村の店舗案内〜その4〜とらぶる?!
さて、無事に冒険者としての微かな一歩を踏み出したロウジですがここは冒険者ギルド。
油断大敵、ロウジが原因での想定していたトラブルが早速発生です。
とりあえずそのまま冒険者ギルドを出ようとする、が。
「それじゃぁロウジ、二階にも行くわよ」
「ロウジ様、二階にも行きましょう」
「あ、う、うん。」
やっぱり行くのか・・・でも、なんか2人とも冒険者ギルドに入ってから少し違うような?
途中からトイレかと思ってたけどさっきまで交互に居なくなってたし。
「おう!新人か?よろしくな?」
「新人君かぁよろしくね!」
「新人君、よろしくな」
「新人だね?よろしく。」
「あ、はい。今登録したばかりです。ロウジと言います。よろしくお願いします」
手前のテーブルについていた男性4人組の冒険者達が話しかけてきたので挨拶を交わす。
「おう!俺はリフォーだ、ランク7だ。よろしくな、ロウジ!さん付けなんかするなよ?」
「僕はヘリオ。ランク8の冒険者だよ。よろしくね、ロウジ。」
「俺はウルフだ。ヘリオと同じくランクは8だ。よろしくな。がんばれよ」
「僕はライデン、6ランクです。こちらこそよろしく。」
一番ガタイが良くて見るからに戦士然としたのがリフォーさん、細身で優男風なのがヘリオさん、さっきからかわれていたスポーツ選手みたいなのがウルフさん、一番年下そうで大人しそうなのがライデンさん。
・・・・ウルフはともかくライデンは名前負けだろう。どんな親が名付けたんだぁっ!と叫ばずにはいられない。
でも多分俺より少し年上なだけじゃないのかな?
それでランク6〜8ってすごいんじゃ?
4人とも中級冒険者って事だよね。
「ご迷惑おかけするかもしれませんがよろしくお願いします先輩方。ランク6〜8って凄いですね!こちらは新人ですし冒険者同士、呼び捨てでお願いします。ただ残念なのですが連れが居るので今は行きますね」
「おう!またな」「「また」」「またな、ロウジ」
「はい。」
軽く会釈して階段の途中で待っていてくれた2人に追い付く。
階段近くに座ってる2人はカップルっぽいから邪魔しないでおこう。
「良いパーティのようで知り合えて良かったじゃない?ロウジ」
「皆様仲が良さそうな人達ですね、ロウジ様」
「うん。なんか良いよね、ああいうパーティって。」
冒険するならああいう風に和気あいあいとしたパーティ組んで冒険したいと思うよ。
ガタタタンッ
ガタタンッ
うぉっなんだ?
「きゃ」「えっ?なにっ?」
「なっ、なんだそれぇっ?!?!?」
ガダンッ
「いっつーっぅぅ」
「な、ど、どうやったらそんな事になるんだい、ロウジ?!」
「っ!?はいい?」
「いてぇっ」
「お、おいおい、お前らどうしたんだぁ?」
「き、急にどうしたのさ、ウルフ?ライデン、大丈夫かい?本当どうしたのさ?」
見るとこちらに背を向けて座っていたリフォーとヘリオが倒れたライデン・・・どうやら最初に椅子を蹴り倒して立ち上がったのだけど躓いたか何かして転けたらしい、に問い掛けながら介抱している所だった。
ウルフは立ち上がったままこっちを、俺を見てる。
なんだろ?なんかしたかな?
・・・あ!!ひょっとして女の子2人連れてるからか?!
「あ、いや、この2人は」
「あ、ろ、ロウジ?君のさ、その能力値はどういう、わけなんだい?」
2人について説明しようとしたらウルフさんが聞いてきた。
・・・・あ。・・・ああああああっ!!
わぁ〜どうしよう
ウルフさんとライデンさん2人のリアクションに納得いった。
納得はいったけど。どうしよう?
「あ、あ、あぁ、え、えぇっと」
「ロウジ?」「ロウジ様?」「ウルフ?」「ロウジ?」「いたぃ」「おいおい、本当に大丈夫か?ロウジの能力値?」「ちょぉっとぉ〜何やってんのよ?やかましいわね」「お前ら何やってんだよ昼間っから」「能力値?能力値がどうしたよ?」「とにかく立てるか?」「どうしたんですかっ?大丈夫ですか?何があったんですか?ギルド内での揉め事は禁止ですよ?!」「お客様大丈夫ですか?」
あぁああ〜、カップルさんもウェイトレスさんや窓口に居たクレッセさんまで参加してちょっとしたカオスだよ。
一番は俺の頭の中だろうけど。どうしよう。
「あぁ、えっと。どうやら鑑定で俺のステータスを見たみたい?」
とりあえずそれで通じるかと先に連れの美少女2人にそれだけを言う。
問題はさっき挨拶も交わしてないカップルさんなんだよな。
「す、すみません、お騒がせして。ちょっとした行き違いみたいで、え?」
「おまっ?なんだそりゃ?」
謝りながら誤魔化そうと考えていたらカップルの男の方、よく見たらこの中で一番年上かも?という見た目の人が目を見開いて固まっていた。
あぁあああ!
