、ごめん。考えなしに無遠慮な、と言うか不躾な発言して。」
「あ、や。違うの。違うのよ?あれは私が勝手に。」
「ん?・・・あ、いやでも。」
「ん、もう。良いわ。これでさっきの事は終わりにしましょう?それよりもロウジ?1つ聞きたい事があるのだけれど、良い?」
「え?あ、うん。別に良いけど・・・」
良いのかなぁ。とか思いつつも反射的に答える。
「じゃあ。」
なんか佇まいを正す感じで一旦言葉を切るアンジェリカさん。
ドキドキ。
何を聞かれるんだろう?
「ん、んん。ロウジ?アンから混乱無効の指輪を。貰っていたわよね?それはどうしたのかしら?」
ん?
「指輪?持っていれば良いかなぁ、とか考えたけど一応付けてるよ?ほら」
左手を見せる。
「・・・・ロウジ?何故小指なのかしら?いえ、別に小指なら。護りなのだから小指でも構いはしないのだけれど。でも。」
・・・なんか俺への質問からブツブツと独り言になりつつあるんだけど。
「うん。御守りみたいなものだから小指でも良いかな、って思ったのもそうなんだけどさ。小指にしか嵌らなくて。そんなに指太いとは思ってなかったんだけど、ねぇ。」
ちょっと困って指輪を嵌めた左手で頬をかく。
「・・・え?・・・あぁ。そうなのね。そういえばそうだったかもしれないわね。」
ん?
「うん?何が?どうかした?」
「・・・ええ。その指輪は、いえ。普通の腕輪もなのだけれど。自在伸縮の魔法がかかっているから魔力を通せばちょうど身体に合うように調節されるのよ。その時計は魔石で調節される型だったから、その事は説明する機会がなかったわね、と今気が付いて。」
少し申し訳なさそうに言うアンジェリカさん。
だけど。
「あ?そうなの?・・・・あ。でも魔力を通せば、って言われても?」
そもそも魔力をアイテムに通す方法が分からない。
いや、それ以前に。
「ごめん。そもそも俺、MPとか気力とかあるけど魔法の使い方どころか魔力の使い方すら分からない。」
うん。
魔法もいくつも使える状態ではあるようだけど。
MPって何さ?魔力を使うってどうやって使うのさ?
「すっごく初歩的な事だよね?巷じゃ魔力なんか無いと言われている世界から来たからさ。それでも坐禅とかしててなんとなくの感覚は分かる気もするんだけど。教えて貰わないと何も出来ないや、俺。」
頬をかくのを止めて頭を掻く。
「そうね。そういえばロウジ?ロウジは今から何かしようとしてたのかしら?」
「ん?うん。部屋に入ってピアリス様からの宿題をやるか、その前に色々とシヴァ神に確認しておこうかな、と思ってたんだけど。」
簡単な質問にそのまま簡潔に答える。
「・・・ピアリス様の宿題は簡易合成、だったかしら?それも魔力を使用しての物だと思うのだけれど、すぐに出来るのかしら?」
「あ。」
いや、うっかりだ。
「あ、いや。簡易合成自体はピアリス様が言ってたように道具を何も使わずに素材だけあれば良いと思うんだ、けど。素材を集めてそれからどうすれば合成出来るかは・・・ピアリス様も何も言ってなかったしなぁ。」
ピアリス様は簡易合成出来る、と言っただけでやり方は言ってなかったもんな。
さすがに素材をその辺に置いて「合成」とか言えば出来るとかは・・・・無いだろうしなぁ。
アンジェリカさんが今言ったように魔力を使って、なんだろうし。
「はぁ。深く考えてなかったという事ね。確かにそれも創造神様にお伺いすれば分かるのでしょうけれど。その前に魔力を意識して、更にその魔力を使ってみる、という事を覚えた方が早い気もするわね。」
「う。うん、確かに。・・・それに説明も魔力を通して、とか魔力をこう使って、とかされてもそれ以前の問題だから」
さっきのアンジェリカさんじゃないけど普通に魔力を使える人は・・・神もだけど、魔力をどうしたら使えるようになるか?には言及してくれない気がする。特に、あの、シヴァ神の場合は。
「そうね。そうよね。・・・ロウジ、一旦外へ出るわよ」
「へ?あ。うん。」
そう言ったアンジェリカさんに黙ってついて階段を降りて行く。
更に食堂に入り脇から中庭、と言うか庭へ出る。
館から数メートル離れたところで
「さて。ロウジ?今から基本的な魔力の使い方だけ教えるわよ?そうすれば明日からは精霊術についても魔法についてもすぐに教えていけるから。」
「あ、うん。了解。 」
おぉ。いよいよ魔法使いの仲間入りが出来るのか?!
