村の店舗案内〜その6〜競りに初参加です?!
とんでもない大物と面識を得たロウジ。
今日のメインイベントである競りの会場に足を向けます。
果たして何が出品されているのか?!
さぁ、と、いう訳でやって来ました素材屋さん。正しくは店の横、少々壁寄りの左側のスペースに。
「さっきは少し休憩を挟んでいたのですがもう7個目を競っている最中みたいですね。」
ポリーちゃんがやはり目録を片手に言う。
「今日は11個出ているのね。最近では多いと感じるわね。」
「そうなのですね?私は冒険者ギルドへのお使いは頼まれた事がありませんので良く知りませんが」
アンジェリカさんが呟くとそれにアンさんが返す。
「今は・・・7個目?これか。モンストルの魔石?・・・モンストル?モンスター?」
はてな?
簡単な紹介文には20日前に西で倒されたモンストルの魔石、中型・魔力量は並み程度、とある。
「モンストルというのは下級の魔族ですわ。人の負の思念が固まって生まれると言われていますわね。顔が無くただ黒い人型で顔が無いのに叫び声を上げて襲いかかってくる、ただそれだけの存在と言われてますわ」
「はい。そんな存在なので上位の魔族の命令にも従う事のないやっかいな存在です」
アンジェリカさんの説明にアンさんが補足する。
「へぇ〜、魔族?そういえば魔物と魔族は違うんだよね?」
「はい。魔物は自然の魔力溜まりや魔法の影響を受けて生まれたり動植物等が変異したものであり、なんらかの元のカタチを持つモノを指して言います。それに対し魔族は魔力溜まりや魔法や人の思念の影響を受けて生まれるのは同じですが、ライカンのような多少の例外はありますが、何も無い所からその魔力等を核として生まれたモノを指します。なので魔族は必ずその核である魔力の固まった石を体内に持つのですが、これを魔石と言います。ですが、魔物の場合は力を外部から取り入れた量によるので魔石持ちはなかなか居ません。ですが、この魔石はどれも高い魔力を含んでますので結構な値段で取り引きされるのです。」
「はぁぁ、なるほど〜。でも、それって核なんだよね?それを壊せば倒せる、とか。それさえあればまた生まれる、みたいな、さ。売買して大丈夫なの?それに倒した時に壊したら手には入らないんだよね?」
「はい。そうなります。壊せば倒せますけれども大きな魔石は当然手に入らなくなります。買取価格も完品の物と欠片ばかりの物では雲泥の差になりますね。それに魔石持ちの魔物にとっては核ではないので危険は無いのですが、モンストルのように思念が溜まっていくような魔族の場合は光魔法を使える魔法使いや神官職の人間が浄化の魔法で無害な物にするのです。それによって貯蔵されている魔力も純粋な魔力に変換されるので様々な用途に安全に使用出来るようになる、というわけです。当然競売やお店で取り引きされるのはこういった物になります。」
「あ、そうなんだ。なるほど、納得。でもアンジェリカさんだけじゃなくてアンさんも結構詳しいんだね、ちょっとびっくりしたよ」
「そうですわね。私もびっくりしています」
「あ。・・・・はい。以前魔石の買い出しで失敗したことがあったのと・・・闇でそういう危険な魔石の販売をしているルートを調べたりしてましたので。」
・・・・あぁ、うん。深くは聞かないでおこう。
「そ、そうなのですね。魔石の買い出しというのは属性を持った魔石の事ですわね?その失敗は分かりますわ」
アンジェリカさんも察したかな?