カオス〜カオス〜
「ロウジっ!!」
「はいっ!!」
うおっ?
「皆様申し訳ありません。私はここの領主の館でメイドをしておりますアンと申します。皆様には一度席についていただいてよろしいでしょうか?こちら側に固まっていただいて。食堂の方々、申し訳ありません、大丈夫ですのでお仕事に御戻り下さいませ」
お、おおぅ?
「同じくお騒がせして申し訳ありません。私は領主の娘でアンジェリカと申します。未だ成人前の身でありますが宜しければお見知りおき下さいませね」
おお〜
「クレッセさん。申し訳ありませんが先程窓口にて対応していただいたもう1人の方をお呼びしていただいても宜しいでしょうか?」
「は、はいっすぐにっ」
おおおぅ〜
「ロウジ?」「ロウジ様っ」
「はいっ!」
おう。呑まれた。
「もうっ。」「・・・ロウジ様」
「あ、あ、いや、あははは」
いや、だって。
「はぁ。ロウジ。これは仕方ありませんので今こちらにいらっしゃる方々にはある程度の事情を話してしまおうと思うのですがよろしいでしょうか?」
「う、うん。ごめん。俺のミスだよね。お願いして良いかな?俺はこの能力値の隠し方とか誤魔化し方を考えるか考えて貰うから」
「考えて?・・・あぁ、はい。分かりましたわ。皆様にはそこの部分は上手く説明致しますから。」
「うん、ごめん。よろしくお願いします」
「その前に一度皆様には確認していただきますね?」
「うん。」
俺が頷いたのを確認してその場を仕切っているアンジェリカさんは
「未だよく事情を理解なさっていない方々にも分かりやすいように一度このロウジの能力値を見ていただきたいと存じます。皆様鑑定はお持ちのことと思いますのでどうぞ。」
俺を示して言った。
はぁあ。見世物の気分だ。
俺が自分は他人のステータスを見る気が起きないからって後回しにしたのが悪いよね。飯前にフォレスタさんと話をしてる最中に思った事だったのに。
すぐ近くの椅子に座り皆の顔が驚きに固まったのを確認して俺は呼び掛ける。
そう、シヴァ神に。
(お?なんだ?トラブルか?それとも欲しい物でも出来たか?・・・女の1人か2人くらいならすぐにでもやらんこともないぞ?)
む。
ステータスを隠してしまうと隠してる事が分かってしまう、との事だから巧い誤魔化し方かそもそもの異常な能力値を少し抑えられないか、と相談するつもりだった、のだが。
(トラブルと言えばトラブルなんですが。それよりまず。欲しい物って人間とかもありなんですか?)
いかん。そっちの方が気になって仕方ない。
(おお、もちろんだ。人間だろうがペット的なものでも、な。まぁだが言われて後に創って精神面身体面調整して2、3日はかかるが、な。欲しいのか?)
う、うむ。
(うむ、確かにな。そちらの国には奴隷も居なかったからな。若い男には当然の欲求かもしれんな。で?どんなのが好みだ?)
え。うーん、それは。
・・・あ。
(ち、ちがう。違いますって。女の子はとりあえず今は要りません。トラブルだって言ったじゃないですか。トラブル。)
アンジェリカさんとアンさんの2人がまず思い浮かんで、それにより頭を切り替える。
次に浮かんだ第3希望はこの際置いておく。
(お?どうした?どこかの王族や貴族に因縁でもつけられたか?なんなら国毎滅ぼしても構わないぞ?それとも上手くやって立場を乗っ取るか?ん?)
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・あ
ちょっと何を言われたか分からず放心してた。どこかの過保護な親ですか、貴方は!?
しかも滅ぼすって嬉々とした感じで言われたよ。
(あ、あぁ、いえ。大丈夫です。むしろここの貴族の人に拾って貰って良くして貰っています!滅ぼすなんてとんでもないです。そうじゃなくて能力値の事で。)
(ん?そうかそれなら良いが。つまらんな。能力値の事とは?なんだ?そんな場所で戦闘能力が足りない相手でも出たのか?)
