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9話:赤竜と魔王

9話:赤竜と魔王


 黒竜の所為で随分と前のことを思い出した。


「魔王か……」


 あれは、私が神に攫われ首輪を付けられていた頃の話だ。神は殺される前に、竜が団結し攻めてきていることを知り、異世界から勇者を召還することにした。


 召還された勇者はコウコウセイという職業だった。彼は、私を見て「可愛い」といって近づいてきたが、神が「こいつは竜だ」といった瞬間に怯え近づかなくなった。


 神は、コウコウセイに「あと1年程で竜がここに攻めてくる。力を与えるから一緒に戦って欲しい」と頼んだ。


 コウコウセイは「ラノベかよ」、と意味のわからないことを呟いていたが「手伝う。だけど最強になれる力をくれ!」といった。

 神は了解し、コウコウセイに【不死】と【創造】と【限界突破】の能力をを与えた。


 コウコウセイは能力で死なないため、神に仕える格上の天使達と戦い続け、人間ならば誰も敵わない力を手に入れていた。

 通常の人間としての限界は能力で破られ、半年で天使達よりも強くなった。

 残りの半年は創造で武器や防具、回復アイテムを作ることに専念した。創造の能力も限界突破により対価無しで作れた。しかし、命だけは作れなかった。

 

 1年が経ち戦争が始まった。

 結果、コウコウセイは生まれてまだ10年程しか経っていない緑竜の相手で精一杯だった。創造で作り上げた最高傑作の武器は次々に折られ、防具も一撃当たると毎に形を変えていった。

 そんなことをしている間に天使達が屠られ、神が白竜に殺された。

 コウコウセイは身一つで地上に逃げ出した。

 幸いなことに竜達は赤竜に夢中で逃げ出せた。


 地上に降りた高校生は、ルナティスという国に行った。

 自分を証明するものを何一つ持っていなかったため、コウコウセイは、前にいた世界で人気だったファンタジー系のライトノベルでは定番の冒険者組合(ギルド)に向かった。

 ただ思ったのと違ったのは、この世界では人間は魔法を使えないため、血を垂らして渡すために討伐数が記録されるカードを作るような展開はなく、獣の皮に焼印を捺しつけて薄く延ばした鉄の板に貼り付けるシンプルなものだった。


 冒険者にランクは無くどんな依頼も受けることができたが、定番である薬草納品のクエストを受けた。10年ほど経過した時には、依頼をこなし続け国で一番の冒険者になっていた。


 そんな名声を聞いたのか、国王に呼ばれた。先日倒した魔物の件だった。

 魔物はヤギと人間を足して2で割って大きくしたような姿をしていた。おそらく神と竜の戦争中に天界から落下したのであろう、コウコウセイの作った武器を使用していた。

 その魔物はルナティスにとって害悪だった。狩人は恐れて山へ行くことができなくなった。魔物は食料がなくなると麓の村を襲った。そのたびに国へ応援を申請され兵士を派遣し警戒にあたらせるが、人間が敵う筈もなく兵士の数を減らしていった。

 そんな魔物を倒したのが、コウコウセイだった。


「何か望むものはあるか?」

「可愛い女の子と家が欲しい」

「女はやれん、人身売買に順ずる行為はこの国では禁じているのだ申し訳ない。ただ、家は用意しよう」

「ありがとうございます」


 これからは住む家があると喜んでいた時のことだった。



 その日は雲一つ無い晴天だった。国の兵士の訓練をして欲しいと王から頼まれ、王宮の中庭で訓練をしている時のことだった。

 太陽の光が遮られたかと思うと、突風が吹き一匹の白い竜と、背に乗る赤い竜が中庭に降り立った。


「コウコウセイトイウ者ハ居ルカ?」

「白竜アイツダヨ」

「フム、コノ者ハ我ガ貰イ受ケル。異論ガアル者ハカカッテコイ」 

「ちょっと待って!俺が異論あるよ!いきなりなんだ?」 

「オ前ハ少シ寝テイロ」


 そういうと白竜は言霊を使いコウコウセイの意識を刈り取った。

 そんな中、王が異変を感じ護衛を連れ出てくる。


「何の騒ぎだ?」

「……」


 兵士は始めて見る竜に見蕩れつつも恐怖を感じ話すこともできずにいた。


「オマエハ何ダ?」

「私はこの国の王だ。この国に何の用だ?」

「国ニ用ハナイ。ソコデ寝テイル【コウコウセイ】トイウ者ヲ貰イニ着タ」

「申し訳ない、理由を教えてはいただけないだろうか?」

「話ス義理ハナイガイイダロウ。コノ者ハ以前、神ニ仕エテイタ。ソシテ戦争ノ最中逃ゲ出シタノダ。我ハアノ戦争ニ関ワッタ者ヲ絶対ニ許シハシナイ。異論ガアルノナラコノ国ヲ消ソウ」

「話は理解した。ただ、この国はコウコウセイのおかげで強い魔物から守られているのも事実なのです。連れて行かれると、どの道無くなってしまう。大変身勝手なお願いではあるが、なにとぞ連れて行くのは容赦願えないだろうか」

「フム、デハ王ヨ、オ前ヲコウコウセイト同ジ【力】ヲヤロウ。自分デコノ国ヲ守レ。デハナ」


 そういって竜は王に能力を与えコウコウセイを前足で掴み飛び立っていった。


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