「属性を持った魔石?」
「はい。今話したように魔族の核である魔石の場合は必ず浄化してしまう為にそのままですと純粋な魔力、普通に人間が持っていたり周囲にあるただの魔力が入ってる石でしかありません。それを儀式によって各属性の魔力に変換したり大気中から1つの属性の魔力を選び取り補充出来るようにした物が魔石になります。後は魔石持ちの魔物の場合には石にその魔物の属性がついていますのでそれを討伐すれば、ですね。もう1つ、魔力を通しやすい水晶等に属性魔法を込めて人の手によって作り出された石も存在します。こちらは安価でしかも使いやすいのですが、石という容量が決まっている媒体を使用している為に定期的に魔力の補充をする必要があったり余程の希少石を素材にしない限りはその最大容量もそれ程大きくないという欠点があります。コンロ等に利用されているのはこちらですね。」
「はぁ〜。魔石って言ってもそんな種類があるんだぁ。難しいなぁ」
「あら?確かに完璧な状態の方が売ったり儀式を行うには良いのだけれど。別に自分達で利用出来る場合には砕けたモノを磨いて利用すれば良いのよ?実際に水道なんかの動力として使われているのは砕いたモノだもの。氷室や冷凍庫に使われるのはある程度の大きさのモノだけれど魔法の水差しなんかの生活用魔道具に使われているのは皆砕いたモノを磨いて綺麗に整えた物なのよ?ロウジの場合は色々な物を作って色々試してみたら良いのではないかしら?」
「そうなの?・・・うーん、確かにね。そうかもしれない。ありがとう。」
砕けたモノでも魔力が無くならずに利用出来るというなら戦いも魔石を砕けば良いのだから楽になるだろうし言われたように色々試してみたら良いかな。
「あら。25620ヴァティでの落札?この大きさだと少し安いわよね。落札した方はお買い得だったわね。」
「へぇ?相場より安かったのか。それよりも競売はヴァティで数えるんだね?」
25620ヴァティが硬貨換算でどれくらいか計算するのが大変だよ。
そのままだと全部石貨だよね。
それで25620÷80で320と余りが20。銅貨320枚と石貨20枚って事だよね・・・320÷80で4?銀貨4枚と石貨20枚か。
80×80が6400か。桁が多い場合はいきなり銀貨換算する形で割る6400で計算する習慣が必要か?
・・・・うーん、そっちの方が正直面倒臭いかなぁ?
バートさんが計算になかなか慣れないからヴァティという統一単位があまり使われてないかも、と言ってたのは確かに当たりかもなぁ。
俺が頭を悩ませているのを見て
「あ、競売に参加する場合は初めに自分達の手持ちをヴァティ、つまりは石貨に換算しておくのが正しいやり方なのですわ。熱くなりすぎて手持ちでは足りなくなる、なんて失敗談はいくつも聞かれますから。」
「なるほど、そうだよね。今のは銀貨4枚と石貨20枚、だよね?これだと少し安いの?」
「あら?暗算ですか?早いですわね。凄いですわロウジ!」
「え、そ、そう?」
「えぇ。普段の生活を送る上では石貨換算なんてほぼ使いませんから。昨夜お父様が話されたようにこれは子爵を含めた貴族だけの話ではなく額が多くなれば店側や誰かに任せてしまいますし、そうなると使うのはせいぜい銅貨換算までだと思いますが換算を必要とする場でそこまでの安値は滅多にないかと思いますから。結果として暗算の技術等は大して磨かれないという現実があるのですわ。」
「あぁ、なるほど。確かに石貨から銅貨ならすぐだしね。」
うん。聞いてた通りギルドでも銀貨とか銅貨で何枚って言って来たしね。
言われた通りに出せば良いなら普通の人は暗算どころか複雑な計算なんかも要らないよね。こういう所は数学の複雑な部分は専門家しか知らなくて良いじゃんていう日本と同じ部分があるね。
「それで今回の魔石なのだけれど。中型の物で並み程度の魔力量が貯蔵されているのであれば平均で銀貨6枚程度と聞き及んでいますわ。」
「ふうん。それは確かにお買い得だったかもね。逆に競売にかけた人が満足してるかは分からないけど。」
「競売にかけた時点で手数料を1割取られますから今回の場合は高く買い取って下さる店を探したほうが良かったかもしれませんわね。ですがそれも含めての競売かと思いますから。」
「うん。確かに」
それにしても、相場とかある程度知ってるのかな?魔石はたまたまかな?