いや、そんな大層なもんじゃないかな。
とりあえず簡易合成も出来なきゃ仕方ないもんな。
「じゃぁ、まず。・・・そうね。ロウジ、貴方は自分の魔力を感じられていないわよね?魔力はあるはず。あるのだし使えるはず。だけれど魔力を理解していないから使えないのよ。だからまずはそれを解決しましょう」
「うん。お願い」
「まずは、そう、ね。真っ直ぐ立って。そのまま目を閉じて?」
「うん。要は立ったままの瞑想だね」
言われた通りにする。
物心ついた頃からの習慣で瞑想はお手の物だ、と言える。
それにだいぶ砕けた調子で会話が成立するからかリラックスも出来ている気がする。
「そう、ね。そうしたら身体の中心を意識して?深めに呼吸を続けて。暖かい塊を感じ取れたら言ってちょうだい?」
「身体の中心。深めの呼吸。身体の中心の暖かい塊」
順に意識をしていく。
呼吸に合わせて身体を探っていく感じ。
すると
「ん。」
暖かい塊、か。
へそよりも下、丹田の辺りになるだろうか。
「流石、と言うべきかしら、ね。早いわね。貴方の身体の中にある物が分かるかしら?」
「ん。分かる。それとは別に身体中を巡ってる力、みたいなのもあるみたいだけど。」
そっちを意識すると少し身体が熱くなるような気がする。
「あら。恐らくそっちは気、ね。私ではそちらについてはあまり教えられないし下手なことすると不味いから今はそっちは気にしないで?暖かい塊にだけ意識を向けて、お願い。」
お?
気?気かぁ。
向こうに居た時にはほとんど感じ取れなかったんだけど。
気でも何か
「おっと。」
今は気の方に意識を持って行ったらダメだってば。
魔力?だと思われる方に意識を向けていく。
「そうね。それが自分の魔力、オドよ。その塊の大きさ、塊を作っている力、流れを作っている力の量が貴方の魔力の総量よ。まずはそれを把握してね」
「ん?あぁ、そういう事か。うん、大体分かった。これがマジックポイント、MPに表示されてる、って認識で良いのかな?」
まぁ、そういう事なんだろうけど。
「そうよ。魔法を使う為に必要な力。魔法の力を決める力よ。」
うん、だよね。
ん?
「魔法の力を決める力?」
はてな?
「ええ、そうよ?魔法にはそれぞれ発動させる為に必要な魔力量はあるけれど。それは発動させる為だけで最低限の威力しか出ないわ。魔力を込めれば込めた分だけ威力は上がるのよ。」
「あ、そうなんだ。分かった。納得。」
・・・まぁ、考えてみりゃそうだよな。
物を持つのだって走るのだって力を入れればそれだけ力は上がるのだから魔力だって同じなんだろう。
「じゃあ、ロウジ?次はそうね。利き手は右、よね?利き手の平に魔力を集めてみて?」
ん?
