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THREE WORLD  作者: 織間リオ
第四章【エイプリルベース】
34/48

31、ブレイク艦隊を撃沈せよ!

 ルナビートでは、接近するブレイクの艦隊を発見した。すぐにでも大気圏に突入するかのように、こちらにかまわず突き進んでいる。

 シーナの元に、ジャスティスからの通信が入る。

<艦長! 出撃許可を! 放っておけば降下してしまいます!>

「了解。出撃を許可する。各員、発進せよ」


 シーナからの許可が下りた。ジャスティスはすばやくコアフライヤーのシステムを起動させる。そして、コアフライヤーの内部に取り付けられているボタンの中で、いくつかのボタンを押した。

「ジャスティス・ファイア、コアフライヤー、行きます!」

ジャスティスのコアフライヤーが勢いよくルナビートから発進する。引き続いて、ウイング、ウイングウエポン、グローブ、レーザーガン、チェストレーザー、レッグレーザーのパーツも射出される。パーツが追いついたのを確認すると、ハッチを開け、宇宙空間に飛び出す。息を止めて宇宙空間に飛び出したジャスティスに、ウイングパーツが取り付けられる。今回のは、宇宙用に整備してあるため、パーツを装備するだけで自動的に体内に酸素が供給される仕組みになっている。

 引き続いて、ジャストがコアフライヤーのシステムを起動させていく。取り付けられているボタンの一部は、自動的にパーツを射出させるためのものだ。

「ジャスト・キライス、コアフライヤー、発進する!」

ジャスティスのコアフライヤーよりもはるかにはやいスピードでルナビートから飛び出していく。そして、それ以外にも、ダッシュ、クロウ、レーザーガン、チェストレーザーのパーツが飛び出していく。それらを体の各部分にとりつけていく。ジャストのダッシュパーツにも、ウイングと同じように、自動酸素供給が可能になっている。

「紅竜、コアフライヤー、出る!」

一方、初出撃の竜にも、もちろん酸素供給が可能なパーツを射出させた。コアフライヤーから飛び出した体に、パーツが取り付けられる。背中には、バズーカパーツというものが装着される。これにも酸素供給能力がある。そして、バズーカパーツは一つから二つへと分離し、背中に取り付けられる。パーツは暗緑色で、これ一つで二つの異なる攻撃が可能となっている。そして、その二つが分離して空いた背中の部分に、さらにもう一つのパーツが装着される。銀色の刃をきらめかせる、ソードパーツだ。それを鞘ごと背中に取り付ける。そして、腰にレーザーガン、胸にチェストレーザー、手にはグローブ、足の部分には、エンジン機能のついたブーズターパーツが取り付けられた。

 三人の戦士は、今向かい来る艦隊に向かって、その銃口を向けた。


 レーダーに、巨大戦艦と人が映る。光学映像で映し出された映像には、無人艦へと向かっていくのだが、攻撃をしなければ、無人艦だとはすぐにばれる。そのためにも、すでに手は打ってある。

「無人全艦、機関砲起動!誘導ミサイルも同時発射だ!」

「はっ!」

そばにいる無人艦火器担当の兵士が返答し、機関砲の銃口を向かい来る三人に向ける。向こうの所有兵器から撃ちだされる前に、ミサイルが発射される。彼らはそれを容易にかわし、機関砲もかなりのスピードで逃げられる。

「前陣艦は機関砲、中陣艦はミサイル、後陣艦は光粒子砲を発射させろ!」

「はっ!」

指示通りに無人艦が攻撃を開始する。

 後ろでその様を見ていたグールは、いかにも悪魔のような笑みを作った。無人艦の攻撃をかわす三人の少年達を、鼻で笑う。

「本隊の動きは悟られていないだろうな!」

「はい。ルナビートからは、こちらになんの反応もありません」

「ならいいがな・・・・・・」

無人艦隊はそれなりの艦数を出したが、本隊はその倍の戦艦なのだ。気づかれないかどうかさえ怪しいのだ。

「警戒は怠るな!」

「はっ!」

その一言を言って、グールは再び口を閉じた。地球の大気圏には、このまま進めばもう三分もあれば突入だきる。

 もっとも、このまま進めればだが。


 機関砲をかいくぐり、ミサイルを打ち落としたルナビートの戦士たちの前に、光の主砲が襲い掛かる。なんなくジャストはかわし、ジャスティス、竜もかろうじてかわした。

「あれは、もしかして・・・・・・!」

ジャスティスの予想通りの答えが、竜から返ってくる。

「おそらくは、光粒子砲といわれるものでしょう。太陽光を粒子状にして収束させ、それを撃ちだす。僕達のレーザーと同じような原理といってもいいでしょう」

ブレイクはすでにこの技術を開発し、戦線投入を試みたのか。これだと、やはりブレイク側にも勝機が見えなくはないかもしれない。技術面では劣るクリエイターが、果たしてあれらにどう対応していくのか。向こうはおそらくそんな技術はないだろう。地球軍ならなおさらだ、

