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7話:赤竜と僕と幽霊

7話:赤竜と僕と幽霊


 墓にメイを案内し、皆で故人を偲んでいたはずだったのだが?


「えっ、ほんとうにまま?」

(そうよ~。ちょっと見ない間にずいぶんアリウム君と仲良くなったわね~ふふふ)

「あっ!」

 

 急に出てきたルミナスさんに驚いた姪は、僕の服の裾をつかみ後ろから貌を出して確認していたのだが、指摘され恥ずかしかったのか、パッと裾からてを放し「そんなことより!」と話題を変えるのに必死だった。


「……黒竜、お前何をかけた?」

「エッ?」


 持ってるビンを確認する黒竜のおじさんは母さんとコソコそ話し始めた。


「……ネクタル」

「何で神の酒なんて持ってたのさ?」

「白竜ガアリウムガ嫁探シニ出カケルカラ届ケルヨウイワレタ」

「ちなみに本当は何を手向けるつもりだったんだい?」

「ソーマ」

「馬鹿野朗!こんな魔力濃度が高い場所で不老不死の霊薬なんてかけたら何が起こるかわからないだろ!あんなに世界の理を壊さないよう言われてたのに、あんたは……白竜の爺にはあんた一人が怒られるんだね」

「イタシカタアルマイ」


 話が終わった母さんが話しかけてくる。おじさんは若干落ち込んでるようだが大丈夫だろう。大丈夫だよね?


「ルミナス、あんたは黒竜に神の酒をかけられた所為で中途半端に実体化してしまったみたいだすまない」

「申シ訳ナイ」

(いえいえ~いいんですよ。どうせ先は長くありませんでしたから)

「そうか。ところでだ、今のお前は上位の霊のような物だ。基本この世界では霊は浄化される。しかしだ、浄化されない方法がある。どうしたい?」

(ん~そうですね~)

「まま、消えちゃうの?また会えたのに……」

(娘が悲しみますからね、お願いします)

「わかった。思い入れのある物はあるか?」

(ちょうど、お墓の上にある指輪ですね。夫がくれたものなので)

「では、これに憑依させるとしよう」


 そういうと母さんは魔法を使いルミナスさんを指輪に憑依させた。その指輪に魔法で強化されたチェーンを通しメイに渡す。


「これは、お母さんだと思いなさい。絶対になくさないようにね」

「うん!いぐなすさまありがとう」


 返事の変わりに母さんはメイを撫でた。


「さて村をどうするかね?」

「ルミナスさんは何か希望ある?」

(そうですね~寝ているときに焼かれたので、同じことをしてもいいんですけど~この子もいますからね)

「う~ん、そうだ、母さん、この間オークが相談に来たときに苗床が欲しいっていってなかった?」

「あ~そんなことあったね」

「じゃあそれで!異論ある人?」

「なえどこ?よくわからないけどいいよ?」

(殺してあげたほうがよかったかしら)


 早速次の日の朝に村へゲートで移動した僕と母さんは、寝ている住人に隷属の首輪を片っ端から着けていき、着け終わった者から町の真ん中へ投げ捨てて行く。

 途中、一人だけ起きた女が抵抗してきた。メイを渡した女だ。名前はアリンというらしい。おそらく傭兵だろう、魔法に耐性を持ち村人より早く目覚めたようだ。


「くそが!何でこんなことになってるんだ?ゲクソスはどうした!?」

「あー忘れてた。じゃあ一緒に見に行こうか」


 ゲクソスの家に行き僕とアリンが見たものは、いまだ魔法の炎で寸胴は焼かれ鉛の中で再生と溶解を続ける身体と、その苦しみを味わい続けるテーブルの上に置かれた首だった。


「頼む、殺してくれ。殺してくれ。殺してくれ……」


 目に力わ無く、叫び続け喉が壊れ血を流したのだろう、テーブルには血痕が残っていた。まぁすぐに治るんだけどね。

 そんなゲクソスを見たアリンの顔は血の気が引き真っ青になり、今にも倒れそうだった。


「アリンっていったっけ?」

「ひいっ!」

「お前にいったよな?しっかり届けろって。お前どこに届けた?」

「はい、えっと、その……」

「この豚のところだろ?」

「はい。すみませんでした」


 土下座する女。体中がガクガク震え床には水溜りができている。どうやら失禁しているようだ。


「お前はどうするかな、で?村長にいくらもらったんだ?」

「金貨1枚と銀貨50枚です」

「お前は金が好きなのか。わかった、金貨やるよ1000枚くらい」

「えっ?どうしてですか?」

「金があればこんな馬鹿なことはもうやらないだろう?」

「それは、そうですが」

「それで?いらないのか?いるならとっとと持って来な」

「失礼します!」

 

 馬鹿な女だ。自分の棺おけを喜んで取りに行くんだから。さっきまでとは違い若干の期待をした目で荷車の中に大きな箱を持って戻っていたアンリ。1000枚といったから嘘かもしれないと思いつつも大きい箱を用意したようだ。


「箱を開けろ」

「はい!」


 喜んで箱を開けるアイリ。その中に腰に下げてる袋から金貨袋を取り出し入れていく。100枚ほど入れた後に呟く。


「本物か確かめてもいいんだけど?」

「では、失礼して」


 夢中になって箱の中に身体を入れ実物を手に取るアイリ。見ただけでわかるのかね?とりあえず、次々に金貨を足して行く。500枚程入れ終えた後に


「嬉しい?」

「はい!こんなにいっぱい!見たこと無い……これでいい暮らしができます!」

「それは残念だけどできないかな?」

「えっ?」


 金貨に手をかざし魔法をかけて性質を変化させ、アイリの身体に纏わせていく。500枚でも100kg以上の重さがあるため動けるはずもない。頭を残し身体を箱の中に入れている状態で固まり始めて自分の状態に気づけたようだ。


「いや、やめて、動けないの。お願いやめて!」

「まだ半分だからね。あと500枚もあるんだから全部もらってよ」

「うそ、いや!もうやめて!お願い誰か助けてー!!」


 叫んだって誰も来ないのに。


「ん?誰か起きてるのかい?」


 まさかの母さんが来たよ。


「お願いします!助けてください。なんでもします。おねがいします!」

「で、この女は?」

「昨日メイを家まで届けるようにいったら村長の家に届けた下種だよ。金貨1枚で届けるくらいお金が欲しいみたいだから僕の金貨あげたんだ」

「今回は完成しても家には飾らないよ。もって帰ってこないようにね」

「わかってるよ母さん。だってあげたものだしね」

「私は残りの人を片付けてくるから終わったら家に先に帰るようにね。メイちゃん待ってるよ」

「はーい」


 そういうと母さんが出て行き、再び残ったのは僕とアリンとうめき声をあげ続ける豚になった。

 僕は残りの金貨を全部いれ魔法で溶かしていく。


「最後にいいたいことは?」

「ごめんなさい。なんでもします。助けてください」

「無理だよ。じゃーね」


 昼になると村には村長1人しかいなくなり、家の入り口には金で出来た像が四つんばいになっていた。



慣れないことはするもんじゃないですね。次からはほのぼのさせていきます。

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