「ん。了解」
ヤバイ、ワクワクしてきた。
魔力は一度意識したからか目を開けていても感じられる。
「これを右手の平に持って行く。・・・・移動する感じ?・・・あ、違うか?全部移動したらエライ事になるよな。うん。掌に収まる感じで薄く。」
掌が淡く、蛍の光のように白っぽく光っていく。
「良い感じね。教え甲斐があるわ。それが貴方の純粋な魔力よ。それをもちろんそのままぶつけたり投げたりしても良いのだけれど正直威力は出ないわ。」
「え?そうなの?魔力弾みたいな魔法?準魔法?みたいな物にはならないの?」
こう、溜めて溜めて撃つ、みたいな、ね。
「えぇ。魔力は普通は漂うだけの力なの。だから固めて、固めたつもりで放っても霧散してしまうか相手に当たっても少し酔わせたり体調を崩すくらいの効果しかないわ。」
「そ、そうなんだ。」
ちょっとがっかり。
「あ、でもロウジくらいの魔力量ならまとめて放てば攻撃には使えない事はないのよ?ただ、魔法に変換するよりも効率が悪いというだけで。」
「そうなの?」
「えぇ。魔力は純粋な物だから。魔力の塊を相手に放っても下手するとその魔力を相手に使われてしまう事になるのよ。だから攻撃としては物理的な質量を持つまで魔力を固めないといけないのだけれど。それなら魔法として物理的な力に変換してしまった方が魔力量も少なく済むし威力も上げられる、というわけ。たまに生まれつき属性を宿している人も居るようだけれどそれはそれで属性変換に苦労するわ。」
「あ。なるほど。純粋な物だから普通は人による違いは量だけって事、なんだね?質は皆同じなんだ。」
「そう。そういう事よ。さて。それじゃあ何故今は掌に魔力を集めて貰ったのか?だけれど。」
「うん。当然放つ為に、じゃないんだよね、これは。」
少しがっかりだけどね、やっぱり。
「えぇ、そうよ。今の『魔力の質は皆同じ』という事が重要なのよ。だからこそ誰でも魔力を込めれば使える型の魔道具や魔法具というものが創られて発展してきたのだから。」
「魔道具に魔法具。あぁ〜、ただ魔石を嵌めて使えるようにした物じゃなくて魔力を通して使うタイプの、ね。納得したよ。」
確かに。
人によって魔力の質が違うなら困った事になるか。
「あぁ。さっき言った生まれつき属性を持った人が苦労するって」
「そうよ。例えば火。火の属性を生まれつき持った人が水の効果を発動させる道具に魔力を込めても相殺してしまって発動しなかったり暴発してしまったりするの」
「うわぁ、なるほど。」
良かった。俺は多分属性を持ってはいないだろう。
と、安心したところで
「見たところロウジは光の属性が少し?入っているようだけれど。闇属性の道具でも相殺する程では無いと思うわね」
などと言ってきたから少しビックリした。
「あ。光属性あるんだ。俺。」
「えぇ。見て?普通はこう、少し黄色がかった光なのよ」
と、アンジェリカさんが同じ様に右手を光らせて見せてきた。
「はぁぁ。ほんとだ。俺のは白っぽいね。それに少し明るいか?」
「そう、ね。明るさは力の量かとも思ったのだけれどそれだけじゃないみたい。さ、ロウジ。じゃあ、今夜の授業の本題よ。」
「うぇ?・・・あ、そうか。魔力の通し方、使い方、だったっけか?」
そういえばそんな話だったような。
「・・・忘れてたわね?はぁ、仕方ないわねぇ。」
なんか呆れられた。
いや、当たり前か。
「い、いや。・・・うん。少し浮かれてた、かも。」
「え?・・・・そ、そう。それなら。えぇ。ええ。仕方ないわね。」
ん?
「ん?」
なんだろう?
何か変な感じするけど。ま、良いか。
「じゃぁ、ロウジ?その指輪に魔力を通してみて?慣れれば魔力を1回集めなくても済むようになるはずだけれど、これは本当、慣れ、ね。」
「ん。そうなんだ。了解。」
答えて右手で左手小指の指輪に触れる。
そして触れた所から集めた魔力を流し込むイメージ。
「お?」
指輪が広がって緩々になる。
「もう一度魔力を通せばまた丁度合うようになるわ。だから人差し指とかに変えるのも良いと思うわよ?まずはその魔力を伸ばす、通す、という感覚を覚えて?」
「うん。・・・でも細かい作業する為にはやっぱり小指の方が都合良い気がするなぁ。」
そう考えて、俺はまたそのまま魔力を通して小指にフィットさせる。
「おお?本当にフィットした感じだ!すごいね、これ。」
無理矢理感が全くなく、本当にフィットした感じ、という。
「え、えぇ。そうでしょう?とりあえず今のが基本よ。これで普通の魔道具も意識して使えるはずよ。館の水道は魔石を触った使用者から適量の魔力を吸い出す形で作動するのだけれど水量や温度を変えるのは自分の魔力操作で出来るから。」
「あ。そ、そうだったんだ。」
ショックだ。
魔石を触れば作動してたから魔力要らないタイプだと思ってた。
でも考えてみたら確かに風呂の水の量も蛇口から俺よりも大量の水を出して入れていたかもしれない。
「よし、意識してみよう。」
「あ。とは言っても最大量、限界はあるから無闇矢鱈に魔力を込めたら駄目よ?」
笑いながら注意して来た。
「あ、うん。あぁ、そういう失敗は子供がやりそうだねぇ。」
「ふふ。そうね。自分の力を試したい、とか面白がって、とか。自分の魔力の量を把握出来ていないと言うのが一番の理由なのでしょうけれど。良くある失敗よ」
やはり笑いながら言うアンジェリカさんだが。
うん。きっとやった事があるんじゃないかな?聞かないけど。やっていそうだよね。
「ありがとう。じゃあ、部屋に行って早速簡易合成試してみるよ。」
「あ。待って、ロウジ」
「ん?」
なんだろう?