(あ、いえ。そうではなく。)
つまらんて聞こえたぞ?
さて、どうしたもんか。
(それならどうした?)
(他人から見て異常な能力値ってなんとかならないものかと思いまして。)
わざと曖昧にしたが分かるか?
(ふむ?能力値自体ははっきり言ってほとんどロウジの素の能力であって、いじったモノではないから値を下げるというのは無理だな。上げてその分の範囲で下げる事なら出来るのだが、な。能力隠蔽を使えば隠せるのだが?・・あぁ、いや、そういう事か。確か隠蔽しているというのが分かってしまうのだな。それは裏稼業でない限りはマズイか。分かった。では能力詐称というスキルをやろう。これは純粋な神族か魔族しか持たないスキルだからな、分かる事は無いだろう。面倒だがその上でスキルも詐称すれば完璧ではあるな。)
うわ。神魔って見た目の能力値はあてにならないのか。
・・・あぁ。いや、神様なんかが姿を変えて世界をうろつくのには必要なスキルではあるのか、確かに。
・・・くそぅ、こんなんでもやっぱり神様か。もっと早くに相談するべきだった。
(ありがとうございます。さっそく使わせて貰います!)
やぁ、初めて心から感謝したかもしれないね。
(こんなんでも、とはなかなかに失礼な・・・うむ。生命力を消費する故に純粋な神族や魔族でないと少々危険なスキルではあるのだが、な。ロウジならば痛くも痒くも少ししか感じないであろう。)
(は?)
「はぁぁぁあ?」
あ。
「あ。ごめんなさい。なんでもないです、気にしないで下さい。」
突然の大声にビックリした様子の周りに謝る。
やっぱり感謝したのは失敗か?
(ちょ、ちょっと!それって大丈夫なんですか?)
(あ?あぁ大丈夫、大丈夫だ。あっはっは。少し脅かしたがお前は生命力が実質減らない身体だからな。能力値やスキルなど何でもかんでも全てを誤魔化すのでもなければチクリともなんとも感じんよ。安心しろ)
(・・・分かりました。後いくつかまだあるのでまた夜にでも連絡します。)
(うむ。分かった。それとなロウジ。先程話に上がった貴族の名は何という?)
(はい?お世話になっている貴族家でしたらウッドレイク子爵家、バート=ナースル=ウッドレイクという人ですけど。)
(ふむ。そうか。いや、な。眷属でもあるお前が世話になっている貴族と世界なのだ。わたしもこれから少しは創造神らしいことをせねばな、とな。)
(?はぁ。ではまた連絡します)
(うむ。では、な・・・)
なんか楽しみにしていろとかなんとか聞こえた気もするけど・・・創造神らしいことを、って・・・創造神ってあれだよな、世界を創った神様のことで世界規模で何かを創る神様だよな。
・・・なんか嫌な予感しかしないんだけど。
「あら、終わったかしら?」
再び目を開けるとアンジェリカさんが言ってくる。
「うん。後はちょっと。いや、少し待ってね?後回しにしたらマズイや、ここ冒険者ギルドだし。」
カウンターの中の人達は気にしないでいてくれてるみたいだけどいつ他の冒険者がやってくるかわからない。
多分受け付けの人達が上手くやってくれてるんだろうけど、奥の窓口の2人組もずっと気にしてるみたいだからね。
(ステータスオープン、スキル詐称使用)
ロゥジ=タソガワ
称号: 子爵家の居候
属性 : 無
状態: はぁ〜。
レベル5
HP 1500/500 (+1000) (表示のみを変更、本来の値 100500/10010500)
MP 1405/455 (+1000)
体力 181/88(+100)
気力 111/76(+100)
腕力 143 (+100)
耐久力 140 (+100)
知力 195(+100)
精神力 182 (+100)
敏捷性 135 (+100)
幸運度 715 (+600)
職業
冒険者RANK.1 精霊使いLV.1
・・・あぁ、うん。それでも付加効果の部分はどうしようもないみたいだ。
隠しても体力と気力なんかが現在の能力値に反映されてしまう。
でもフォレスタさんにもあったし職業を精霊使いにして神様か精霊の加護付きって言い訳で通そう。
それに冒険者の職業が新しく入ってたから冒険者にしておこう。
・・・なんかそれっぽくなったんじゃない?
