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稲の精  作者: 抹茶あいす
4/15

ヨモギ蒸し

稲の精はまわりをキョロキョロ見回してから

ポンとドーナツの穴の上に座りました。

ポンチョがふわりと広がって

一瞬、可愛いおしりがのぞきました。


稲の精はヨモギ蒸しをしていたのです。

ヨモギをいぶしてその煙を体に入れると

女の人はわるい病気にかからないと聞いたことがあります。




なるほどと僧は思いました。


それで稲の精はいつまでも子どものままでいられるのだな



稲の精は気持ち良さそうにドーナツの上に座って

おにぎりを食べていました。


おにぎりがなくなってしまうと

こんどは股のあいだのドーナツをつまんで食べはじめました。


よほどお腹がすいていたのでしょう。


そのうちドーナツがぐらぐら揺れはじめました。


ありゃりゃ大変だ!



そしてとうとうドーナツの椅子ごと 稲の精は後ろ向きにひっくり返ってしまいました。


まるいおしりが丸見え。

おしりには砂糖が輪っかになってくっついています。


あっはっはっは!


僧はたまらず大きな声で笑ってしまいました。


僧に気づいた稲の精は

あわててポンチョを着なおしました。

顔はもう真っ赤です。


僧がどきりとして見ていると

稲の精の目からみるみる涙がこぼれました。


し~ちゃん!

し~ちゃん!


稲の精はピンクのポンチョをひらひらさせながら

草むらの奥に走っていきました。


てけてけ~~



あとには食べかけのドーナツと

ドーナツの穴からひとすじの煙が立ち昇っていました。



かわいそうなことをしたなあ


僧はドーナツを拾って ふところにしまいました。

なんだかまたすぐに会える気がしたからです。

そしたらドーナツを返してあげようと思いました。


僧はすうーっと、ヨモギの香りを吸い込みました。



いつのまに時間が過ぎたのか

お日さまはとうに山の方にかたむいて

西の空がゆっくりみかん色に暮れていくのが見えました。


楽しい時がたつのは早く感じるものだなあ



僧はそうつぶやいて

稲の精に早くまた会いたいなあと思いました。


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