 ジャスティスは、全ての兵器を起動させる。ウイングウエポンから、八つの刃が離れ、それぞれが、戦艦の火器を狙っている。

「くそぉぉっ! もうやめるんだ! こんなことは!」

各パーツから光の弾線が迸る。一気に二、三艦を撃ち落す。爆発にまぎれているうちに、ジャストがすばやい動きで中陣に君臨する戦艦の火器を破壊していく。そして、その煙が晴れたころ、腰だめに構えたバズーカパーツから、チェストレーザー並みのレーザーが砲口から噴き出す。それが二つもあるのだ。ここまで遠距離だと命中率は激減するが、当たれば強い。一撃で沈むだろう。そう、竜の装備は、ジャスティスやジャストのように武装を狙って戦闘不能を狙うより、ともかく堕とすことで戦えなくするというタイプなのだ。

「まさか、これだけってことはないよな」

ジャストがもっともらしいことをきいてくる。ブレイク全軍で攻め込むのに、戦艦がいくつかあるだけ。これだけで攻め込もうとしているのなら、完全に、ロントの方に数負けするだろう。

 そのとき、一つの通信が、ルナビートから入ってきた。


 ルナビートでは、いきなり現れたもう一つの艦隊を目撃し、ジャスティスたちに通信を入れた。

「ジャスティス、ジャスト、竜! 敵の本隊と思われる艦隊を発見!直ちに急行せよ!」

 完全にやられた。おそらく、先ほど自分たちが相手にしていたのは無人艦。本体を確実に地球に送り込むための囮。無人艦でありながらこちらに攻撃してきたところを見れば、その通信技術の向上もしかと目に焼き付けることができる。

 通信機の向こうから「了解」という三つの返事が返ってくる。シーナはすばやくクルーに命令し、主砲の発射準備を急がせる。

「ムーンライト、ぇーっ!」

ルナビートの中央部分の砲身から、光が収束され、一気に放出される。チェストレーザーの数倍の威力はある。

 ムーンライトが一気に敵艦隊へと直進していく。向こうは避けることはできないだろう。少なくとも、一機も落とせないことはないだろう。

 だが、彼女の目には、信じがたい光景が映った。


 敵艦から、光の砲――おそらくはレーザー――がこちらに向かって突き進んでくる。

「レーザーシフト起動!」

途端に、光の膜が戦艦群を包む。そして、直撃したレーザーが光の膜にかき消された。

「こりゃあすごいな」

「試作型とはいえ、この効果は絶大だな」

相手の母艦の主砲すらもかき消したのだ。周りのチビたちがいくらがんばったところで、このバリアは壊れないだろう。

 このレーザーシフトといわれるバリアフィールドは、レーザーなど、実体のない攻撃を完全に防ぐことができる。レーザーシフトの中には、原子の中にある電子のようなものを組み込んでいる。当たった敵のレーザー等の性質を瞬時に演算し、その電力をこちらのイオン放出でかき消す。例えば、陽イオンがレーザーシフトに当たれば、シフトは陰イオンを大量放出し、互いの性能を打ち消すのだ。

 以前、ヤルドラでの戦闘の際に取ったデータがここで役に立った。あのときの翼の坊主のレーザーを細かく分析し、それをかき消すことのできるバリアフィールドを、研究員を大量に投入して開発させた。

「さあ、いまだ! 敵が動揺している隙にこのまま降下するぞ!」

先頭の艦がとうとう地球の重力につかまり、吸いつけられるように降下していく。それに続いて続々と艦が降下していく。

「今回ばかりは勝たせてもらう。ブレイクを、永遠の種族とするために!」

とうとう、ルナビートは一艦も落とせぬまま、地球への降下を許してしまったのであった。


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