「ロウジ、それで、なのですが。目録を見て気になる物はありますか?あるのなら参加しましょう?ないのであれば少し見学をして行くか他を見て回りたいと思うのですが。」
「うん?あぁ、そうか。そうだね、うん。」
そうだった。競売を見に来たわけじゃなかった。まだこれから他も案内して貰わないといけないんだったね、忘れてた。
目録を8から見直す。
「う〜ん。やっぱり物を知らな過ぎる、なぁ。名前を見ても分からないし。でも10番目の錬金粘土っていうのは気になるかな?」
8番目は火の魔剣、9番目は耐火の鎧という武具だから分かりやすいと思うけど。
錬金粘土って俺がプレイしていたゲームにもあったんだけど多分色々な物を作れる結構万能なアイテムじゃないのかな、と思う。
11番目はスネークサーモン (420kg)1匹。血抜き等の処理済み、と書いてある・・・最後がスモークサーモンかと思って、なんだよ、とがっかりしたらスネークだった。
蛇のような鮭、で合っているのだろうか?
420kgって・・・有名な高値がついたマグロで最大の重さっていくつくらいだったかな?確か同じくらいだったような?
「あ、あら。武具はよろしいのですね?」
「この最後のスネークサーモンって?」
聞いてみる。
ちょっと被ってしまった。
「あ。スネークサーモンというのは大きくて凶暴な魚です。成長するにしたがって体が長くなっていくのが特徴です。鋭い牙を持ち噛み付いたモノを麻痺させる毒袋を持ちます。ですが、毒菅と毒袋さえ巧く処理してしまえばその身は美味しくいただけます。捕獲難易度・調理難易度・味の良さから高級魚となっています。小さな物でも銀貨6枚はするかと思います」
「そ、そうなんだ。高級魚かぁ」
アンさんが説明してくれる。
毒持ちの高級魚、で、更に凶暴と。
「血抜き等の処理済みって事はもう料理出来る状態なのかな?」
等、って事は毒の処理もしてあるんだよね、多分。
「はい。そうなりますね。子爵邸でも調理可能かと思いますが、競ってみますか?」
・・・なんかアンさんが目をキラーンと光らせそうな勢いで聞いてくるけど。
「いや、止めておこう。持ち運ぶのが大変そうだし。」
何が悲しくて何百キロもの魚を持って歩かなければいけないのか。
アイテムボックスがあるじゃないか、と言われたらそれまでだけどね。
「38400で!」
ん?
「アンジェリカ?様?」「えっ?」
「あれ?アンジュ?」
「はいっ!38400ヴェーダにて火の魔剣落札です!おめでとうございます!」
「さぁ、次は今の武器と対をなすとも言える鎧の登場ですっ!・・・・」
26000から、と言う声が聞こえたが俺とアンさんはステージの横で店の人から火の魔剣を受け取って歩いて来たアンジェリカさんに釘付けだった。
・・・い、いつの間に・・・
「はい、ロウジ様。私からの贈り物、ですわ。」
言って藍色、というか濃い青色をした鞘に入った剣を差し出してくる。
「え?良いのっ?」
ビックリだ。
「はい、もちろんですわ。確かにあまり目立つ装備は持つべきでないかもしれませんが、このくらいなら他にも持っている方はいらっしゃいますし、ある程度は強さに見合うしっかりとした物を持ち歩くのも必要かと存じます」
目をしっかりと見ながら言ってくる。
あぁ、確かに、ね。
「そうだね、確かに。神器とかはともかくあまり壊れるような武器じゃ仕方ないしね。ありがとう。じゃあ使わせて貰うね。」
「はいっ!それにその剣には先程お話しした魔石が使われておりますわ。ですので御自分で使用して感じを掴めたら、と。」
・・・あぁ、なるほど。そこまで考えてくれたのか。
「ありがたい、な」
「っ!!」
ん?