「お?なんだ?極端に、でもないか?変わったな?」
「あ、見てたんで、だね?」
リフォーさん相手には砕けた口調を意識する。
「ん?おう。なんかいじってたみたいだからな。しかしそりゃあどういう事だ?神様の加護かなんかか?」
「お?ほんとだ。」「どれどれ?」「あ、本当」「あら」「へえ?能力値が下がったわけ?」「どうなってんだ?」
口々に言ってくるがやはり軽くカオスだ。
「まぁ簡単に言えば神様の加護ですね。能力値は実質変わってないんですが見た目の数字だけ変わってます。本来は神様が身分を隠す為に使うスキルみたいです」
俺の目にはHPの横に表示のみを変更という文字と元の値101005という数値が見えているがこれをまた能力隠蔽で隠せば解析スキルでも見えないはずだ。横に何かの文字が隠れているのが分かってもスキルを知らなければ何だか分からないだろう、というわけだ。
俺はアンジェリカさんとアンさんを含めた全員に頭を下げる。
「お騒がせして本当に申し訳ありませんでした!こんな奴ですが良ければ仲良くしてやってくれると嬉しいです!」
「「お」」「おう」「あら」「ロウジ様」「ロウジ」「む」「あらら」
「おう!こっちこそよろしくな!強い奴が仲間になるのは歓迎だ!あまり仕事を取られると困るが、な!」
笑いながら言うリフォー。
うん、リフォーは見た目の通り分かりやすいみたいで助かる。いや、意識してそういう風にしてるのかな?観察眼とか実は鋭そうだ。
「そうだな。改めてよろしくな」「私はダイナよ。銅4ランクの冒険者。改めてよろしくね。ロウジ君」「お。俺は銅3ランクのガリバだ。ダイナは渡さないぞ?よろしくな!」
ウルフとカップルの2人が名乗ってくれる。
「あ、はい。すみません、先に名乗らせちゃって。ロウジです。よろしくお願いします」
ガリバー、じゃないガリバか。手を出してきたので握手を交わす。
昼間から2人きりで、リア充カップルかバカップルか、と思ったが実は結構凄腕コンビだったりするんだろうか?
銅や銀ランクにどのくらいでなれるのか、どのくらいの人数が居るのか聞いておけば良かったな。
「ふっ。真面目な良い奴そうで安心したよ」
「そうだね、能力値にビックリしちゃったけど。改めてよろしくな」「改めてよろしく!」
他の3人とも握手を交わす。
「あ!ついでに1つだけ注意だ。冒険者や商人なんかに職業をしてあればアイテムボックスが使えるんだが。冒険者や商人のレベル自体はギルドカードに書かれているからな、どちらかだけを職業にしておけば良いと思うぞ。ボックスの容量はレベルが上がれば増えるしな。後は職業自体の効果で付け替えれば良い。」
「あ?そうなんだ?・・・そうか。商人もレベルはカードを見れば確認出来るから効果で付け替えるべきなのか」
優男のヘリオが言ってくれたお陰で大事な事に気が付けたかもしれない。
「ありがとう。言われなきゃ気が付かなかったよ。」
「あぁ。生憎なかなか村には無いんだけど大抵の街には職人ギルドもあるからもし武器や防具作成をするなら職人ギルドにも登録しておくと良いよ?」
名前負けのライデンが言ってくれる。
作成?って職人レベルも同じって事か。確かレベルが高い職人は腕が良いとか腕が良い職人はレベルが高いとかなんとか。
あれもギルドカードがあればカードにレベルが記載されると。
「あ。それを言うならアイテムボックスとアイテムバッグの違いも一応教えておこうか。ボックスは空間が違うからな、時間が経たないおかげで生ものの保存が利く。が、バッグの方は容量は増やしてあるが、バッグはバッグだからな。腐ったり悪くなる物は悪くなるんだ。そこは気を付けろよ。」
「おお、なるほど。何しろ知らない事ばかりで。助かるよ」
俺の場合はアイテムボックスは容量無制限で職業関係なく普通に使えるから冒険者も外しちゃっても良いかな?
・・・いや、冒険者が鑑定を使いまくるとしたらまずいか。
あ。
これも職業の表示を誤魔化しておけば良いかも。
「私たちがする事は変わりませんので。しかしリフォーさんが言ってくれましたが強い冒険者、将来有望な方が入ってくれるのはギルドとして歓迎すべき事です。改めてよろしくお願いします。」
「がんばってください、ね。応援していますから。」
受付嬢の2人もそう言ってくれる。
「ありがとうございます。あまりご迷惑をおかけしないようにがんばっていきたいです。よろしくお願いします」
「皆様ありがとうございます。こうして知り合えた皆様については何かありましたら子爵家も力を貸しますのでこれからどうぞよろしくお願い致しますわ」
アンジェリカさんとアンさんが頭を下げる。
考えてみたら俺の知識だと貴族ってあまり頭を下げないものじゃなかったっけ?
