表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THREE WORLD  作者: 織間リオ
第四章【エイプリルベース】
43/48

40、守る創世者、攻める破壊者

 奈々達のチーム・スレイヤーは、残存敵勢力を叩いていた。上空から新手が来ている。残っているクリエイターは、決して数が多いといえるものではなかった。しかし、諦めるわけにはいかない。クリエイターとして、チーム・スレイヤーの隊長として、人間として、地球の住人として!

「狙撃手は戦艦を! 近距離部隊は降下部隊を叩く!」

奈々は残っている全ての者に命令を下した。向こうはもちろんだが、こちらだって戦力の減りは尋常ではなかった。

 大気圏から降下してきた戦艦の中に、他よりも一段と大きな戦艦が目に付いた。奈々はそれを見上げ、唖然とする。

「何・・・・・・あれ・・・・・・!?」

おそらくは敵の母艦であろう。その戦艦を取り囲むように護衛している戦艦群は、ミサイルを一斉に発射した。狙撃部隊が数発のミサイルを撃ち落とすが、ほとんどはなんの被害もなくまっすぐこちらに飛んできた。

「皆伏せて!」

奈々は咄嗟に指示を出す。だが、ミサイル群は奈々たちのはるか上空で爆発する。爆発の直前、紅い風がミサイル群の中を突き抜けていった。

 ミサイル群を破壊した人物を見やった。紅い物を背中に背負っている青年。ジャスティスと、装備が似ている。確かこいつは、ヤルドラの戦闘の時も、ジャスティスと共に姿を現した。

「よく聞いてください!」

青年はクリエイターに向かって話しはじめる。ほぼ全ての者が、その青年に視線を送っている。奈々は、青年の顔と、後ろの艦隊と、彼の武装をかわるがわる見ていた。

「俺が周りの戦艦を撃破します。全員で、あの巨大戦艦への攻撃を要請します!」

「わかったわ」

奈々は青年の申し入れを受け入れた。今この瞬間、ジャスティスやこの青年と争っている場合ではない。むしろ協力しなければならない。彼も自分達も、同じ人間なのだ。

「隊長!?」

海は不満そうに奈々を見た。海のことだ。味方と判断できない以上、協力するのは危険だと。いや、すでにジャスティスは敵と決められているから、その仲間であるこの青年も敵だと、そう判断したのだろう。

「私たちは守らなきゃいけない。そのために、手段を選んでるひまはないの!」

「ありがとうございます」

青年が謝礼の言葉を述べる。彼は、それを言い終えた後に、背中を向けて飛び去ろうとした。

「あなたの名前は?」

修二が叫ぶような声で青年に話しかける。青年はゆっくりと、だが確かに、自分の名を述べた。

「ジャスト・キライスだ」


 ジャストは、クリエイターたちに自分の名を名乗ったあと、一気に戦艦群へと向かっていく。自分が突破口を開かなければ、クリエイターはブレイカーたちに太刀打ちはできない。

「はぁぁっ!」

ジャストは両手を覆っているクロウパーツで戦艦の武装を切り裂いていく。ジャストの使うクロウパーツは、地球上でも、数少ない原石を加工して作られているパーツだ。熱は通常の鉄の数十倍の温度でなければ加工できないうえ、加工には高度な技術も必要とされている。もっとも、その原石は地球以外なら、案外とれる場所もあった。

 戦艦の武装を切り裂くと、次は戦艦の背後に回りこむ。そして、エンジンに向かって、チェストレーザーを放つ。戦艦はゆっくりと下降していく。それを見届けないうち、ジャストは次の戦艦を狙う。

 戦艦の前を塞がれる。ブレイカーだ。彼らは、ブーストパーツのようなものを足に取り付けている。レーザーのように、こちらも手に入れたのだろう。

「お前たち・・・・・・」

ジャストは目の前で詰め寄ってくるブレイカーたちに向かって叫んだ。

「そこをどけぇぇぇっ!!!」

ジャストの中で、ノヴァの覚醒が起こる。

 ジャストの爪の後ろの方から、まるで、髪のような、たてがみのようなものが風になびくように形成された。ジャストはダッシュパーツの出力を上げ、素早くブレイカーたちに傷を付けていく。もちろん、殺すことはない。殺しても、何も得るものなどないのだ。

 一瞬のうちにジャストは次々と戦艦を落としていく。手当たり次第に、武装を切り裂き、エンジンを破壊する。長いような気もするが、今のジャストは、そんなのはたいした手間ではなかった。

 そのとき、巨大戦艦に向かって鉛の弾丸が直撃する。それに続くように、攻撃が戦艦に集中していく。周りの戦艦を蹴散らしたことにより、クリエイターたちが攻撃を開始したのだ。

 勝ち取るためではない。皆、守るために戦っている!

 ジャストはクロウパーツをつきたて、戦艦の武装を切り裂く。その勢いは止まらなかった。戦艦のあらゆる場所に取り付けられている武装を切り裂き、エンジンを破壊する。これによって人が死ぬかもしれない。いくら守るためとはいえ、命を奪えば本当に守ったことにはならない。

「これで全部か?」

ジャストは一通り戦艦群を落としていった。残るはあの巨大戦艦だ。遠方からの新手は確認できない。

 これが最後の戦艦。最後の勝負だ。

 ジャストはダッシュパーツを使って戦艦へと急迫し、クリエイターたちの攻撃している側の反対側へと回りこむ。これによって、向こうの誤射や、まさかの裏切りを避けることにしたのだ。

「さぁ! ラストバトルだ! ブレイカー!」

ジャストは、チェストレーザーを巨大戦艦に向けて発射した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