「分かっていると思ってたのだけれどさっきの会話で疑問に思ったからちゃんと言っておくわ。自分の能力、スキルや魔法についても鑑定や解析を使う事が出来るわよ?まぁ、恐らくは鑑定も解析もあまり違いはないはずだけれど。だから簡易合成の仕方もすぐ分かるはず、なのだけれど・・・理解してる?」
・・・あ。
「あ?・・・あ!」
スキルとか魔法を見た時に説明が見れたけど。あれは別に鑑定や解析の結果というわけじゃ無いのか?そういえば。
それとも無意識の内に鑑定か解析が発動してたか自分の事だから自動発動するのか。
試してみないと、だな。
「・・・はぁ。良かったわ。やっぱり気が付いてなかったのね?試しにここで1回簡易合成やってご覧なさい?また教えに行くのも面倒だわ」
簡易合成にも興味あるし、なんて言ってるけど簡易合成を見たいのが本音なのかな?
でも言ってる事も間違いないしなぁ。
「分かった。やってみる」
ええっと。
(ステータスオープン)
ん?なんか知力とか微妙に上がってないか?
(解析)
【知力】: 知能・知識力・知識量を示す値。高ければ高い程多くの知識を有し、高い知能を持つ。生まれつきの知能はほぼ一定だが多くの事を学ぶ事により知識量が増えたり聡くなれば上がっていく。人は考える葦である!学べ学べ!
あ。そうなんだね。
精神力とかも同じか。
それと、ついでだ。駄目元で。
【レベル】: 人としてのレベル。最大8段階で分けられている。これは本来死後の魂の裁判で使われる物であり人には見えない。もちろん低ければ低いほど低い地獄行き!だがこれはヤマの仕事を楽にする為の物であまり創造神には関係ないんだよな。
・・・・・
・・・・
・・・
ん?
これは人には見えない?
・・・・確かにフォレスタさんのステータス見た時にも見えなかったからシヴァ神に今日、今から聞くつもりだったんだけど、さ。
なんか納得だよ。
見える理由は分からないけど他人には見えないけど自分に見えるか、シヴァ神の眷属扱いだから見えるのか、それとも実質一度死んだから見えるのか。
・・・可能性は2番目か最後の奴の方が高いかな?
他人には、じゃなくて人には、見えない。ってなってるし。
うん。
まぁ、疑問が解消されたから良いとしよう。
これは下がらなければ良い・・・カルマ値みたいなイメージでいれば良いだけだもんな。
それにやっぱり意識しないでも自分の事だからか鑑定か解析が発動するみたいだ。
内容が少し変わるから多分鑑定の方なんだろうけど。
試しに見るだけにしてみる。
【アイテム簡易合成】合成魔法によりアイテムランク2までの物ならその場で材料さえ揃えれば作成する事が出来る。ただし作成成功率は75%。さぁ作れ今作れここで作れ!
(解析)
【アイテム簡易合成】合成魔法によりアイテムランク2までの物ならその場で材料さえ揃えれば作成する事が出来る。ただし作成成功率は75%。レベルが上がれば速度がまず上がる。その後作成出来るアイテムレベルも上がる。素材を前に置き魔力を込めたら完成品をイメージし「合っ成っ!!」と叫ぶが良い。さぁ作れ今作れここで作れ!
