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THREE WORLD  作者: 織間リオ
第四章【エイプリルベース】
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41、起こった奇跡かあり得ぬ偶然か

 潤とジャスティスの戦いを見ている一人の男がいた。それは、潤の思う物好きのアホでも、命知らずのマスコミでもなかった。彼も、この戦争で、戦い、ほぼ全てのものに、死人と思われているはずだ。

 体は血にまみれていた。あのとき、剣で刺されたとき、心臓に直撃していた気がした。確かに、心臓を突き刺したと思わせる場所だった。だが、剣は心臓をかすめるかかすめないかのところで貫かれていた。

 俺はまだ死んでいない。まだ、死ぬわけにはいかないのだ。

 俺にはまだ、やるべきことが残っている。

「世界崩壊を止めなければ・・・・・・」

男の名は矢倉 正男。そう。潤の父だ。あのとき、潤に一撃を食らわされたときには、もう終わったのかと錯覚した。そのうえ、一度は気を失っていた。だが、神は自分を見放すことはなかった。まだ、この世界で生きる権利はある。世界崩壊が始まれば、自分達の世界は完全に迷う。

 世界の人々の場所がなくなるのではない。世界そのものの居場所がなくなるのだ。

 実際、その世界崩壊により、三つの世界は一つの世界にまとまったのだ。そして、その中にはその世界間を行き来できるものまで現れた。

「マサ様! ご無事で!」

上空から聞き覚えのある声が聞こえる。紅兄弟だ。

 龍は、素早く正男のところまでたどり着く。龍自身、傷を負ってはいたが、正男の方が、かなりの傷だった。

「我々の場所へ帰りましょう。世界崩壊も、まだそんな近いわけではないはずです」

竜が正男の傷を慌てた目で見ながらも話していた。

「ああ。だが、次にあいつと・・・・・・潤と会ったときは・・・・・・」

「はい。もちろん」

龍が、正男が全て言い終わる前に返答する。

「次こそ・・・・・・必ず!」

龍は決意のこもった声で答える。正男の言いたいことは分かっているのだろう。

「抹殺します」

このとき、三人はこの戦争に自分達が負けたことを悟った。だが、これで全てが終わったわけではない。

 彼らは、彼らの場所へと帰っていった。


 薄赤の空を映し出した少年を、ジャスティスは驚愕した顔で見ていた。ここまでの力の開放は、通常のノヴァではできない。だとしたら・・・これは。

「ハイノヴァ・・・・・・?」

ジャスティスは、その言葉を口にする。ハイノヴァ。それは、ノヴァを超える覚醒。

 ノヴァが究極の覚醒ならば、ハイノヴァは、真の究極覚醒だ。その力は、もはや神のようなものだった。この少年は、この戦いの中で生まれた憎しみを、悲しみを、ここまで膨張させ、強くなったのだ。

 これが彼の力。究極の覚醒を越えた、その先の力を手に入れた少年。

「君が本気なら・・・・・・負けないというなら・・・・・・」

ジャスティスは光斧を握り締める。

「僕も、全てを懸ける!!」

ジャスティスは一気に上昇し、少年同様の光を背中の翼から大量放出した。薄赤の光を放出する蒼い翼は、少年の背中に生えている紅き翼と対になった気がした。


 残った巨大戦艦を相手にすることになったジャストとクリエイター達。巨大戦艦の機関砲が自分に向けて発射される。

「遅い!」

ジャストは素早くそれをかわすと、機関砲にのり、爪を機関砲の置くまで突っ込んで破壊した。軽く電気がもれている。ジャストはすぐさま次の機関砲をクロウパーツで貫く。貫いたとき、ちょうど先ほどの機関砲が爆発する。ジャストは、さらに機関砲を破壊する。

 残った一つの砲台を、巨大戦艦の進入口へと強引に傾ける。進入口の壁に無数の穴があく。ジャストは、そこでさらに傾け、ひねるように砲台を壊した。

 ジャストは穴だらけの壁を両爪で切り裂く。剛鉄の壁は、ジャストの爪によって、無残にも引き裂かれる。空いた穴を広げて、進入口を開く。ジャストはその中に飛び込み、中に入っていった。


 一方、巨大戦艦内で、盾となっていた戦艦群が数瞬のうちに全滅したことにグールは唖然としていた。あれらの艦は、数ある戦艦の中でも、かなりの性能の戦艦だった。それをこうまで。

「何をしている! 一体、何が戦艦を・・・・・・」

『おそらく、ルナビートの者かと!』

通信が兵士達から入ってくる。なんとか死なずに済んだ彼らは、先ほどまでのことをこと細かに説明しだした。

『最初に武装を破壊した後、動力部を狙って・・・・・・』

そこで通信が途絶える。グールは怒鳴るように呼びかける。

「おい! 何があった! 何をしている!」

苛立ちのこもったグールに対して、レーダーの担当がこちらに緊張のこもったような声で話し始める。

「クリエイター達の攻撃です!かなりずれた位置に当たっていますが、確実にここを狙っています!」

そこに追い討ちをかけるように戦艦内の警報が鳴り響く。

「今度は何だっていうんだ!」

『進入者をかく・・・・・・うわぁぁっ!!』

内容は分かったが、通信が途絶えたのを見て、グールは、進入者がすぐ近くにいるということを悟った。

 ブレイクのあまりの劣勢ぶりに、グールは焦っていた。盾となっていた戦艦群は殲滅され、この戦艦はもはや裸の王様状態だ。そこに正面からこちらを狙って攻撃され、さらには内部からも攻撃が始まっている。このままいけば間違いなくこちらが負ける。ブレイカーはほぼ絶滅するかもしれない。だが、まだ終わってはいない。ブレイカーを、地球上の永久の種族とするために。

「ええい! 邪魔者を全て払いのけろ! B3に進入者の相手をさせろ!」

「了解!」

グールの指示で、とある三人は行動を開始した。


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