や、なんかアンジェリカさんの顔が赤い。
綺麗な顔が染まると可愛いね。
・・・ってなんかこっちまで照れて来たよ。
「あ。あぁ〜、ロウジ様?私も、そのう、ですね?これを先程買って来ました!どうぞお受け取りください!」
言って今度はアンさんが青い紙袋を差し出してくる。
え?
「え?これって?うぇ?」
まさかアンさんからも?
「私からも、そのロウジ様のお役に立てば、と。どうぞ」
「あ、あ、うん、ありがとう。・・・あ、開けても良い?」
「は、はいっ!どうぞっ!」
うん、アンさんが緊張してるよ。
リボンで口が縛られていた袋を開けてみると
「ん?これって時計?」
腕時計?というか腕輪?
緑、いや、碧色の金属かな?で作られているようだ。
表面にガラス、じゃないだろうけど少し厚そうな透明な板が嵌っていて下には黄色っぽい琥珀のようなつやつやした石が嵌っている。
「はい。私もバート様からお金をいただいていまして、やはり私も魔道具が良いと思いまして。魔力をその魔石に通すと今現在その地点での時間が表示されるという碧石の腕時計なのですが、フォレスタ様に混乱無効の効果をつけていただいた物になります。昨夜ロウジ様のステータスを拝見させていただきましたが、混乱や睡眠等に対しては耐性しかお持ちでしかないようでしたので、先程購入し混乱無効の効果を付けていただきました。・・・どうで、しょう、か?」
「あ、うん。ありがとう!すごい嬉しいよ。時間を知るものが欲しいな、ってこうやって村を歩いてて思ってたんだよね。すごく嬉しい。・・・でも混乱無効?無かったっけ?俺、だよね?」
はてな?
「っ!?・・・は、はい。思い違いだったでしょう、か?」
「あ、あ、いや、見てみる」
ステータスオープン
急いでスキルの部分を見てみる。
(状態異常耐性 小) 即死無効 毒無効 魔 麻痺無効 石化無効 魅了無効 拘束無効
おぉう
「おお〜う。無いや。即死、毒、麻痺とあったから当然あるものと思ってた。」
「あ、よかったぁ」
すごくホッとした様子のアンさん。
「アン、本当にありがとう!すっごく嬉しいよ。フォレスタさんやさっきピアリス様にも言われたけどまずは自分の事からしっかりと把握していかないといけないね。本当助かるよ、ありがとう」
「は、はいっ!はいっ!」
やぁ、アンさんも嬉しそうだ。
しかし、バートさん・・・一体俺に幾ら使おうと言うのか。
恩に恩を重ねられても困りますが。
「むぅぅ負けましたわ」
「わ、わたしだけ・・・」
?
「いや、アンジュもありがとうね。感謝してるよ」
「は、はい、ですわ」
「それにポリーちゃんも急なことなのに付き合ってくれてありがとう。感謝してるよ」
言うと
「は、はははいっ!もったいないです、はい」
慌てて返事をする。
うん、かあいいね。
「・・・それではつぎに錬金術でしか生み出せない錬金粘土の競りに入りますっ!32000からです!」
「はいっ!」「32050!」「32300!」
「あ?」
「あら」「え?」「あ」
「錬金粘土始まった?」
「はい、みたいです。」「ですわね」「みたいですね」
誰だよ50しか上げなかったの。
「相場ってどのくらいなのかな?」
「この村には錬金術を使えるのはピアリス様とフォレスタさんだけで専門の錬金術士は居ません。ですが高く売れる街なら確か軽く金貨2枚くらいでも売れたかと思いますわ。それを考えれば最低金貨1枚はするかと。」
「錬金術士の職業を持っていてもなかなか扱いが難しいですが用途は様々ですから。」
「ん?でもそれならなんでこの村で売るんだろ?」
「あ、それはおそらく試しに」
「おそらくどなたか冒険者の方が作られたものではないかと思います」
「あぁ〜、なるほど、やっぱりそういう人も居るのか。ごめん、競っても良いかな?」
それを聞いたら勉強の為にも持っていたい気がする。
売っても良いみたいだしね。
「はいっ!」「はいわかりましたわ」「が、がんばります」
「え''」
3人が返事してくるけど。
「この4人組で、という形で問題ないですわ。4人で競って値を調整するのは駄目ですけれど」
言いながら相談する3人が頼もしい。
「36000!37800!」
「あ、あぁ、ならそれで」
そうだよね。ビックリした。
それに競りはやっぱりどんどん値が上がって行ってるようだ。
「「「76800!!」」
3人が叫ぶ
・・・・・
・・・は?