・・・・うん。余分な情報増えるけど。
増えなくても良いコメント増えるけど。
多分基本的な能力の説明に関してはほとんど違いは無い。
でもこれで簡易合成のやり方は分かった。
「よしっ!やってみるよ。」
黙ってこっちを見ていたアンジェリカさんに言う。
「あら。分かったの?早いわね」
「うん。意識したらすぐだった。」
「まぁそうよね。スキルだけ見たいのならスキルを意識すればスキルだけ見られるのだし。」
「あ。そういえばそうだった」
「・・・え?」
「あ、ぁ、いや。うん。そうだよね。うん。」
忘れてたよ。
一度気が付いたはずだったのに。
なんかアンジェリカさんの目が冷たい。
夜の空気も冷たくなって来たから手早く済ませよう!
「ええっと。まずは素材、だけど。とにかく土の調合薬を作っちゃうか。」
宿題だしな。
「宿題だものね。」
「そうそう。そういえばアンジェリ、アンジュは答え知ってるの?」
ピアリス様は教えないように注意してたけど。
「え?いえ?知らないわ。調合薬の詳しい話も知らなかったし。」
「え?そうなの?答え教えちゃいけないって言われてたけど」
そう言うとアンジェリカさんは少し考えて
「そう、ね。答えは知らないのだけれど。こうなのかな?という考えはあるわよ?ヒントはあったし。・・とは言っても答えを知らないのだから合ってるかも分からないわね」
「あ、なるほど?そうなんだ。そう言うことか。」
つまりあのヒントから想像出来た、と。
「えぇ。私からヒントを上げるとしたらアンやポリーには想像も出来ない、私だから、私やお母様なら想像出来る、という事かしら、ね。」
「ほ〜ぉ。ふぅん」
「・・・それで?ロウジは何をゴソゴソとやっているのかしら?」
「う、うん。うーん、ちょっと待ってね」
言えない。
買った素材をアイテムボックスにしまったかバッグにしまったか覚えてなくてキョロキョロしてる、なんて事は。
先にすり鉢 (中)と擂り粉木 (小)を出す。
でも
「あ。」
「ん?どうしたのかしら?」
「・・・・ウッドレイクの森の土が無いや」
がーん。
作ろうとしたら素材の一覧が頭に浮かんでるんだけど。
【土の調合薬】
( 材料: 土(小瓶1) . 水(小瓶2) . すり潰した魔力草1枚 . 魔石の粉(属性無し少量))
瓶はなんとか丁度手持ちで足りたから良かった。アブラナで欲をかかなくて良かったよ。
「あら?恐らくこの辺の土で良いのではなくて?」
「へ?」
なんでもないことのようにアンジェリカさんが言ってくるからビックリした。
「この辺も元は森だもの。そしてここは農場とは違って余分な事はしていないわ。大丈夫なのではないかしらね?それに材料は土、なのでしょう?ウッドレイクの森限定なのかしらね?」
「あ。それは確かに」
うん。
もう一度材料を見てみる。
確かに購入した調合薬の材料はウッドレイクの森土なんだけど作ろうとしている材料にはウッドレイク限定の文字はない、のかもしれない。
やっとバッグの中から魔力草やら魔石の粉やら蒸留水・・・あ。これも多分普通の水を汲んで来ないと、だな。
「後は魔力草をすり潰して、と」
簡単にゴリゴリとすり潰す。
「水を汲んで来るよ」
「あら、どのくらい必要なのかしら?」
「んん?この瓶2つにたっぷりくらい。」
「そう。じゃあ、ロウジ。蓋を開けて置いて?」
「へ?あ、うん。分かった。」
なんだろう?
「そう。普通に置けば良いわ。少し離れて?えぇ。良いわ。・・・・じゃぁ。ウォーター!」
バシャバシャバシャッ
「おおおっ!」
そう言うことか!
「さ、ロウジ?後は何かあるかしら?」
見事に小瓶2本満杯に水が入った。
「魔法、魔法かぁ。」
ちょっと感動。
「あら。噴水でも使ったのだけれど。風は分かり難かったかしらね?」
笑いながら言ってくるアンジェリカさんだが少し困り気味かな?
