第三章エピローグ
十年前、潤の家では、父、正男と母、洋子による口論が起こっていた。潤がそのうち、世界を脅かす存在となるから、自分がそれを食い止める。そう言った正男に反対し、潤を守ろうとする洋子を、正男は気絶させ、潤を奪っていく。「朝までには元通りにしておく」と言い残して。
何も知らない潤を乗せた車は、正男の研究施設へと向かっていた。研究施設へたどり着いた正男を拒むのは正義という青年。彼の攻撃により、少しばかり遅れをとった正男は、巨大モンスター、ギルルを呼び出し、正義と戦わせ、自分は研究施設へと入ってしまった。激戦の中で、正義の前に、謎の少年が現れた。だが、ギルルが正義を道連れにし、正義は後頭部を強打し、意識を失ってしまったのであった。
施設内では、正男は潤にとうとう複合を果たしてしまう。そして、誰もいない研究施設外から、車で自宅に帰っていった。
複合された潤に、正男は三つの禁句を定めた。この禁句が生涯放たれず、世界の崩壊を永遠に遠ざけられることを願って。そして、正男は潤をベットにおろすと、荷物をまとめて家を出て行ってしまった。
一方、ジャストと共にルナビートへと来た正義は、戦闘中の出来事により、記憶を消失してしまっていた。ジャストから、ジャスティス・ファイアという名前を受け取り、守るために戦うことを決意したジャスティス。もはや、彼の中には、正義という名前は存在しなかった。
僕、矢倉潤は、ヤルドラ基地進攻作戦を無事に終了させて、通常通りに登校していた。
そんなある日、僕は帰り道に川辺でジャスティスと会った。彼によれば、自分が戦闘介入をするのは、戦いを止めたいかららしい。だが、そのとめ方が悪いと思った僕は、一つの言葉を残して去った。
「同じ力の種を植えても、違う使い方の花を咲かせるんだろう」
その会話の後日、勇が失踪したのではという噂が広まっていた。実際に家に行ってみると、勇の姿はなく、両親は気を失っていた。その中にいたのは、紅龍と名乗る少年だった。彼は僕に、「意思」という言葉を発し、僕をまたあの状態に陥れた。
そのころ、ジャスティス達のいる艦、ルナビートには、紅竜という少年が、入れて欲しいと志願し、艦長シーナは、一応入艦を認めたのであった。
ようやくの目覚めからすぐに奈々から電話がかかってきた。彼女の口から放たれたのは、ブレイカーたちによる、地球侵攻作戦の計画だった・・・。
そして、その後、ヤルドラでのジャスティス撃退をきっかけに、かなりの入隊希望がチーム・スレイヤーにきていた。僕と奈々はそのなかから澤村 光という子をチームに入れたのであった。
僕達は、僕達の地球を、僕達の未来を守るため、シャトルRへと乗り込み、地球支部を発進した。
一方のブレイクは、ルナビートの攻撃を予測し、無人艦を囮に地球へ降下しようとしていた。そして、最高総司令官、グール・ブレイより、とうとうエイプリルベースの開始が宣言されたのであった。
北暦二〇一〇年四月一日午前五時〇〇分、「エイプリルベース」開始。