・・・・うん、悪い事したなぁ。
「あ、いや、こちらこそお手数をおかけしないようにしますので。よろしくお願いします」
ウルフが頭を下げる。
ウルフが4人組のリーダーっぽい?
「では皆様、また。」
「また今度!」「またな」「またです」
そして俺たちは二階に上がっていく。
「2人ともすみませんでした!」
階段は左に曲がり上った先は小さな踊り場になっていた。椅子が壁際に6つ程並べて置かれていて真ん中正面辺りにドアが1つ。
登りきった所で2人に頭を下げる。
「さ、入るわよ?」
「う、うん?」
ドアを開けて部屋の中へ。
「わぁ」
「おぉ?」
びっくりした。
下には食堂にも人が居なかったのに上には結構人が居てしかもなんか賑やかかったから。
ドアのすぐ脇、両脇に厳つい人が立っていたのには今気が付いた。
気が付いてまたビックリしたけど。
「こんにちは。いらっしゃい。もし競売に参加するならこれが今回のリストだ。少し進行が遅くて今は6番目に入った所だ。」
そう言ってドアの右側の男の人が1枚の紙を渡してくる。
「今は素材屋の方で競売が行われていたのよ」
さっきから1人だけ驚いていなかったアンジェリカさんが左側の男の人から紙を受け取りながら言う。
「競売?そうだったんだ。」
所謂セリ、オークションだよな。
「へえ、競売かぁ。」
「さっきの事は気にしないで?皆ちゃんとした良い冒険者みたいだったしそもそもこういうときの為に2人して案内しているのだから。」
ジッと見つめて来て言うアンジェリカさん。
「う、うん。ありがとう。」
可愛い、というよりも綺麗、なんだよなアンジェリカさんって。
「そう、ね。だから謝罪よりも感謝の方が心地良いわ」
笑いながら言う。
これで年下だって言うんだからなぁ。敵わないよな。
「そうですね。それにギルドの方々は将来有望な冒険者、と仰られましたのであちらもおかしな対応はなさらないかと。」
「あ、うん。なるほど。」
そうか、そうだよね。
まぁ、俺はあまり活躍して皆が噂するような冒険者にはならない予定なんだけど、それはそれ、これはこれ、か。
辺りを見回す。
入って左側で競売は行われてるようでそちらが素材屋なのだろう。
右側には道具屋。正面には・・・短剣とか飾ってあるって事は武器屋、なのかな?なんかカウンターの上には薬品みたいなのも置いてあるみたいだけど?
それに店員は大きなツバの帽子、そう、所謂魔女の帽子みたいなのを被った女の人みたいだ。
なんだろう?入った時からなんか、こう・・・プレッシャーみたいなものを感じるんだけど。
「あそこが気になる?あの店は魔法屋よ。さっき話した魔法具や魔法の巻物、魔石なんかが置いてあるわよ。後はあのピアリス様が教えられる魔法ならお金を支払えば教えて貰えるわね」
あの魔女然とした女性の名前はピアリスさんというらしい。・・・・ん?様?ピアリス、様、ってアンジェリカさんが言ったか、今?
「そういえばあちらに外から直接来られる階段がありましたね。今日は競売の日で開いていたのですか」
「え?あぁ〜そういうことか!」
素材屋の棚が終わった先、左の壁面にドアがある。
2人の言う言葉を聞く限り普段は開いてないのだろうけど競売の日は開けてある、と。
人の出入りが多くなるからかな?
多分外から直接階段で上がれるのだろうけど危なく無いのか?
まぁ、そちらにもガードマンっぽく両脇に人が立っているし、どうやらあちらではカードの確認をしてるから色々大丈夫にはしてあるのだろうね。
一階にやけに人の出入りが少ないと感じた理由が分かったよ。実は村に冒険者が居ないとかか、と思ってたけど納得。
「魔法屋には絶対寄るのだけれどロウジ、貴方はどうしたい?」「ロウジ様どうしますか?」
さて、まだ競売は行われるみたいだけどそっちを覗いてみるか?
それともさっきの魔法具と魔道具の話で気になる魔法屋を覗いてみるか?
・・・・道具屋は別に覗くにしても後回しで良いよな、空いてるし。
さて、どうしよう。
お読みいただきありがとうございます☆
ギルドに集まりがちな冒険者ですが、この時は二階に直接行ってしまっていたので下の階が少し寂しかった、というわけですね。
さて、ロウジは最初どの店を覗いてみるのでしょうか?
次2話くらい冒険者ギルド内で終わってしまう予定です。
次回更新は15日の予定です☆