「あ、いや、うん。こう、目の前で見せられると、ね、やっぱり。ほら噴水の時は噴水の水を避けただけだったし」
少し笑いながら言ってみる。
「あぁ、まぁ、そうね。確かにそういうもの、かしらね。」
良かった、納得してくれたみたいだ。
「それで、ロウジ?この素材、材料は揃ったみたいだけれど?」
「あ、うん。」
とは言っても小瓶1本分の土はどうしようかな?この地面の土で構わないのなら瓶に入れなくても良いんじゃないかなぁ?
なんて考えが浮かんだけどそのままだとごっそり使ったりしそうで怖いからちゃんと瓶に入れて用意する。
「さて。」
さてさて。
材料は目の前に揃ってるわけだけど。
「まぁ物は試しだ。魔力を素材に込めたら・・・瓶にじゃなくて中身に、だよな。込めていって。」
一つ一つ、ではなく全部を繋げるように魔力を伸ばして込めて行く。
「へぇ。」
「で。作るもの、完成品。土の調合薬をイメージ。・・・して。合成」
魔力を伸ばしたまま。
右手を前に出したままで。
そのまま呟くように、決してどこかの必殺技みたいに叫ばないようにして合成、と言う。
「まぁ!」
「ん。おう。・・・う。」
魔力を引っ張られる感じがする。
地面に置いた素材の上、瓶の上に俺の魔力の光の玉が出来てそこに水やら何やらが吸い込まれてグルグル回っていく。
「う」
「ロウジ?」
「あ、いや。」
集中集中。
別に苦しかったりはしないんだけど。
魔力を外に引っ張られる、何か変な感じだ。
「あら」
光が小さくなり収まっていく。
「おお。完成、かな?」
「・・・ロウジ?瓶は?」
「あ、っと。」
空中に少し光ったままの液体の玉がある。
多分これ、光が、つまり俺の魔力の影響がなくなったら落ちるな、と認識した。
水を入れていた瓶を1つ取り液体の玉の下に。
すると未だ俺と繋がっていたからだろう。
瓶に液体が吸い込まれるように入っていった。
【土の調合薬】(魔法薬)アイテムレベル2
土の魔力を強化、安定させる為の薬。錬金術や魔法で土属性アイテムを作成する場合には必須となる物。身体に取り入れると量により段々と土に近くなっていく。
( 材料: ウッドレイクの土 . 水 . 魔力草 . 魔石の粉 )
必要錬金術レベル1
「あ、良かった」「あら、良かったわね?」
「あ。うん。ありがとう。ちゃんと完成したみたいだ。」
「えぇ、そうね。良かったわ」
アンジェリカさんも鑑定で出来上がった物をみたみたいだ。
「ねぇ?ロウジ?思ったのだけれど。最初から素材の上に魔力を集めてそこから魔力を伸ばして材料を吸い込むような形で合成出来るのじゃないかしら?まだ魔力の操作は難しいかしらね?」
「あ、いや、それは俺も思った。それに完成品を入れる物も初めから用意しておけば大分楽になりそう」
「あ、それはそうね。そう思うわ」
ただ、小瓶が後2本しかないから調合薬に小瓶が2本分の水が必要なら少なくとも水の調合薬は今日は作れないかな?
うーん、でも何か違うんだよなぁ。
「じゃあ、ロウジ。そろそろ涼しくなってきたから中へ入りましょう?」
「うん。」
すり鉢やらをしまって館に戻る」
「部屋へ戻ってまずは魔力の操作の練習をしてみるよ」
「そうね。いきなり合成で試してみるよりはその方が良いわね。がんばってね、ロウジ」
「うん。もちろん」
あれじゃぁ簡易合成失敗した時に素材や集まった魔力がどうなるかわからないからな、楽になる方法を試したいけど先に練習しておくべきだろう。
「じゃぁ、おやすみなさいロウジ」
「あ、うん。おやすみなさい」
そして部屋に戻る。
お読みいただきありがとうございます☆
文字数が増えてしまい申し訳ありません。
それでも不都合がなければ良かったのですが。
シヴァ神に聞きたかった事の1つが解消され、やっとアイテムの簡易合成を覚えたロウジですが、まだまだ魔力を扱うのは初心者です。
次話はアイテム合成とシヴァ神との会話になる予定です。
更新予定は7月1日です☆