俺が固まる。
会場の空気も止まったよ?
時間を止めたよ、皆さん?
・・・「あ、ええと、ええ、はい、失礼しました!76800出ました!!76800!さぁ次は?!」
流石だ。
76800て幾つなのさ?
6400で銀貨1枚だったよね。。。銀貨12枚?あ、違う。。いや、合ってるのか?
銀貨12枚かぁ。
・・・
ん?
「はいっ!では76800!おめでとうございます!なんとっかなり跳んで金貨1枚と銀貨4枚での落札だぁ!!」
うわぁザワザワ、ザワザワしてるよ。
「金持ちだ、母さんここに金持ちが居るよぅ。」「ま、負けた」「燃えた、燃え尽きたよ」「萌えた、萌えるよ」「や、やぁったああ!!・・あ」「すげぇなぁ」「うあ」「あらしだあらしがおる」
あ〜あ。
「か、金持ちだ。」
俺も思わず口に出す。
「?皆様何を驚いているのでしょうか?少し高かったでしょうか?」
アンさんが受け取ってこっちへ戻りながら言って来る。
「なんでしょうね?」「はい、なんでしょう?」
あ、あぁ。3人とも、いや、俺もだけど。
競り初心者だからねぇ。アンジェリカさんは実はさっきも順に競ってなかったのかな?
まぁでもネットオークションとは違ってこういう手もアリだったんじゃないかな?確か。
「あまりにも一気に高く上げたからね。そのせいだろうけど、気にしない気にしない。それよりも3人ともありがとう!」
約1名程喜んでいたみたいだけど、多分作った本人かな?
魔法使いか神官か、という灰色っぽいローブにヒノキ、じゃないな、多分樫の木の棒?杖?を持った女の人だったけど。
「あ、はい。ではこれはポリーから。」
言ってポリーちゃんに丁寧に木箱を渡す。
でも見た目ポリーちゃんには少し重そうかな?
「え?え?良いのですか?」
ポリーちゃんが皆の顔を見回す。けど俺の顔を見られても困るよ。
「はい。そもそもこれはポリーのお遣いでしたでしょう?」
なんかアンさんが優しい。
「あ、は、はい!ありがとうございます!」
「さ。ではロウジに手渡して?気を付けなさいね?」
「は、はいっ!」
返事をしながらすごく丁寧に、と言うかおっかなびっくりに?こっちへ差し出してくる。
「ろ、ロウジ様に私達から贈り物。です。あの、どうぞ。」
そばかすがすこしあるのがチャームポイントかな?
