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10話:赤竜とコウコウセイ

10話:赤竜とコウコウセイ


「サテ、我ト会ウノハ始メテダナ?」

「あ、はい多分」

「ダガ、我ノ娘トハ会ッタコトガアルヨウダナ?」


 白竜の後ろから顔を出す赤竜はこいつで間違いないと白竜に耳打ちしている。


「俺が……私がこの世界に来て会ったことがある竜は神のところにいた赤ん坊だけですが……」

「ソレガコノ子ダ」


 10年経って再開した竜は思ったよりも成長していなかった。体は一回り大きくなっているが、羽を広げなければ人間のコウコウセイと同じくらいの大きさだった。


「そうでしたか、それで私に何の用があるのでしょうか?」

「オ前ハ10年前ノ戦争ニ参加シタナ?参加シタ者ヲ我等ハ許ス気ハ無イ」

「参加はしましたが……何故か理由を聞いてもいいでしょうか?」


 白竜は面倒だと思いながらも、要点のみ質問した。


「何故戦争ニナッタノカ知ッテイルノカ?」

「いいえ」

「オ前ハ戦争デ同胞ヲ傷ツケタナ?」

「緑の幼い竜に懐かれまして……武器も防具も全部壊されて身一つで逃げました」

「……ソウカ」

「はい」

「緑竜ヲ連レテ来ナサイ」

「ハイ」


 10分程経ち緑色の竜が入ってくる。


「白竜様お久しぶりですねぇ~」

「ウム、オ前ハコノ者ヲ知ッテイルカ?」

「あらあら、前回の戦争で私を構ってくれた人間ではないですか?生きていたんですね」

「オ前ハ前回ノ戦争デコイツニ傷ツケラレタナ?」

「いいえ、私が攻撃しても死なない人間は初めてでしたので、興味が沸きましてちょっかいを出していたのです。そもそも人間が私を傷つけるなどありえませんわ」

「……ソウカ」

「それで、私はどうなるのでしょうか?」

「どうすっかね~」


「「白竜?(様?)」」


「もう、あんな喋り方もワシは疲れたよ。おい、お前はどうしたい」

「私ですか……できればルナティスに戻りたいのですが」

「あ、悪いね。お前の能力は王に移したから戻る場所ないよ多分」

「えっ!?ちょっと勘弁してくださいよ!!ここまで10年もかかったんですよ……」

「お前は強くなりたいのか?」

「ええ、強くなって自由奔放に暮らしたいですね」

「なるほど……緑竜、悪いんだけど手伝ってくれる?」

「何でしょう?」

「悪いんだけど、こいつ黒竜の迷宮に送るから一緒に行ってあげて100年くらい。殺さないでくれればそれでいいから」

「嫌ですわ。今のエルフの里の生活が気に入っていますもの」

「行ってくれたら、世界樹(寝床)を大きくしておくからさ」

「ちゃんと実を成すまで育ててくれますの?」

「まかせてくれ」

「信じましょう。ならいいですわ。」

「待たせたなコウコウセイよ。お前を誰よりも強くしてやろう。これを飲め」

「なんですこれ?」

「いいから早く飲め!」


 真っ赤な液体を飲んで行くコウコウセイ。美味いはずもなく顔を顰めながらも全部飲みほす。


「うおぇ」

「よし、そのまま動くなよ」


 白竜は魔法をコウコウセイにかけていく。


「?」

「これでお前は魔法が使えるようになった。詳しい使い方は緑竜に聞け。では行って来い」


 再び白竜が魔法を使用するとコウコウセイは黒一色で作られた建物の前にいた。


「早く行きますわよ」


 緑竜に連れられ建物に入る。


「黒竜います?」

「何だよ?こんな時間に」

「白竜がこの人間を鍛えるようにとのことです。私は治療のみしますから魔法の使い方と戦い方を教えてあげてください」

「やだよ面倒くせえ」

「では、白竜にそのように伝えてきますわ」

「ちょっと待った。俺がやるのは面倒だから部下にやらせる。んで期間は?」

「100年です」

「マジか!?こいつで人類滅ぼすつもりか?爺さんついにボケたのか?」

「どうでしょうね、とりあえずお願いしますわ」

