表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THREE WORLD  作者: 織間リオ
第四章【エイプリルベース】
40/48

37、正義の鼓動

 ジャスティスとジャストには、飛んでくるあのパーツがはっきりと見えていた。ジャスティスは体勢を立て直す。このジャスティスビートは、例えるならば人の下半身だ。ゆうにジャスティスの六倍の体積を誇っている。質量も、ジャスティスの全武装――フルアーマー――の五倍の質量だ。ジャスティスは、全てのパーツを分離し、ジャスティスのいわば股間部分にその体を入れる。そして、足の部分にジャスティスは手を通す。いっぱいに入れても、足先までは入らない。そして、両腕が完全に足の中に納まると、ジャスティスをしろい鎧が包み込む。ジャスティスビートが自動的にアーマーオンにしたからだ。

 そして、胸に再びチェストレーザーパーツが取り付けられる。ジャスティスビートのエンジンが動き出す。ジャスティスは近づいていた地面からゆっくりと遠ざかっていく。

 ジャスティスは、再び大空に飛び上がった。今度は、白き鎧を纏った鼓動を持って。


 ジャストの装備するジャストビートは、ジャスティスビートとは反対に、上半身のような構造をしている。ジャストは、穴がぽっかりと開いている首の部分から体を埋め込む。そして、頭が白い兜で覆われていく。こちらにも、オートアーマーオンの機能がついている。腕から巨大な鉄の剣が現れる。ジャスティスビートには射撃的な武装が多いが、ジャストビートには格闘用の方が多い。

『ジャスト!』

通信機の向こうからジャスティスの声が聞こえてくる。

『僕は・・・・・・覚悟を決めた!』

「・・・・・・ああ!」

ジャストもそれに返事をする。自分には、とうの昔から覚悟はついている。人が死ぬかもしれない。守りたいが故に、その犠牲になるものもいる。ジャスティスがこの艦に来たとき、いや、初めて戦闘に向かおうとしたその日からだ。


 ジャスティスジャスティスビートから大量のミサイルを放出し、ブレイクの艦隊へ向ける。艦隊もミサイルを発射し、応戦する。ジャスティスはゆっくりと後ろへと下がる。互いのミサイルがいくつかすり抜け、数発のミサイルは戦艦へ、数発はジャスティスへと向かってきた。

「当たれぇぇっ!!」

ジャスティスはジャスティスビートの足部分のレーザーをミサイルに定める。そして、胸に取り付けられているチェストレーザーと同時にレーザーを放出する。瞬く間にミサイルはレーザーの中に飲み込まれ、爆散する。

「てぇやぁぁっ!!」

ジャストは艦隊に突進し、両腕から伸びている巨刀で艦隊をなぎ払っていく。

 ものの五分で、その場は沈黙した。ジャスティスたちによって。おそらく、まだ艦隊は来るだろうし、地上にもブレイカーはいるだろう。予想通りとでもいうかのように、空の彼方からブレイクの艦隊が迫ってきていた。


 僕は、目の前で起こったことが、現実とは思えなかった。一瞬にしてブレイクの艦隊を殲滅させたのだ。それに、あの二人が纏っているあのパーツは、僕達は見たことがなかったのだ。

 僕はしばらくその様子を見ていた。動き出す気は起きなかった。目の前の戦いにただただ圧倒されていたのだ。僕はつかまっていた壁をするすると滑りながら地面に座り込んだ。

「あんな・・・・・・」

僕は、あの力に恐怖を覚えた。

 初めてジャスティスをみたときも思った感情。自分の中に、二度と戻らないと思っていた感情。恐怖。

 僕はあの力に恐怖した。

 僕はあの力に嫉妬した。

 僕は、あの力を打ち倒したいと思った。

 今の僕になら、それが可能なのではないのか?

 僕のなかでの迷いは、今は消えることはなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