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THREE WORLD  作者: 織間リオ
第三章【戦う理由】
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21、爆発する基地、撤退の翼

 ジャスティスはあまりの劣勢ぶりに、戦闘続行は無理だと判断し、ウイングパーツを射出させた。しばらくしてウイングパーツがやってくる。だが、それに気づいた少年が阻止しまいと襲い掛かってきた。ジャスティスは素早く横っ飛びでかわし、ジャストの横に着地する。ジャストを抱きかかえる。が、その隙に少年はみるみるうちに迫ってくる。ウイングパーツがすぐ近くまで来ている。ジャスティスは右手にレーザーガンを構え、襲ってくる少年に撃つ。だが、彼は攻撃を一瞬にしてやめ、その射線をかわした。だが、これがジャスティスの狙いだった。ジャスティスは、相手が回避に専念している間に、上空へジャンプした。いつもよりもかなりの力でジャンプはしたが、いつもとあまり変わらないジャンプだった。背中にウイングパーツが取り付けられる。ジャスティスは、ジャストを抱えたまま、戦場を後にした。


 襲い掛かる射線をかわしたころには、すでにジャスティスは、もう一人の青年を抱えて、空中にいた。背中に翼が取り付けられる。

「逃げられる!」

射線を回避するため、一旦僕は体を取り戻した。だが、これがジャスティスの狙いだったらしい。僕は攻撃しない。だが、キーラーは回避しない。この二つの欠点が、ジャスティスの撤退を許してしまったらしい。

 僕が攻撃拒否、キーラーが回避拒否。この二つのことを、一つの体で行う。すると、いくら敵の目前までキーラーが迫っても、僕に代われば攻撃することができない。それが、最大のチャンスだったとしてもだ。一方、逆でも同じようなことが言える。敵の連続攻撃をかわし続けていても、キーラーに代わってしまえば、よほど大振りの攻撃でないかぎり、受け止めるほうを選ぶのだ。それが、重傷を負うような攻撃であっても。

 もしかしたら、ジャスティスはこの性質を見抜いたのかもしれない。僕とキーラーで同じ体を共有していることは分からなくとも、この行動パターンの癖は分かったはずだ。だからこそ、彼は攻撃したのだろう。

 ジャスティスの姿が見えなくなったころ、内部で爆破作業をしていたチーム・スニーキングから無線連絡が入った。

『聞こえるか。こちらチーム・スニーキング。基地内部に爆弾の設置が完了した。すみやかに他のブレイカーを殲滅し、五分以内に撤退する』

「こちらチーム・スレイヤー。了解です」

僕は、その言葉を少しほっとしながら聞いた。だが、まだ敵はいる。僕達チーム・スレイヤーの隊員である修二と海はすでにほとんどのブレイカーを殲滅させていた。まぁ、ほとんどは奈々が殺ったらしいが。

 チーム・カイリキのメンバーも全員が生き残っていた。僅かにブレイカーが残っていたが、このペースならすぐ終わりそうな勢いだ。その勢いのまま、チーム・カイリキはブレイカーを殲滅させた。

「こちらチーム・カイリキ。敵の殲滅が完了したぁ」

外には僕ら以外には誰もいなかった。だが、基地の天井を突き破って、チーム・スニーキングは戻ってきた。僕達は、爆発に巻き込まれないために、急いでその場を離れた。数分後には、すでに僕らはシャトルRに乗り込んでいた。

「シャトルR、発進」

奈々はそう言いながら、シャトルRを起動させる。ゆっくりと機体は上昇していき、やがて前進を始める。そのとき、後方に赤い何かが見える。僕は後ろを確認する。基地が、黒煙を立てて燃えている。爆弾が爆発したのだろう。僕は、僅かに恐怖心をかきたてられた。自分が、ブレイカーでなくてよかった。自分が、あの中にいなくてよかった。だが、それに反するかのような想いもよぎる。

 でも、あの中にいた人達は皆、死んだんだ・・・・・・。

 彼らに罪がないわけではない。だが、生まれてきただけで敵と判断していいのだろうか? あの者はブレイカーだから、破壊者だからと、刃を、銃を向けていいのだろうか。そして、ただ殺してしまっていいのだろうか。中には、なにもしていないのに、ただ隅でじっと小さく生活していただけでも、あれは敵だ。もしくは、いずれ脅威となると、襲ってしまっていいのだろうか。

 必ずやること全てがそうだとは言い切れない。だが、そんなことばかりを繰り返し繰り返し続けてしまっては、単なる一方的な戦争だ。自分達の意見ばかりを押し付け、意のままに人を操り、世界を自分達の物にする。非戦闘員を殺し続ければ、いずれそうなるだろう。

 そんな世界にはしてはいけない。そして、クリエイターはそうなってはいけない。確信できる。もし、そんなことが起これば、おそらくは・・・・・・。

 また、あいつ――ジャスティス――が現れる。そして、自分達だけを狙うだろう。戦いに突如介入し、いらぬ犠牲者も出すことになる。それは、戦闘を起こしている双方にとって、だ。

 大気圏にシャトルRは突入する。そのまま、大気圏を突破する。前を先行している二機がワープを開始すると、奈々もワープを開始した。瞬く間に周りの風景が流れていく。そして、しばらく行ったところに、「破界」のロント支部が見える。そこに着艦したシャトルRは、パワーを落とされ、そしてハッチが開く。そこから僕達は出て行く。それぞれのリーダーが握手を交わすと、それぞれが報酬金をもらいに散っていった。


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