「あ!あぁあ!そうだ!!赤毛のアンだ!あ、いや?足長おじさんか?」
思わず口にしていた。
「は、ははい?」
「赤毛のアン?足長おじさん?」
「赤毛のアン?あの、私は赤毛ではないのですが。」
「「「なんのことでしょう?」」」
あ。
皆、特にアンさんが混乱してる。
混乱無効、俺にくれたからな。
違うか。
「あ、あぁ、いや、あのね?なんかポリーちゃんを近くで見た時からデジャブみたいなのを感じてたんだよね。どっかで会ったような見た事があるような。ポリーちゃんは赤毛とは言えない濃い茶髪だけどそばかすがすこしあって、三つ編みを2つ揺らして、って女の子を見た事があるような気がしてさ」
そう、そうなのだ。
それが今、贈り物、と言ってすこし見上げてきた仕草でピンッと来たと言うか。
「それが赤毛のアンに足長おじさん、ですか?」
「そう、そうなんだよね。俺のいたせ、所で有名な小説・・・物語なんだけど。その主人公の女の子がポリーちゃんみたいな素朴で可愛い感じの子で、さぁ。話もすごく良い話で結構好きだったんだよね」
「か、可愛い、ですか」
「す、好き、ですか」
「ポリーみたいな、ですか」
・・・・あ、あれ?
な、なんか墓穴掘った?
「あ、あぁ、いや、まぁ。それよりも本当、ありがとう!皆本当にありがとう!」
いや、本当にありがたいよ。
「「「うぉおおぉぉお〜」」」
なんだ?
「なんです?」「なんだぁ?」「な、なに?」「な、なななななんですかぁ?」
「さぁ、気を取り直してこちら!本日の目玉!スネークサーモン丸ごとだぁ!初めは64000から!」
「「うぉおおぉぉ」」
「うわ、あれがスネークサーモンかっ」
ゆうに3メートルは越えてるだろうその巨体、と言ってもマグロみたいに太っていなくてサンマみたいに長くてサンマより少し丸く平べったいくらいの魚?が凍った状態で置かれている。鮭を長くした、と言われればそうかもしれないけどサンマやカマスのデカイ奴、と言ったほうが分かりやすいかもしれない。
でも見た目からすると420kgは意外に軽いのかもしれない。
「そうですわね。私も実物は初めてかもしれません。大きいですわね」
「大きいですね。しかも目付きや頭が蛇みたいで怖いです。」
「大き過ぎます」
うん。3人とも驚いているみたいだ。
聞くのと見るのとでは、という奴だろうね。
「これはやっぱり要らないから道具屋行って良いかな?」
これで競り終わりだしね。
「あ、はい。ですわね。夕食に食卓に、とも思っていましたが気が変わりましたわ。とりあえず満足致しましたし。」
「はい。そうですよね。アンジェリカ様に賛成です」
「あ、あのあの、わた、わたしも御一緒しても?」
「うん。じゃあ行こうか」
・
・
・
道具屋の御主人はリワンさんといって実は錬金術も使える人と判明。
でもやっぱり売っているものはあまり今は要らないかな、というものがほとんどだった。
毒消しとか麻痺回復薬とかはたくさんあるし。
この後また魔法屋に寄るし。
競りの会場が落ち着いたら素材屋も見るつもりだからね。
それでも素材として色々使えそうなアロエの葉とイヤセソウ (多分癒せそう、ではなく癒せ草)という薬草とそれだけで魔力を回復出来るマリョクソウ、魔力草を10枚ずつ購入したよ。
全部で銅貨2枚と石貨60枚だった。
「じゃぁ、また。必要になったら道具の補充に来ます。よろしくお願いします」
「あぁ、またな!よろしく頼むよ新人君!がんばれよな!」
そして初心者セットを買わなくて良いと言った俺に初級回復薬を2本もサービスしてくれた。
良い人だ。
「ロウジが自分で採取しない限りは定期的に利用するお店ね」
「良い御主人ですよね」
「いつも優しいんです!」
うん。道具屋としてはあああるべきなのかもしれない。
そしてまた魔法屋に4人して向かう。
お読みいただきありがとうございます☆
ポリーが加わった事で何故か長くなってしまったのはここだけの秘密です。
次回は冒険者ギルド案内最終話。
再び魔法屋を訪れ更にその後に素材屋へも。
言われるがままに物色します。
更新予定は19日です☆