「へいへい。ジェミニいるか?」


 そういって現れたのは、服代わりに布を纏った美少女だった。ただし、尻尾が生えていることから人間でないことは一目でわかる。


「お呼びでしょうか黒竜様」

「ああ、この人間に魔法の使い方を教えてやってくれ。その代わり、夜はこいつを自由にしてくれて構わん」

「かしこまりました」

「では人間。こいつがお前の先生だ。俺みたいな竜より可愛い女の方がいいだろ?夜の方もたっぷり教えてもらえ。こいつは淫魔だからな」

「師匠!」

「気に入ってもらえたようで何よりだ。俺は家に戻るから何かあったらジェミニ呼びにこい」

「かしこまりました」


 そうしてコウコウセイは、魔法を覚えた。さらに、魔法を使用した戦い方に加え夜の戦い方もジェミニから教わり幸せな日々を送っていた。そんな感じで10年ほど経った時に赤竜が訪れた。


「黒竜、暇だから来てやったぞ」

「おお、よく来た大きくなったな」

「我の大きさは変わってないぞ。相変わらず失礼なおじさんだ」

「ははっそうか、まあ可愛い姪だよお前は」

「それで白竜から人間はどうか様子を見てこいっていわれたぞ」

「そうか、それならあいつの相手でもしてみるか?」


 顔を向けた先では、コウコウセイがジェミニに加え狼の魔物や蛇の魔物と戦いを繰り広げていた。


「あいつは天才だな。そもそも異世界から呼ばれたらしい。」

「それは興味があるな。行ってくるぞ」

「ちょっと待て!ジェミニ、交代だ。魔物も下げろ早くしないと巻き添え食うぞ」

「了解しました黒竜様」

「よし行ってこい」

「わかった」


 そういって、いきなり赤竜と戦うことになったコウコウセイは尻尾や体当たりといった打撃による攻撃こそ避けたり受け流したりしていたが、魔法はそうはいかなかった。

 というより今まで受けた魔法と強さが違った。ようするに死にかけた。緑竜がいなければ確実に死んでいただろう。そんなコウコウセイに赤竜は声をかける。


「人間、お前は弱いな」

「ええ、自分の弱さにあらためて気づかされましたよ」

「これじゃ白竜になんていえばいいかわからないな」

「ところで赤竜様、最後に使用した魔法は何て名前なのですか?」

「あれか?あれは名前なんてないぞ。炎をギューってやって、もっとギューってやって相手にぶつけるだけだ」


 要するに赤竜オリジナルなのだろう。何十にも張った魔力障壁を貫いてくるあたり生身で受けたら一瞬で蒸発するに違いない。そんな技に名前が無いのももったいないと思い、懐かしの中二脳前回で考える。


「せっかくなので名前を付けましょう」

「名前、別にいらなくないか?」

「いえ、名前があると思いが強くなります。きっと威力も上がるはずです!」

「ん~ではお前がつけていいぞ」


 よし、思い通りの展開だ。竜もチョロイな、なんて思いつつも先ほど思いついた名前をいう。


紅炎槍(プロミネンスピアー)なんてどうでしょう?」

「おお、格好いいな!」

「本来はプロミネンススピアーなのですが【ス】が続くので早口で噛んだらダサいため一個にまとめてみました」

「うむ。いいぞ気に入った!」

「これを使い続ければいつか魔王なんて呼ばれる日が来るかも知れませんね」

「魔王!?なんだその格好良い響きは」

「魔法が使える者の王です」

「おお、我も魔王になれるのか?」

「ええ、強力な魔法を使い続ければいつかはなれる筈です」

「よしわかった!黒竜!我は帰るぞ!」

「人間また来るから、その時までに少しは強くなっているのだぞ」

「はい、お元気で」


 そういって赤竜は嬉々とした表情で飛び立って行った。

 

 その後は人間の国々を訪れ、「我は魔王だぞ!跪け!」といいプロミネンスピアーを国の外に放ち地形を変えて回ったのだった。

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